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リーダーが企業の運命を決める?起業・会社設立から大企業になるまでに必要なリーダーシップとは

起業や会社を設立する際に経営者として何が重要になるだろうかと悩む方もおられるのではないでしょうか。経営者に求められる資質や能力は多岐にわたりますが、その中で最も重要な1つがリーダーシップです。今回は経営のカギとなる組織を引っ張るスキルである「リーダーシップ」を取り上げます。

 

そこでこの記事では、ビジネスでのリーダーシップの特徴、そのタイプ、必要な理由、リーダーシップが発揮されない場合の問題、起業時・会社設立時・事業拡大時でのとり方、非常事態でのあり方や注意点などについて解説していきます。

 

経営者に必要な能力を知りたい方、リーダーシップのあり方を学習したい方、組織の状態に合わせたリーダーシップをとって行きたい方などは是非参考にしてください。

 

 

1 ビジネスでのリーダーシップとは

ビジネスでのリーダーシップとは

 

ここでは仕事上のリーダーシップの特徴、タイプや役割などを説明していきましょう。

 

 

1-1 経営者の能力とリーダーシップ

まず、経営者が必要とする能力を紹介しつつ、リーダーシップの基本的な内容や種類などを解説します。

 

①経営者の能力とは

起業家が事業を起こして会社を設立し規模の大きな企業へと発展させていくためには、経営者としての様々な能力を身につけ実践しなければなりません。その経営者に求められる能力は、誠実さ、信用、情熱、リーダーシップなど多くあり、修得するのは容易ではないものの、本人の意識や努力次第で後天的に向上させることは可能です。

 

資質や性格などの影響の大きいスキルでも、どのような考えや行動をとるか、どのようなレベルを目指すかという点を明らかにして取り組めば向上させることは不可能ではありません。

 

他方、財務分析、資金調達やマネジメントなどは経営学等において知識・スキルとして習得できる方法も多く学習すれば身につけるのはさほど困難ではないでしょう。

 

もちろんすべての能力をはじめから合格点レベルで保有する必要はなく企業の成長などに合わせて少しずつでも身につけることが重要です。

 

②リーダーシップの位置づけ

ではリーダーシップという能力がどのように経営者に認識されているか紹介しましょう。

 

1)「起業家になるための資質・能力」

 

2019年度版中小企業白書の第2部第2章第2節の「3 起業家になるための課題」の中で「起業家になるための資質・能力」が取り上げられています。下図の第2-2-36図は、「起業準備者が経営者になるために必要だと思う資質・能力、および資質・能力を身に着けるための取組状況」についての調査結果です。

 

回答者の割合の順位では「事業に関する専門知識やスキル」、「事業に関する実務経験」、「人脈をつくる能力」と続き、「リーダーシップ」が上位4番目に位置しています。

 

起業時によく挙げられる課題には、資金、取引先と人材の面のほか、上記のように事業の専門知識・経営知識や実務経験などが多いです。リーダーシップはそれらと同様にその必要性が高く認識されています。

 

第2-2-36図

 

2)「ビジネスパーソンに求められる要素」

 

株式会社ラーニングエージェンシーが2020年9月23日~10月12日に実施した「激動の2020年、経営者100人に緊急アンケート」の結果によると、経営者自身の仕事に欠かせない知識・スキルとして、「リーダーシップ」が1位となっています。

 

この調査は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って企業の事業環境や従業員の働き方が大きく変化する中で実施されたものであり、その結果からビジネスパーソンに要求される能力等の変化が確認できるのです。

 

その中で、「経営者自身の仕事に欠かせない知識・スキル」の問いに関する回答として、以下のような項目が上位に挙げられました。

 

1位:リーダーシップ 53.0%
2位:コミュニケーション力 44.0%
3位:マーケティング 38.0%
4位:人材マネジメント 34.0%
5位:営業 27.0%

 

また、「今後、世の中の幹部に求められる姿勢・態度」についての質問では、その回答の1位は「実行力」で、以下「責任感」「先見性」「後進を育成する力」「決断力」といった項目が上位に挙げられています。

 

こうした項目もリーダーシップと関わりの深い要素と言えるでしょう。コロナ禍という経営環境が大きく変化している非常事態の中で、経営者や幹部には企業を導く能力が特に求められているのではないでしょうか。

 

③リーダーシップの定義

リーダーシップの定義や考え方については多くの学者やビジネスマンなどが行っておりその捉え方は様々です。そのためここでは便宜上、経営者などのリーダーが特に重視しておくべき内容や要素やなどを中心にリーダーシップの定義を紹介します。

 

●リーダーシップ

 

リーダーシップ「leadership」は「指導」「統率」などと訳されており、指導力や統率力と表現されることも多いです。ビジネスでのリーダーシップは、企業の従業員(組織構成員)に対して考えや行動を促す指導や統率を指すと考えてよいでしょう。

 

ビジネスを前提とするため、リーダーシップのあり方は企業の目的・目標と合致するものであることが必須です。従って、リーダーシップは、ビジョン・目的とその具体的な目標を従業員に示し、その達成に向けた考えと行動を促し最大のパフォーマンスを実現させる能力と言えます。

 

組織論などで有名な実務家のバーナードはリーダーシップについて「信念を作り出すことによって協働的な個人的意思決定を鼓舞するような力」と定義しています。

 

上記の「信念」は、「共通理解の信念、成功するだろうという信念、個人的動機が結局満たされるという信念、客観的権威が確立しているという信念、組織に参加する個人の目的よりも共通目的のほうが優先するという信念」のことです。

 

つまり、リーダーの役割は、部下に企業の共通目的を理解・認識させ自律的にそれを達成しようとする信念を生み出し協働的行動をとらせるように影響することと言えます。

 

また、経営学者のピーター・ドラッカーもリーダーシップについて定義していますが、その中に上記の内容にも関連する以下のような点を指摘しているのです。

 

  • ・組織の目標や優先順位、基準を定めて維持できるように組織を導く
  • ・リーダーは責任を負い、部下を励まして前進させ、それを自らの誇りとする
  • ・リーダーは部下から信頼され、彼ら自身が付き従いたくなるような行動をとる

 

単に目標を定めて部下に実行させるための取り組みをするということであるなら「マネジメント」ということになるでしょう。しかし、リーダーシップはその取り組みの中で部下を励ましやる気にさせる、自ら手本を示す、困難に挑戦する、そんな姿を見せてその考えや行動に付き従いさせたくさせるのです。

 

加えて指示したことや任せたことなどに対してリーダーが責任を負うことで部下の信頼を勝ち取り彼らをモチベーションの高い行動へと導くのがリーダーシップという能力と言えるでしょう。

 

 

1-2 リーダーシップのタイプ

ここではリーダーシップのタイプ(スタイル)について紹介します。リーダーシップの取り方は一様ではなく、企業やリーダーの状況によっても異なるため、様々なタイプを認識しておくことが経営上有効です。

 

①レヴィンのリーダーシップ類型

リーダーシップのタイプに関する代表的な理論の1つに「行動類型論」(リーダーシップ行動論)があります。これはリーダーの個人の内面を対象としたものではなく、どのような行動をとるかというパターンに着目してタイプ化する考え方です。

 

そして、その代表的な理論の1つがレヴィン(アメリカの心理学者)のリーダーシップ類型論です。

 

レヴィンはアイオワ大学での実験をもとにリーダーシップのタイプを専制型・放任型・民主型の3つに分類し、民主型が作業の質、作業の意欲、有効な行動等の点で最も有効である、と結論づけました。

 

レヴィンのリーダーシップ類型

 

・専制型

 

このタイプの場合、組織(部下/集団)は消極的或いは受動的な存在で、命令しないと自ら動かず、行動の意思決定や作業手順はリーダーが下すといった形態になります。

 

従って、このタイプは組織が「未成熟で不安定集団」である場合や、「早急な意思決定が必要な状況」である場合などに有効です。

 

・放任型

 

このタイプの場合、組織がとる行動にリーダーは直接的な関与は行わず、その意思決定や作業手順は部下に任せ集団で実施させる形態になります。

 

放任型は、研究開発部門といった専門家集団などの組織を対象とする場合に有効です。

 

・民主型

 

このタイプの場合、リーダーの支援を受ける形で集団による話し合いで方針を決めて仕事を進める形態になります。従って、作業の要領や手順などは部下に委ねる形態です。

 

民主型は、通常の業務遂行で最も適したリーダーシップのタイプと考えられています。

 

このように行動類型論は、リーダーが取るべきリーダーシップにはいくつかのタイプがありその有効性は組織の状況や状態に依存する、という考え方です。

 

②リッカートのマネジメント・システム論(システム4理論)

行動科学者のリッカートは、組織について管理者の下でメンバーが相互作用する「システム」であると見なし、そのリーダーシップに関係した管理システムを4つのタイプで説明しています。

 

リッカートのマネジメント・システム論(システム4理論)

 

  • システム1:権威主義・専制型
  • システム2:温情・専制型
  • システム3:参画協調型
  • システム4:民主主義型

 

研究の結果:

 

・高い生産性を実現する組織では、リーダーが部下の人間的側面と目標指向的な作業チーム作りに努める「部下中心型」(関係性を重視するマネジメント)が行われる

 

・低い生産性の組織では、リーダーが常時生産性を高めようと圧力をかける「仕事中心型」(課題達成を重視するマネジメント)を実施する

 

研究では以上のケースが多いことが確認されました。そして、リッカートは民主主義型を採用している組織が最も高い業績を残すと指摘しています。なお、各システムの主な内容は以下の通りです。

 

・権威主義・専制型(徹底した業績・成果の重視=課題志向)

 

このタイプの場合、リーダーは権威主義的な管理方法を用い、部下を信頼しないほか意思決定に参加させません。また、部下は何とか生活できる報酬は得られるものの恐怖・脅迫・懲罰などを背景として仕事につく状態にあります。

 

従って、リーダーと部下における相互作用は期待できず、組織はトップによる強力なトップダウンで統制されるのです。このシステムは主にムチによって行動が促される形態であり、懲罰・脅迫などを回避することが部下の行動原理になります。

 

・温情・専制型(ほぼ課題志向で少し人間志向)

 

このタイプは基本的に権威主義・専制型と同類ですが、温情・専制型のほうが部下に対してやや優しく接します。リーダーは部下をある程度信用し優しさを示すものの恩着せがまし態度を伴うケースが多いです。

 

意思決定については、一定範囲が部下に任されるものの、多くはトップが行います。モチベーションアップの源泉は報酬・懲罰・罰などです。従って、リーダーと部下との間には一定の相互関係は存在するものの、信頼と呼べるものではなく部下はリーダーから恩着せがましさ、恐怖心と警戒心などを抱くことになります。

 

・参画協調型(課題志向と人間志向が同程度)

 

このタイプの場合、リーダーは部下をある程度信頼し組織全体の目標や方針などを除く各作業指示や個々の問題等については部下に任せます。つまり、一定の権限移譲が行われ、そのための双方向的なコミュニケーションが取られるのが特徴です。

 

モチベーションアップは報償などが中心ですが、ケースにより懲罰や参画の機会などが利用されます。

 

・民主主義型(人間志向中心)

 

このタイプの場合、リーダーは部下を全面的に信頼し、意思決定は組織全体で実施される形態です。組織全体(リーダーと部下、同僚間)でのコミュニケーションが取られることで全体の統制も行われます。

 

意思決定の場に部下も参画できるため、それが動機付けにもなります。このタイプでは、部下はムチで行動が強いられるのではなく意見が自由に言え、仕事の裁量もある程度確保できるため、それがやる気に繋がり成果に反映されると見られているのです。

 

以上のように組織や部下の状況に応じたリーダーシップのタイプが様々な研究者等により紹介されています。

 

 

1-3 リーダーシップの源泉

リーダーシップの発揮にはそれを可能とする力の源が必要であるため、リーダーはその内容を理解しておかねばなりません。

 

リーダーシップの源泉とは、部下に影響を与えるための「パワー」や「優位性」のことです。それらをリーダーがどう認識して活用するかで影響力が異なってきます。たとえば、命令や指示を受けて部下がどう従うか、どう影響されるかはリーダーが有するパワーや優位性によって異なってくるわけです。

 

心理学者のジョン・フレンチとバートラム・ラーベンは、このパワーを「社会的勢力」として示し説明しています。

 

リーダーシップの源泉

 

①強制的パワー

このパワーは、部下に圧力をかけたり罰則を与えたりして彼らに命令や指示に従わせる力のことです。つまり、この強制的パワーの源はリーダーからのペナルティーなどであり、それを背景とした不安や恐れが命令等を受入れさせます。

 

この源泉たるペナルティーに相当するものとしては、解雇、左遷、叱責、減給などです。「この仕事に失敗したら課長から主任に降格させる!」という指示などがこのパワーに該当します。

 

②専門的パワー

このパワーは、専門的な知識や高い技術の保有などを源泉をとして、それらを背景とした尊敬や信頼等を通じて部下に影響を与えられる勢力のことです。人は自分よりも優れた知識や技術を有する人の話を聞きそのやり方に従う傾向があり、部下はリーダーのその点を認識して命令・指示を素直に受けます。

 

新入社員がOJT(職場内訓練)などにおいて上司や先輩の指導を素直に受け入れ指示に従うのは、自分にはない知識やスキルを上司等が保有している点が大きいです。単に上司や先輩という点で従う面もありますが、専門的な要素が指示等の受入を後押しします。

 

③情報的パワー

情報的パワーは他者が欲するような情報を保有している、入手できることで生じる勢力です。自分が知りたい情報を持っていたり、入手出来たりする人は自分よりも優位な立場にあると認識して従うようになります。

 

たとえば、リーダーが自社の製品を多く売るための方法を知っている、売れる場所や顧客のタイプを知っている、などの販売に関する有益な情報を持っている場合、部下はその情報力に魅力を感じリーダーの言うことに従うようになるのです。

 

④合法的(正当性)パワー

合法的パワーとは、組織内で影響力を行使できる正当な権利を背景としたパワーのことです。組織内の役職や特定の地位などは特定の権力行使を公式に認められた存在であるため、その範囲において部下は命令・指示を受けざるを得ません。

 

このパワーは属人的なものではなく組織・集団がそのリーダーに与える公式のものであるため部下への強制力は絶大ですが、そのリーダーが役職・地位から外れればそのパワーは消失します。

 

⑤準拠的パワー

このパワーは「Referent Power」のことで日本語では「準拠勢力」として訳されることが多いです。部下がリーダーの個人的な魅力を感じたり、一体感を抱いたりする場合に生じる人間的な魅力等に基づくパワーと言えるでしょう。

 

たとえば、リーダーへの憧れや尊敬の念が部下にある場合、彼らはリーダーに積極的に従う傾向が見られます。ほかにも、優しい、面倒見がいい、気前がいい、親切に指導してくれる、気を配ってくれる、などの人間性の良さ、人徳の高さなどがこのパワーの源泉になり得るでしょう。

 

⑥報酬的パワー

報酬的パワーは、部下が求める報酬を背景に影響を与えるパワーのことです。この報酬とは、給与等の金銭的な利益のほか、昇進・昇格などの処遇なども含まれます。

 

労働者はこの報酬の質と量に対して最も動機付けられるため、最も利用しやすいパワーとなりますが、適切に使わないと逆にモチベーションダウンを招くことになるため注意が必要です。

 

 

2 リーダーシップのスキルとない場合の問題

リーダーシップのスキルとない場合の問題

 

ここではリーダーシップの主なスキルを紹介するとともに、そのスキルがない・実施されない場合の問題を説明しましょう。

 

 

2-1 目標・戦略の設定と仕事の明確化

企業組織は共通の目的を達成するための集団であるため、トップなどのリーダーは組織の目的とその実現に向けての目標を設定しなければなりません。そして、目標を効果的かつ効率的に達成するために部下が担う仕事を明確にしていくことが求められます。

 

企業の目的や目標は事業活動する上での前提条件であるため、リーダーは適切な目的およびその目標を設定しなければならないのです。加えてその目標等を達成するための道筋、すなわち戦略を描くことも求められます。

 

戦略の細かな内容は経営戦略として組織全体で策定していく必要がありますが、リーダーとしては戦略のベースとなる事業コンセプトなどのコアな部分を提示するべきでしょう。

 

目標に向けて誰をターゲットして、彼らのどのようなニーズに対して自社のどの資源をどう活用して捉えるのか、そしてライバルにどう打ち勝つのか、というコアな部分を示さなければなりません。そして、目標や戦略を元に事業内容を組み立てて、業務を明確にしていく必要があります。

 

もしこうした目的・目標と業務の内容が明確になっていなければ、部下は適切な行動をとることができず、ミスや失敗が多くなり目標の達成も困難になるのです。

 

 

2-2 ルールの設定と模範の実践

従業員や部下に仕事を割り振り遂行してもらう場合、業務内容やその遂行方法などの説明が必要であり、社内規定やマニュアルを作るほか訓練などの機会もリーダーが提供しなければなりません。つまり、組織を回す仕組み作りが必要です。

 

また、実際の業務ではマニュアル等だけでは対応できないことも多いため、リーダーが手本を示すことも欠かせません。難しい状況に対応するためのポイントやどういう行動をとると解決しやすくなるなどのコツを体現して導くことも求められます。

 

指示・命令だけで部下を動かすのではなく自ら行動して影響を与えるのがリーダーの仕事です。もしリーダーが指示する仕事についてリーダー自身がよくわかっていない、実行できないのであれば、部下もその業務を上手くできるはずがありません。

 

また、リーダーができない業務を部下に任せて関与しない態度をとれば、部下からの信頼を築くことはできず彼らのモチベーションは一気に下がるでしょう。困難なことにリーダーが率先して対応してこそ部下はリーダーを信頼しついていこうとするのです。

 

 

2-3 納得させる説明

リーダーは部下にやる気を起こさせるために仕事の内容や遂行方法について重要性や理由などを説明し納得させなくてはなりません。

 

ただし、マニュアル等を作って業務の仕方を部下に説明してもそれを的確に実施してくれればよいですが、実行してれくれないケースもあります。

 

マニュアルの内容やリーダーの説明では十分に理解できない、理解はできたが何故そうするか疑問がある、などの場合、部下は漫然と業務に従事するようになり好ましい結果が得にくくなるのです。

 

業務のパフォーマンス向上には担当者の取組姿勢が重要であり、そのためには彼らに向上心を高く抱かせるようにリーダーが業務の重要性や理由のほか、遂行法のコツなどを説明し納得させる必要があります。

 

特に困難な業務ほど、その仕事の意義、目標の根拠、遂行方法の妥当性や達成した場合の処遇などを説明し、部下がその仕事に一心不乱に取り組めるように納得させることが重要です。

 

 

2-4 協働する組織の構築

企業規模が大きくなるほど組織は大人数となり業務での協働が不可欠となるため、リーダーは協働が実現できる組織を構築しなければなりません。

 

事業が拡大し業務が多岐にわたれば多人数のグループで業務をこなすケースが増えるため、組織での協働は目標達成や効率性の点で重要です。もしその協働の水準が低ければ仕事のパフォーマンスも結果的に低いものにならざるを得ません。

 

そのためリーダーは各グループでの協働が得られる仕組みを作りそれを運営する必要があります。どういったルールを作れば互いに協力しあって効率的に業務が進められるのかを設計し整備していくことが重要です。

 

組織を作り組織を回すためのルール(規定集やマニュアル等)や各部門のリーダーなどを整え、円滑な協働が得られるようにマネジメントすることもリーダーシップとして求められます。

 

 

2-5 組織行動の統率

組織が目標に向かって一丸となって進み続けるためにはリーダーの統率力が欠かせません。企業や業務の状況は不変でないため困難な状況に陥り業務が停滞することも多いです。

 

通常の経営環境下ではマニュアル通りの業務運営で仕事が適切に回りますが、状況が変化すればマニュアル通りの対応で上手く処理できないケースも増えます。そうした場合、組織全体が不適切な行動をばらばらで行えば結果はさらに悪化しかねません。

 

このような混乱しそうな状況下で組織が足並みそろえて適切な行動をとれるように導くのがリーダーの大事な役割です。問題に関連した情報を多く集め分析し、合理的な判断のもとで組織が取るべき方策や行動を部下とともに示していくことがリーダーには求められます。

 

なお、方法としては、リーダーが自ら打開策を示して行動する、部下が状況を乗り越えられるための手助けを行う、など状況に応じた対応が重要です。

 

 

2-6 適切・迅速な意思決定

適切・迅速な意思決定

 

企業経営には多くの意思決定が連続して伴うため、リーダーは適切かつ迅速な意思決定ができなくてはなりません。

 

起業や会社設立の時期、人員の補充、事業の拡大、設備投資の増強、新規販売先との契約、福利厚生の充実、など経営者にはビジネスを展開する上で様々な意思決定に迫られます。しかし、こうした意思決定の判断を誤るとビジネス上のチャンスを失ったり、大きなリスクを背負ったりすることも多いです。

 

事業拡大のための設備投資の時期や規模について決心がつかず、拡大し始めた需要を取りこぼすといったケースがよく見られます。もちろん慎重に判断して投資を控えた方が結果的にリスクを回避できることもありますが、それは適切な分析・評価を起こった上での判断であらねばなりません。

 

リーダーには意思決定が求められる事項に対して多くの情報を客観的に分析・評価して迅速に決断することが求められています。

 

 

2-7 挑戦・イノベーションの誘発

前例や成功体験に囚われないで挑戦的な仕事に取り組み、イノベーションを起こさせる組織に醸成していくこともリーダーの重要な役割です。

 

リーダーの成功体験やその方法が組織の行動理念として反映されることは望ましいですが、過去のやり方に固執し改善や新たな取り組みを拒む組織風土になるのは好ましくありません。

 

こうした傾向が進むと新しいことに挑戦しない保守的すぎる組織になり、時代の流れに対応できない組織になる恐れが生じます。こうした組織ではイノベーションが期待できず、衰退を待つだけの存在になりかねません。

 

新型コロナ禍のような非常事態や、経営環境が一変するような科学の発展が起こる変化の激しい現代において、新しいことへ挑戦しない組織には成長や生き残りは困難になるだけです。

 

リーダーはこうした環境変化を乗り切り活用できるために、新しいことへ挑戦する、そのためのイノベーションを起こせる組織へと導いていかねばなりません。

 

 

2-8 良好なコミュニケーション

企業が円滑な組織行動を行うには組織全体での良好なコミュニケーションが不可欠となるため、リーダーにはその実現の責任があります。

 

リーダーが部下に仕事を指示する、自ら模範を示すといった場合にも彼らが理解し納得できるようなコミュニケーションが不可欠です。もし指示の内容等が曖昧になったりやる気を喪失させたりするような伝達になれば、業務は上手くいかず望ましい成果は得にくくなるでしょう。

 

また、コミュニケーションはリーダーと部下の間だけではなく、同じ職場、異なる部門間なども重要であり、風通しが悪いと結果的に仕事やその成果に影響してきます。

 

公式の伝達経路だけでなく、部門間の交流、職場ごとの会食やレクリエーションなど非公式なルートを設定することも重要です。また、リーダーが部下と話す機会を多く作る、部下と顔を合わせれば気軽に声をかけるといった配慮も求められます。

 

 

3 企業の成長段階とリーダーシップ

企業の成長段階とリーダーシップ

 

ここでは企業組織の成長に伴う状況に応じたリーダーシップの取り方を説明しましょう。なお、ここで示す組織の成長パターンはあくまで代表的な1形態であり、個々の企業に当てはまるとは限りません。

 

企業組織は事業に必要な経営資源を確保しながらその状況に応じて発展していきますが、その発展段階ごとに戦略、組織構造、マネジメント・システムや組織風土などが伴います。

 

こうした組織の発展段階の内容や変化を説明するモデルとして「組織のライフサイクルモデル(リチャード・L・ダフト)」が有名です。このモデルでは、組織の発展段階が「起業者段階」「共同体段階」「公式化段階」「精巧化段階」の4つで示されています。

 

これからその各段階の内容をベースにして、それに関連するリーダーシップのあり方を説明していきましょう。

 

「起業者段階」「共同体段階」「公式化段階」「精巧化段階」

 

 

3-1 起業者段階

・段階の概要:

 

この段階は起業により事業がスタートした時点の組織の状況です(個人事業と会社設立も含まれる)。企業毎に起業時の組織および事業の規模は異なりますが、一般的には少ない経営資源でスタートするケースが多く、従業員も少人数であることが多いでしょう。

 

創業期には事業の確立と持続が優先されるため、創業者の事業に関するアイデア、創造性・革新性を業務として実現することに重点が置かれ従業員などに対する細かな管理活動はあまり注力されません(社内ルール、マニュアル等の整備も不十分)。

 

創業者は事業を安定させるための営業活動や商品開発などにリーダーシップを発揮し、従業員は創業者の情熱のもとに一生懸命働くといった状態です。創業期では細かなマネジメントはないものの、規模の小ささや従業員の少なさのため直接的な指示・指導が可能であり、リーダーは手本を自身で示すことができます。

 

・問題点:

 

創業間もない企業では、事業の不安定さ、管理体制の不備や従業員の業務に対する専門性の低さなどが問題となり、事業の継続が困難になりやすいです。しかし、組織の規模が小さいうちはこれらの問題も創業者の直接的で熱意のある指示・命令や指導で対処できます。

 

ただし、その強力なリーダーシップをもとに組織・事業が安定し拡大していけば、やがて創業者の管理限界が訪れ指示・命令での伝達不良、指導不足等によるミスの発生といった問題が生じるようになるのです。

 

・リーダーの対応:

 

起業時では共同経営者、従業員や協力者などが事業に不安を抱いきやすいため、創業者はそうした気持ちを払拭させるような強力なリーダーシップを発揮しなければなりません。具体的には、業務を確実に回していくための熱意のある直接的な指示や指導などが必要になります。

 

創業期の事業の不安定さや慣れない業務などに不安を抱く従業員を前向きな態度へと導くのがこの段階のリーダーの主要な役割です。事業や企業の将来の夢やビジョンを語り、仕事を教え手本も示しながら従業員を引っ張っていくことが重要になります。

 

特に創業期の困難を乗り切るためには全社一丸となった行動が必要であり、そのためにリーダーは情熱をもって業務にあたる姿を示すことが不可欠です。なお、規模の拡大に伴うコミュニケーション不足や管理不足等により問題が生じ始めた場合、組織全体に対応できるリーダーシップの導入を検討しなければなりません。

 

 

3-2 共同体段階

・段階の概要:

 

起業者段階での強力なリーダーシップにより組織活動が上手く回り始めると、この段階ではその活動が次第に目標へ向けて統合されていきます。リーダーの直接的な指示や指導などを受けながら従業員が目標に向けて活動の調整を行うようになるのです。

 

ただし、まだ組織は創業者のリーダーシップに導かれて活動している状態で、創業者個人の魅力に動機づけられます。通常、創業者の指示・命令や組織内のコミュニケーションなどはインフォーマルな形が主で、公式な統制(社内ルールやその手続等による統制)は厳格ではありません。

 

従って、この段階の組織は公式なマネジメントによって活動がコントロールされているわけではなく、目標に向けて組織が何とか回っている状態です。しかし、やがて従業員の増加など組織の拡大(仕事の範囲の拡大や部門の階層化等)により創業者だけでは組織全体を上手くリードできなくなっていきます。

 

・問題点:

 

事業の拡大により組織では、従業員が増え各業務部門でのグループ化や階層化が進展するケースが見られるようになります。こうした状況では創業者が組織のすべてを見ることが不可能になり、各種の問題の発生が増大するわけです。

 

創業者も忙しいため、すべての部門や担当者に事細かに指示・命令を出すことができず、仕事が遅れる、誤ったやり方で進められる、部門間で対立する、従業員が不満をもつ、といった問題が生じやすくなります。

 

また、指示された標準的な業務に従事するだけの従業員にはマンネリ化や仕事の高度化(量と質の向上等)に対する欲求といった問題も発生しやすいです。このように組織の成長とともに様々な問題が生じやすくなり、創業者はそのリーダーシップの取り方の修正に迫られます。

 

・リーダーの対応:

 

組織規模が大きくなったこの段階では、創業者1人のリーダーシップで組織全体を引っ張るのは困難です。そのため部門や階層を適切に設置してそのグループをまとめ導くリーダーを設置することが求められます。つまり、創業者1人に集中していた権力を各部門などのリーダーに委譲することが必要です(分権化)。

 

具体的には、各部門リーダーの役割と権限責任の範囲を明確にしてルール化(文章化)しなければなりません。また、各従業員が細かな指示や指導を逐次必要としないようにするため、各自が自律的に業務を遂行できるために、社内ルールやマニュアルなどの整備も必要です。

 

いちいち確認したり指示を仰いだりしないでもマニュアル等を参照すれば、業務が進められるといった状況にすることが求められます。なお、新従業員などへ理念やビジョンを浸透させるための機会(創業者の講演や研修等)を設けることも重要です。

 

以上のようにこの段階では分権化や文章化を導入し始め複数人のリーダーで組織を制御・調整する公式な仕組みを取り入れ統制することがトップなどのリーダーの課題になります。

 

 

3-3 公式化段階

・段階の概要:

 

この段階は事業がさらに拡大し業務も複雑になる状況となるため、明確なルールに基づいた効率的な処理が必要で、一層規則や手続に従った業務遂行が求められます。

 

組織全体での分業は進み、各部門階層も深化していき専門化が進みますが、コミュニケーションは公式なルートの利用が前提です。つまり、組織の活動はルールに基づいた厳格な運用が重視される、いわゆる官僚主義的な動きが組織を支配しやすくなります。

 

創業者等の経営者は戦略的或いは全社的な課題に取り組むことが主な役割になり、組織の各部門の運営は各々の責任者に委ね社内ルールに基づいた業務遂行が進みます。規模が大きくなって業務が複雑化すると、標準的な業務遂行方法(職務の定義や作業標準等)を決めてそれに従って管理した方が効率的になりやすいという点がその理由です。

 

この段階は業務内容、遂行方法、達成すべき目標や評価内容などが明確に示され運用されるため標準的な業務の生産性は高いものの、やがて例外や突発的な問題への対応が難しくなっていきます。

 

・問題点:

 

組織の成長に応じた適切なルールの設定や手続の導入などを進めないと指示・命令が円滑に伝わらず業務が混乱しやすくなるため、リーダーが組織を運営するのが困難になります。

 

具体的には、事業や組織の規模に応じた社内の規則や手続や組織編成などを整備できない、適切なコミュニケーションルートを設定しないなどの場合、組織の業務効率性が低下しかねません。

 

また、こうした管理体制を構築しないとトップは新事業開発などの戦略的な課題に注力できなくなる恐れが生じます。ただし、官僚主義的な管理体制が進み過ぎると、通常の業務内容以外の事や突発的なことに対応できない硬直的な組織になりやすいです。

 

・リーダーの対応:

 

拡大する組織の全体活動を安定させ効率的に処理するためには、職務規定やマニュアルなどを配備し従業員に遵守させることがリーダーに求められます。事業規模に応じた組織を編成し、各部門の状況に応じた階層とそのリーダーを設置して指示命令系統の整備も進めなくてはなりません。

 

経営者の考えや指示などを全社的に伝達するための最も有効な公式ルートを設計するほか、各部門の担当者が業務を効率的に行うために必要な社内規定や作業標準などを整備します。

 

また、各部門のリーダーが部門を適切に管理できるための指導やマネジメントをトップが行わねばなりません。そして、以上のように日々の業務が各リーダーのもとでルールに基づいて遂行・処理されるようにコントロールすることが重要です。

 

さらに上記に加えて、既存事業の改革や新規事業への進出など戦略的な課題にも注力しなければなりません。なお、ルール重視の組織運営になり過ぎないことに留意しておくべきでしょう。

 

 

3-4 精巧化段階

・段階の概要:

 

この段階では、決まりきった業務以外の新しい仕事へ挑戦しない、指示命令の伝達が遅い、部門間の連携が悪いといった機能不全(官僚制の逆機能)が現れるケースが多くなります。

 

そのためトップなどのリーダーは、組織が環境変化に対応できるように「組織の活性化」、「官僚制の逆機能」への対策を図ることに迫られるのです。

 

・問題点:

 

社内ルールの厳格な運用により組織が官僚化し過ぎて硬直化していきます。業務等の連絡は公式なルートを通して行い、組織の活動はすべからく規則と手続に従って実施され処理される状態です。

 

決められたことや社内標準などとされること以外は回避され、行えばペナルティー(人事考課への影響等)が科されることもあります。つまり、ルールを守ることが仕事というような組織風土となり、従業員の積極性や挑戦意欲は喪失し、規則と前例主義に依存した変化に対応できない組織になりやすいのです。

 

・リーダーの対応:

 

官僚制の逆機能が行き過ぎると環境変化に対応できない脆弱な組織になるため、リーダーはその打開に努めねばなりません。そのためリーダーには組織が環境変化に臨機応変に対応できるように、状況に応じた迅速な意思決定やルール変更等のほか、挑戦意欲を高める制度などを設ける必要があります。

 

つまり、組織がフレキシブルな対応をとれるように導くのがこの段階での重要なリーダーシップなのです。組織の階層化が深まり過ぎると伝達経路が長くなりコミュニケーションが悪くなります。また、各部門との連絡も公式なルートの利用だけでは不十分になりやすいです。

 

そのため管理階層を減らして組織をもっとフラットにする、部門間での連絡ルートを増やす、非公式なコミュニケーション手段を公式に導入する、などの対応も必要になります。

 

また、各担当者には既存のルールに囚われない発想や行動を促すための、提案制度やプロジェクト制などを採用し、優れた提案をする者や成果を上げた者などを処遇する制度などの整備も重要です。

 

組織の硬直化はリーダーが招いた結果でもあり、リーダー自身が陣頭指揮を執って解決にあたらないと解決しにくい課題と言えます。そのためトップと各部門のリーダーが全従業員を引っ張る形で活性化に向けた対策に努めなければなりません。

 

 

3-5 非常時に求められるリーダーシップ

地震・台風などの自然災害、感染症拡大のパンデミックの発生、無差別テロなどの事件、主要取引先の倒産、など企業にとっての非常事態は企業組織の成長段階にかかわらずいつ発生するか予測がつきません。

 

一度、それらが発生すれば企業に甚大な被害をもたらしかねないため、リーダーはその被害を回避したり、最小限度に軽減したりできる対策を講じる必要があり、そのためのリーダーシップが必要です。

 

たとえば、地震等の自然災害により自社だけでなく取引先や販売先に影響が生じれば、自社の生産や販売で支障をきたし収益を落とすことになります。パンデミックなどでも事業活動が大きく制限され、従業員や顧客などの安全確保が優先されるなどまともな事業活動ができなくなることもあるわけです。

 

こうした状況に手をこまねいて対応が遅れれば、回復しがたいダメージを受けることになります。そのため非常事態に対してリーダーは適切な行動を素早くとれることが不可欠なのです。

 

ただし、非常事態が生じてから対応を考えるのでは早期の対応が困難になり回復も遅れることに繋がるため、事前に対応策を準備しておくことが重要になります。

 

そのためリーダーは、できるだけ早い時期にリスクマネジメントやBCP(事業継続計画)などを導入して、非常事態への準備を進めるべきです。あまり細かくやり過ぎると手間もコストも多くかかるため、企業の状況に応じた内容や範囲を定めて少しずつでも導入するようにしましょう。

 

 

4 リーダーシップを発揮する方法

リーダーシップを発揮する方法

 

ここではリーダーシップを発揮するために特にどのような点や方法に注力するべきかを説明します。

 

リーダーシップを発揮する方法

 

 

4-1 理念やビジョンを示す

従業員・部下はリーダーの理念などに心が揺さぶられ組織に貢献しようという意思を持つケースが多いです。そのためリーダーはその企業がどのような事業を行いどういう方向に進むかという経営に対する考えや事業のビジョンを明確に従業員へ伝えることが求められます。

 

たとえば、「世界中の消費者の役に立つ製品を提供して全世界に貢献していく」「10年以内には○○分野へ進出し業界シェア1位を目指す」「5年後には収益を現在の5倍に伸ばし株式上場を果たす」といった内容です。

 

こうしたリーダーの思いが強く社内に伝達されていけば、実際の業務の中で従業員へ浸透していき受け継がれていくことになります。自動車会社の本田技研工業の創始者である本田宗一郎氏は1946年に会社を設立した当初から将来に航空機産業へ参入することを考えていました。

 

二輪車の製造からスタートする状態でしたが、その頃からいつかは飛行機を作るという思いがあり、それから20年後に実現へ向けた具体的な行動が進みだしました(「基礎技術研究センター」の設立による研究開発のスタート)。

 

そして、その後少しずつ研究開発を続け創業者の夢から50年以上の年月をかけて、現在その夢は実現に至ったのです。今では自家用小型ジェット機のシェアでトップを占めるに至りましたが、この偉業は創業者の事業への思いが企業全体で共有化され受け継がれた成果と言えるでしょう。

 

このように理念やビジョンは組織を動かす大きな原動力となり組織を統制するのにも役立つため、リーダーにはそれを示す役割があり実行することが求められます。当然、そうした価値観を具現化するための環境を整備するという仕事が必要であり、それを実行するのもリーダーの努めです。

 

 

4-2 情熱と積極性で取り組む

理念に加え、その思いを実現するために情熱をもって仕事に務め困難な状況でもポジティブに取り組む姿は部下の心を捉えます。京セラ創業者の稲盛氏などの有名な経営者の多くが、リーダーはどんな状況でもポジティブに物事を考え前向きに取り組むべきだと指摘しているのです。

 

京セラを創業する前に稲盛氏が勤務していた会社は銀行管理同然の状況で、経営者は内輪もめ、労働争議も頻発するなどの状況で、同期も退職していました。

 

しかし、稲盛氏は、自分は業務に懸命に取り組み徹底的に研究に励もうとポジティブに考えたそうです。その取り組みの結果、ファインセラミックス材料の開発が成功し後の京セラの創業に繋がっていきました。

 

また、創業から7年後、海外進出という大きな目標を実現するために、稲盛氏自らが渡米して顧客開拓に努めたそうです。1960年代の貿易では大手財閥系の商社などが中心となっており大手電機メーカー系列でない創業から日の浅い企業にとっての海外進出はハードルが高く顧客と接することも困難でした。

 

しかし、開拓を諦めず努力を続けた結果、米IBM社との取引が実現し、その影響で国内の企業との新たな取引が増え大きな成長の起点となったのです。このようにリーダーが高い目標を掲げ自らポジティブに取り組むという姿勢がリーダーには欠かせないでしょう。

 

 

4-3 提案し行動する

起業時や会社設立時のような創業して間もない組織や困難な状況にある組織を引っ張っていくには、従業員からの意見やアイデアを待って行動を起こすのではなく、リーダーが率先して提案し組織を動かすのが重要です。

 

時間の経過とともに組織活動が安定すれば、従業員から提案や要望などを求め調整しながら進めるという方法も必要になります。しかし、起業時・困難時などでは事業が確立されず、不安定な業務遂行に陥っていることも多いことから従業員には業務に不安や迷いなどが生じやすいです。

 

こうした状態のときに従業員から適正な意見を求めるのは困難であり、待っても直ぐに出てくるとは限りません。そのため、まずリーダーがどう動かく、何をするかを提案して、その上で意見を求めて調整するといったリードが有効です。

 

従業員が不安に感じる状況下でリーダーが自分の考えを根拠とともに明確に示す姿は頼もしく感じられ協力しようという意識の形成に繋がります。また、提案だけでなくリーダーが行動で示すことも重要です。

 

日本電産の永守会長は事業の継続が困難になった企業をいくつも買収して蘇らせた実績を多く有する経営者です。この企業再生の名人が重視している点は、苦しい状況にある企業のリーダーに再生を全面的に任せるのではなく永守氏自身が再生への取り組みに積極的に関与し導くことにあります。

 

買収した企業の経営会議などに頻繁に出席し、重要な経営課題を焙り出し状況を一点突破できる方法を導くことに注力されました。買収された企業の経営者達には再生の道筋を描くのは容易ではないですが、親会社となった自分達のリーダーがそれを導いてくれるから頼もしいと感じたことでしょう。

 

実際、そうして示された解決方法が成功するケースが多く、その企業の経営者達もその再生により自信を回復できたほか、困難な状況を脱するための経営のやり方を学ぶ機会になったはずです。

 

このようにやるべきことを提案し、それを実際に自分で行う、関わるという姿を部下に示して彼らを成功に導くというリーダーシップも求められます。

 

 

4-4 話を聞く

リーダーが集団を率いていくには集団との信頼関係が不可欠ですが、そのために部下の話をよく聞く、適切なコミュニケーションを取ることが必要です。

 

企業組織が大規模になると従業員一人一人に話しかけて業務やプライベートのことを聞くことが困難になりますが、一対複数人という形ならある程度の規模までは対応できるでしょう。

 

なお、リーダーが従業員や部下に話しかける際には上から目線の態度ではなく同じ高さの目線でコミュニケーションを取ることが重要です。「なでしこジャパン」の元代表監督であった佐々木則夫氏はそのように考えておられます。

 

当時の佐々木監督は選手達からは「ノリちゃん」などの愛称で呼ばれるほど親近感がもたれていました。日本代表チームの監督であり、男性である人物は女性選手にとってはやや近寄りがたい存在であり、自分の事、チームの事、練習法や試合などについて率直に考え伝えるのは簡単ではなかったはずです。

 

しかし、佐々木監督は、自由闊達な意見が出しあえるためのコミュニケーションが必要だと考え、あえて愛称で自分を呼ばせるようにしたと言われています。自分の親や兄のような存在として気軽に話せるような立場になれば信頼感も生じやすくなるからです。

 

大企業などの場合、一社員が社長と直接会話する機会がほとんどないことは珍しくないですが、そのような関係では信頼などを得ることはできません。リーダーが末端の従業員の事をよく知らないというケースで、信頼に基づく貢献意欲を求めることができるでしょうか。

 

人数の限界もありますが、直接会って話すことができないなら電話やメールなどで連絡するといった行為も悪くありません。トップの中には従業員の誕生日に電話でお祝いを述べ、記念品などを提供するといったコミュニケーションをとる方もいます。

 

また、 現代だからこそ自筆の手紙でコミュニケーションをとるというのも効果が期待できるでしょう。重要なのはトップが何らかの形で従業員とコミュニケーションを取りたいという姿勢を示すことです。その姿勢を放棄するようでは従業員を導くリーダーシップの獲得は困難になってしまいます。

 

 

5 リーダーが取ってはいけない行動

リーダーが取ってはいけない行動

 

最後にリーダーシップの妨げとなり得るリーダーが取ってはいけない行動を注意点としていくつか紹介しておきましょう。

 

リーダーが取ってはいけない行動

 

 

5-1 地位・権力を背景に部下を従わす

リーダーには、部下を昇進・昇給、降格・減給、転勤・左遷、表彰・叱責などができる合法的パワーに基づいた強制的パワーの執行が可能ですが、適正な理由を伴わない執行は部下の指示や信頼が得られません。

 

部下は組織のルール上、上司などのリーダーの指示や処遇に従わざるを得ませんが、理由が明確でない、正当な理由でない、個人の恣意的な理由である、などの場合、指示したリーダーに反発する可能性が高いです。

 

そうした部下がいやいやながら指示された仕事を行ったとしても良い成果は得られず部下にとっても会社にとっても不幸な結果になりやすいでしょう。正当な理由があっても頭ごなしに指示して従わせるといった態度は部下のやる気を失わせ適切に導くことはできません。

 

 

5-2 部下の話に耳を傾けない

リーダーが部下の話をよく聞かないといった態度では彼らとの信頼関係は築けず積極的に従ってもらうことも困難になります。

 

リーダーが有する人間性という魅力は準拠的パワーとして機能し部下を引っ張る大きな要因になりますが、十分なコミュニケーションをとらない、話をしっかり聞かない、といった対応ではリーダーへの信頼は生じません。

 

やるべきことをリーダーが行動で示すことは重要ですが、部下の話や意見にも耳を傾け彼らの考えを仕事に活かすといった取り組みも必要です。単に業務を円滑に進めるというだけでなく部下の成長を促す点においても部下の話を聞きそれを仕事に反映さることは重要になります。

 

 

5-3 誤りは認めず行動を正さない

リーダーの考えやとる行動がいつも正しいとは限らないため、誤りを指摘されたり気が付いたりしたら躊躇なく誤りを認め正しい行動へ変更しなければなりません。

 

間違いだらけでは部下の信頼は得られないですが、間違いを指摘されても修正することを拒み頑なに誤ったやり方を通すような姿は軽蔑の対象となり、誰も付いてこなくなります。誤りを素直に認め即座に修正に取り組む姿こそ尊敬に値するでしょう。

 

 

5-4 部下を褒めない厚遇しない

人は褒められたほうが成長するケースが多いため、褒めない・厚遇しない対応はリーダーとして不適切です。リーダーには報酬的パワーが備わっているため最大限に活用するべきでしょう。

 

部下の仕事に対する取り組みや成果を適正に評価するとともに、それに対する処遇は相応以上の魅力的な内容にすることも重要です。「努力して結果を残せば報われる」という意識を組織に持たせることもリーダーの重要な役割であり全体のモチベーションアップに繋がります。

 

もし成果を出しても評価されない、報われないなら部下はリーダーや組織に積極的に従わなくなり組織の機能は低下することになるでしょう。

 

 

5-5 客観的に判断・行動できない

限られた情報や経験・勘で物事の判断や行動を行う場合失敗のリスクを高めるだけでなく部下に不安をもたらしかねません。直感的に素早い判断・行動でビジネスチャンスを掴むこともありますが、状況に関する情報を多く集めそれを迅速かつ合理的に分析して判断した方が成功の確率は高まります。

 

リーダーシップを発揮する場合、リーダーの専門性は部下を導く大きな原動力となりますが、情報量が多く、また情報を客観的に評価して活用するスキルがその専門性の向上に必要です。

 

多くの事実に基づいて市場やライバルの状況を判断し、それに対する合理的な考えを元に対応策を打ち出すことができなければ、部下には理解されず心から従う意欲を獲得できません。

 

やるべきことやその実現方法が理にかなっていることを説明して納得させ導くのがリーダーの重要な仕事です。


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