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経理担当者、個人事業主、フリーランスが知っておきたい会計知識と確定申告の方法

経理は会社の機能の中でも非常に重要なセクションです。そのため、より改善を図りたいと考える経営者や経理部門の責任者の方も多いと思います。
もっと正確なものを作り上げたい、よりスピーディーに仕上げたい、誰にでもできる仕組みを作りたい、そういった悩みを解決する方法の1つとして経理業務をアウトソーシングすることが考えられます。
今回は経理部業務の中心となる会計の知識と経理業務をアウトソーシングをするメリット、また確定申告の方法についてご紹介していきます。

 

 

1 経理部の仕事

会社は永続的に事業活動を行います。事業活動の成果を表すためには、小中学生の通知表と同様に、期間を区切ってその期間の成果を計算することが必要となります。この区切られた期間のことを事業年度と呼び、ほとんどの会社は1年間を1事業年度として事業活動を行います。

 

そして、その事業年度が終了する日を決算日といい、各会社はそれぞれの決算日を定めています。この決算日ですが日本では3月末を決算としている会社が多いと言われています。理由は、様々ありますが一番大きいのは、昔から春を1年のスタートする文化が影響しています。3月末を決算日とする会社は、日本全国の会社の約2割に上ります。

 

経理部の仕事は、各事業年度の業績を計算し報告することが大きな目的になります。
しかし、そのためには決算が終了してからだけでなく、毎日細かな業務を行う必要があります。下記はそのうちの一例です。

 

1 経費の精算処理
2 証憑類の整理
3 現金残高のチェック
4 預金残高のチェック
5 各種帳簿の作成
6 固定資産台帳の作成
7 試算表の作成

 

もちろん、この他にも経理部が担う業務はたくさんあります。経理部の業務は営業部の業務とは異なり目立つことは少ないかもしれませんが、会社にとって大変重要な役割を果たしています。大きく成長する会社ほど経理部に力を入れているのは言うまでもありません。

 

 

2 会計の基礎知識

経理部の中心的な業務は、会計処理業務です。
会計処理業務は、会社の様々な取引を「会計」として書類に記載することで、会社の業績(成績)を明らかにするために行います。
経理部は営業などの業務とは異なり、ノルマや成績が見えない作業が多いですが、会社にとってなくてはならない仕事を行う部署となります。
ここでは、会計処理の前提となる簿記の基本的な仕組みと会計処理に絡む日常処理業務について説明します。

 

 

 

2-1 簿記

簿記とは、「帳簿記入」の略称で、一定のルールに従ってカネやモノの動きを帳簿に記録し、計算・整理することをいいます。この簿記の最終目的は決算書の作成です。_
会社は、日々数多くの取引を行っています。その取引を一定のルールに従って帳簿に記録・分類し、これを集計することで会社の1事業年度の利益や所有する財産、負債などが一目でわかるようになります。

 

この発生した取引を一定のルールに従って分類することを「仕訳を切る」といい、取引の内容を表す科目のことを「勘定科目」といいます。
この「勘定科目」は、資産、負債、純資産、収益、費用という5つのグループに分けられます。このうち、資産・負債・純資産は決算書のうちの貸借対照表という財産状況を示す書類を構成し、収益・費用は1事業年度の業績を示す損益計算書という書類を構成します。

 

 

 

2-2 勘定科目の各区分

資産 資産とは、会社の財産のことです。皆さんがイメージしやすいものとしては、「現金」ですが、処分すれば現金化できるようなものはすべて資産に含まれます。また、現金化はできないものの、将来に費用となるものを先に支払った場合なども資産となります。これは、将来における現金を支出しなくて済ませることができることから、資産として取り扱うことにするのです。
例えば、会社が購入した不動産は資産に該当します。また、貸付金は回収することで現金化できるので、こちらも資産に該当します。
負債 負債とは、マイナスの財産のことで、将来、現金の減少をもたらすもののことをいいます。典型的なものは、「借入金」です。また、現金の減少をもたらすものではないが、将来の収入となるものを先にもらった場合も負債となります。これは、すでにもらっているので将来における現金収入がなくなることから負債として取り扱うこととするものです。
純資産 純資産とは、資産総額から負債総額を差し引いた残額、すなわち会社の正味財産のことをいいます。典型的なものは、「資本金」です。
なお、毎期の利益は、純資産に計上されますが、これについては特段仕訳を要しません。損益計算書の当期純利益はそのまま貸借対照表の純資産に計上されます。
収益 収益とは、資産を増加させたり、負債を減少させる要因となるものをいい、その典型例は売上です。
費用

費用とは、収益を獲得するために費やした金銭等をいい、その典型例は、売上を獲得するための商品代金です。費用の発生により、資産が減少したり、負債が増加したりします

 

 

2-3 日常処理の会計処理

経理の基本的な仕事は、日々発生する取引のすべてを記録し、最終的に月次決算書や年度決算書を作成することです。この日々発生する取引を記録するための用紙が伝票といわれるもので、入金伝票、出金伝票、振替伝票の3種類があります。

 

・入金伝票

入金伝票は、「現金」が増加したときに記録するものです。資産の増加は借方に記録しますので、入金伝票の場合、借方は必ず「現金」となります。したがって、借方の記載が省略された様式となっており、貸方の「勘定科目」「摘要」「金額」のみを記載すればよいことになります。

 

・出金伝票

出金伝票は、「現金」が減少したときに記録するものです。資産の減少は貸方に記録しますので、出金伝票の場合、貸方は必ず「現金」となります。したがって、貸方の記載が省略された様式となっており、借方の「勘定科目」「摘要」「金額」のみを記載すればよいことになります。

 

・振替伝票

「現金取引」以外の取引は、すべて振替伝票に記載します。振替伝票は、入金伝票、出金伝票と異なり、借方、貸方の両方に記載しなければなりません。

 

市販されている会計ソフトに上記の入金伝票、出金伝票、振替伝票の内容を入力することにより、会計処理がなされ各種の帳簿は自動的に作成されます。入力作業は人が行いますからミスが発生します。入力ミスがないかのチェックは必ず行ってください

 

 

3 月次決算

経理部では毎月1か月の入力作業が終了すると月次決算を行うことになります。月次決算とは、文字の通り1か月間の会社の決算を意味します。
この月次決算の目的としては、会計情報を迅速に提供すること、予算の達成度合い(進捗率)を把握すること、年度決算の予測に役立てること、年度決算作成の時間を短縮すること等、様々なことが挙げられます。

 

事実を正しく伝えるという観点からの目的はこの通りですが、これらはどちらかというと決算書の作成側からの目的と言えるでしょう。
では、会社としてはどのような目的があるでしょうか。それは、会社の利益の維持・成長、財政の安定・強化に必要な正しい情報をいち早く提供し、経営者が望ましい経営施策を検討することにあります。

 

 

 

3-1 月次決算の報告者に求められる能力

利益やキャッシュフローを増やし、会社の成長、財政の安定を実現するのは月次決算の目的ではありません。これは経営の問題といえます。

 

だからといって、「赤字になったり、資金繰りが苦しくなったりするのは月次決算の問題ではない」とは言い切れません。それは、会計を利用した決算報告が適切に行われておらず、経営者の判断に貢献していない可能性があるからです。報告者は月次決算を利用した問題分析力や報告力、提案力が求められるのです。

 

 

 

3-2 月次決算のポイント

会計ソフトからの試算表をそのまま説明資料とすることは、情報の網羅性という点では良いですが、重要な説明ポイントを絞りにくくなります。どうすれば的確に重要ポイントを伝えられるかという視点で、資料を作成する必要があるのです。

 

1つの大きなポイントは前期比較を行うことです。前年同月の試算表と比較することで本年の業績がつかみやすくなります。必要に応じて3期比較、5期比較を行うとより良いでしょう。

 

さて、月次説明の準備が整った後は、これを伝える作業が待っています。
人前で発表するのはどんな人でも緊張するものです。最初からまったく緊張しない人などいないでしょう。

 

ただ、人前で堂々と自身を持って話して、緊張など全くしていないように見える人を見かけるのも事実です。どうすれば人前で堂々と自信をもって話ができているのでしょうか。ポイントは次の3つです。

 

慣れる 一番の点は「慣れること」です。家族や友人には自分の思いを伝えることができているのではないでしょうか。コミュニケーションの基本は1対1です。大勢の前で緊張するのは家族や友人と話すときのリラックスした「いつもの自分」とは異なっているからです。これを克服するには「慣れる」ことが重要なポイントになります。
緊張をなくそうと思わない 「どうすれば緊張をなくすことができるでしょうか」という疑問は、みなさんが抱く疑問です。しかし、これは解決策としてはズレてしまっています。緊張がなくなることはありません。生理現象だからです。緊張するのは当然であり、自分だけでないことだと考えましょう。そうすることで緊張は自然と消えてくるはずです。
わかりやすく丁寧に伝えること プロ並みに上手に伝えるプレゼンテーション力を身に着けるには、特別なトレーニングが必要です。しかし、決算説明にはそこまでの力はいりません。丁寧にわかりやすく伝えることで、伝えたいことは伝わります。真心こめて丁寧に話すことが重要なのです。

 

 

4 資金繰り

当座預金残高が不足しているために、振り出した手形について手形期日に決済できなくなることを不渡りといいます。6ヶ月以内に2回不渡りを出す と銀行取引停止処分となり、当座取引と融資取引が2年間できなくなります。この銀行取引停止処分になると即倒産というわけではありませんが、不渡り情報が一気に広まり、信用力が急激に落ちるため、取引に支障をきたして事業継続が困難となります。

 

つまり、銀行取引停止処分=「事実上の倒産」を意味します。したがって、「不渡り」は絶対に避けなければなりません。そのために、毎月の入金予定と出金予定を把握し、これをもとに資金繰り予定表を作成します。そして、当座預金口座の資金不足が予想される場合は、借入の実行や定期預金の取り崩し等により、資金調達を図らなければなりません。経理にとって、この「資金繰り管理」がもっとも重要な業務といえますので「資金繰り表」は必ずマスターしましょう。

 

損益計算書の利益はプラスなのに、現金預金がなく、不渡りを出して倒産してしまうことがあります。これを「黒字倒産」と呼んでいますが、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それは、利益=現金入金ではないからです。利益は収益から費用を差し引いて計算します。収益と現金入金、費用と現金出金がイコールであれば、利益と現金は一致しますが、実際はこのようにはなりません。

 

現金商売であれば売上=入金となりますが、ほとんどの場合は掛け売りで、現金回収するのに1ヶ月から3ヶ月程度要するのが一般的です。仕入についても同様です。また、費用には減価償却費というものがありますが、これは会社が購入 した固定資産の価値の減少を処理する費目で、現金支出を伴うものではありませ ん。

 

このような理由から、損益計算書は資金繰りの良し悪しを判断する資料にはなり得ません。そこで資金繰り表を作成することが必要になります。資金繰り表は、最低でも6ヶ月先まで作成して資金不足に備えます。なぜなら、6ヶ月後に資金不足となる可能性がある場合は、今のうちから資金調達を含めた資金不足の回避方法を検討しなければならないからです。支払手形や小切手の引き落としは、当座預金で行われます。普通預金に残高があっても当座預金に残高がなければ、不渡りとなってしまいますので、資金繰り表は預金口座ごとに作成します。

 

中小企業の社長に、「御社の悩み・経営課題は何でしょうか?」と尋ねると、半数以上が、「資金繰り」と答えます。大企業のように、設備投資や研 究開発等の中長期プランにおける多額な資金調達ではなく、一年、半年、さらには来月の支払のための資金調達に頭を抱えている企業も少なくありません。

 

2007年のサブプライム問題、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災と近年、日本経済に大きな打撃を与えた出来事が続きました。中小企業では、これ以前から、海外企業との競争により売上高が減少し、いつ資金ショートしてもおかしくないという状況の中、さらに追い打ちをかけられたわけです。資金ショートは、事実上の倒産を意味します。したがって、資金力に余裕のない中小企業にとって、もっとも神経を使う業務が資金繰りの管理であり、それを担うのが経理部なのです。

 

 

5 年次決算

決算期を迎えると、経理部としては1年で1番大きな仕事である決算書の作成を行います。この決算書は、会社の経営成績や財政状態を利害関係者に開示するために作成するものです。利害関係者として、株主、債権者、国、経営者がいます。株主は自分のお金を投資するかどうかを判断するため、債権者は取引する相手として問題ないかを判断するため、国は税金が正しく計算されているかを判断するため、そして経営者は会社の経営状況を把握するために決算書を利用します。

 

主たる決算書は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書であり、これらを補足するものとして、株主資本等変動計算書と製造原価報告書があります。

 

・貸借対照表

貸借対照表は、現在の財政状態を表すものです。貸方(右側)は、資金をどのようにして調達したかを示し、借方(左側)は、調達した資金をどのように使ったかを示しています。調達した資金には、金融機関等外部から調達したもの、株主から調達したもの、そして会社自身が営業活動により獲得したものがあります。外部から調達したものは負債の部に計上され、株主から調達したものは純資産の部の「資本金」に計 上され、会社自身が獲得したものは純資産の部の「利益剰余金」に計上されます。

 

そして、これらの調達資金は、すぐに返済しなければならないものから順番に記載されます。記載区分として、「流動負債」「固定負債」「純資産」があり、流動負債には1年以内に返済しなければならないもの、固定負債には1年超の長期にわたって返済するもの、純資産には返済しなくてもよいものが記載されます。資金の使い道には、今後の事業活動のための設備投資、余剰資金の運用としての株式投資等、借入金等の返済原資としての預金などがあります。そして、これらは、現金化しやすいものから順番に記載されます。記載区分として、「流動資産」「固定資産」があります。流動資産は1年以内に現金化される資産であり、固定資産とは長期(1年超)で現金化される資産です。

 

・損益計算書

損益計算書は、1年間の経営成績を表すものです。売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益に分けられて表示されます。

 

売上総利益は、売上高から販売した商品や製品に直接要した費用である売上原価を差し引いた利益をいいます。営業利益は、主な営業活動から得られた利益のことで、売上総利益から販売費(商品や製品を販売するためにかかった費用)と管理費(会社を維持するためにかかった費用)を差し引いて求めます。

 

経常利益は、経常的な経営活動から得られる利益です。営業利益に営業外収益を加え、そこから営業外費用を差し引いて求めます。税引前当期純利益は、企業活動から得られる全ての利益です。経常利益に特別利益(臨時的な利益)を加え、特別損失(臨時的な損失)を差し引くことで求めることができます。当期純利益は、当期の所得に対して課税される法人税、法人住民税、法人事業税を差し引いた後の最終利益をいいます。

 

・製造原価報告書

製造原価報告書は、製造業を行う会社における売上原価の内容を示す計 算書です。小売業における売上原価は、仕入商品の購入価格がそのまま売上原 価となりますが、製造業の場合はそう簡単にはいきません。原材料を仕入れ、それを自社工場で加工し、製造工程の一部を外注先に委託し、検査工程を経て製品が完成します。

 

このように、製品が出来上がるまでにさまざまな費用が必要となりますので、これを売上原価のみで表示してしまうと、製品を製造するためにどのような費用がかかっているか分かりません。そこで、これらの費用を明らかにするために作成するものが製造原価報告書です。製造工程に投入した原材料を示す「材料費」、製造に関わった従業員の人件費を示す「労務費」、製造の一部を外 部に委託した場合の外注加工費や工場で使用する消耗品等の費用を示す「経費」の3つに区分して表示します。

 

・キャッシュフロー計算書

損益計算書の収益及び費用が現金預金の入金及び出金と一致しないところにキャッシュフロー計算書を作成する意味があります。キャッシュフロー計算書は、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローの3つに区分されます。営業活動によるキャッシュフローにより、会社の営業活動による現金預金の入金と出金の状況を把握します。投資活動によるキャッシュフローにより、何に投資し、その投資から得られたリターンがどれだけあるかがわかります。

 

財務活動によるキャッシュフローにより、会社がどのような方法で資金調達し、調達資金をどれだけ返済したかがわかります。

 

 

6 アウトソーシングの活用による経理業務の標準化

経理業務をアウトソーシングすることの目的の1つは、経理業務の標準化にあります。経理業務を標準化する目的は、業務プロセスを改善することにより経理部門が抱えている問題を解決し、軽業務の品質とスピードを高めることにあります。経理業務の標準化する手段として、アウトソーシングを活用することはとても有用です。

 

 

 

6-1 記帳業務のアウトソーシング

経理は数字を扱うものだから、誰がやっても結果は同じものだと思っている方も多いかもしれません。例えば、預金残高が100万円ある場合に、AさんもBさんも預金残高100万円と報告するでしょうし、帳簿の残高も100万円に合わせてあるはずです。誰がやっても残高100万円という結果は同じになります。しかし、掘り下げてみると、実は報告内容がAさんとBさんではぜんぜん違うということが経理ではあります。

 

Aさんは日々の預金の動きを確認し、入出金の内容を正確に帳簿につけたうえで「残高100万円」という結果を報告します。一方で、Bさんは「残高100万円」という結果は同じものの、入出金の内容があいまいで、帳簿を見てみると使途不明金があり、単なる数字合わせになってしまっています。結果は同じでもAさんの報告内容の方が正確で信頼性があり、預金の増減理由も把握できます。これは極端な例ですが、経理の現場では実際にこういったことがあります。

 

それでは業務のスピードはどうでしょうか?Bさんはただ単に数字を合わせているだけだから、Bさんの方が早いと思うかもしれませんが、実際はそうではありません。Bさんは日々の入出金の内容をしっかりと確認していないため、預金残高と帳簿残高に差異が生じた場合には、その原因を調査という業務が発生します。普段の業務で手を抜いてしまっているために、余計に時間がかかってしまい、結果としてAさんの方が業務スピードも早くなることでしょう。

 

こういった問題を解決するには、「入出金があった時点で帳簿に記帳する」「預金残高と帳簿残高を毎日合わせる」というルールを作ります。しかし、Bさんの上司や先輩にそれを教えることができるAさんのような人がいればいいのですが、すべての会社がそうではありません。特に中小企業や事業を始めて間もないベンチャー企業などには頼れる経理担当者がいないことも多いです。そこで、経理業務のアウトソーシングを活用することになります。

 

アウトソーシング業者は独自のルールにしたがって経理業務を消化してくれます。日々の記帳業務をアウトソーシングすることで、経理業務が標準化され、結果として正確な会計帳簿をスピーディーに作成できることになります。また、コスト面でも社員を1人雇うよりもアウトソーシングした方が有利になる可能性もあります。

 

アウトソーシング業者の中には、経理業務の改善に特化した業者もあります。外部の業者に経理業務のコンサルティングを頼むことで、会社の経理業務の内容を分析し、問題点の解決や業務フローの改善を図り、経理業務の品質とスピードを向上することができます。

 

 

 

6-2 決算業務のアウトソーシング

経営者は経理業務の中でも決算業務を非常に重要視しています。会社の正確な財政状態や経営成績をできるだけ早く知りたいと考えています。しかし、ほぼすべての会社が問題を抱えていると言っても過言ではないのが決算業務になります。

 

ミスが多くて何度も修正が入る、修正に時間がかかってしまい決算スケジュールが遅れてしまう、遅れをカバーするために経理部門の社員の残業が増えるという悩みは多くの企業から聞かれます。決算業務は税務申告などとあわせて税理士事務所などにアウトソーシングしている会社も多いと思いますが、ミスの原因を調査したり、修正をしたりといった内容について顧問税理士と連絡取り合いながら進めるため余計に時間はかかります。

 

決算の時期は作業が多く時間がかかるのは仕方のないこと諦めてしまっている経理担当者も多いことでしょう。しかし、決算は毎年のことです。決算業務も標準化することで業務改善し、品質とスピードを高めることはとても重要なことになります。

 

チェックリストを作成して決算業務の漏れを防止する、資料の重複や内容を見直しして決算業務を合理化する、経理担当者間での業務の分担を見直す、決算スケジュールを立て慎重管理をしっかりするなど、経理業務を標準化することで、早期に正確な決算資料を作成することが可能になります。

 

決算業務にはより専門的な知識が必要になるため、自社でそれをすることができない会社も多いかと思います。そこで考えられるのがアウトソーシングの活用になります。税理士事務所などの決算業務をアウトソーシングするのではなく、記帳業務などの日次業務をアウトソーシングしている業者に決算業務も頼んでしまうというのも1つの手です。アウトソーシング業者は日々の帳簿を記帳しているため、会社の取引内容等をしっかりと整理した形で把握しています。決算業務も同じ業者に依頼することで、日々の経理業務から決算業務までワンストップで行うことで、より効率的に決算業務を進めることが可能になります。

 

 

7 経理業務をアウトソーシングするメリット

前章では、経理業務をアウトソーシングすることのメリットとして、経理業務の標準化が図れ、結果として業務の品質とスピードの向上につながることについて説明しましたが、その他にもメリットがいくつもあります。ここでは、経理業務のアウトソーシングによるメリットについてご紹介したいと思います。

 

 

 

7-1 本業に集中することによる業務効率化

経理業務をアウトソーシングすることで、人材等の経営資源を本業に集中させることが可能になります。経理業務の中でも、日々のルーティンワークのような誰がやっても同じ結果となるような業務は専門の業者にアウトソーシングすることで、会社全体の業務の効率化を図ることができます。

 

ただし、経理業務のすべてをアウトソーシングすればいいということではありません。企業の成長を目的とした将来の投資や、適切な経営判断を行うための管理体制の設計など、企業の将来の数字を作っていくための業務については自社判断し実施していくべき業務になります。

 

 

 

7-2 人件費等のコスト削減

経理業務をアウトソーシングすることのメリットとして、人件費をはじめとするコストの削減があります。記帳業務や請求業務、支払業務、月次試算表作成、決算業務などといった、一定の知識は必要になるが、結果としてだれがやっても同じとなるような業務は、アウトソーシングすることでそこにかかる人件費を削減することができます。

 

また、繁忙期と閑散期とで経理業務の作業量にバラツキがあるような会社では、繁忙期にのみ経理業務のアウトソーシングを導入し、閑散期は自社の社員のみで業務を行うといったことも可能になります。繁忙期のためだけに人員を増やすのではなく、アウトソーシング業者を活用することで全体の費用を一定の水準に抑えることができるというメリットがあります。

 

 

 

7-3 専門知識やノウハウを享受できる

会計業務を行ううえでは高度な専門識を要する場面が多くあります。特に税法は、国際的な流れを受けて毎年たくさんの改正が入るため、会社はそれらの改正に常に対応していくことが必要なります。税務・会計に関する情報はさまざまな媒体を通じて発信されているものの、これらすべてを自社の経理担当者が把握することは容易なことではありません。

 

そこで、経理業務のアウトソーシングのメリットが出てきます。その道のプロであるアウトソーシング業者は常に専門的な知識を学んでおり、また多くの企業にサービスを提供することで経験値も段違いに高いです。経理業務をアウトソーシングすることで、アウトソーシング業者が持っている知識や経験によるノウハウを享受することができることになります。

 

 

 

7-4 社員の欠員に対するリスクヘッジ

社員の退職、または事故や病気などによる長期休暇により経理担当者がいなくなってしまうということに対するリスクヘッジとしてもアウトソーシングは役立ちます。経理部門の人数が多い大企業でしたらそれほど問題はないと思いますが、中小企業などのように経理部門が少人数の会社や、経理を1人の担当者に任せている会社の場合には、経理業務に大きな影響をあたえることでしょう。

 

マニュアルが完備されていて、誰でも経理業務ができるような体制ができていればいいのですが、そういったケースは少ないと思います。経理部門の社員の欠員に対する備えとしても、アウトソーシングは有用な手段になります。

 

 

 

7-5 経理担当者による不正の防止

経理業務をアウトソーシングすることは、経理部門で起こる不正の防止にも役立ちます。経理部門の人員が少ない会社や経理の担当を1人の社員に任せているような会社では、経理業務におけるチェック機能が働きづらくなっており、不正が起こりやすい状況にあるといえます。

 

アウトソーシング業者を活用すると、外部の目が入ることになりチェック機能が働くようになります。記帳業務や、請求・支払業務といったルーティンワークを外部の業者にアウトソーシングし、会社ではそれを管理する担当者を1人配置することで不正が起こることを防止することができ、さらには人件費のコストを抑え、業務の効率化も図れることになります。

 

 

8 経理業務をアウトソーシングするデメリット

経理業務のアウトソーシングには多くのメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。ここでは経理業務をアウトソーシングすることのデメリットについてご紹介します。アウトソーシングを導入する際にはメリットだけではなく、デメリットがあることも踏まえたうえで検討することが必要になります。

 

 

8-1 業務プロセスやノウハウが蓄積されない

経理業務をアウトソーシングしてしまうと、社内において経理の業務プロセスやノウハウが蓄積されないことになります。日々の記帳業務のような単純作業のみをアウトソーシングしているのであれば問題ありませんが、高度な知識や経験に基づく判断が必要になるような業務をアウトソーシングしている場合には、自社にそのノウハウがないため相応のリスクを伴うことになります。

 

経理業務のアウトソーシングをやめて再び自社で経理業務を行うことにした場合には、これまでのノウハウが社内にはまったく蓄積されていないため、業務効率が大幅に低下してしまう可能性があります。また、アウトソーシングが事業を撤退したり倒産するといったことも考えられます。その場合には、経理機能が一時的に停止してしまうというリスクも考えられます。

 

 

 

8-2 イレギュラーな対応が難しい

経理業務をアウトソーシングしている場合には、経理部門が社内にある場合と違いイレギュラーな事象に対する対応が難しくなります。アウトソーシング業者は、契約による業務プロセスやスケジュールに基づいて業務を行うため、緊急的な対応ができないことがデメリットの1つになります。

 

また、リアルタイムで数字を把握できないというデメリットも考えられます。先に述べたように、アウトソーシング業者は契約内容に基づいたスケジュールで業務を実施するため、作業が完了し納品されるまで数字を把握することができません。

 

 

 

8-3 情報漏洩のリスク

経理業務をアウトソーシングするということは、会社が持っている個人情報や顧客情報といった重要なデータを外部のアウトソーシング業者に提供することになります。近年ではそういった機密事項の取り扱いに関して情報管理を徹底することが求められていますが、ニュースなどでもしばしば見かけるように、情報漏洩のリスクがまったくないわけではありません。

 

また、アウトソーシング業者の情報管理に問題はなかったとしても、サイバー攻撃といわれる外部からのクラッキング行為を受ける可能性もあります。

 

 

9 おすすめのアウトソーシング業者5選

アウトソーシング業者にもそれぞれ得意分野があり、

 

 

 

9-1 メリービズ(https://merrybiz.jp/

大きく分けて、独自のルールに従って記帳業務を行うロボット経理と、カスタマイズが可能なバーチャル経理アシスタントといった2つのプランが用意されています。ロボットを導入することで低コストな経理業務のアウトソーシングを実現すると同時に、バーチャル経理アシスタントというプランを用意することで、個人事業主から上場企業まで幅広い業務に対応することが可能。導入実績も多数あり、顧客満足度95%という品質の高さも誇っている業者になります。

 

 

 

9-2 NOCアウトソーシング&コンサルティング(https://www.noc-net.co.jp/

経理業務のアウトソーシングを外部委託という形で請け負う以外に、スタッフが常駐するという形でも委託することができるのが特徴。業務改善も得意としており、経理業務の分析から改善提案といったコンサルティング業務も行っています。また、経理業務だけでなく、人事業務や給与計算、カスタマーサービスなどにも対応していて、バックオフィス業務全般のアウトソーシングが可能です。

 

 

 

9-3 経理・記帳代行サポートオフィス(https://www.keiri-tokyo.com/

税理士法人YFPクレアが行っているアウトソーシング業者。母体である税理士法人YFPクレアは、新宿・浦和・横浜・千葉に事務所があり、一都三県の中小企業を中心に1,200社以上のクライアントを抱えているという実績があります。

 

1社ごとに専任の女性スタッフが付き、きめ細かなサービスを提供。また、記帳代行や請求・支払業務、決算業務といった経理業務はもちろん、決算申告や税務調査の立ち会い、銀行での融資のサポートまで経理に関する業務を幅広くカバーしています。

 

 

 

9-4 サンライズ・アカウンティング・インターナショナル(http://www.sun-inter.jp/

外資系や海外子会社がありグローバル会計への対応が必要な会社におすすめのアウトソーシング業者。公認会計士、税理士、USCPA(米国公認会計士)といった会計のプロフェッショナルがそろっており、オンサイト常駐型で経理業務を代行してくれます。また、英語力の高いスタッフが多数在籍しており、外国法人の日本支社設立や、英文財務レポートの作成などにも対応が可能となっています。

 

 

 

9-5 記帳・経理・給与計算代行センター(http://keiri-omakase.jp/

新宿・池袋に事務所を構える、地域密着型のアウトソーシング業者です。記帳代行のみなら月々890円~という料金設定の低さが魅力で、コスト削減に大きく貢献することができます。資金繰り表作成や経営指標レポート作成といったオプションまで豊富なメニューがそろっており、さらに法人税・消費税の申告書作成も最短5営業日で作成するというサービスまであるという幅広さが特徴です。

 

 

10 確定申告とは

個人事業主やフリーランスの方にとって会計知識は必須ですが、同時に確定申告の方法も知っておく必要があります。

 

日本では所得がある人、つまり少しでも何らかの収入がある人は、所得税などの税金を納めなくてはいけません。では、この所得税ですが誰が計算しているのでしょうか。
実は、「原則として」自分自身で計算しなければならないのです。そしてこの計算を行い、国(税務署)へ自分自身が納めるべき税額を申告することを確定申告といいます。

 

ただ、収入があったとしてもサラリーマンなどの会社にお勤めの方は一定の場合を除いて確定申告を行う必要がありません。会社から給与収入を受けている方は、それぞれの会社が毎年「年末調整」を行います。年末調整はそれぞれの1年間の収入や各種控除を加味して負担すべき税額を計算するため確定申告は必要ありません。

 

 

11 確定申告の義務がある人

確定申告の義務がある人の条件を確認してみましょう。
国税庁が紹介している4つの区分は次の通りです。

 

給与所得がある方 会社に勤めていて給与を受け取っている場合でも以下に該当する方は確定申告が必要です
·給与の年間収入合計が2,000万円を超える方
·給与を2か所以上から受けている方
·給与以外の所得が20万円を超える方
公的年金等を受け取っている方 公的年金とは、会社を定年になってから受け取る国民年金や厚生年金あるいはお勤めされていた会社が所属する共済からの年金などをいいます。公的年金の受給を受けている方も下記の場合には確定申告を行う必要があります。
·公的年金に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと残額がある方(ただし、公的年金等の収入金額が400万円以下で、それ以外の所得金額が20万円以下の場合は不要)
退職所得がある方 退職金を受け取った場合で源泉徴収されていない方(ただし、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合は不要
上記以外の方 各種の所得金額の合計額から所得控除を差し引いたとしても所得税の納税が必要となる方

 

個人事業主あるいはフリーランスの方は上記の4番目に当てはまります。個人が事業を営むことによって得る所得は「事業所得」といいます。この事業所得から後ほど説明する所得控除を差し引いたとしても残額が出る場合、つまり納税が生じる場合に確定申告が必要となるのです。

 

 

12 事業所得の計算方法

起業する場合、ほとんどは営利目的に会社を設立します。もちろんボランティア活動として事業を営むのなら話は別ですが、基本的にはみなさん「儲け」るために事業を行うはずです。

 

確定申告で計算する所得税は、この「儲け」に対して課税するものです。つまり、確定申告を行うということは、言い方を替えると1年間の儲けを計算することを意味するのです。
この「儲け」は下記の算式により計算します。

 

【儲け=収入-費用】

 

このように事業を営むことによって生じた「収入」から、収入を得るために必要だった「費用」を控除するだけなので、事業所得の計算はとても単純です。

 

 

 

12-1 収入

事業所得を計算するための基礎となる「収入」について見ていきましょう。
収入金額を算出する上で、留意する点は「事業によって得たものか」という点です。
例えば、中古車販売店を営んでいる場合、オークションで仕入れた自動車を売却して得た金銭は、中古車販売を行うことによって得たものですので、もちろん収入に該当します。

 

では、その事業主がプライベートで乗っていた自動車を売却した場合はどうでしょうか。これは、中古車販売業によって得たものではありません。そのため、事業所得には該当しないのです。(譲渡所得に該当するのですが今回は割愛します。)
繰り返すようですが、収入金額を算出する場合は、「事業によって得たものか」という点が重要です。

 

 

 

12-2 必要経費

次に費用の面について考えましょう。まず所得税の計算において費用として認められるもののことを「必要経費」ということを抑えておく必要があります。
この「必要経費」を算出する上で注意すべきは、「収入を得るために必要な費用かどうか」という点です。

 

先ほどの中古車販売業を例にとった場合、中古車(商品)を展示するための店舗の家賃やその光熱費は必要経費に該当することは疑いがないでしょう。

 

しかしながら、同じ家賃や光熱費でも事業主のマンション(自宅)の家賃や光熱費はもちろん必要経費には該当しません。今回は極端な例で示しましたが、実務上は微妙な取引がたくさん出てきます。

 

交際費はその最たる例です。仲の良い取引業者との飲食代やゴルフの費用などは「事業を営むために」本当に必要な費用でしょうか。
このあたりの論点は税務調査でもしばしば指摘される部分です。もちろん事業を行う上で「必要な」費用であれば必要経費に算入しても問題ありません。

 

 

13 青色申告制度

ここからは、確定申告と無縁だった方も一度は聞いたことがある「青色申告」について説明していきます。

 

所得税の確定申告を行う場合には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、納税者がどちらかを選択して申告を行います。このうち「白色申告」が原則的な申告方法であり、納税者が事前に申請し、税務署長から承認を受けた場合にのみ「青色申告」を行うことができます。

 

では、いったい「青色申告」と「白色申告」とはどのような点で異なるのでしょうか。青色申告のメリット·デメリットを見ていきましょう。

 

 

 

13-1 青色申告のメリット

青色申告を行うメリットは大きく分けると次の5つです。

 

1 青色申告特別控除

青色申告特別控除とは、事業所得を算出するために計算した必要経費に一定額を上乗せして収入から控除できるという制度です。具体的には下記の算式となります。

 

【事業所得=収入-必要経費-青色申告特別控除(10万円又は65万円)】

 

この青色申告特別控除が青色申告を行う最も大きなメリットといっても過言ではないでしょう。実際の控除額(10万円又は65万円)については、デメリットのところで説明します。ここでは、10万円又は65万円をプラスアルファとして控除できると考えて下さい。

 

2 純損失の繰越控除

次に大きなメリットになるのが「純損失の3年間の繰越控除制度」です。
この制度は、事業所得が赤字になってしまった場合にその赤字を3年間に限り繰越し、その3年間出た黒字と相殺して計算ができる制度です。
実際に例を挙げて見てみましょう。

 

(例)1年目に100万円の赤字となり、2年目に200万円の黒字となった場合
   ここでは所得税率が5%と仮定します。

A.白色申告

(1年目)赤字で所得がないため納税額は0円
(2年目)200万円の所得に5%の税負担が生じるので、納税額は10万円
(合計)0円+10万円=10万円

 

B.青色申告で繰越控除を行った場合

(1年目)赤字で所得がないため納税額は0円
(2年目)200万円の所得のうち、1年目の△100万円を控除するので、納税額は(200万円-100万円)×5%=5万円
(合計)0円+5万円=5万円

 

ご理解頂けましたでしょうか。今回の例では白色申告と青色申告で5万円の差となりました。起業したてで事業が軌道に乗るまでは、赤字となってしまうケースも多いと思われます。そんな時に、この純損失の繰越控除ができる場合とできない場合では大きな税額差になることもあるでしょう。

 

3 青色事業専従者給与

家族内で個人事業を手伝ってくれる家族のことを「専従者」といいます。このような場合には働きに応じた対価(給与)を支払うこともあるでしょう。
しかしこの給与、白色申告の場合には必要経費になりません。その代わり一定額(86万円)までは確定申告の際に控除することが可能ですが、少ない金額しか支給できないとなると使いにくい制度と言えるでしょう。

 

では、青色申告の場合にはどうでしょうか。青色申告の場合には白色申告とは異なり専従者に支給する給与の「全額」を必要経費にすることができます。もちろん不相当に高額(事務作業のみなのに1千万円支給する等)な場合には指摘されることになりますが、自由に支給額を決定できることは事業を営む上で有効な規定となるでしょう。ただし、2点だけ注意が必要です。

 

1点目は青色事業専従者給与と配偶者控除や扶養控除などの人的控除との併用が禁止されていることです。

 

例えば、お子さんが事業を手伝ってくれた場合に、月3万円だけ専従者給与として支給したとします。この場合、お子さんの年間給与は36万円となりますので、事業主の扶養として数えることができそうですが、1円でも専従者給与を支給した場合には扶養に含めることができないのです。

 

2点目は青色事業専従者給与の適用を受ける為には事前に「届出書」を提出しなければならない点です。提出を失念すると支給した給与はすべて経費として認められないためご注意ください。

 

 

 

13-2 青色申告のデメリット

白色申告は簡易な帳簿による申告が認められていますが、青色申告では複式簿記を前提とした帳簿の作成が求められます。
青色申告は多くの特典がある分、きちんと帳簿書類等を作成しなければなりません。青色申告のデメリットというと、この帳簿書類の作成が該当するでしょう。しかし、白色申告でも決して帳簿書類の作成が不要というわけではありません。
実際、白色申告と青色申告の手間は大きく変わりませんので、ぜひ青色申告を行うことをオススメします。

 

 

 

13-3 10万円控除と65万円控除

青色申告特別控除として「10万円控除する場合」と「65万円控除できる場合」の違いを解説します。

 

65万円の控除を適用しようと考えた場合は、複式簿記による帳簿書類の作成が必要となります。そのため、総勘定元帳や仕訳帳を作成し、税務署へ提出する書類も収支計算書に加え貸借対照表を提出することになります。

 

一方、10万円控除の場合は必ずしも複式簿記による帳簿の作成は求められません。簡易な帳簿の作成で構いませんので簡単なおこづかい帳のようなものを作成し、収支計算書を提出するのみでOKです。

 

これだけ聞くと「65万円控除はハードルが高いから10万円控除でいいや」と思う方もいます。確かに、手書きで総勘定元帳や仕訳帳、現金出納帳などの帳簿を作成することは手間も時間もかかります。

 

しかし、今はパソコンやスマホで利用できる会計ソフトが充実しています。会計ソフトを使って各取引を入力することで様々な帳簿を出力することができ、確定申告も簡単に作成することができます。慣れれば決して難しいことではないため、これから確定申告を行う方は、青色申告で65万円控除を利用するのがおすすめです。

 

 

14 消費税

起業した事業がだんだんと大きくなると消費税の納税義務について検討する必要が出てきます。基本的に消費税は全ての事業者が申告するものなのですが、小規模事業者の場合にのみ申告と納付が免除されているのです。

 

この小規模事業者に該当するかどうかの基準は「基準期間の課税売上高が1000万円を超えるかどうか」です。つまり、1年間の総収入金額が1,000万円を超えると消費税の申告と納税を行わなければならないのです。

 

しかし、消費税は売上高が1,000万円を超えるとすぐにその年から申告を行うわけではありません。個人事業主の場合には、課税売上高が1,000万円を超えた年の2年後から申告と納付を行います。
具体的には下記のようなスケジュールとなります。

 

(例)
売上高:1年目900万円、2年目1,500万円、3年目2,000万円、4年目3,000万円

 

この場合には、2年前の年度の売上高が1,000万円を超えた4年目から消費税の申告と納付が必要となります。

 

2年目と3年目はその年の売上高は1,000万円を超えているものの、納税義務はありませんのでご注意下さい。

 

また、上記のように消費税の納税義務判定は「課税売上高」で行います。仮に、売上高が3,000万円あるものの、必要経費が4,000万円発生しており、所得は赤字になる場合でも納税義務は生じます。消費税の納税義務が生じた場合には所得税と同様、確定申告が必要となりますので、納税義務判定を理解しきっちり準備しておきましょう。

 

 

15 確定申告で間違いが発覚した場合

確定申告を提出した後に、収入や必要経費の間違いや控除額の間違いなどに気づいた場合には修正した確定申告書を再提出することができます。ただし、再提出する期間と税額の増減によって手続きが異なることになります。

 

·間違いに気付いたのが確定申告書の期間内であった場合

提出した確定申告書の間違いに気付いたのが確定申告書の提出期限前(毎年3月15日)である場合には、何度でも再提出が可能です。この場合には、申告内容を修正するという性質ではなく、提出した書類を差し替えるという手続きと考えて頂ければOKです。なお、確定申告書の期間内であれば罰金等はかかりません。

 

·申告期限後に間違いに気づいたが、正しい申告をすれば税額が減少する場合

この場合には、「更正の請求」という手続きを行うことになります。必要に応じて、どのような部分の間違いなのかを示さなければなりません。
また、青色申告特別控除などの特例の適用を失念してしまった場合などは更正の請求では対応できず、期限内申告でしか適用ができないため注意が必要です。更正の請求は本来の申告期限から5年間行うことが可能です。

 

·申告期限後に間違いに気づき、正しい申告をすれば税額が増加する場合

この場合には、「修正申告」を行うことになります。当初の申告では本来納付すべき税額よりも過少に申告と納付を行っていたことになりますのでペナルティもかかってきます。
まず1つ目が「延滞税」です。これは、利息のようなもので、本来の納期限から修正申告による納付を行った日までの期間によって課税されるものです。
2つ目が「過少申告加算税」です。こちらは、本来の税額よりも過少に申告してしまっていた部分に係る罰金的性質を持ちます。本来納めるべき税額と既に納めた税額との差額に対して10%が課税されます。

 

いずれにしても間違いに気づいたらすぐに修正申告を行うようにしましょう。

 

 

16 税務調査の対応の仕方

個人事業主も税務調査の対象となる可能性があります。ただし、テレビドラマのように予告なしに調査が行われることはありません。

 

税務調査が行われる場合、事前に税務署から連絡があり日程調整の依頼があります。税務署からは日程を指定されることもありますが、こちらの都合が悪い場合は変更しても構いません。

 

また、よほど悪質なことをしていない限り、ガサ入れのように勝手に引出しを開けられたり怒鳴ったりされることはありません。税務署は不正を暴くために訪問しているのではなく、指導を行いに来ています。税務調査と聞くとヒヤヒヤ、ドキドキしてしまうかもしれませんが冷静に対応しましょう。

 

よく「税務調査が入った場合には、必ずお土産(追徴税額)を見つけて帰る」と言われていますが、決してそんなことはありません。税務調査の結果、修正すべき点がなく申告内容が是認で終了することもありますので、税務調査があれば必ず追徴税額を納めるわけではありません。

 

 

17 まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

近年、サラリーマンの方でも週末の副業が推奨されていることもあり、ダブルワークや企業を検討する方は増えています。
しかし、個人で事業を営む個人事業者やフリーランスはもちろんのこと、副業で一定以上の収入がある場合は確定申告を行わなければなりません。
確定申告と聞くと複雑で難しいイメージがありますが、手続き自体は誰でも簡単にできます。

 

今回は所得控除や税額控除については説明しませんでしたが、実際に申告を行う場合にはこれらも考慮する必要があります。確定申告を行う場合はぜひ控除項目も確認の上、書類作成を行ってください。

 

また、ある程度の規模まではご自身で申告書作成は可能かと思いますが、大きな規模になってくると税理士などの専門家に依頼するのも一つの方法です。手数料は必要になりますが、特例適用や有利な税制を検討することで税額が下がる可能性もあります。また、税務調査の際の立ち合いも依頼することができるので心強いでしょう。消費税の課税事業者になるくらいの規模が専門家に依頼した方がよい目安となるでしょう。

 

 


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