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富裕層の節税対策 資産管理会社設立のすすめ

資産が増えれば増えるほど悩みの種となるのが税金です。「富裕層と税金」の話は永遠のテーマと言えるかもしれません。税金対策で有効と考えられた事でも、行き過ぎた節税になれば改正が何度も繰り返されてきています。そのせいで節税対策と言うと何か悪い事をしているようなイメージがあるかもしれません。何も節税対策はしないほうがいいのでしょうか?実は決してそのような事はありません。
今回は富裕層を2種類にわけた上で、それぞれ所得税・相続税の視点から特例等を紹介しますので、是非参考にしてみてください。

 

 

1 富裕層は大きく2つある

資産といってもいろいろな種類があります。

 

 

 

1-1 資産の種類

先祖代々から受け継がれてきたもの、一代で築きあげたもの、収入が毎年継続するもの、一回限りのもの、不労収入に近いもの、それぞれの経緯で得られた資産に一番相応しい税金というものが決められえています。

 

 

 

1-2 2種類の富裕層

富裕層には大きく2種類にわけることができます。1つ目は現役でお仕事をなされている等、毎年で大きな収入がある方です。もう1つは以前から資産をお持ちの方です。

 

 

2 年間の税金を減らしたい富裕層

富裕層のうち現役サラリーマンの方や、不動産で年間で大きな収入がある方は、収入から控除(概算で必要経費と見做されるもの)を差し引いた所得を基準として税金が計算されます。

 

 

 

2-1 経費を計上する(所得税)

今の所得税率は次のように5%から45%の7段階に区分されています。

 

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 7,500円
330万円を超え695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

 

税率に着目して下さい。収入が多ければ多いほど税金が高くなる仕組みです。ここで注意したいのは、所得税の計算基準は、原則、入ってきたお金ではありません。入ってきたお金から経費を差し引いた残りが基準になります。これを所得といいます。つまり、経費が沢山あればあるほど、所得が少なくなり、税金の負担という意味では有利になります。以下、経費を計上する一例を見ていきましょう。

 

 

 

2-2 高級車を購入する

「会社の名義で車を買う」話を良く聞きます。車など機械設備は代金を数年間かけて事業の経費に計上することができます。これを減価償却といいます。買った年は代金全額を支払っていたとしても、税金の計算上は代金全額経費にならないことに注意して下さい。また、高級車の場合、「事業に使う車」かどうかもチェックされます。減価償却を計上する以上、事業用資産となりますので、事業と全く関係のない車種であれば経費計上を否認されるかもしれません。

 

 

 

2-3 法人保険

保険は会社で契約することで、経費(「損金」といいます)を計上し法人税を抑える機能があります。但し、解約する時に保険金は利益になります。せっかく保険料で節税できたとしても解約し保険金を受け取った時に税金がかかる恐れがあります。将来退職金を支払うなど何か具体的な計画がないまま契約すると効果はありません。つまり法人保険は必ず節税できるものではありません。損金にできる割合も商品によって異なります。目先のことだけでなく、将来の事業計画を考えたうえで検討して下さい。

 

 

 

2-4 控除

控除とは、一旦計算された所得・あるいは税額から一定額を差し引く制度です。所得控除と税額控除について説明します。

 

①所得控除

所得控除は、税額を計算する前の所得から所得控除を差し引いた金額に税率をかけて計算するものです。税金そのものが少なくなるのではなく、税金の計算基礎となる所得から差しい引いてもらえる制度です。税金から直接引かれるものでないので注意して下さい。例として、生命保険料控除、配偶者控除、医療費控除などがあります。最近話題のイデコなどは小規模企業共済と同様、積立時の掛金は全額所得控除となり、自営業者は確定申告、会社員の場合は年末調整で所得税・住民税が軽減されます。

 

②税額控除

一方、税額控除は、所得に税率をかけて計算した税額から直接控除されるものです。税額から直接差し引かれるので、場合によっては計算された所得税額からかなりの額が差し引かれる場合もあります。例として住宅借入金等特別控除などが該当します。

 

 

3 資産を減らしたい富裕層

節税対策のもう一つの方法は、資産(財産)についてです。

 

 

 

3-1 相続税

比較的収入が平均並みの方でも、不動産や株式、相続で得た現金などでお悩みの方がいらっしゃいます。これば心情的に自由にならない財産が多いからというよりも、自分が亡くなったとき莫大な税金がかかるとの心配があるからです。国内の相続税の税率は次のようになっています。

 

課税される所得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

 

お一人の相続についての税率です。所得税と同じように資産の額を減らすことができれば税金面で有利と言うことが言えます。ただ所得税は年間の収入にかかるものであるのに対して、相続税は一生かけて築き上げた全財産に対するものなので、簡単に減らすことはできません。しかし、財産は自分以外の誰かに渡すことができます。そうすれば自分の財産を減らすことができます。資産に対する税金の悩みは、実はご本人よりも次の世代がお感じになっています。何も手を打たないと膨大な納税と、財産分与の心理的な負担が発生します。一例をみてきましょう。

 

 

 

3-2 贈与税

本人が亡くなってから資産が引き継がれることを相続と呼ぶことに対し、生前に財産を渡してしまうことを贈与といいます。かつては贈与というと、貰う側からすると不労所得的なイメージがあり、相続税よりも割高な税率となっていました。しかし今は国全体でスムーズな財産移転や、高齢者世代から現役世代に財産を移すことで、国内消費や投資を活性化することを推進するなどの背景から、贈与に対して数多くの特例が設けられています。贈与税の税率は以下の通りです

 

まず、基礎控除額110万円を差し引きます。次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。

 

課税される所得金額 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

相続税と比べると、少ない金額であっても税金がかかることが確認できます。そして基礎控除額が110万円ということが次のポイントになります。

 

 

 

3-3 暦年贈与

暦年贈与とは、毎年一定額を贈与していくやり方です。簡単でポピュラーな方、誤解・トラブルが発生しやすい方法です。年間の基礎控除が110万ですので、毎年3人の方に110万ずつ贈与していけば、毎年330万円ずつ財産を減らしていくことができます。ただしこの基礎控除というのはあくまでも金額だけの話であり、贈与の実態が伴っていない場合、基礎控除として認めてもらえないケースがあります。否認される有名なケースとして、贈与契約書がない、受贈者が贈与を受けたお金を自由に使えないなどの場合です。その為、贈与は銀行振込を使う、通帳印鑑も受贈者に渡し自由に使えるようにする、贈与契約書を作成するなどの対策をすれば良いでしょう。

 

 

 

3-4 教育資金贈与

30歳未満の人が直系尊属(父母や祖父母のこと)から教育資金の贈与を受けた場合は、1人あたり1,500万円まで贈与税が非課税となります。このうち、学習塾や習い事など学校以外に支払うものは500万円までが非課税となります。(平成31年3月31日まで)
以前から世帯の養育費に贈与税が課されることはありませんでした。この教育資金贈与は将来まで必要なお金を一度に贈与しても非課税になる点が特徴です。
手続きは若干面倒です。贈与を受ける人が信託銀行などに専用口座を開設し、税務署に届ける必要があります。贈与された資金は専用口座に預け入れ、必要時に出金しますが領収書を提出しなければなりません

 

 

 

3-5 配偶者の特別控除(おしどり贈与)

夫婦の間で居住用の不動産(またはその購入資金)を贈与した場合、2,000万円まで(基礎控除含めると2,110万円まで)非課税になります。同じ配偶者からの贈与では1回に限り適用できます。夫→妻、妻→夫のどちらでも適用可、ただし婚姻期間が20年以上あることが必要です。贈与を受けた人は翌年3月15日までに、贈与された不動産(または贈与された資金で購入した不動産)に居住し、確定申告で贈与税の申告が必要です。贈与税が0円であっても申告が必要なので注意して下さい。

 

 

 

3-6 相続時精算課税制度と住宅取得資金等の贈与

2,500万円を上限として、贈与者が死亡する前に贈与した財産と死亡した後の財産を同一の財産として課税するものです。2,500万円を超えると一旦贈与税を納めなくてはいけません。しかし贈与者が亡くなったとき相続税の際に精算することができます。

 

一方、父母や祖父母などの直系尊属から住宅を購入するための資金を贈与された場合、最大1,200万円まで贈与税が非課税になる制度が「住宅取得資金等の贈与」です。(平成33年12月31日まで)。

 

 

 

3-7 生命保険

先ほど所得税のところでも保険料の損金算入に触れましたが、それとは別に生命保険金は「500万円×法定相続人の数」という相続税の非課税枠があります。
被相続人に妻と子2人がいた場合、1500万円までが非課税となります。ただし、相続人が受け取った生命保険金のみがこの対象で、相続人以外の人が受け取ったものは非課税の適用はありません。生前に生命保険料を払っておくことで、財産を減らすことができます。つまり、相続税の計算の基準を下げることができるのです。

 

 

 

3-8 タックスヘイブン

タックスヘイブン(租税回避地)は税金を免除、または軽減している地域を指します。別名オフショアともいいます。世界に50以上あると言われています。日本の財産をタックスヘイブンに移すと、国内で課税ができなくなるため、財産の移転には強い制限があることが実情です。

 

 

4 資産管理会社の種類

資産管理会社とは、個人または家族の資産を管理するための会社です。保有している資産が多い場合には、資産管理会社を設立することで、資産管理業務や資産運営業務を行うと同時に、節税をはじめとする色々なメリットを享受することができます。

 

資産管理会社には、資産を資産管理会社自体が保有する「資産保有型会社」と、管理会社は資産を保有せずに、個人の資産を運営・管理する「資産運用型会社」の2つのタイプに分類されています。ここでは、それぞれの資産管理会社の違いについてご説明したいと思います。

 

 

 

4-1 資産保有型会社

資産保有型会社とは、直近の事業年度開始の日以後いずれかの日に現金、預金、株式や債券などの有価証券、自ら使用していない不動産、絵画、ゴルフ会員権など特定資産に分類される資産の合計額が、総資産額の70%以上を占める会社のことをいいます。資産管理会社自体が資産を保有し、経営も資産管理会社でおこないます。そのため、資産運用型会社に比べて節税効果が高くなります。

 

 

 

4-2 資産運用型会社

資産運用型会社とは、直近の事業年度における利息や有価証券等の配当金、不動産家賃収入、資産の譲渡益など、資産運用によって得られた収入の合計額が、総収入額の75%以上を占める会社のことをいいます。資産を資産管理会社自体が保有せずに、個人の資産を管理・運用することで収益を上げる会社であり、資産保有型会社に比べると節税効果は少なくなります。

 

 

5 資産管理会社を設立するメリット

資産を個人で保有するのではなく、資産管理会社を設立して資産を管理・運用することで、特に税制面において多くのメリットを受けることができます。それらのメリットについて1つずつご説明したいと思います。前章でお伝えしたように、資産運用型会社よりも資産保有型会社の方が税制面で有利なことから、ここでは資産保有型会社を前提としています。

 

 

 

5-1 所得税と法人税の税率の違い

不動産から得られる収入は、個人で保有している場合には所得税、法人が保有している場合には法人税がそれぞれ課されることになります。この所得税と法人税の税率の違いがポイントになります。

 

所得税は、所得が多ければ多いほど税率が高くなる累進課税という仕組みがとられています。この所得税率は5%から始まり、最大で45%にまで上がります。詳細は以下の表をご確認ください。

 

所得税率一覧

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

 

これに対して、法人税の税率は、資本金額が1億円以下の法人の場合、法人の所得金額が800万円以下の部分について15%、800万円を超える部分については23.2%となっています。所得税には控除があるものの、最高税率だけで比べてみても、所得税の45%に対して法人税は23.2%と大きく差があることが分かります。

 

法人税率(中小法人の場合)

課税される所得金額 税率
800万円まで 15%
800万円を超える部分 23.2%

 

具体例を挙げて比較してみたいと思います。

 

<例1:所得金額が450万円の場合>
個人 (4,500,000円-427,500円)×20%=814,500円
法人 4,500,000円×15%=675,000円
差額 814,500円-675,000円=139,500円

 

<例2:所得金額が4,500万円の場合>
個人 (45,000,000円-4,796,000円)×45%=18,091,800円
法人 8,000,000円×15%+(45,000,000円-8,000,000円)×23.2%=9,784,000円
差額 18,091,800円-9,784,000円=8,307,800円

 

いかがでしょうか。所得金額が450万円の場合で10万円以上、所得金額4,500万円になると800万円以上と、かなり差があることがお分かりいただけるかと思います。法人の場合には、法人税以外にも法人住民税や法人事業税がかかってくるのですが、それらを考慮した法人実効税率で比較しても、個人の場合の所得税よりも低くなる計算になります。

 

 

 

5-2 個人と法人の経費の範囲が広い

前項で、所得税率と法人税率の違いについてご説明させていただきましたが、それぞれの計算の基礎になる所得の金額についても、個人と法人で違いがあります。

 

個人の場合の所得金額(不動産所得)は、「総収入額-必要経費」で計算されます。ここで言う必要経費は、不動産所得を得るために直接かかった経費が該当します。具体的には、物件を購入する際に金融機関から融資を受けている場合の借入利息、物件やその敷地にかかる固定資産税、物件が加入している火災保険料や地震保険料、物件の維持管理に必要な修繕費、管理会社へ支払う管理費や修繕積立金、物件の減価償却費などです。

 

これに対して法人の場合には、所得金額は「益金-損金」で計算されます。個人の不動産所得を計算する「総収入額-必要経費」と同じだと思うかもしれませんが、法人の損金には、不動産所得を得るために直接かかった経費以外にも、法人の事業活動を行っていくうえでかかってくるすべての経費が含まれます。具体的には、物件の様子を見に行くためにかかった交通費、不動産管理について勉強するための書籍代やセミナー参加費、物件管理のために使用するパソコンの購入費用、インターネットや携帯電話などの通信費などです。

 

このように個人と法人を比較してみると、税率が法人税の方が低いうえに、さらに税金の計算の基礎になる所得金額も法人の方が有利であることが分かると思います。

 

 

 

5-3 損失を繰越控除できる期間が長い

損失の繰越控除とは、その事業年度において損失が生じた場合に、その損失を翌期以降の事業年度に繰り越して、翌期以降の利益から控除することができるという制度になります。

 

具体例を挙げてみたいと思います。

 

1年目 損失 ▲1,000万円
2年目 利益 600万円
3年目 利益 600万円

 

この場合の所得金額は

 

1年目 所得金額 0円
2年目 所得金額 0円(600万円-600万円 ※1)
  ※1 1年目の損失1,000円のうち600万円を控除
3年目 所得金額 200万円(600万円-400万円 ※2)
  ※2 1年目の損失1,000万円から2年目に控除した600万円の残り

 

このように、1年目の損失を2年目以降の利益から控除することで2年目以降の所得金額が小さくなり、結果として納税額が少なくて済むようになります。

 

この損失の繰越控除は個人でも法人でも適用できるのですが、個人の場合は繰り越しできる期間が3年間だけなのに対して、法人の場合には9年間に渡って繰り越すことができます。新規で物件を購入した時や大規模な修繕が必要になったときなどには損失が生じてしまうこともあると思います。そんな場合でも、法人であれば損失の繰越控除という制度を最大限に活用することが可能になります。

 

 

 

5-4 相続対策としての有効性が高い

資産を多く保有している場合には、将来において必ず発生する相続のことを考えておかなければなりません。不動産を個人で保有している場合には、不動産所得はその個人に対して現金という資産として蓄積されていくことになります。そして、蓄積されればされるほど、相続の際の相続税の金額も大きくなっていきます。そのままにしておいてしまうと、いざ相続となったときに相続税が払いきれず、保有資産を手放さなければならないという事態も免れません。そこで資産管理会社の設立が有効になります。

 

親族を資産管理会社の役員または社員として給与を支払えば、不動産所得の一部が将来の相続人の資産として分散されることになります。将来の相続人は、相続時の資金を貯めることができ、また資産管理会社に資産が蓄積されていくのを防ぐことができ、相続税を減らす効果をもたらします。さらに、給与は経費として処理できるため、同時に法人税の節税効果も生まれます。

 

法人で不動産を保有している場合には、相続人はその不動産自体ではなく会社の株式を承継することになります。そのため、不動産の登録免許税などの登記費用もかかりません。名義変更の手続きなども必要ないため、手間がかなり軽減されることになります。

 

 

6 資産管理会社を設立するデメリット

これまで資産管理会社を設立するメリットについてご紹介してきましたが、デメリットについても知っておく必要があります。主にコスト面と事務負担の増加によるところが大きいのです。資産管理会社を設立することによるメリットとデメリットの両方をしっかりと理解した上で、自分に合った方法を選択することをおすすめします。

 

 

 

6-1 設立時にコストがかかる

法人を設立する際には、設立に登録免許税や定款の認証手数料などの費用がかかります。代表的な法人の形態に株式会社と合同会社がありますが、設立にかかる費用は株式会社で約25万円、合同会社で約12万円ほどかかります。細かいことを言えば、会社を設立するためには会社の印鑑を作成したり、個人の印鑑証明を取得したりする費用もかかります。さらに、法人の設立を司法書士などにお願いした場合には、その報酬を支払わなければなりません。

 

法人を設立した後は、個人で保有している資産の名義を法人に変更しなければなりません。不動産の名義を変更するには登録免許税がかかります。登録免許税の金額は、固定資産の評価額を元に計算されるのですが、保有している資産が多ければ多いほど、その費用もかかることになります。また、法人の設立と同様に司法書士に名義変更の手続きをお願いした場合には、その報酬を支払う必要があります。

 

 

 

6-2 ランニングコストがかかる

法人の維持にも費用、いわゆるランニングコストがかかります。会社の会計処理や税務申告が毎年必要になりますが、個人の場合と比べて複雑になるため税理士に依頼することになると思います。また、法人から給与を支払う場合には、源泉徴収を行う必要があり、この源泉徴収の計算や年末調整、給与支払報告書の提出など事務負担が増加することになります。これらもまた、税理士や社会保険労務士などに依頼することになると思いますので、その分だけ報酬を支払う必要がでてきます。

 

また、損失が生じた場合には、個人であれば所得税はかかりませんが、法人の場合は赤字でも法人住民税均等割を納付する必要があります。法人住民税均等割は市区町村によって金額が違いますが、東京都内の場合で年額7万円がかかってきます。

 

株式会社の場合には役員の重任登記という手続きが必要になります。重任登記手続きとは、現在の役員が任期期間終了後に引き続き役員を続けるための手続きになります。手続き上は任期満了により退任し、同時に就任することになります。定款の定めにもよりますが、よくあるケースで2年ごとに任期満了し、重任登記をするような場合です。重任登記の手続きも、また司法書士にお願いすることになり、その報酬が費用としてかかることになります。

 

 

 

6-3 交際費の損金算入限度額がある

法人の場合には、事業を行っていくうえで必要な経費はすべて損金として益金から控除することができることをお伝えしましたが、交際費については上限600万円という制限があります。事業規模が大きい場合には、それだけ業者との付き合いなども多くなるでしょうから、この上限に引っかかってしまうことも考えられます。

 

個人事業主として事業を行っている場合には、交際費の上限がなく無制限に利用可能ですので、毎年多額の交際費を計上していた個人事業主が法人化する際には注意が必要です。

 

 

7 不動産投資と資産管理会社

不動産投資は物件数が増えると税金の負担も大きくなります。そこで注目されているのが税制上のメリットが大きい資産管理会社の設立です。不動産投資事業を法人化することで様々なコストを経費計上できたり、不動産所得が一定額を超えれば法人税の方が安くなります。不動産投資は個人で行うよりも法人で運用した方が節税効果が高いわけです。

 

資産管理会社はプライベートカンパニーとも呼び、株式会社や合同会社、さらに法人が不動産を保有する形態や個人が保有する不動産を管理することに特化した形態があります。

 

 

 

7-1 おすすめは“物件保有型”の資産管理会社

会社の形態としておすすめなのは、法人が不動産を保有するタイプです。その理由として、個人保有の不動産を管理するよりも法人の収入が多く、節税効果が高いからです。さらに法人の事業実績により、不動産を購入する際の銀行融資を受けやすくなります。

 

また株式会社と合同会社のどちらを選ぶかですが、資産管理会社は取引先があるわけではないので、合同会社の方がよいでしょう。設立コストが安くなりますし、法人税は株式会社と同じ条件となります。また出資比率も自由に設定できるので、会社の代表者を配偶者にして自身が100%出資するという形にもできます。これは勤務する会社の就業規定で兼業が禁止されている時に役立ちます。

 

 

 

7-2 個人保有より規模を拡大することができる

資産管理会社を設立すると節税効果が高くなると言われています。もちろんそういう側面もありますが、実は資産管理会社を設立する目的は「節税」よりも、「資産を拡大」させることにあります。

 

個人で不動産投資用物件を購入する場合、収益性も融資の審査対象となることから居住用不動産よりも融資限度額は大きくなります。それでも基本的には個人属性(収入や勤続年数など)が融資限度額における審査対象となるため、拡大できる規模にも限りがあります。

 

一方で法人の場合、その事業実績に応じて融資限度額は増えていきます。保有する物件が多くなり、収益が増えることでさらに物件を増やすための借入ができるということです。

 

ただし事業実績は最低でも2期分の黒字経営が必要なので、早期にスタートさせる必要があります。そこで不動産投資を検討する段階で、資産管理会社も設立することを考えた方がよいでしょう。

 

 

 

7-3 法人税が有利な理由

個人で不動産投資を行うよりも、資産管理会社で運用した方が税金面では有利になります。個人の所得税は累進課税となり、課税所得が900万円以下では税率23%ですが、900万円を超えると33%になります。

 

一方、法人税の場合、2018年4月1日以降の事業開始で課税所得800万円を超える分は23.2%、800万円以下の分は19%です。つまり個人で不動産投資を行い、給与所得や不動産所得を合算して課税所得が900万円を超えるようであれば、法人化した方が得であることがわかります。

 

ただし住民税の場合、個人であれば一律10%となりますが、法人の場合には税率12.9%(東京23区に事業所がある場合)に加えて均等割として7万円が課せられます。さらに法人事業税として、年800万円以上の所得には6.7%が課せられます。

 

 

8 資産管理会社を設立するメリット

資産管理会社の設立は節税につながるなど様々なメリットがあります。しかし、一般に知られていないことも多いためここで詳しくご紹介します。

 

 

 

8-1 赤字を繰り越しできる

個人で不動産投資を行い課税所得がマイナスになった場合、その赤字分は最大3年間繰り越すことができます。しかし法人である資産管理会社の場合には、10年間繰り越せます。さらに不動産を売却した時に譲渡益が生じた場合、個人は赤字分を通算することはできませんが、法人であれば通算することができます。この点も個人として不動産投資を行うよりも有利といえます。

 

 

 

8-2 家族に給料を支払うことができる

個人で不動産投資を行い、その規模が5棟10室以上となれば法人を設立しなくても事業的規模となり青色申告をすることができます。その際に、家族に青色事業専従者給与として給料を支払い、所得控除も行えます。ただしこの場合、家族が他に仕事をしていないことが条件となります。

 

一方で資産管理会社を設立して家族がその従業員あるいは役員となれば、他に仕事をしていても給料を支払うことができます。さらにその給料は経費(損金)として計上できるので、法人税を引き下げます。
また法人所得を給料として分散することにより、税率を下げることも可能です。個人の所得税率と法人税率のバランスを考慮して、給料額を設定するとよいでしょう。

 

 

9 資産管理会社設立で注意するポイント

不動産投資での資産管理会社を設立するうえで、注意したいこともいくつかあります。なぜ不動産投資を始める前に設立する必要があるのかを含めて、説明していきます。

 

 

 

9-1 資産管理会社への不動産売却

資産管理会社を設立するメリットはわかったけれど、手続きが面倒そうだし少し様子を見てから検討しようと思うかもしれません。しかし設立自体はさほど面倒ではありませんが、不動産投資を始めてから設立するとなると少しばかり厄介なことになります。個人保有の不動産を法人に売却しなければならないからです。

 

まず個人で購入した不動産の借入残高がある場合、法人への売却金額で一括返済する必要があります。借入金が残ってしまうと登記移転ができず、売却できないからです。かといって売却金額を勝手に借入残高以上に設定することはできません。法人への売却は、時価で行わなければならないからです。

 

また売却金額が借入残高より多く、無事に売却できたとしても、今度は税金の問題が発生します。売却金額が簿価金額(取得金額-経費計上した減価償却費の合計)を上回ると譲渡所得が発生するからです。譲渡所得の課税税率は、5年以下の所有で39.63%(所得税・住民税)となり、5年を超えても20.315%となります。この譲渡所得税は個人で支払う必要があるので、現金を用意できるかどうかを確認しなければなりません。

 

 

 

9-2 就業規定で兼業禁止となっている場合

本業で勤める会社の就業規定で「兼業禁止」となっていたら注意が必要です。法人を設立することにより、この規定に違反する可能性があるからです。

 

この場合には親や配偶者を代表として資産管理会社を設立し、本人はその会社に出資するという形を取ることで対処できます。会社に出資する理由は、不動産購入に際しての銀行融資をひくためです。

 

配偶者などを代表とし、発行株式の取得割合もすべて代表者にしてしまうと、たとえば専業主婦の場合には銀行融資がつきません。設立したばかりの法人に融資する場合、銀行は個人を対象に審査するからです。融資に関しては銀行と相談しながら法人化を計画するとよいでしょう。

 

 

10 資産の会計処理~流動資産と固定資産の違い~

貸借対照表の左側に出てくる一覧を「資産」といいますが、これはごく簡単にいうと企業にとって「お金を生み出してくれるもののリスト」ということになります。
現金はまさしくお金ですが、銀行預金などは銀行に預けていると利息になって戻ってきますから、企業にとって「お金を生み出してくれるもの」といえます。

 

また、建物や土地といった不動産は、他人に貸したりすることでレンタル料を取ることができますから、これも「お金を生み出してくれるもの=資産」ということになります。
資産にはこのようにいろんな種類のものがあるわけですが、会計のルールでは資産を流動資産・固定資産・繰延資産の3つに分類しています。

 

 

11 流動資産とは?

流動資産とは、その名の通り会社に入ってきたり、出て行ったりといったことがしょっちゅう行われる資産のことです。
代表的なものが現預金ですが、お客さんからまだ受け取っていない商品代金(売掛金)や、まだお客さんに販売していない在庫商品(棚卸資産)なども流動資産に分類されます。

 

会計上、どのような資産を流動資産に分類するのか?の判断基準としては、大きく分けて次の2つがあります。

 

①正常営業循環基準
②ワンイヤー・ルール

 

以下でそれぞれの基準の意味について説明しましょう。

 

 

 

11-1 正常営業循環基準:商品の売上や仕入れに関するものは流動資産

正常営業循環基準とは、「通常のビジネスサイクルの中で生まれる資産は、流動資産に分類する」という基準のことをいいます。
簡単にいえば、「その会社がビジネスをやって行くうえで自然に発生する資産については、流動資産に分類しましょう」ということですね。
例えば、単純な卸売業者をイメージしてみてください(下の文章の、「」で囲ったキーワードに注目してください)

 

卸売業者は、もともと手元にあった「現金」を使ってメーカーなどから「商品」を買い、その商品を別の業者に販売することで利益を出す、という形でビジネスをしています。
別の業者に売った商品の代金は、通常すぐには入金されずに1か月~2カ月先に支払われるようなことが多いでしょう。
その間、まだ受け取っていない商品代金は「売掛金」という項目を使って管理しておきます。

 

このように、「それぞれの企業が通常のビジネスを行うときに登場する資産は流動資産に分類する」というように考える基準のことを正常営業循環基準と呼びます。
正常営業循環基準によって流動資産に分類される資産には、以下のようなものがあります。

 

現金
普通預金や当座預金
受取手形や売掛金
棚卸資産

 

 

 

11-2 ワンイヤー・ルール:1年以内に決算されるものは流動資産

「この資産は流動資産だ」と判断するときの基準の2つ目=ワンイヤー・ルールとは、ごく簡単にいうと「1年以内に現金になるものは流動資産に分類する」というルールのことです。

 

上の卸売業者の例で見たものの他にも、企業にとって「お金を生み出してくれるもの=資産」はいろいろあります。
例えば、通常は八百屋さんをビジネスとしてやっているけれど、たまたま同じ商店街の仲の良い居酒屋店主にお金を貸したというときには、「貸付金」という資産が発生します(貸付金からは通常は利息が発生しますから、企業にとって「お金を生み出してくれるもの=資産」です)。

 

 

  

11-2-1 正常営業循環基準で判断できないものにはワンイヤー・ルールを適用する

この貸付金は、①で見た正常営業循環基準では流動資産とは判断することができないので、それ以外の基準が必要になります。

 

このときに使うのが「ワンイヤー・ルール(1年基準)」という判断基準です。

 

ワンイヤー・ルールでは、1年以内に現金化されるかどうかで流動資産にするか、固定資産にするかを判断します。
もし、上で居酒屋店主に貸した「貸付金」が、1年以内に返してもらえる性質のものであれば「短期貸付金」として流動資産に分類されます。

 

一方で、返済まで1年以上かかるのが明らかである場合には、「長期貸付金」として固定資産に分類するのが適切ということになります。
ワンイヤー・ルールによって流動資産に分類されるものとしては、次のようなものがあります。

 

貸付金(短期貸付金)
受入保証金
前渡金
前払金
仮払金

 

 

 

11-3 1年以上現金化されない資産でも、流動資産になるケース

やや例外的なケースについても見ておきましょう。
例えば、得意先に販売した商品代金(売掛金)が、1年以上先に支払われるというケースはどうなるでしょうか。
結論から言うと、このような売掛金は流動資産に分類されます。

 

上で見たワンイヤー・ルールによれば、この売掛金は「1年以内に現金になる資産」ではありませんから、流動資産ではないというように考えられそうな感じもしますね。
しかし、正常営業循環基準でいえば、商品代金というのは通常のビジネスの循環の中で生まれる資産の代表的なものですから、流動資産と考えることができるのです。

 

 

  

11-3-1 正常営業循環基準とワンイヤー・ルールがバッティングする場合

このように、流動資産か固定資産かの判断をめぐって、①の正常営業循環基準と、②のワンイヤー・ルールがバッティングしてしまうようなケースでは、①の正常営業循環基準を優先することになります。

 

なお、実際に流動資産と固定資産の分類を処理するときには、まず①正常営業循環基準を適用して考え、これでは判断できないという場合に、②ワンイヤー・ルールで判断する、といったような処理手順を踏むのが一般的です。

 

 

12 固定資産とは?

固定資産とは、簡単にいえば「流動資産に分類されない資産」です。
流動資産に分類するときの判断基準は、上でも見たように①正常営業循環基準(通常のビジネスのサイクルで発生するものかどうか)と、②ワンイヤー・ルール(1年以内に現金化されるか)の2つでした。

 

そのため、固定資産はこれら①・②のいずれにも該当しないという性質を持っていることになります。

 

 

 

12-1 固定資産に分類されるものにはどんなものがある?

会計上、固定資産に分類されるものには以下のようなものがあります。

 

土地
建物
機械設備
自動車
特許権
長期の投資資産(子会社の株式など)
長期の貸付金

 

土地や建物はお店を出したりするときに使うものだから、通常のビジネスのサイクル(正常営業循環基準)なのではと思われる方もいるでしょう。

 

しかし、ここでいう「ビジネスのサイクル」というのは、いわば「会社の商売の仕組み」のことを言いますから、土地や建物はビジネスサイクルの一部とは考えません。
例えば、八百屋さんは「農家から商品を仕入れて、一般消費者に売って、代金をもらう」というのが商売の仕組みです。

 

この「商売の仕組み」にとって、土地や建物といったものは少なくとも概念上は必須のものではありませんから、これらは正常営業循環の範囲外=固定資産として分類されるのです(実際問題として、土地や建物がないと商売ができないということもあるとは思いますが、会計のルールでは上のようになっています)。

 

その他、1年以上の期間にわたって現金化されないものも、ワンイヤー・ルールによって固定資産として分類されることになります。

 

例えば、子会社の株式などは、通常何年にもわたって親会社が保有し続けるものですから、親会社の決算書では固定資産に分類されるといった具合です。

 

 

13 繰延資産とは?

資産の種類の3つ目は「繰延資産」です。これだけは感覚的にイメージしにくい会計独特の考え方なので注意しておきましょう。なお、一応、繰延資産の定義を説明すると以下のようになります。

 

繰延資産=「すでに支払った費用のうち、来期以降に繰り延べる必要のある項目(経過勘定項目)」

 

以下では具体的なケースを見ながら説明しましょう。

 

 

 

13-1 繰延資産の具体例

繰延資産とは、例えば「事業を開業するための費用(開業費)を支払った」というようなケースで、会計上必要になる考え方です。
通常、ビジネスで使うための費用を支払った場合には「費用項目/現預金」という仕訳を作成して、そのつど費用支払として処理することになりますね。

 

一方で、開業費のような費用は、将来にわたってずっと効果を受ける性質の費用です。

 

例えば、5年間にわたって事業を行うと決めている会社であれば、開業費は「5年分の費用をまとめて支払った」と考えることができるでしょう。

 

このような場合に、2年目~5年目の分については「1年目の費用」として処理してしまうことは適切ではありません。

 

なぜなら、もし2年目~5年目の分も「1年目の費用」としてしまうと、「今期は売上は1年分しか計上していないけれど、費用は5年分計上している」というおかしなことになってしまうからです(当然、損失が異常に多く計上されることになります)。

 

会計には「損失と利益は期間対応する形で決算書を作らないといけない」という大原則がありますから、こうした処理は認めてもらえないのです。

 

 

 

13-2 繰延資産の役割

開業費のケースでは、例えば以下のように処理を行います(開業費は合計500万円で、5年間にわたってビジネスをするとします)

 

支払をした時:「開業費 /現預金 500万円」
一年目の処理:「費用項目/開業費 100万円」
二年目の処理:「費用項目/開業費 100万円」
三年目の処理:「費用項目/開業費 100万円」
四年目の処理:「費用項目/開業費 100万円」
五年目の処理:「費用項目/開業費 100万円」

 

上の「費用項目」として何を使うかは会社によっていろいろですが、「繰延資産償却」という勘定科目を使うのが一般的です。また、繰延資産の償却期間は法律で決まっています。例えば開業費は5年。

 

このように処理をすれば、1つの事業年度には1年分のみの開業費が費用として計上されるため、適切な処理となります。

 

このような処理をした場合の、「開業費」のような項目が繰延資産に該当するというわけです。

 

繰延資産とは「会計上、損益計算を正しく行うために便宜的に使われる科目」というように理解しておくと良いでしょう。

 

実際に繰延資産に該当する資産項目としては次のようなものがあります。

 

創立費
開業費
開発費(研究費)
株式交付費
社債発行費

 

 

 

13-3 繰延資産とややこしいもの(前払費用)

上で見た開業費などの項目のことを繰延資産と呼びますが、これとややこしいものとして、「前払費用」のような項目があります(前払費用は、1年以内に現金化される場合は流動資産、1年以上現金化されない場合は固定資産です)。

 

前払費用は、例えば「3年分の家賃をまとめて払った」という場合に、次のような形で使われる項目です。

 

支払をした時:「前払費用/現預金  300万円」
一年目の処理:「支払家賃/前払費用 100万円」
二年目の処理:「費用項目/前払費用 100万円」
三年目の処理:「費用項目/前払費用 100万円」

 

前払費用も、一定期間にまたがって払う費用がある場合に、売上と費用の対応がおかしくならないように(1年分の売上に対して、3年分の費用が計上されるということが生じないように)するための項目であるという点では、繰延資産と共通しています。

 

  

13-3-1 繰延資産と前払費用の違い

前払費用は、処理の仕方は繰延資産とよく似ていますが、次のような点で繰延資産とは区別され、結果として流動資産または固定資産に分類されます。

 

繰延資産:将来にわたって受け取る財産としての価値がない
前払費用:将来にわたって受け取る財産としての価値がある

 

例えば、3年分の事務所家賃を前払費用として処理した場合には、「この先3年間にわたってその事務所を使い続けることができる」という権利が認められますから、財産としての価値があるといえます。

 

一方で、開業費のような繰延資産は、一度支出してしまった後には、通常はそこからなんのメリットも発生しません。
このように、「支出をした後に、なんらかの財産的なメリットが受けられるかどうか」で繰延資産と前払費用は分類することができます。

 

 

10 まとめ

いかがでしたでしょうか。
年間の収入に対する所得税からの節税対策と、積み上がった財産に対する相続税からの節税対策の一例を見てきました。冒頭に述べたように、富裕層の税金対策は最初に効果があるものでも、度を過ぎる度に国の方針で見直しがされてきました。そういった意味から、必ずうまくいくという節税対策は存在しません。

 

資産を保有している場合には、資産管理会社を設立することで、多くのメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。特に税制面に関してのメリットは個人の場合と比べてかなり大きなものになります。ただし、法人化によるデメリットもありますので、よく比較検討したうえで資産管理会社を設立すべきかどうか判断するようにしましょう。

 

 


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