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  <    <  会社設立時から取り組む、個人番号・マイナンバーカードへの対応・活用

会社設立時から取り組む、個人番号・マイナンバーカードへの対応・活用

現在、マイナンバーカードは健康保険証との一体化などで問題が噴出していますが、他方その活用の範囲は広く、様々な利便性の提供やビジネスチャンスの拡大などに繋がると期待されています。

 

今回の記事では、マイナンバー制度への対応やマイナンバーカードの活用に着目した会社設立や経営について解説することにしました。具体的には、マイナンバーカード等の特徴やメリットのほか、同カードの活用によるビジネスの可能性やその活用例、などを紹介します。

 

会社設立時からのマイナンバー制度への対応を知りたい起業家、マイナンバーカードをビジネスでどう活用したらよいかを検討している経営者などは参考にしてみてください。

 

 

1 マイナンバー制度とマイナンバーカードの概要

マイナンバー制度とマイナンバーカードの概要

 

マイナンバー制度はデジタル社会の実現に向けて、国民の利便性向上、行政の効率化とともに、より公平・公正な社会にしていくための社会インフラとしての機能を果たす基盤と言えます。

 

1)マイナンバーとは

 

マイナンバー(個人番号)とは、住民票を有する国内の全住民に付番される12桁の番号です。マイナンバーは、社会保障制度、税制、災害対策など、法令又は条例で規定された事務手続で使用されます。

 

マイナンバーの役割は、それによって個人の特定について確実かつ迅速に行うことを可能にすることです。つまり、本人確認を行う上での基盤となる要素と言えるでしょう。

 

また、行政手続に関して、マイナンバーを行政機関等の間で情報連携をすることにより必要な添付書類を削減できるほか、事務処理も効率的に行えるため国民の利便性も向上します。さらに、マイナンバーに基づき必要な方に、必要な行政の支援を迅速に提供することができるのです。

 

2)マイナンバー制度の導入の目的

 

マイナンバー制度は、主に以下の3つの項目を目的として導入され、それに伴う効果が期待されています。

 

●国民の利便性の向上

 

国民生活では、各種行政からのサービスを受けるため、様々な手続が生じますが、市区町村役場、税務署、社会保険事務所など複数の機関への訪問、書類の入手、申請書等の持参・郵送等で手間がかかるケースも少なくありません。

 

しかし、マイナンバー制度の導入より、社会保障や税関系の申請時において、課税証明書などの添付書類が削減されやすくなるため、面倒な手続が楽になります。また、本人や家族が受けられるサービスに関する情報を受け取れるようになるのです。

 

●行政の効率化

 

マイナンバー制度の導入後は、国や地方公共団体等での手続において、個人番号の提示、申請書への記載などが必要になります。国や地方公共団体の間で情報連携が開始されると、これまで時間がかかっていた情報の照合、転記等に要する時間・労力が大幅に削減され、手続が簡単で正確に済ませられるのです。

 

●公平・公正な社会の実現

 

国民の所得状況等を把握することが容易となり、税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給を防止できるほか、本当に困っている人にきめ細かな支援が実施できるようになります。

 

3)マイナンバー制度による機能や役割

 

●情報連携

 

この情報連携とは、行政機関等同士が専用のネットワークシステムを利用して、行政手続に必要な情報を交換し合うことです。この情報連携により、住民は、各種行政手続において書類提出を省略する、などのメリットが得られます。

 

*省略可能な書類等に付いては「情報連携可能な事務手続の一覧及び省略可能な書類(年金関係手続)」などを参照してください。

 

●公金受取口座登録制度

 

この制度は、国民が金融機関で持っている預貯金口座を給付金等の受取のための口座として、国(デジタル庁)に任意で登録することです。

 

公金受取口座として登録できる口座は、本人名義の預貯金口座かつ一人一口座となっています。対象となる給付金等の内容は、「公金受取口座を利用して受け取ることができる給付金等」等で確認してください。

 

●預貯金口座付番制度

 

この制度は、預貯金口座にマイナンバーを付番する(紐づける)ために、金融機関へマイナンバーを届出する仕組です。

 

預貯金口座への付番によって、将来的には、相続時や災害時に、一つの金融機関の窓口で、マイナンバーが付番された預貯金口座の所在が確認できます。

 

4)マイナンバー制度のデメリット

 

以下のような点がデメリットになり得るでしょう。

 

●情報流出の可能性

 

マイナンバーには、各種の個人情報が詰まっており、その情報の流出の可能性は否定できません。

 

●なりすまし被害の可能性

 

マイナンバー制度でも、なりすまし被害が生じる可能性はあります。

 

●コスト

 

マイナンバー制度の開発・運用維持などにかけるコストは発生します。たとえば、マイナンバー制度の中核システムだけでも設計、開発にかかるコストは100億円を超え、システムの総額は、初期費用に2700億円、年間の運用に200億から300億円が必要と報じられていました。

 

マイナンバー制度は住基ネットシステムをベースにしてシステム開発するものですが、住基ネットのシステムは市町村単位で作られているため、その対応に莫大な初期費用や運用費用がかかるのです。

 

●手続の手間

 

マイナンバー制度によって、手続が煩雑になることもあります。たとえば、行政の手続で個人番号の提示が求められる可能性が高くなるはずです。

 

マイナンバーカードの提出を求められるケースが予想されますが、なければ通知カードと、運転免許証や旅券等の身元確認のための書類などの提示・提出が必要となることが考えられます。

 

次に、マイナンバーカードの概要を見ていきましょう。

 

1)マイナンバーカード

 

マイナンバーカードは、マイナンバーを証明する書類として利用するカードです。これ以外にも、本人確認書類としての利用、各種行政手続のオンライン申請、各種民間のオンライン取引、など個人の日常生活の様々なシーンでの利用が期待されています。

 

マイナンバーカードは住民からの申請により無料(当面の間)で交付されるプラスチック製のICカードで、券面には氏名、住所、生年月日、性別などが記載され、顔写真も添付されます。

 

カードの表(おもて)面は顔写真付きであるため本人確認書類としての利用が可能です。また、裏面にはマイナンバー(12桁の番号)が記載されているため、法令または条例で定められた手続等におけるマイナンバーの確認に利用できます。

 

ICチップが搭載されているため、それによりオンライン上で安全かつ確実に本人であることの証明が可能です。そのためデジタル社会を構築する上での必要なツールとして位置づけられています。

 

なお、マイナンバーカードは、金融機関等の窓口などで本人確認書類として利用されますが、個人番号をコピー・保管できる事業者は、行政機関や雇用主等、法令に規定された者に限定されています。

 

そのためそれ以外の事業者の窓口では、個人番号が記載されているカードの裏面をコピー・保管することはできません。

 

2)マイナンバーカードの3つの利用面

 

利用面でマイナンバーカードを見ると、主に3つに分けられます。

 

●カード券面による利用(個人番号)

 

カードの表面は本人確認書類として、裏面は個人番号の提示に利用することが可能です。マイナンバー制度の導入後は、就職、転職、出産育児、病気、年金受給、災害等、多くの場面で個人番号の提示が求められることになるため、その際マイナンバーカードがあれば、一枚で番号確認と本人確認ができます。

 

もしない場合は、通知カードと、運転免許証や旅券等他の本人確認書類が必要となりますが、マイナンバーカードがあれば、それらは不要になるわけです。

 

●ICチップの空き領域の利用

 

マイナンバーカードのICチップには空き領域があり、各種の行政サービスで利用できるようになります。この空き領域は、市町村・都道府県等は条例で定めることにより、国の機関等は総務大臣の定めより、各々の独自サービスの提供が可能となり、カードを保有する者はそれらの利用が可能になるわけです。

 

ICチップの空き領域の利用の例

 

  • ・市町区村の場合:印鑑登録証、コンビニ交付、証明書自動交付
  • ・都道府県の場合:公立図書館の利用者カード
  • ・国の行政機関の場合:国家公務員の身分証明機能(入退館管理)

 

●電子証明書の利用

 

マイナンバーカードのICチップには、「署名用電子証明書」(利用者が作成・送信した電子文書が「利用者が作成した真正なもので、利用者が送信したものであること」を確認できる証明書)と「利用者証明用電子証明書」(インターネットサイト等にログインする時に利用されるもので、ログインした者が、利用者本人であることを確認できる証明書)という、公的個人認証サービスによる2つの電子証明書が標準的に搭載されます(発行手数料は無料)。

 

「署名用電子証明書」は、氏名、住所、生年月日、性別の4情報が記載でき、e-Taxの確定申告など電子文書を送信する場合に利用できます。

 

「利用者証明用電子証明書」は、マイナポータル(政府運営のオンラインサービス)やコンビニ交付の利用時などで、本人であることを証明する場合のその手段になり得るものです。

 

これら2つの電子証明書は、平成28年1月から総務大臣が認める民間事業者も使用できるようになりました。

 

「公的個人認証サービス」とは、インターネット上での本人確認に必要な電子証明書を住民基本台帳に記載されている希望者へ、無料(今のところ)で提供するサービスです。

 

*ICチップ内の情報

マイナンバーカードのICチップ内には、「公的個人認証AP」「券面事項確認AP」「券面入力補助AP」「住基ネットAP」の4つのアプリケーションが搭載されており、また市町村等の行政機関が行う独自サービスのための空き領域があります。

 

これらには、必要最低限の情報だけが記録され、税情報や年金給付情報など、プライバシー性の高い個人情報は記録されません。

 

4)マイナンバーカードの利用方法

 

住民としての個人がマイナンバーカードをどのように利用できるかを紹介しましょう。

 

●身分証明書としての利用

 

各種の行政サービスだけでなく、民間のサービス等を受ける際の本人確認に伴う身分証明書としてマイナンバーカードが利用できます。券面には氏名や住所、生年月日、性別が記載されおり、顔写真も付いているため、本人確認での身分証明書として使えるわけです。

 

社会人の身分証明書としては、一般的に運転免許証や健康保険証などが利用されます。しかし、自動車を運転しない者や健康保険証を失効してしまった者などはそれらを利用できないですが、マイナンバーカードなどそうした理由に関係なく保有・利用できるわけです。

 

マイナンバーカードは、個人番号の確認と本人確認を1枚で済ませられる唯一のカードであるため、今後は様々な場面での利用が期待されています。

 

●コンビニ等での各種証明書の取得

 

コンビニなどで住民票、印鑑登録証明書などの公的な証明書をマイナンバーカードで取得することが可能です。

 

「コンビニ交付」とは、マイナンバーカード(又は住民基本台帳カード)を利用して市区町村が発行する証明書(住民票の写し、印鑑登録証明書 等)が国内のコンビニエンスストア等のキオスク端末(マルチコピー機)から取得できるサービスのことを言います。

 

マイナンバーカードを利用すれば、わざわざ役所へ行かなくても都合が良い時(6:30から23:00で店舗の営業時間内、土日祝日も対応)にコンビニやスーパーなどで入手することが可能です。なお、取得可能な証明書としては以下のものが挙げられます。

 

  • ・住民票の写し
  • ・住民票記載事項証明書
  • ・戸籍証明書
  • ・戸籍の附票
  • ・印鑑登録証明書
  • ・各種税証明書

*市区町村で異なることもある

 

●行政手続のオンライン申請

 

マイナンバーカードのICチップに搭載される電子証明書を利用すれば、様々な行政手続をオンライン上で済ませることが可能であり、マイナンバーカードの利便性は高いです。

 

行政手続の例としては、確定申告が挙げられますが、マイナンバーカードを利用すればその電子申告ができます。また、各種の給付金を受給申請する際の利用も可能です。

 

たとえば、「特別定額給付金」を申請する場合、郵送で申請する方式又はマイナポータルからマイナンバーカードを利用して電子申請する方式(オンライン申請方式)が取られています。

 

その郵送申請方式とオンライン申請方式で必要となる書類等は以下の通りです。

 

  • ・郵送申請方式
     

    1. (1)本人確認書類
      マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証等の写し
    2. (2)振込先口座の確認書類
      金融機関名、口座番号、口座名義人が分かる通帳やキャッシュカード、インターネットバンキングの画面の写しなど
  •  

  • ・オンライン申請方式
     

    振込先口座の確認書類
    ※本人確認書類は不要

 

以上のようにマイナンバーカードを利用したオンライン申請のほうが手続を簡略化できます。

 

また、納税や給付金受給など以外では、「児童手当関係の手続」、「保育所の入所申請」、「要介護・要支援の認定申請」など、利用できるケースは少なくありません。

 

●公共サービスの利用者カードの代用

 

住民は様々な行政サービスが受けられますが、その際にマイナンバーカードを「利用者証」として利用することが可能です。たとえば、地域の図書館の利用する際にその利用カードが必要となりますが、それをマイナンバーカードで済ませられます。

 

希望するサービスを受ける際に、わざわざ専用のカードを作成しなくてもマイナンバーカードがあれば、利用できるようになるわけです。今、問題になっているマイナンバーカードと健康保険証との一体化ですが、実現すると医療機関や薬局のカードリーダーにかざすだけで健康保険証の代わりとして利用できます。

 

マイナンバーカードが健康保険証と利用できるようになると、以下のようなメリットが期待できるのです。

 

  • ・顔認証付きカードリーダーを通じて受付が自動化される
  • ・データに基づく診療や薬の処方の提供が受けられる
  • ・窓口で自己負担限度額以上の支払いが回避できる
  • ・マイナポータルで確定申告の医療費控除がしやすい(マイナポータルを使えば各種手続も簡単)
  • ・就職や転職、引っ越し後に新しい健康保険証の発行を待つ必要がなくなる
  • ・高額療養費の支払い適正に処理にできる

 

●円滑な銀行・証券会社の口座開設

 

銀行や証券会社の取引口座を開設する際にマイナンバーカードを利用できるケースが増えてきました。

 

たとえば、銀行口座(ネットバンキング)の開設の際には本人確認書類として、運転免許証、パスポート、健康保険証などが必要でしたが、現在、これらに加えてマイナンバーカードが利用できるようになっています。

 

なお、銀行等の各機関によって異なりますが、マイナンバーカードと運転免許証など複数の書類の提示が必要となるケースが多いです。オンライン申請することで、銀行等の窓口へ行く手間が省け、開設までの時間を大幅に短縮できるようになります。

 

また、確定申告の際に生じる還付申告について、還付金の受取先で指定する口座をマイナンバーカードに登録しておくと自動的に受け取ることが可能です。また、マイナンバーカードと公金受取口座を紐づけしておくと、給付金の申請手続において、口座情報の記載や通帳の映しの添付などが必要なくなります。

 

5)マイナンバーカードのデメリット

 

マイナンバーカードには以下のようなデメリットが生じ得るため注意が必要です。

 

●盗難・紛失した場合のリスク

 

マイナンバーカードは健康保険証だけでなく、免許証との一体化も進められようとしているため、将来的にはこれらの代わりとして使用する日もそれほど遠くありません。

 

マイナンバーカードを1枚保有していれば、免許証などを携帯しなくて済むため便利ですが、盗難や紛失といったトラブルが起きた場合のリスクは高くなってしまいます。

 

たとえば、健康保険証や運転免許証などはその必要な際に携帯するのが一般的ですが、マイナンバーカードを様々なサービスで多く利用することとなれば常に携帯することになるため、その分だけ盗難・紛失する可能性は高くなるはずです。

 

ただし、マイナンバーカードを紛失や盗難にあっても、他人が悪用することは簡単ではありません。同カードは顔写真付きのため、第三者がなりすますことは困難で、また、マイナンバーカードは特殊加工をしているため、券面を偽造することも難しいです。

 

カードのICチップには、税や年金、健診結果や薬の情報などのプライバシー性の高い情報は入っていないため、個人情報の漏洩をあまり気にする必要は少ないでしょう。さらに不正に情報を読み出そうとすると、ICチップが壊れる仕組が採用されています。

 

そのICチップの読み取りに必要な数字4桁の暗証番号は、一定回数以上間違えるとロックがかかり、本人が手続をしないとロックの解除ができないなど、

高いセキュリティが採用されているのです。

 

しかし、安全性が高いといっても完璧とは言えません。マイナンバーカードは身分証明の本人確認として利用されますが、ICチップを利用する場合は顔写真による確認は関係ないです。その場合、悪意のある者が他人のマイナンバーカードで公的書類を取得することは不可能ではありません。

 

悪意ある者が利用者証明用電子署名の暗証番号を知ってしまうと(暗証番号を誕生日などで安易に設定すると)、マイナポータルでの税金や所得額などが知られるなど、個人情報が漏洩する恐れが生じます。

 

なお、カードを紛失してしまった場合は、「マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)」に電話連絡すれば、カードの一時利用停止が可能です。

 

●有効期限と更新の必要性

 

マイナンバーカードは様々な情報が紐付けられ、利便性が高いですが、カード自体には有効期限があり、更新も必要になります。クレジットカードなどと同じように期限が過ぎれば、利用できなくなり再発行の手続をしなければなりません。

 

マイナンバーカードの有効期間は、発行日から10回目の誕生日(未成年者は5回目)までとなっており、電子証明書の有効期間は、年齢に関係なく発行日から5回目の誕生日までです。

 

なお、有効期限を迎える者には、有効期限の2~3カ月前を目途に有効期限通知書が行政から送付されます。更新手続については「マイナンバーカードの更新手続」などを参照してください。

 

マイナンバーカードの更新時にマイナポータルで受けているサービスの中にはその情報の更新が必要となるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

 

●金融資産との紐づけに対する不安

 

銀行口座など金融資産についての取引を行う際に、その口座とマイナンバーを紐づけようとする動きが強まっています。その流れの中で、金融資産と紐付けもされているマイナンバーカードを紛失した場合に悪用されれば、被害を受ける可能性はゼロではありません。

 

つまり、マイナンバーカードの盗難・紛失によって金融資産の情報が第三者に知られることによるリスクが生じるわけです。また、一部の銀行口座の内容が行政に把握されるという不安を抱く方もおられるでしょう。

 

銀行口座とマイナンバーの紐づけは、税務調査や生活保護のための資産調査の円滑化や、給付金などの入金手続の迅速化、などのメリットもありますが、自身の懐事情を第三者に知られたいと思う人は少ないはずです。

 

 

2 マイナンバー・マイナンバーカードの企業との関係

マイナンバー・マイナンバーカードの企業との関係

 

マイナンバー制度及びマイナンバーカードが企業にとってどのような影響をもたらし、どんな関わりがあるのか、などを確認しましょう。

 

 

 2-1 マイナンバー制度への企業の対応

企業がマイナンバーをどのように扱うべきかを見ていきましょう。

 

1)マイナンバーの適正管理

 

マイナンバー制度が施行され、企業には従業員のマイナンバーを適切に管理・保管する義務があります。

 

企業は、雇用している従業員に関する税金の徴収・納税、雇用保険・健康保険・年金保険の徴収・支払などの手続や処置を行わなくてはなりません。その際に発生する、源泉徴収票や支払調書の発行、雇用保険の手続、納税の手続などにおいて、企業と従業員のあいだでマイナンバーのやりとりが発生します。

 

マイナンバーは、住民一人ひとりの重大な個人情報が紐づけられているため、厳格な管理が義務づけられる「特定個人情報」に位置づけられているものであり、もしその情報が漏洩した場合には罰則が科せられることもあるのです。

 

また、そうした漏洩が生じた場合は、企業としての社会的信用を失うことになりかねず、ケースによっては損害賠償に発展することになりかねません。そのため企業には適正管理が求められます。

 

2)マイナンバーの管理の具体的な内容

企業が、どうマイナンバー管理を行うかについてその内容を確認しましょう。

 

●取扱規程の作成

 

第一にマイナンバーの取扱に関する社内規程の整備が必要です。法律に則った対応を行うとともに、従業員の情報を不正利用などによる被害から守るために、企業はその取扱に関するルールを定めるようにしましょう。

 

「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」には、以下のような内容が社内規程に盛り込まれるのが望ましいとされています。

 

  • マイナンバーの取扱いに関する基本方針
  • マイナンバーの利用目的及び範囲
  • マイナンバーの提供先及び提供方法
  • マイナンバーの保管方法及び安全管理措置
  • マイナンバーの閲覧、訂正、削除等に関する手続
  • マイナンバーの漏えい等事案が発生した場合の対応

 

●取得・収集

 

マイナンバーを利用した各種の手続を行うには従業員等からその情報を入手しなければなりません。

 

まず、マイナンバーが必要となる理由やその利用目的を従業員に通知・公表して、彼らやその扶養家族のほか、税理士等の個人取引先、株主などからマイナンバーを取得していきす。

 

●番号・身元確認

 

企業は、各従業員に対して人違いやなりすましを避けるため、必ず「番号確認」と「身元確認」をして本人確認をしなければなりません。マイナンバーカードを保有している人はマイナンバーカードだけで、保有していない人は通知カードと運転免許証等の顔写真つき証明書で確認します。

 

●利用・提供

 

マイナンバーの利用は、「社会保障」「税」「災害対策」の範囲においてのみ利用できると法で定められています。収集する際には従業員本人にその利用目的を提示する義務があり、企業はそれ以外の目的でマイナンバーを利用してはいけません。

 

●保管・廃棄

 

マイナンバーの保管に関しては、番号法20条により、他人の個人番号を含む特定個人情報の保管が禁止されています。ただし、個人番号は、番号法で限定的に明記された事務を行う必要がある場合に限り、特定個人情報を保管し続けることが可能です。

 

それらの事務を処理する必要がなくなった場合で、所管法令において定められている保存期間を経過した際には、個人番号を可能な限り迅速に廃棄または削除しなければなりません。

 

なお、マイナンバーの書類管理を行っている場合は、「シュレッダーにかける」「溶解処理をする」などにより廃棄しましょう。

 

●安全管理措置

 

企業には、個人番号の収集から廃棄まで、一貫して特定個人情報の漏洩、減失、棄損を防ぐ義務があります。「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」(「特定個人情報に関する安全管理措置」)では、企業が行う個人番号の安全管理措置は以下の4つです。

 

・人的安全管理措置

この措置は、事業者が特定個人情報等の適正な取扱をするための対応になります。具体的には以下のような内容です。

 

A 事務取扱担当者の監督

事業者は、特定個人情報等が取扱規程等に基づいて適正に実施されるように、事務取扱担当者に対して必要かつ適切な監督を行わねばなりません。

 

B 事務取扱担当者の教育

事業者は、事務取扱担当者に対して、特定個人情報等の適正な取扱を周知徹底するように要求し、そのための適切な教育を実施する必要があります。

 

・組織的安全管理措置

この措置は、安全管理措置を講ずるための組織体制を整備するものです。具体的には以下のような対応になります。

 

  • 事務での責任者の設置及び責任の明確化
  • 事務取扱担当者の明確化及びその役割の明確化
  • 特定個人情報等の範囲の明確化
  • 担当者が取扱規程等に違反した場合の報告等の体制
  • 漏洩等が発生する場合などの従業者から責任者等への報告連絡体制
  • 特定個人情報等を複数部署で取り扱う場合の各部署の任務分担や責任の明確化

 

・物理的安全管理措置

この措置は、事業者が特定個人情報等を適正に取り扱うために、次のような物理的安全管理措置を行う、というものです。

 

  • A 特定個人情報等を取り扱う区域の管理
  • B 機器及び電子媒体等の盗難等の防止
  • C 電子媒体等の取扱における漏えい等の防止
  • D 個人番号の削除、機器及び電子媒体等の廃棄

 

・技術的安全管理措置

この措置は、事業者が特定個人情報等の適正な取扱を行うために、以下のような技術的安全管理措置を講じる、という内容になります。

 

  • A アクセス制御
  • B アクセス者の識別と認証
  • C 外部からの不正アクセス等の防止
  • D 漏えい等の防止

 

 

 2-2 マイナンバーカードに対する企業の取扱

 

企業は、従業員にマイナンバーの提示を求めることになりますが、その際の提出方法の一つとしてマイナンバーカードの提出を要求するケースは少なくないでしょう。

 

また、口座開設などビジネスにおいて顧客に本人確認を求める場合に、その窓口業務で顧客に対してマイナンバーカードの提出を求めるケースが増える可能性もあります。そのためマイナンバーカードについても企業は以下のような対応が必要です。

 

(1)マイナンバーカードを受け取った場合、迅速にそれを確認し、予め決めておいた保管場所で保管します。

 

(2)マイナンバーカードを使用する際には、破損・汚損・紛失しないように丁寧に取り扱うように注意しなければなりません。万が一、紛失した場合は速やかに届出します。

 

なお、マイナンバーカードは、ICチップとアンテナなどの電子部品を内蔵した精密機器であるため、以下のような取扱が必要です。

 

  • ・高温注意
    高温下での保管や放置を避ける
  • ・物理的な力に注意
    落下、洗濯(衣類に入れたままでの洗濯)、局所的な荷重を避ける
  • ・薬品や液体に注意
    水や各種の液体に濡れるなどを避ける
  • ・可塑剤入りケースの保管に注意
    可塑剤入りのプラスチックケースにカードを長期保管することを避ける(カードが変形しやすくなる)

 

(3)マイナンバーカードを不正に利用されないように、適切な管理が必要です。マイナンバーカードの情報の不正閲覧、不正な改ざん、不正漏洩、不正な破壊などが行われないように、適切なセキュリティ対策を講じなければなりません。

 

マイナンバーカード自体には高度なセキュリティ対策が講じられていますが、それを取り扱う企業側(その担当者等)にもその適正な対応が求められます。具体的には上記で確認したようなマイナンバーに関する管理に準じて行うことが重要です。

 

 

 2-3 マイナンバーカードを活用したビジネス展開

 

企業がマイナンバーカードを活用して、どのようなビジネスが展開できるか、を簡単に説明しましょう。

 

1)ビジネス活用の主な領域

マイナンバーカードのICチップ内には、「公的個人認証AP」など4つのアプリケーションがあるほか、市町村等の行政機関が独自サービスを行うための「空き領域」が用意されています。

 

ビジネス用途では「公的個人認証A P」と「空き領域」に関連した事業展開が可能です。公的個人認証APは電子証明書の利用に関係するもので、行政機関等(e-Tax、マイナポータル、コンビニ交付等)のほか、内閣総理大臣及び総務大臣が認める民間事業者も活用できます。

 

民間事業者において、住宅ローンの契約手続や証券口座開設等の際に、公的個人認証サービスの活用が進められています。その大臣認定の民間事業者はそれほど多くないですが、彼らを利用する事業者はサービスを提供することが可能です。

 

また、ICチップの空き領域にカードアプリケーション(「カードAP」)を搭載すれば、顧客向けの様々なサービスに利用できます。

 

なお、そのカードAPを搭載するシステム及び情報を読み書きするソフトウェアは、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から提供されています。そのため企業側が個別にカードAPを搭載するシステムを用意しなくて済むため、導入及び運用コストの負担は小さいです。

 

カードAPを搭載すれば、マイナンバーカード1枚で様々なサービスの提供ができるようになります。

 

2)公的個人認証サービス

以下のような活用が進められています。

 

●新規証券口座の開設時におけるマイナンバー取得及び本人確認

 

2016年1月から所得税法等に基づき、新規顧客又は住所変更等を行う既存顧客に関しては、個人番号の収集が義務化されているため、犯罪収益移転防止法の特定事業者にあたる証券金融業では厳格な本人確認が必要であり、これにマイナンバーカードの公的個人認証が利用されています。

 

たとえば、GMOグローバルサイン社がプラットフォーム事業者となって、GMOクリック証券がサービス提供事業者として利用しています。

 

各根拠法に準拠しつつ、業務の効率化及び顧客利便性の向上を目指し、GMOグローバルサインの公的個人認証サービスを利用した本人確認サービスが利用されているのです。公的個人認証サービスを利用することで、郵送や追加の本人確認書類が不要となり、オンライン完結と即時取引開始が実現されています。

 

●自販機での年齢確認

 

身近な利用例としては、タバコやお酒の自動販売機を利用する際の年齢確認などでの利用が進められつつあり、それに対応する機器の開発も見られるようになりました。

 

●住宅ローン契約手続の電子化サービス

 

従来からの住宅ローンの契約方法は、住宅ローンの契約手続にあたり、契約書紙面への記入や実印の押印、収入印紙の貼付などを銀行窓口等で行う必要があり、契約者にとって手続は手間がかかるものでした。

 

しかし、公的個人認証サービスを利用することでその手間が解消されます。たとえば、凸版印刷社が提供する「住宅ローン等の金銭消費貸借契約を電子的に行うことが可能なプラットフォームサービス」を自社のサービスで利用すれば、顧客(契約者)は自宅のパソコンからペーパーレスで住宅ローン契約手続ができるようになるのです。

 

その結果、契約者は「自宅のパソコンで手続が完結でき銀行への来店の不要となる」、「ペーパーレスのため、収入印紙の貼付や実印の押印などが不要となる」などのメリットが得られるようになります。

 

●資金移動に関する犯収法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)に基づいた取引時確認

 

犯収法の対象となる金融機関等においては、取引相手の本人特定事項等を確認する必要があります。たとえば、決済時に連携する銀行口座を登録する場合などで本人確認が必要です。

 

従来では、その際に本人確認書類として撮影による本人確認が行われていましたが、公的個人認証サービスによる本人確認が可能となり、より確実でスピーディーな本人確認が実現できるようになっています。

 

犯罪の防止や発見のためには、従来の本人確認は不可欠ですが、犯罪にかかわらない真っ当な人にとっては手間のかかるものでした。しかし、マイナンバーカードの利用により、その負担が軽減されるようになったのです。

 

なお、犯収法は金融機関だけでなく貴金属・宝石などを扱う事業者も対象であるため、これらの業種においてもマイナンバーカードを利用した本人確認が進む可能性もあるでしょう。

 

●その他

 

・非対面でのHPKI(医師資格証)カードの申請

 

従来、HPKIカードを申請する場合、医師が住民票の写しや身分証のコピーなどを郵送して申請する方法がとられていましたが、書類の準備や確認・郵送にかかる手間やコストがかかり、申請者の負担は小さくありませんでした。

 

しかし、現在ではマイナンバーカードを使ったオンライン申請を選べるようになっています。オンライン申請の場合、添付書類の郵送が省略できるため、申請者の手間が軽減されます。

 

・従業員の給与管理におけるマイナンバー取得や本人確認

 

従来、従業員の給与管理でマイナンバーを取得する場合、紙媒体でマイナンバーの提出を受けるのが一般的でしたが、公的個人認証サービスを活用すれば、従業員からオンラインでマイナンバーの提出が受けられようになります。

 

情報漏洩などを防止できるほか、マイナンバーをより適正に管理でき、従業員や業務での手間の軽減が期待できるでしょう。

 

・「ふるさと納税e-Tax連携サービス」

 

このサービスは、各自治体等から電子的に交付された、ふるさと納税の寄附金受領証明書の電子データを、マイナポータルを通じてe-Taxにデータ連携するものです。

 

これにより、e-Taxにおけるふるさと納税の寄附金控除額の集計が簡単になり、紙の寄附金受領証明書が不要となるというペーパーレス化が実現できます。

 

3)カードAP搭載システムを利用したサービス

マイナンバーカードの多目的利用サービスの推進ツールとして、地方公共団体情報システム機構から、国、都道府県、市区町村、民間事業者等へ、マイナンバーカードアプリケーション搭載システム(カードAP搭載システム)が提供されています。

 

カードAP搭載システムを導入すれば、マイナンバーカードの拡張利用領域を通じた多目的利用サービスを安価かつ容易に提供することが可能です。なお、市区町村では「地域住民向け領域」(条例利用サービスで)を、民間事業者は「拡張利用領域」を利用できます。

 

●空き領域の活用によるメリット

 

事業者等は空き領域を活用することで以下のようなメリットが享受できます。

 

  • ・マイナンバーカードを使用するため新規のカードを作成しなくて済むためそのコストが削減できる
  • ・カードの有効期限が10年間で長期の継続利用ができ、頻繁な更新の手間がかからない
  • ・国際規格に準拠しており、セキュリティの高いマイナンバーカードの利用ができる
  • ・経費を抑えやすく、使い勝手の良いクラウドも利用可能である
  • ・利用者は複数のサービスをマイナンバーカード1枚に集約でき、複数のカードを保有・持参するなどの負担が軽減できる

 

空き領域の活用により、マイナンバーカードを利用したサービスを提供する事業者側の導入・運用・管理等のコスト負担が軽減されるほか、サービス利用者の利便性も向上します。

 

●空き領域の活用例

 

以下のような活用が挙げられるでしょう。

 

・リソース貸出管理

 

「リソース貸出管理」とは、マイナンバーカードを利用して、図書館や施設などにおいてその貸出物の管理を行うことです。マイナンバーカードには個人番号が記録されており、これを利用することで、貸出物の管理がより正確かつ迅速に行うことが可能です。

 

・入退出管理

 

「入退出管理」とはマイナンバーカードを利用して、事務所や学校施設等のほかその重要エリアなどにおける入退出の管理を指します。事業者が提供するこの入退出管理システムでは、不正入室や供連れの防止、重要エリアへの1人入出の防止、など多様な機能が搭載され、勤怠管理システムなどの各種システムとの連携も実現されています。

 

・施設利用電子チケット

 

「施設利用電子チケット」とは、マイナンバーカードを活用して、チケットの購入時と施設への入場時に本人確認を行い、各々の手続の負担を軽減するとともに第三者へのチケットの高額転売の防止に利用する方法です。チケット販売にマイナンバーカードが使用できるか、その実証実験が行われています。

 

利用方法は、マイナンバーカードの電子証明書に対応できる電子チケットのアプリをスマホにインストールして、事前に購入者本人であることをアプリ内で確認するといった内容になるでしょう。その方法を利用すれば、コンサート会場等の入場時における本人確認で免許証等を提示しなくても入場できます。

 

・社員認証を必要とする社員証利用

 

この利用は、企業においては入館する際、業務用のPCや複合機などを利用する場合に社員証で認証するという方法が取られるケースは多いですが、これらのシステムにマイナンバーカードを利用するという方法です。

 

「セキュリティールームへの入室権限の認証・許可」や「個人情報を取り扱う端末の利用権限の認証・許可」などの実証実験が行われています。こうした検証を踏まえて、同様のシステムを提供するサービスが増えていく可能性は高いでしょう。

 

・スマートフォンアプリによる利用の拡大

 

スマートフォンアプリを利用して事前にマイナンバーカード情報を読み取っておき、セルフレジの店舗決済時にマイナンバーカードを使用せずに事前登録したスマートフォンアプリをかざして年齢認証を実施して決済する、といった利用が検討されています。

 

施設利用電子チケットでの利用でも見られましたが、マイナンバーカードとスマホを使った利用方法が増える可能性は低くないでしょう。無人店舗や省人化店舗等の導入にこれらの方法が役に立つはずです。

 

・ワンカード化の促進

 

マイナンバーカードと健康保険証との一体化や図書館の利用カードの代用等が進められており、運転免許証との一体化の検討も始まっています。さらに、教員免許証や医師免許証などの公的資格の情報の搭載、資格試験などの受験票としての利用なども考えられているのです。

 

また、行政機関だけでなく、民間での利用も進められており、デビッドカード、クレジットカード、キャッシュカード、ポイントカード、診察券や社員証としての利用も検討されており、実用化する日もさほど遠くないでしょう。

 

 

3 マイナンバーカードを活用したビジネス例

マイナンバーカードを活用したビジネス例

 

ここでは実際にビジネスで使用されているマイナンバーカードの活用例を紹介します。

 

 

 3-1 「マイナンバーカード署名」サービス

弁護士ドットコム株式会社

(引用:弁護士ドットコム株式会社公式HP)

 

●企業

 

弁護士ドットコム株式会社(東京都)

 

●事業概要

 

本事業は、同社が提供する契約マネジメントプラットフォーム「クラウドサイン」において、電子契約サービスとしては日本で初めて、マイナンバーカードに搭載された電子証明書で署名できる「マイナンバーカード署名」機能を提供するものです。

 

●事業の特徴

 

「マイナンバーカード署名」機能は、マイナンバーカードに搭載された電子証明書を利用して、文書へ電子署名を付与する仕組を指します。

 

クラウドサイン上で文書を作成・送信後、契約の受信者はマイナンバーカードをスマホにかざして、パスワードを入力すればその文書に電子署名が付与されるのです。

 

このサービスを利用すれば、利用者は電子署名を簡単に利用できるだけではなく、なりすましや、改ざん等に対して、非常に高いセキュリティ対策を取ることができます。また、署名した結果をクラウドサイン上で確認することも可能です。

 

高額な商品の売買契約や賃貸借契約、金銭消費貸借契約など、より確実な本人確認が必要な契約のほか、商慣習上実印を利用している契約などでの利用が期待されています。

 

●将来性

 

ビジネスの様々な分野においてデジタル化が進みつつありますが、事業者同士や消費者等との契約などにおいてもその傾向は同じです。マイナンバーカード署名により契約が大幅に時間短縮され、コストの低減も期待できることから今後の利用拡大は進んで行くでしょう。

 

 

 3-2 マイナンバーカードを活用した本人確認サービス

株式会社NTTデータ

(引用:株式会社NTTデータ公式HP)

 

●企業

 

株式会社NTTデータ(東京都)

 

●事業概要

 

BizPICO」事業は、マイナンバーカードに格納されている公的個人認証アプリケーションを活用して、「確実な本人確認」や「証跡データの保管」などを備えたクラウドサービスを提供しています。

 

本サービスの用途としては、金融機関、携帯電話事業、医療分野、小売、エンターテイメントなど、幅広い業界での利用が期待されているのです。

 

●事業の特徴

 

BizPICOには主に4つの機能があり、多様なビジネス用途に対応できます。

 

・本人確認機能

BizPICOは公的個人認証アプリケーションを利用した本人確認を採用しており、個人番号カードに含まれる署名用電子証明書を利用して、対面、非対面どちらの場面でも、オンラインでの確実な本人確認が可能です。

 

スマホ決済サービスへ登録する場合などに、マイナンバーカードをかざすことで利用者本人の銀行口座への認証が行えます。

 

・利用者認証機能

個人番号カード内の利用者証明用電子証明書を利用して、利用者本人であることの認証が可能です。コールセンターなどの共用パソコンを使用する場合における本人認証の手段として、マイナンバーカードを利用した認証が可能になります。

 

・証跡データ保管機能

同システムでは、本人確認を実施した結果(署名用電子証明書や利用者証明用電子証明書により)を、電子署名が付された申込書等の原本文書と合わせ、証跡(規定・システム等に従った「証拠となる痕跡」)として安全に保管することが可能です。また、この証跡はいつでも参照できます。

 

・証明書失効通知管理機能

この機能は、保管している署名用電子証明書、利用者証明用電子証明書について、公的個人認証サービスに失効の有無を確認し(問合せ)、有効性が認められない際に通知する、というものです。

 

たとえば、保険会社の現況届のように契約者へ定期的に郵便物で行っていた確認作業も、この証跡データ保管機能と証明書失効通知管理機能の活用により不要になります。上記の証明書を利用して情報を参照することでそれを確認できるようになるのです。

 

●将来性

 

BizPICOの利用シーンが下図のように想定されています。インターネットを中心としてモノ・サービスのやり取りを行うデジタル社会においては、迅速性・低コスト・安全性がより重視されるため、同社のサービスは多様な分野で拡大することが期待されます。

 

BizPICOの利用シーン

同社コーポレートサイトより

 

 

 3-3 ふるさと納税におけるオンラインワンストップ特例申請

株式会社シフトセブンコンサルティング

(引用:株式会社シフトセブンコンサルティング公式HP)

 

●企業

 

株式会社シフトセブンコンサルティング(福岡県福岡市)

 

●事業概要

 

当該事業は、ふるさと納税における寄付者からのワンストップ特例申請に関する書類提出を一切不要とする「完全オンライン申請サービス」です。

*ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税をした後に確定申告をしなくても寄付金控除が受けられる仕組を指します。なお、通常の申請では、本人確認書類等の郵送が必要です。

 

●事業の特徴

 

このサービスでは、「マイナポータル」アプリとマイナンバーカードの公的個人認証サービス(JPKI)を利用して、オンラインで本人確認が実施されます。手続がすべてオンラインで処理・完結され、即時の申請利用が可能となるのです。

 

公的個人認証サービスを利用することで、ふるさと納税における「ワンストップ特例申請」の申請書郵送や、添付資料として必須であるマイナンバーカードのコピー、住民票などの本人確認書類を利用者が送付する必要がなくなります。

 

このことは、オンライン申込における「なりすまし」や改ざんを防止することに役立つほか、寄附者だけでなく、申請を受け付ける地方公共団体においても業務負荷が軽減されるというメリットを享受できるのです。

 

他の特徴として、「複数の地方公共団体へ寄附した場合でも1回のオンライン申請で完結できる」「完全オンラインなので締切間際の寄附でも申請しやすい」「住所変更もオンラインで全団体へ一括変更できる」などが挙げられます。

 

●将来性

 

同サービスは「ふるさと納税のオンライン申込」に対応するもので、利用用途は限定されます。しかし、行政サービス全般においては、マイナンバーカードのコピーや住民票などの本人確認書類を求めるケースは多いです。今後の施策において類似のサービスが求められる可能性は小さくないでしょう。

 

 

 3-4 マイナンバーカード年齢識別装置

株式会社松村エンジニアリング

(引用:株式会社松村エンジニアリング公式HP)

 

●企業

 

株式会社松村エンジニアリング(東京都)

 

●事業概要

 

同社の製品は、運転免許証やマイナンバーカードの生年月日を読み取って、20歳以上か20歳未満かを判定する年齢識別装置です。タバコ自動販売機やアルコール自動販売機に備え付けて、商品を販売する際に必要な年齢確認ができます。

 

●事業の特徴

 

同社の「運転免許証・マイナンバーカード年齢識別装置EXC-2500ZYM」は、 タバコ自動販売機の年齢識別装置として財務省から事実認定された製品です。装置にカードを挿入後、約1秒で年齢が高速判定され、カードの排出までは約3.5秒で済みます。

 

タバコ自動販売機の年齢識別義務化が施行されたことにより、売上が減少した小売店等が少なくないですが、同社のような年齢識別装置を設置することで売上が回復している店舗も少なくありません。

 

なお、同社の製品はICカード方式の年齢識別装置が設置されている自動販売機に対しても取り付け可能です。そのため同製品の取り付け後も、ICカード方式の年齢識別装置も併用でます。また、タバコ自動販売機だけでなく缶飲料自動販売機への設置も可能であるため、酒類販売での年齢確認にも対応できます。

 

個人情報の漏洩が気になるところですが、情報の読み取りは生年月日だけであり、他の個人情報が読み取られる心配はありません。

 

●将来性

 

今まで自販機での年齢確認は運転免許証や特定のICカードで行うケースが一般的ですが、それらを持たない消費者にとってはタバコ等の購入が不便になっていました。しかし、マイナンバーカードによる年齢識別で商品を手軽に購入できるようになります。

 

今後はマイナンバーカードを直接的に使用せずに(カードを機器に挿入しないで)事前登録したスマートフォンアプリを利用して年齢認証を行う方式が増えていくでしょう。

 

 

4 会社設立等でマイナンバー・マイナンバーカードを有効活用するポイント

会社設立等でマイナンバー・マイナンバーカードを有効活用するポイント

 

会社設立時やその後の経営でマイナンバーやマイナンバーカードを活用するための重要ポイントを説明しましょう。

 

 

 4-1 マイナンバーカードを利用した会社設立手続

 

株式会社などを設立する場合、法務局で「法人設立登記」を行う必要があり、「会社概要(基本事項)の決定」、「法人用実印の作成」、「定款の作成及び認証」、「出資金の支払い」、「登記申請書類の作成及び法務局での申請」などの作業・手続を行わねばなりません。

 

定款認証や登記申請などの手続では、申請者がその機関等に行ったり、関係書類を郵送したりする行為を伴うため時間がかかり面倒ですが、マイナンバーカードによりオンライン申請が可能となりました。

 

マイナンバーカードによる電子証明書を用いた電子署名を行うオンライン申請の場合、一部の添付書類の提出が不要になることもあり、設立時の多忙な時期における時間短縮や手続の負担軽減が図れます。

 

なお、オンライン申請する場合、「法人設立ワンストップサービス」(デジタル庁)を利用すると便利です。

 

 

 4-2 社内規定の策定による法令対応

 

企業は従業員の雇用に伴い彼らの個人番号を適切に管理・保管し、税金や社会保険などの手続を適正に実施なければならないため、その扱いに関する社内規定を定め適正に運用しなければなりません。

 

企業は従業員に関する税金の徴収・納税、雇用保険・健康保険・年金保険の徴収・支払などの手続を行う際に、従業員の個人番号を確認し利用することになります。重要な個人情報を扱うことになるため社内規定を整備する必要があるのです。

 

通常、その社内規定は、「取扱に関する基本方針」、「利用目的及び範囲」、「提供先及び提供方法」、「保管方法及び安全管理措置」、「閲覧、訂正、削除等に関する手続」、「漏えい等の事案が発生した場合の対応」などの内容で作成されます。

 

作成後はその内容を全従業員に周知するとともに、個人番号を扱う部署及びその職員には適正な運用が行われるように指導しなければなりません。

 

 

 4-3 マイナンバーカードを活用したビジネスの構想

 

マイナンバーカードには新たなビジネスを創出させる可能性が多く含まれるため、その特徴や機能などを自社の事業に取り込む発想も求められます。

 

マイナンバーカードを活用したビジネスとしては、「本人確認サービスの提供」、「電子署名サービスの提供」、「オンライン申請サービスの提供」、「顧客管理システムの構築」、「決済サービスの提供」などが挙げられます。

 

そして、こうした分野でのビジネスモデルの中核システムとして検討することは有効でしょう。また、多様な業種におけるビジネスの仕組の一機能などとして採用するのもよいです。たとえば、以下のような事業でのサービス提供等が期待できます。

 

●クレジットカード事業

 

・カード申込時の本人確認書類としての利用

・クレジットカードの代用品としての利用(マイナンバーカードとクレジットカードとの紐付けでキャッシュレス決済の代用)

 

●金融事業

 

・銀行等の口座開設時の本人確認書類としての利用

・インターネットバンキングのセキュリティトークン(コンピュータシステムの利用者認証のために用いる機械やソフトウェア)としての利用

・キャッシュカードの代用

 

●保険事業

 

・保険申込時の本人確認書類としての利用

・私的年金支払い時の現況確認手段としての利用

 

●証券事業

 

・証券口座開設時の本人確認書類としての利用

・オンライントレードのセキュリティトークンとしての利用

 

●携帯電話事業

 

・携帯電話申込時の本人確認書類としての利用

・コンテンツ利用時のセキュリティトークンとしての利用

 

●医療事業

 

・健康保険証の代用

・おくすり手帳の代用

 

●コンビニ事業

 

・公的・民間サービスを利用する時の本人確認書類としての利用

・チケットの代用

 

●エンターテインメント事業

 

・チケット購入時の本人確認書類としての利用

・チケットの代用

 

●ECサイト事業

 

・商品購入時のセキュリティトークンとしての利用(キャッシュレス決済での活用)

 

●小売事業等

 

・デジタルクーポンやポイントの配布での利用

 

以上はサービス利用者にとっては利便性が高く、サービス提供者にとってはコスト削減・競争力優位にも繋がるため、ビジネスでの利用価値は益々高くなるでしょう。

 

 

5 まとめ

会社設立時の個人番号やマイナンバーカードへの対応と活用

 

国内ではデジタル社会への動きが強まっており、行政サービスやビジネスでのやり取りはインターネット経由が当たり前になってきました。オンラインによるやり取りにおいては、本人確認と本人認証が重要ですが、それらを手軽に実行できる仕組にマイナンバーカードは有効です。

 

今後のビジネスではマイナンバーカードの活用が益々進むと考えられるため、これを機会に自社のビジネスにマイナンバーカードの利用を組み込み、顧客への利便性等の提供と他社との差別化を実現できるモデルやシステムを検討してみてください。


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