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  <    <  会計、財務、決算の違い

会計、財務、決算の違い

会計や財務というと、「経理部の仕事でしょ?自分の部署には関係ないかも」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、会計や財務に関する知識は、本来すべてのビジネスパーソンが基礎知識として理解しておくべきものです。
企業に入社してまだ日が浅い人は、まだ会計の重要性を実感する場面は少ないかもしれませんが、経験を積んで部下ができたり、会社の取引先と重要なやり取りをしたりするようになってくると、会計の知識が仕事をするうえで必須のものとなるのは間違いありません。

 

 

1 会計とは

会計とは、ごく簡単にいうと「会社に今いくらお金があって、今年はどれだけもうかったのか」を計算して、まわりの人に報告することをいいます。

 

なぜこのようなことをする必要があるかというと、会社にはたくさんの関係者がいて、「その会社にちゃんとお金があるのか、毎年きちんともうけを出しているのか」がいつも気になっているからです。

 

例えば、会社の関係者には次のような人たちがいます。

 

  • 会社に所属して働いている従業員
  • 会社の取引先
  • 会社にお金を貸している債権者
  • 会社の株を買っている株主

 

もし会社にお金が無くなってしまったら、従業員はお給料を払ってもらうことができなくなって生活が立ち行かなくなってしまうでしょう。

 

取引先や債権者は、会社から本来払ってもらえるはずのお金が戻ってこなくなるでしょうし、株主が持っている会社の株式は紙くずになってしまいます。

 

このような状況になってしまう前に、定期的に会社が「今の会社はこういう状態ですよ」ということを報告してくれれば、従業員は早めに転職を考えることもできますし、取引先や債権者·株主は「この会社からは早めに手を引こう(かかわるのをやめよう)」という判断をすることができます。

 

そのための手段が会計であり、会計の作業の結果として作成される決算書というわけです。

 

(決算書の意味については後述。)

 

 

 

1-1 単純なお金の貸し借りで会計の意味を考える

会計という言葉で考えると難しく感じがちですが、日常生活でのお金のやりとりと同じように考えれば理解しやすいでしょう。

 

例えば、あなたが誰かに対してお金を貸したときのことをイメージしてみてください。

 

貸したお金は約束した期限までに必ず返してほしいと感じるのは当然です。

 

お金がきちんと約束した期限までに返ってくるかどうかは、お金を貸した相手の財布にいくらお金があり、期限までにもとのお金がいくら減ったり増えたりしたかによって決まります。

 

貸したお金が返ってくるかどうかが気になっているあなたとしては、相手の財布の中身を定期的にチェックしたいと考えるかもしれませんが、そのつど財布の中身をチェックするよりも、何らかの報告書のような形で報告するほうがお互いにとって効率的でしょう。

 

このような場合に、報告書をつくるための手段が会計というわけです。

 

 

 

1-2 報告書を作るルールは法律で決まっている

お金を貸した相手が報告書を作ってくれて、きちんと報告をしてくれるなら安心と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、重要なのはここからです。

 

「どのような形の報告書を作るのか」や「どのようなタイミングで報告書を作るのか」についてしっかりとルールが決まっていないと、会社の関係者は正しい情報を得ることができないのです。

 

例えば、会社が「今期はあまり業績が良くないから、ちょっと利益を多めに計算しよう」とか、「今まで1年に1回会計の報告をしていたけど、今年は忙しいので2年に1回で」なんてことを言いだすと、だれも正確な会計情報を得ることができません。

 

このようなことが起きないよう、会計に関する報告のルールは法律で厳密に内容が決められています。

 

もし企業がこのルールに従った形で会計報告を関係者に対して行わないときには、刑事罰が課せられてしまう可能性もあるのです。

 

例えば、ウソの会計情報に基づいて銀行からお金を借りたりすると、最悪の場合は詐欺罪に問われてしまうことがあります。

 

企業の会計にかかわる立場の人は、会社がこうした立場に追い込まれることのないよう、会社の会計に関するルールをよく確認しながら決算書を作成する必要があります。

 

 

 

1-3 税金は会計情報から計算される

ここまで、会社の会計情報について知りたがっている「関係者」としては債権者や取引先、株主といった人たちがいると説明しました。

 

ここでもう1人重要な関係者を付け加えましょう。それは「国」です。

 

国は、企業が1年間に揚げた収益の中から、一定の割合を税金として徴収する権限を持っています。

 

個人の人に課される税金に所得税や住民税があるように、会社に課される税金には法人税があります。

 

具体的には、企業が1年間に1回報告する会計情報をもとに税金の金額を申告してもらい、期限までに税務署という国の役所に納めるように求めてくるのです。

 

もし税金を納める義務があるのに期限までに納税をしなかったとすると、税務調査という形で税金の納付漏れを指摘され、最悪の場合には脱税として刑罰を受ける可能性もあります。

 

上でも見たように、税金を計算するためには企業がどれだけの収益をあげたかがわからないといけませんから、ここでも会計に関する知識が重要になるというわけです。

 

企業の経理部では、会社の債権者や取引先に対して報告するために決算書を作るとともに、会社の税金を計算するということも活動して行っているのです。

 

 

 

1-4 企業を経営する人にとっても会計情報は重要

企業をとりまくさまざまな外部の関係者(債権者·取引先·株主·国)の立場で会計情報を知ることの重要性について説明してきましたが、企業の内部にいて企業経営にかかわっている人たち(経営者や幹部従業員)にとっても、会計は重要な判断材料となります。

 

例えば、たくさんの収益が見込めそうな投資先が見つかったとしても、現在会社にどれだけのお金があるのか、数か月先にはどれぐらいのお金が手元にありそうなのかがわかっていないと、手を出してよいものかどうか判断がつかないでしょう。

 

会社の従業員にとっても、自分が受け取っているお給料の金額と比べて、自分が会社の利益に貢献している度合いがわからなければ、「果たして自分が会社にいて仕事をしている意味があるのか」と疑問に感じることもあるかもしれません。

 

 

 

1-5 会社の規模が大きくなるほど、会計情報の重要性も大きくなる

商店街の八百屋さんや、町の電気屋さんといった小さな規模の企業であれば、経営者が会社の財布や銀行口座残高を見てさえいれば経営に問題はないということもあるかもしれません。

 

しかし、会社の売上が何億円もある企業や、従業員が何百人·何千人いる企業の規模になると、会計の情報なしに企業をコントロールしていくことはまったく不可能というのが実際のところです。

 

このように、会社の外部の関係者だけではなく、会社の内部で働く人にとっても会計情報は非常に重要な意味をもっているのです。

 

こうした情報を知らずに会社の経営を行うことは、大海原に海図やコンパスを持たずに船で乗り出していくのと同じようなことです。

 

会計によるデータと、そのデータを活用するための知識は、企業経営者が活動していくうえでの必須のツールといえるでしょう。

 

 

2 財務会計とは

会計は、その役割から見て大きく2つの分野(財務会計と管理会計)にわけることができます。

 

1つ目の「財務会計」と言われる分野は、ごく大まかに言うと「会社の外部の関係者に対して、会社の状況を報告するための会計」ということになります。

 

具体的には、過去1年間の会社の活動に基づいて決算書を作成し、「今年の会社の業績はこのようなものでした」というように説明するのが、財務会計の役割です。

 

 

 

2-1 財務会計はどんなときに使われる?

毎年6月ごろになると、大企業の株主総会が行われます。

 

株主総会というのは、結局何をしている集まりなのか?というと、ほとんどの部分はこの財務会計のルールに基づいて、会社の1年間の活動報告をしているわけです(四半期や半期といったタイミングで活動報告をする会社もあります)

 

また、上で「企業は1年間に上げた収益額のうち、一定額を税金として納める必要がある」という話をしましたが、この税金を計算することも財務会計の役割の一部です。

 

財務会計は会社の外部の関係者に対して、会社の過去1年間の実績や現在の状況を説明するためのものなのです。

 

 

 

2-2 財務会計は基本的に「過去」を扱う会計分野

もう1点、後で見る管理会計との比較で重要になる視点について説明しましょう。

 

それは、「財務会計は、会社の過去について扱う会計分野である」ということです。

 

上で見たように、財務会計は会社の外部の人たちに対して、「今年1年間の会社の活動はこのようなものでした」というように説明をするための会計です。

 

そのため、財務会計に携わる人は、会社が過去にどのような活動をしたかといったことに注目して仕事をすることになります。

 

逆に言うと、会社の未来に関することについては、財務会計は原則として扱うことがありません。

 

例えば、会社が1年後にどのぐらいに利益を上げているだろうかといったことや、少しでも安く商品を作るためにはこれだけのコスト削減を目標にすべきだといったようなことは、財務会計では原則として扱わないことになります。

 

もっと言えば、財務会計についてたくさん勉強したとしても、会社の将来を予測したり、会社の状況を改善したりするための知識は得られないということです。

 

こうした「会社の将来」にかかわることがらについては、次で見る管理会計の分野で扱うことになります。

 

 

3 管理会計とは

管理会計とは、ごく簡単にいうと「企業の内部にいる人たちが、会社をうまくコントロールするための情報を提供する会計」のことです。

 

1つ目の財務会計が企業の外部関係者(債権者や取引先·株主など)に向けて情報を提供するものであったのに対して、管理会計は会社の内部関係者に対して情報を提供するものである点で異なります。

 

つまり、管理会計とは企業の経営者が経営を行うための参考資料を提供してくれる会計なのです。

 

 

 

3-1 管理会計はどのように役立つのか

例えば、会社が1年間の活動を終えて、さて来年はどういう活動にしようか?と会議している状況をイメージしてみてください。

 

このとき、来年度の目標として「精いっぱい頑張ろう。自分たちのベストを尽くそう」というだけではなんとも頼りない話です。

 

人間は24時間365日ずっと頑張り続けるということはできませんし、このようなおおざっぱな目標の立て方では、誰がいつまでにどれだけの実績をあげればよいのかといったことがさっぱりわかりません。

 

このような場合に、管理会計の知識を持つ人がいれば、会社の過去の実績から将来をある程度正確に予測して目標を立てるということが可能になります。

 

さらに、会社が現在抱えている問題点についても、具体的な数値目標を設定して指摘することができますから、会社が目標をクリアするのに大いに役立つことができるでしょう。

 

 

 

3-2 管理会計は経営者以外の人にとっても役立つ

会社の内部関係者としてもっとも重要な人は会社の経営者ということになりますが、管理会計で得られる情報を活用できるのはなにも経営者だけではありません。

 

例えば、会社の商品の製造にかかわる人は、商品を少しでも低コストで作るためにはどうしたらよいか?に大きな関心を持っているでしょう。

 

商品製造のためのコストを管理するためには、管理会計の一分野である原価計算という知識が大いに役立ちます。

 

また、商品の仕入れを担当している人にとって、会社の商品在庫がどのぐらいの期間で売りさばかれているかといったことは、日常の仕事を進めていくためにとても重要な情報となります。

 

在庫がどのぐらいの期間で売りさばかれて行っているかを見る指標のことを在庫回転率と呼びますが、こうした経営にかかわる指標について情報を提供するのも管理会計の役割の一つです。

 

管理会計の知識は、企業で働くすべての人たちにとって、日常の仕事に役立つ有益な情報を与えるものといえます。

 

 

4 経理とは

会計についてある程度勉強した経験がある人の中には、「会計と経理の違いがよくわからない」という方もひょっとしたらおられるかもしれません。

 

経理とは、ごく簡単にいうと「決算書を作るための作業」のことです。

 

どこの会社にも経理を扱う経理部という部署がありますが、経理部ではこの「1年に1回、1つの決算書を作る」という目標のもとに仕事が進んでいるというわけです。なお、大きな企業の場合、半期や四半期といったスパンで決算書を作ることもあります。

 

 

 

4-1 決算書は統一的なルールに基づいて作る必要がある

財務会計の部分でも説明しましたが、会計は会社の外部の人に対して、会社の1年間の活動の成果を報告するという役割があります。

 

この成果を報告するという活動は、実際には決算書という書類にまとめて提示するという形がとられます。

 

決算書はたくさんの人(債権者や取引先·株主など)が自分の仕事の判断材料として参考にしますから、統一的なルールのもとに作成されることが必要です。

 

例えば、トヨタとホンダのどちらかの会社にお金を投資しようと考えている株主がいたとしましょう。

 

「決算書を並べてみると、トヨタの方が最近は業績がよさそうだから、ホンダはやめておこう」と考えていたら、実はトヨタとホンダとでは決算書を作るときのルールが違っていた…となると、正確な比較をすることができません。

 

また、新しい取引先と取引をするかどうか判断するような場合には、過去数年分の決算書を提出してもらって、過去から現在にわたる企業の状況を把握しようということがよく行われます。

 

このとき、「実は5年前と2年前は決算書を作るときのルールが違うんです」といったようなことがあったとしたら、これも企業の状況について正しく把握することができなくなってしまうでしょう。

 

このように、決算書を作るときのルールはすべての会社で、すべての時点において統一されている必要がありますから、法律でそのルールが決まっています。

 

経理では、この会計処理に関する法律のルールにしたがって、決算書を作る作業を進めていくことになります。

 

 

 

4-2 簿記とは

「決算書を作るときのルール」のことを「簿記」と呼ぶことがあります。

 

より具体的に言うと、簿記とは「会計帳簿に取引を記録をするときのルール」のことともいえるでしょう。

 

例えば「今日は商品が100万円で売れた」というときには、その取引情報をルールに従って帳簿に記録するといった具合になります。

 

簿記のルールに従って日常的に記録した帳簿を1年間で集計し、決算書という報告書にまとめる作業が、決算ということになります(決算については後でくわしく説明します)

 

なお、現在は手書きの帳簿に情報を記録するということはほとんど行われておらず、会計ソフトと呼ばれる専門のソフトを使って処理を行うのが一般的になっています(弥生会計や、JDLといったような会計ソフトが有名です)

 

 

 

4-3 簿記を学ぶ意味

簿記は、日常的に会計ソフトに取引を記録していくときに最低限必要になる知識ですから、将来的に企業の経理部に所属して働くことを目指しているという学生の方や、自分の事業の確定申告をしないといけないという企業経営者の方が学ぶのに適しているといえます。

 

ただし、簿記も詳細な知識になると、決算書を作るための細かなルールについて学んでいくことになりますから、会計について大まかに理解したいという人や、決算書から企業の状況を読み取れるようになりたいという目的がある方は、あまり詳細な簿記の知識について学ぶ必要はないかもしれません。

 

一方で、企業の経理部や財務部といった会計専門の部署で働く人は、簿記の詳細な知識について理解しておくことは必須です。

 

目安としては簿記検定という検定試験がありますから、2級や1級といったレベルの取得を目標に学習を進めてみると良いでしょう。

 

 

5 決算とは

決算とは、ごく簡単にいうと「会社の1年間の活動成果をまとめて、決算書という報告書に落とし込むこと」をいいます。

 

上でも見たように、会社の日々の活動は簿記のルールに従って会計ソフトなどに記録されていきます。

 

1年間を通してこのように会計データを積み上げていき、1年に1回の決算日の時点で集計をして、決算書という書類にまとめるのが決算作業です。

 

本来、会社というものは時間的に区切りなく活動を行っているものですが、1年に1回程度は会社の関係者に対して「うちの会社の状態はこういう状態ですよ」と報告するのがまわりを安心させることにつながります。

 

そのため、1年に1回会計ソフトの数字を集計して、まわりに報告するための決算書を作成して報告しているというわけです。

 

 

 

5-1 決算書を債権者や株主に報告する

決算によって作成された決算書は、銀行などの債権者や、株主などの出資者に対して報告されます。

 

このとき、決算書上の数字があまりよくないと、債権者や株主としては「この会社、大丈夫だろうか」という不安を感じることになるでしょう。

 

そのため、会社の立場としては「本来の数字よりも良い数字に見せよう」というように考える可能性があります。

 

これが法律の範囲内で行われるのであればよいですが、法律のルールに逸脱する形で行われると「粉飾決算」として違法行為になってしまいます。

 

 

 

5-2 決算書の数字に基づいて税金を計算する

また、日本国内で活動するすべての企業は、1年間に1回は決算を行い、計算された利益の金額の一定割合を税金として納める義務があります。

 

決算書上の利益の金額が大きければ大きいほど税金が高くなりますので、税金の計算を行うときには、会社は「うちがはあんまり儲かっていませんよ」というかたちで決算書を作ろうとする傾向があります(利益を小さくしようとするインセンティブが働きます)

 

これが法律のルールに従った範囲で行われるのであれば問題はありませんが、もし法律を守らない形で行われる場合には、「逆粉飾決算」という違法行為に該当します

 

会社は、決算書を何に使うか(どこに対して報告するか)によって、粉飾決算·逆粉飾決算を行う動機が生じることになりますから、いずれの場合も法律のルールに厳密に従って決算を行うことが求められます。

 

 

6 決算書とは

決算書とは、大まかにいえば会社の外部の人に対して、会社の過去から現在にわたる状況について説明するための報告書のことで、①貸借対照表·②損益計算書·③キャッシュフロー計算書の3つの書類のことをいいます。

 

証券取引所に上場している大企業(トヨタ自動車やパナソニックなどの日本を代表する会社たちです)であれば、これらの決算書をすべて無料で閲覧することができますから、一度確認してみることをおすすめします。

 

ここでは、これら3つの決算書(①貸借対照表·②損益計算書·③キャッシュフロー計算書)の意味や役割について、順番に説明しましょう。

 

 

 

6-1 貸借対照表とは

貸借対照表とは、ごく簡単にいうと「会社がどこからお金を集めてきていて、そのお金を何に使っているか」がわかる決算書です。

 

貸借対照表は左側の項目と右側の項目に分かれています。

 

右側の項目は「どこからお金を集めてきたか(例えば銀行から借りてきた)」を表し、左側の項目は「持ってきたお金を何に使っているか(例えば自動車を買った)」を表しています。

 

会計では、会社が集めてくるお金は、何らかの形で投資されているというように考えますので、貸借対照表の右側と左側は常に同じ金額になることを確認してください。

 

例えば、銀行から借りてきた借入金1000万円を、現金として300万円·商品として500万円·他者への貸付金として200万円という形で使ったとしましょう。

 

この場合、銀行からの借入金1000万円は、現金300万円·商品500万円·貸付金200万円という形でそれぞれ「投資をした」というように考えるのです。

 

このケースでは、貸借対照表の右側に借入金の項目を作って1000万円、左側に現金·商品·貸付金の項目をつくってそれぞれの金額を記入することになります。

 

つまり、集めてきたお金はすべて何かに投資されていると考えますので、貸借対照表の右側と左側は常に金額が同じになるのです。

 

 

 

6-2 損益計算書とは

損益計算書は、会社が1年間の活動をした結果として、どれだけの売上を得て、どれだけの経費を支払ったのかを表しています。

 

売上高から経費を差し引きした数字が利益ですから、結果として利益の金額が計算されることになります。

 

損益計算書の一番上には売上高、一番下には当期純利益が表示されていますが、損益計算書上の「利益」には次で見るようにさまざまな種類があります。

 

どの種類の利益を見るかによって、読み取れる情報が異なりますので注意しましょう。

 

損益計算書上にあらわれるさまざまな利益の意味について簡単に説明します。

 

まず、売上高総利益は、会社が上げた売上から、仕入れや外注費などの変動費を差し引きした後の金額です。

 

この数字は「粗利(あらり)」とも呼ばれ、会社が社会に対して生み出した付加価値を表すものとも言えます。

 

粗利から事業で使う経費を差し引きした数字が営業利益で、「会社が本業でどれくらいもうけを出しているか」を表します。

 

営業利益からさらに資産運用の損益を差し引きした数字が経常利益です。

 

経常利益からさらにその期だけに生じるような損益(特別損失や特別利益といいます)を差し引きすると税引き前利益が計算でき、そこからさらに税金を差し引きすると当期純利益が計算できます。

 

当期純利益は、その会社が1年間活動をして、最終的に手元に残った利益ですから、それを株主に配当するか、翌期に持ち越すかといったことが株主総会で話し合われることになります。

 

 

 

6-3 キャッシュフロー計算書とは

決算書の3つ目がキャッシュフロー計算書です。

 

キャッシュフロー計算書は、その名の通り、会社の現金(キャッシュ)がどのように動いているかを表す決算書です。

 

損益計算書でも会社のお金の出入りはある程度わかりますが、実際の現金の動きをさらに正確に見たいときには、キャッシュフロー計算書を見るのがより確実です。

 

キャッシュフロー計算書上に表示される各項目は、次のように「会社がキャッシュを何に使ったか」を表しています。

 

大きく分けると①営業キャッシュフロー·②投資キャッシュフロー·③財務キャッシュフローの3つに分かれています。

 

営業キャッシュフローは、本業でもうけたお金の金額を表していますので、できるだけプラスの金額が大きくなるほど良いといえます。

 

投資キャッシュフローは企業が設備投資などにどれだけお金を使っているか表します。

 

企業活動は手元にあるお金を魅力的な案件に投資して、お金を大きくして回収することといえますから、投資キャッシュフローはマイナスになるのが正常といえます。

 

ただし、株式などで運用していた資産を売却して現金化したような場合には投資キャッシュフローはプラスになりますので、その期に企業がどのような活動を行ったのかを具体的に見ながら分析することが大切です。

 

最後の財務キャッシュフローですが、これは簡単にいうと外部から調達してきたお金の動きを表しています。

 

例えば、銀行からお金を借りれば財務キャッシュフローはプラスになりますし、借入金を返済するとマイナスになることになります。

 

企業がよそから借りてきたお金を順調に返済していっているときには、財務キャッシュフローはマイナスになっていることが多いでしょう。

 

なお、前期から繰り越したお金から、営業キャッシュフロー·投資キャッシュフロー·財務キャッシュフローを足し引きした金額を、フリーキャッシュフローと呼んでいます。

 

フリーキャッシュフローは、その名の通り企業が自由に使える現金ということですから、たくさんあればあるほど安全性は高くなります。

 

一方で、フリーキャッシュフローが非常に少なくなっていたり、マイナスになっていたりするような場合には、何らかの形で資金調達が必要になっている状態といえます。

 

 

7 財務とは

現在、企業で働いている人の中には、経理部の他に「財務部」という部署があることに気づかれた方もいらっしゃるでしょう。

 

小規模な企業の場合には、財務部と経理部は同じ部署になっていることも少なくありませんが、財務の仕事は経理とは少し役割が違います。

 

 

 

7-1 財務=企業で使うお金を集めてくる仕事

財務とは、ひと言でいえば「お金や資産の管理をすること」で、企業においては資金調達や資金繰りのことを意味することが多いです。

 

資金調達·資金繰りというのは、これも簡単にいえば「企業活動に使うお金をどこから集めてくるか」を扱う仕事のことです。

 

多くの会社は、銀行からお金を借りたり、株主からお金を出資したりしてもらうといった方法によって資金調達をしています。

 

こうした方法によって企業が調達した資金は、何らかの形で利息をつけて出資者に返さなくてはなりません。

 

銀行などの債権者であれば、貸したお金は利息を付けて返してもらうように借用証書をとっていますし、株主であれば出資したお金に対して配当という形でのリターンを期待するのが普通だからです。

 

企業の財務にかかわる人たちは、こうした「お金を出してくれている人たち」とのやりとりを専門としています。

 

 

 

7-2 財務担当者は経営者の直属となっていることが多い

企業はお金が無くなるとすなわち倒産ということになりますから、財務担当者が扱う資金調達や資金繰りの仕事は非常に重要な意味を持っているといえます。

 

そのため、財務の担当者は経営者とのやりとりができるだけスムーズにできるよう、経営者直属の組織となっていることが少なくありません。

 

また、中小企業の場合であれば企業経営者の仕事の時間の多くが、この財務にあてられているケースも多いです。

 

ドラマなどではよく銀行の融資担当者などと企業経営者が交渉している場面が描かれますが、あれはまさしく経営者が財務の仕事をしている場面というわけです。

 

 

 

7-3 経理と財務の違い

一般的な企業では、経理部で企業のお金にかかわる仕事について経験を積んだ人が、さらなるステップアップとして財務部に入るというケースが多いでしょう。

 

ただし、財務と経理がほとんど同じような仕事をしているという会社もありますし、逆に、まったく違う部署になっていて働く人たちもお互いに別々というケースもあります。

 

お金に関する仕事を扱うという意味では経理と財務は非常に親近感のある仕事ですが、経理が「決算書を作る部署」であるのに対して、財務は「決算書を使う(決算書を使って外部の人と交渉する)」という役割の部署であることも指摘できるでしょう。

 

 

8 財務指標とは

企業の決算書を見ると、その企業が置かれているおおまかな状況を理解することができます。

 

しかし、複数の年度の決算書を比較するときや、同業に属する複数の企業の状況を横断的に理解する必要があるというときには、決算書をひとつひとつチェックしていくことは必ずしも効率的ではありません。

 

このような場合には、決算書の数字から一定の計算式に基づいて算出できる「財務指標」を参考にするのが便利です。

 

 

 

8-1 財務指標の使い方

例えば、売上高総利益率という財務指標がありますが、これは「企業があげている売上のうち、いくらぐらいがその企業の手元に残っているのか」を割合で表示したものです。

 

計算式にすると、次のようになります。

 

売上高総利益率=(売上高-仕入高)÷売上高×100

 

具体的には、商品を80万円で仕入れて、100万円で売り上げたという場合には、20万円が企業の手元に利益として残っていることになります。

 

このとき、売上高総利益率は20%というように計算することができます。

 

複数の年度にわたって企業の業績を比較するような場合には、この財務指標を活用するのがとても便利です。

 

例えば、2016年度の売上高総利益率は20%・2017年度は22%・2018年度は25%…というように比較してみると、「この企業はだんだん手元に残るお金が増えていっている。事業は順調なようだ」というように直観的に判断することができるというわけです。

 

このように、財務指標は企業の活動状況をより深く理解するために使われる便利ツールのようなものです。

 

この財務指標は大まかに分けて次の3種類に分類することができます。

 

  • 収益性を見る財務指標
  • 成長性を見る財務指標
  • 安全性を見る財務指標

 

以下、それぞれの種類の指標について、代表的なものをいくつか紹介しましょう(財務指標は以下で説明するものの他にもたくさんあります)

 

 

 

8-2 収益性を見る財務指標

収益性を見る財務指標のうち、もっとも重要なものが「総資本利益率(ROAともいいます)」です。

 

総資本利益率とは、ごく簡単にいうと「企業が投下した資本から、どのぐらいの収益を得ているか」を見る指標です。

 

総資本利益率の高い企業は、身軽な体(少ない資本)で多くの収益をあげている筋肉質な企業というイメージになるでしょう。

 

総資本利益率(ROA)は、計算式では以下のようになります。

 

総資本利益率=当期純利益÷総資産×100

 

※なお、当期純利益の他にも営業利益や経常利益を使うこともあります(決まったルールがあるわけではなく、どのような情報を得たいのか?によって使い分けます)

 

例えば、当期純利益が100万円、総資産が1000万円という場合には、総資本利益率は10%(100万円÷1000万円×100)と計算できます。

 

計算式から明らかなように、企業が得ている収益が大きくなればなるほど総資本利益率の数値も大きくなります。

 

一方で、企業が得ている収益が少なくなったり、投下する資本が増えたりしたような場合には、総資本利益率は低下することになります。

 

なぜこの指標が重要かというと、要するにこの指標は「利回り」を計算する指標であるからです。

 

イメージがしにくい方は、銀行預金の利率と同じものだと考えてください。

 

「銀行に預けるお金=投下資本、1年間で受け取る利子=当期利益」と考えれば、銀行預金の利率はその銀行の総資本利益率(ROA)とみることができます。

 

誰しも少しでも高い利率の銀行にお金を預けたいと考えるのと同じように、債権者や投資家は少しでも総資本利益率が高い企業にお金を投資したいと考えます。

 

総資本利益率は、債権者や投資家が「この企業にお金を預けたら、どのぐらいの収益をつけて返してくれるだろうか」と考えるときに参考にする指標ですから、まさしく外部からの投資を期待できるかどうかに直結する重要な指標というわけです。

 

優良企業の総資本利益率はおよそ5%~10%程度といわれますが、比較的資本規模の小さい優良ベンチャー企業などの場合は数十%を超える数値となっていることもあります。

 

 

 

8-3 収益性を見るその他の財務指標

収益性を見る財務指標の中では、上で見たように総資本利益率(ROA)が最も重要と考えられますが、その他の収益性指標として次のようなものもよく使われます。

 

売上高利益率=利益÷売上高×100

 

売上高に対する利益の割合を見る指標で、企業があげている売上高のうち、どれだけの割合が最終的に企業の手元に残っているのかを表しています。

 

計算に使われる利益は当期純利益·税引き前利益·営業利益·経常利益·粗利益などがあり、どのような情報を得たいのかによってケースバイケースで使い分けられます。

 

自己資本利益率(ROE)=当期純利益÷株主資本×100

 

総資本利益率が会社のすべての資本に対する収益性を見る指標であったのに対して、自己資本利益率は、株主資本に対する収益性を見る指標です。

 

株式投資の判断材料として使われることが多いですが、他人資本(負債)の増加によってROEが大幅に高まるようなケースもありますので、この指標を判断材料にするときには貸借対照表の具体的な項目まで精査する必要があります。

 

 

 

8-4 成長性を見る財務指標

成長性を見る財務指標としては、前年と比べて売上高や利益がどれだけ伸びているかを表す指標がよく使われます。

 

売上高伸び率や経常利益伸び率というように呼ばれるものがそれで、財務指標という言い方をするとややこしく感じるものの、一般的な意味でいう「伸び率」という言葉と大きな違いはありません。

 

例えば売上高伸び率(売上高成長率)であれば当期の売上高から前期の売上高を差し引きし、前期の売上高で割れば計算できるといった具合です。

 

当然ながら、成長率は大きければ大きいほど望ましいということになりますが、抜本的な事業のあり方に変更を加えたような場合には、投下した資本が利益という形で回収されるまで時間的なラグが生じることも少なくありません。

 

単純に前年と比べて伸びている、下がっているという視点だけでなく、その会社の経営者がどのような戦略と時間的なスパンのもとに投資をしたのかといった要因とともに探ることが、成長性を表す指標をみる際には重要です。

 

 

 

8-5 安全性を見る財務指標

安全性を見る財務指標とは、ごく簡単にいうと「その企業が倒産してしまうリスクがどのぐらいあるか?」を見るための指標です。

 

「会社の安全性」とは「企業の支払い能力」と同じ意味で、具体的には貸借対照表の資産の部と負債の部のバランスから判断されます。

 

例えば、安全性が0の会社というのは、支払い能力がまったくない危険な会社という意味になるでしょう。

 

安全性を見る財務指標としては、次のようなものがよく使われます。

 

流動比率=流動資産÷流動負債×100

 

流動比率は、直近1年間で返済期限がくる負債(流動負債)を、現預金などの流動資産でどの程度カバーできているかを見る指標です。

 

例えば、3か月後までに100万円を銀行に返さなくてはいけないけれど、手元にあるお金は30万円しかないという場合、流動比率は30%ということになります(このまま3か月後が到来したとしたら、この企業は倒産してしまいます)

 

流動比率が100%を超えていれば直近1年間は倒産の可能性が極めて低いといえますが、優良企業とされるためには200%程度の数字が必要と言われます。

 

なお、流動比率は高ければ高いほど安全性が高くなるものの、あまりにも流動比率が高い企業(300%や400%など)は、「手元にある現金を上手に活用できていない」という評価を受ける可能性もあります。

 

企業は利益を得るためにいろんな投資先にお金を投資することが期待されていますから、現預金が手元に眠っているというのは、悪く言えば企業活動をさぼっているとみなされることがあるのです。

 

固定比率=固定資産÷自己資本×100

 

固定比率は、株主から集めたお金(自己資本)のうち、どれだけを固定資産を買うのに使っているかを表す指標です。

 

都市部の一等地など、評価の高い固定資産を多く持っている会社が評価されることもありますが、固定資産は短所として現金化がしにくいという点があげられます。

 

そのため、固定資産の金額は自己資本の範囲内に収めるのが安全性という面では望ましいといえます。

 

その意味で、固定比率が100%を大幅に超えるような場合には、設備投資のあり方を見直す必要があるとされることがあります。

 

 


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