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決算発表と株価の動きの関係

4月から5月は企業の決算発表が集中し、その企業の一年の業績と翌期の見通しが判明する年に1度の一大イベントシーズンです。

 

企業の決算発表は社会に与える影響が大きいため、決算発表の内容を受けて株価が大きく変動することがあります。そのため投資家は、投資先の決算発表内容を慎重に見極める必要があります。

 

本記事では、決算発表と株価の値動きの関係、決算発表でチェックすべきポイント、主要な株価評価指標などついて説明します。なお本記事は読者の決算発表への理解促進を目的としており、投資判断の是非や、将来の利益を保障する情報の提供を行うものではありません。したがって実際の投資については、ご自身でご判断ください。

 

 

1 決算発表と株価の動き

まず決算発表とはそもそもどのようなものなのか、そして決算発表を受けて株価は主にどのような理由で変動するのか説明します。

 

 

1-1 そもそも決算発表とは?

まず、そもそも決算発表とは何かについて説明します。一般的に決算発表とは、東証などの証券取引所に上場している企業が証券取引所の適時開示ルールに則り投資家向けに決算結果を公表するもので、「決算短信」とも呼ばれています。

 

決算発表というと決算数値だけを発表するようなイメージがありますが、実際の決算発表の内容は企業の財務諸表のみならず、一年を通した事業概況の説明、セグメント別情報などの注記事項、来期の業績予想、配当情報や自社株購入の計画などさまざまな情報を含んでいます。そのため、特に大企業の決算発表が社会や経済に与える影響は大きく、マスメディアや投資家の注目度が大変高いものになります。

 

ちなみに決算期について、日本においては決算期をいつにするか法令による規制はなく各企業が好きな月日を選択することができますが、多くの企業は4月1日から始まり、3月31日で終わる3月期決算を採用しています。例外では、たとえばユニクロを展開するファーストリテイリングは、9月1日から始まり、8月31日に終わる8月期決算を採用しています。

 

他にも3月期決算以外の事例として、セブンイレブンを展開するセブン&アイ・ホールディングスは3月1日から始まり、2月28日に終わる2月期決算です。また珍しい事例では、家具のニトリを展開するニトリホールディングスは、2月21日から始まり、2月20日に終わる2月期決算です。このように企業や業種によって、さまざまな決算期があります。なお企業の決算期について知りたい場合は、市販されている会社四季報や、各企業のホームページに掲載されている有価証券報告書などで簡単に調べることができます。

 

このように上場企業の多くは3月期決算を採用しているため、決算日から45日以内の決算発表という証券取引所の要請にしたがうと、4月末から5月中旬までに決算発表が集中することになります。なお、決算発表は一年に一度ですが、それとは別に四半期ベースでの決算発表もあります。四半期の決算発表についても、基本的には年に一度の決算発表と同様の内容になりますが、違いとして業績予想が来期ではなく当期の業績予想となります。

 

 

1-2 決算発表と株価の動きの関係

株価はさまざまな要因で変動するため一概にはいえませんが、決算発表後は株価が大きく動くことがあり、場合によっては決算発表を受けてストップ高やストップ安になるほど大きく変動することがあります。なぜなら決算発表は、新商品の発表といった普段の企業のプレスリリースよりも、企業の業績についてのさまざまな重要な情報が含まれているからです。

 

決算発表のうち特に株価に影響を与えるのは、翌期の業績見通しです。なぜなら、基本的に株価というのは過去の実績よりも将来の収益が評価されるものなので、過去の数字である決算結果よりも翌期の業績見通しが特に重要視されます。たとえば、決算の利益が100億円あったとしても、競争激化やコストアップなどの理由で来期の業績見通しが50億円と大幅にダウンしてしまうのであれば、将来性がないという理由で投資対象先として選ばれにくくなるでしょう。

 

逆に決算数値が悪くても、新商品の発売や新事業の展開などがあり、来期の業績予想が大幅に良くなるのであれば将来性があると判断され、投資家から魅力的な投資先として選ばれる可能性があります。もちろん一年間の実績をあらわす決算は重要な指標ですが、あくまで過去のものであり将来も同様の収益を確保できることを保証しているものではないという点がポイントです。

 

したがって、一般的には業績見通しが前年度決算よりも良ければ株価は上昇する傾向にあります。逆に業績見通しが前年度決算よりも悪ければ株価は下落する可能性があります。決算数値が良いのにも関わらず株価が下がるケースがありますが、それは前述のように業績見通しが評価されていないことが多くあります。

 

補足ですが、業績見通しの公表については任意であり、大多数の上場企業が業績見通しを発表していますが、一部の企業では業績見通しを非公表としている企業もあるためご注意ください。また東日本大震災時のように、あまりに影響が大きく前例のない事象が発生し将来の収益予測が困難な場合、普段は業績見通しを公表している企業が見通しを公表しなくなるケースもあります。

 

 

1-3 決算発表で株価が大きく変動した事例

実際に決算発表が株価にどのような影響を与えたのか、決算発表後に株価が大きく上昇した事例を紹介します。

 

①決算発表後に株価が上昇した事例

製パン・製菓用材料等の食品商社である正栄食品工業(8079)で起きた事例で、決算発表後に株価が大きく上昇しました。
事例としては、前2017年10月期の決算と翌2018年10月期の業績予想を発表したところ、翌日寄り付きから買いが集中しストップ高まで買い進められたものです。

 

決算発表の内容ですが、2018年10月期は売上高が1045億円(前期比1%増)、当期純利益も38億円(同5%増)と増収増益を見込み、さらに年間配当も前期比6円増の46円とするというものでした。また、発行済株式総数の約19%にあたる405万株の自己株式消却を実施する方針を明らかにし、これら一連の好材料を好感した買いが集中しました。

 

このように業績見通しが対前期で増益になるだけでも投資家にとってプラス材料になりますが、さらに増配や自己株式取得を実施するというサプライズの発表が投資家から評価され、株価の大きな上昇に繋がった事例になります。

 

②決算発表後に株価が下落した事例

次に決算発表で株価が大きく下落した事例を紹介します。国内印刷インキ3位のサカタインクス(4633)の決算発表で起きた事例で、決算発表後に株価が大きく下落したものです。サカタインクスは創業100年を超える名門企業で、主に各種印刷インキ・補助剤の製造・販売などをてがけている企業です。

 

事例としては、サカタインクスが2017年12月期の連結決算と18年12月期の業績予想を発表したところ、株価が前日比365円(20.99%)安の1374円と東証1部の値下がり率トップとなりました。一時は制限値幅いっぱいの同400円安の1339円ストップ安まで下落しています。

 

決算発表の内容ですが、決算結果である前2017年12月期の営業利益はその前の期に比べ15.3%減の85億7300万円(営業利益率5.5%)、今2018年12月期の営業利益は75億円(前期比12.5%減)と減益がつづく見通しでした。また売上高は1645億円(同4.6%増)と、印刷インキや機能性材料の拡販を図りと増収を見込んでいます。

 

このように決算発表自体は黒字を確保しており、営業利益率もそこまで悪くない状況であるのになぜ決算発表後に大幅に売り込まれたのでしょうか? 理由としては、上述したように株価は将来の業績を評価するため、過去の数字である決算結果よりも来期の業績予想の悪化が投資家にはネガティブに捉えられ、厳しく評価されたことがおもな理由と考えられます。前2017年12月期の営業利益は85億7300万円(営業利益率5.5%)確保していますが、今2018年12月期の営業利益が75億円(前期比12.5%減)と減益となる見通しのため、将来の収益低下を悲観した投資家による売りが集中したためです。

 

このように対前年に対して利益が減少する業績見通しを発表した場合、たとえ黒字を確保していても株価が下落する場合があることから、株価は過去の業績よりも将来の業績見通しを重視するという事例であるといえます。

 

 

2 決算発表でチェックすべきポイント

次に決算発表でチェックすべき重要なポイントについて説明します。株価は複合的な要素で変動するため一概にはいえませんが、以下の要素を総合的に捉え、決算発表から見えてくる企業の真の実力を評価するとよいでしょう。

 

ポイント1 決算・業績見通しに関係のないイレギュラーな損益の有無
ポイント2 売上台数や想定為替レートなど業績見通しの前提条件
ポイント3 決算の利益配分である配当計画も
ポイント4 企業が自社の株式を買い付ける自社株買いの有無

 

 

2-1 イレギュラーな損益の有無

決算発表で注意すべき最初のポイントは、決算・業績見通しに関係なくイレギュラーな損益の有無です。イレギュラーな損益というのは本業以外で発生している損益のことで、たとえばメーカーである企業が本業ではない不動産の売却で得た利益などを指します。

 

なぜイレギュラーな損益のチェックが大切かというと、企業の本来の実力をはかるにはあくまで本業でどれほどの利益をあげているかがポイントになるためです。たとえば自動車メーカーであれば、本業は自動車の製造と販売であり、その本業が収益の源泉となります。仮にたまたま使うあてのない土地を売却したとして、その売却益で利益が増えたとしてもそれは一過性の利益であり、その年の利益が膨らんだに過ぎません。そのため、たまたま土地を売却した年の利益が大きかったとしても、来年以降はその土地の売却益がないために利益が小さくなってしまいます。

 

上記の例のように、一過性のイレギュラーな利益を無視して、単純に利益が増えたからその企業の業績は好調であると判断してしまうと、その企業本来の実力を見誤ることになってしまいます。そのため決算発表の収益をチェックする場合は、決算数値と業績予想のそれぞれについて、本業以外のイレギュラーな損益がないか確認することが重要になります。

 

ではどのようにイレギュラーな損益をチェックすればよいかというと、基本的には損益計算書の特別損益項目や注記を調べるのが良いでしょう。企業の損益計算書は本業以外の損益も合算して最終的な利益となるため、損益計算書の最終的な純利益だけをみるとイレギュラーな損益も含まれたものになります。そこで特別損益項目をチェックすれば、本業以外の損益がそこに含まれるためイレギュラーな損益を把握することができます。

 

また影響の大きいイレギュラーな損益がある場合は、注記されることが一般的です。例えば地震などで損害があった場合は、特別損益項目だけでなく詳細を注記で説明することが一般的です。

 

また企業の本当の実力を把握したい場合、営業利益額でチェックするとよいでしょう。基本的に営業利益には上述したイレギュラーな損益が含まれず、売上・原価・販売管理費および一般管理費といった本業で構成された利益項目となるため、企業の本来の実力を示す利益額といえます。

 

また営業利益率をチェックするのもよいでしょう。営業利益率は、営業利益を売上高で割ったパーセンテージです。この営業利益率が改善されていく企業はそれだけ効率よくビジネスを展開している企業といえます。そのため、基本的に本業で毎年成長している企業の株価は上昇する傾向にあります。

 

 

2-2 業績見通しの前提条件

決算発表で業績見通しを発表している企業は、その業績の前提条件も合わせて開示しているケースが一般的です。これらの前提条件は業績見通し算出の根拠となっているので、たとえば前提となる売上台数や想定為替レートなどをチェックすることで、その業績見通しがどのような根拠にもとづいて作成されたか確認することができます。

 

一般的に企業は業績見通しを少し保守的な考え方で作成します。なぜなら、企業としてはあまり強気な業績見通しを発表しあとで下方修正をしてしまうと、投資家からなぜ下方修正したのか厳しく追及されるリスクがあるためです。もちろん弱気すぎる業績見通しもネガティブになりますが、経営者サイドからすると少し保守的な予想にしておくほうが将来のリスクに備えることができるので、さまざまなリスクを鑑み、保守的な業績見通しを作成する傾向にあります。

 

たとえば売上台数の予想にしても、本来なら1万台売れる見通しであったとしても、景気の減速リスクや他のリスクを鑑み、少し抑えて9500台で売上台数前提を計算するといった具合です。

 

特に業績見通しの前提条件で重要なファクターは、想定為替レートです。日本企業は全体的に輸出企業のほうが多いため、基本的には円安になるほど業績が好調になる傾向があります。そのため業績見通しの前提為替レートをいくらで想定しているかにより、企業の業績予想数値は大きく変わります。グローバルに展開している自動車メーカーであれば、たとえばドル円が1円円安に振れるだけで数百億円もの収益インパクトがある場合もあります。

 

そのため、輸出比率が高い企業は業績見通しの想定為替レートを保守的に想定する傾向があります。たとえば、決算発表日近くのドル円レートが106円だったとすると、一般には想定為替レートを106円とする企業はほとんどないでしょう。この場合ですと、たとえば円高になるリスクを鑑みて100円などで想定するケースが多くなります。なお輸入企業の場合はその逆で、円安になることがリスクとなるのでドル円レートが106円だったとすると、想定為替レートを保守的に110円とするなど輸出企業とは逆向きのレートを想定する傾向にあります。

 

このように前提条件を少し保守的に想定している企業の場合、想定しているリスクが発生しなければ、決算発表以後の業績が上方修正される可能性があります。たとえば、4月末のドル円レートが106円のところ、保守的に100円を想定レートとした輸出企業があったとします。その後、ドル円レートが変わらず106円のまま推移し、為替以外は当初の想定通りに事業計画が推移した場合、100円から106円の円安分だけ業績が上振れることになります。実際の例でも、最初の業績見通し発表時から、四半期決算を重ねるごとに少しずつ為替レートを見直し上方修正していくケースもあります。

 

以上のことから、業績見通しの前提条件を精査し、あまりに保守的な前提条件であれば今後上方修正の可能性もあると考え投資を検討することも、一つの選択肢といえるでしょう。ただし前提条件よりもさらに悪い方向に為替レートが動いた場合は、業績見通しの下方修正になる場合もあるため注意が必要です。いずれにせよ、特に輸出に占める割合が高い企業の場合、企業業績は為替レートに左右されることがあります。

 

 

2-3 配当計画

一般的に企業の決算発表では、企業の配当計画も公表しますが、決算の利益配分である配当計画も株価に大きな影響を与えます。デイトレーダーなど長期の保有を前提としない投資家にとって配当はあまり重要視されませんが、長期保有を前提とする投資家にとって配当利回りは重要な投資判断の要素になります。
該当企業の株式を保有する投資家にとって、企業が配当を増やせばそれだけ配当利回りが良くなるため、増配のニュースは長期保有目的の投資家にとってプラスになります。また増益分を積極的に配当に還元する企業は、投資家への還元意識が高い企業として評価されるでしょう。そのため、基本的に増配のニュースは投資家にとってポジティブに受け止められ、株価上昇の一因となります。

 

注意点として、いくら配当するかは企業が自由に設定できるため、企業業績が悪化した場合には配当の減少や、場合によっては無配となることもあります。このような場合、株式市場にはネガティブなニュースとしてとらえられ、株価が下がることも想定されます。そのため、いつも企業が増配するわけではないということに注意が必要です。

 

 

2-4 自社株買いの有無

決算発表と同時に自社株買いの発表がされることがありますが、このような自社株買いも株価にとってはポジティブに働きます。自社株買いとは企業が自社の株式を買い付けることをいい、最近では株主還元の一環として、自社株買いを実施する企業が多くなっています。

 

自社株買いの影響ですが、企業が既に市場で発行された株式を買い付け、株式市場にその株式が流通しないようにすることで発行済み株式数が減り、結果として1株あたりの利益が増える事になります。たとえばある企業の発行済み株式数が100万株あり、ある事業年度の純利益が1億円だったとすると、1株あたりの利益は1億円を100万株で割った、100円になります。

 

もし企業が発行済み株式数100万株のうち半分の50万株を買い取る自社株買いを実行すると、1株あたりの利益は1億円を50万株で割ることになるので、1株あたりの利益は200円となり、1株あたりの利益が倍となります。このように自社株買いを実施することにより市場に流通する株式数が減少するため、それだけその企業の株式の価値が高まることになります。そのため自社株買いの発表は市場にポジティブに受け止められ、一般的に自社株買いを発表した企業の株価は上昇する傾向にあります。

 

反対に、増資などにより企業の株式数が増加した場合は、流通する株式数が増加し一株あたりの利益が希薄化されてしまうことから、市場にはネガティブな印象を与えることがあります。このように株式数が増える施策を企業が実施した場合、一般的には株価は下落する傾向になります。

 

 

3 投資判断の代表的な指標

仮に業績見通しが増益であったとして、その企業の株価が割安であるかどうか判断する手段として、PERなどの指標があります。ここでは投資判断の参考になる代表的な3つの指標について説明します。

 

 

3-1 株価収益率(PER)

株式の投資価値を判断する代表的な指標の一つに、株価収益率(Price Earnings Ratio)があります。これは株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値を判断する際に利用される指標で、一般的には株価÷一株当たり利益で算出され、数値が小さいほど株価は割安、数値が大きいほど株価は割高と判断される傾向にあります。

 

たとえば、株価が500円で一株当たり利益が50円であれば、株価収益率は10倍となります。一般的には、投資対象企業の業種平均との比較や、その会社の過去のレンジとの比較で割高・割安を判断します。業種や取引市場で異なりますが、一般におおむね株価収益率13倍~15倍が標準的な水準とされ、15倍以上であれば株価は割高、13倍以下であれば割安とみなされています。仮に決算発表時の決算数値の株価収益率が13倍だったものが、業績見通しベースでは増益となり株価収益率が12倍となれば、株価が割安であると判断できます。また前述したような自社株買いなどを企業が実施すれば、その企業の一株当たり利益が大きくなるため、結果としてPERも下がります。

 

ただ株価収益率はあくまで一つの指標であり、投資判断の目安であることにご注意ください。PERが低くなったからといって必ず株価が上昇するわけでもなく、逆に株価収益率が高くなったからといって株価が下落するとは限りません。

 

たとえば東証マザーズなどに代表される新興市場では株価収益率が50倍といった非常に高い企業が多くあります。これはマザーズなどに上場しているベンチャー企業などは、一年で収益が倍になるといったケースもあるため、その収益の伸び率への期待から株価収益率が高い傾向にあります。

 

 

3-2 株価純資産倍率(PBR)

株価純資産倍率は株価の割安割高度を測定する指標ですが、別の観点から株価の妥当性を測定する指標で株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)があります。株価純資産倍率は、当該企業について市場が評価した値段(時価総額)が、会計上の解散価値である純資産(株主資本)の何倍であるかをあらわす指標であり、株価を一株当たり純資産(BPS)で割ることで算出します(参照:野村證券「証券用語解説集」より一部引用)。

 

一般的には株価純資産倍率が1倍の水準が株価の下限であると考えられるため、株価の下値を推定する上では一定の効果があるといわれています。また上述したPER(株価収益率)が異常値になった場合の補完的な指標としても有効であるといわれています。

 

なぜ株価純資産倍率が1倍の水準が株価の下限になるか簡単に説明すると、株価純資産倍率が1倍ということは仮にその時点で企業が解散されると、理論的にはその株価と同じ金額が株主に分配されることになるためです。たとえば、株価が100円で一株あたり純資産も100円だとします、この場合、株価純資産倍率は1倍となります。つまり当該企業の株式を100円で購入した投資家は、仮にすぐその企業が解散したとしても100円の株式資本、つまり100円の分配金を入手できるため理論的にはリスクがないということになります。そのため一般的には株価純資産倍率が1倍の水準が株価の下限になるといわれています。

 

ただし注意点として、株価純資産倍率が1倍の水準が株価の下限になるというのはあくまで理論上の話です。なぜなら純資産は総資産から総負債を引いたものですが、純資産が全て現金であるとは限らず、数字上の計算結果に過ぎないためです。したがって株価純資産倍率が1倍だからといってリスクがなくなるわけではありません。

 

また株価純資産倍率は、分母が純資産であるため、企業の短期的な株価変動に対する投資指標になりにくく、将来の成長力も反映しにくいため、単体の投資尺度とするには問題が多いという弱点があります。そのため上述した`株価純資産倍率と併用し複合的に投資判断の尺度として利用するとよいでしょう。

 

このように株価純資産倍率には指標としての弱点はあるものの、1倍前後の企業について理論上は割安といえるため、株価純資産倍率が低い企業は投資先に選ばれる一因となります。

 

 

3-3 自己資本利益率(ROE)

投下資本に対する収益効率を示す指標として、自己資本利益率(Return On Equity)もよく使われます。これは企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合をあらわしており、計算式は自己資本利益率=当期純利益÷自己資本、またはROE=EPS(一株当たり利益)÷BPS(一株当たり純資産)で計算されます。したがって、自己資本利益率は、株主の持分に対する投資収益率をあらわすことになります。

 

近年では機関投資家が企業の大株主になるケースが増加し、これらの投資家が「投下した資本に対し、企業がどれだけの利潤を上げられるのか」という点を重視したことが背景となり、この自己資本利益率が重要視される指標となりました。

 

野村證券によれば、企業は株主資本(自己資本)と他人資本(負債)を投下して事業を行うことで収益を獲得し、他人資本には利息などを支払い、最終的には法人税を差し引いて最後に残った純利益が株主に帰属します。したがって、自己資本利益率は経営者が株主に対して果たすべき責務を表したかどうか、また株主が出資した資本をどれだけ効率的に企業が運用したかあらわす指標と考えることができます。また、それは株主に帰属する配当可能利益の源泉となるものであり、配当能力を測定する指標として使われるため、自己資本収益率は株式の投資尺度としても重要なものとなります(参照:証券用語解説集)。

 

以上のように、決算数値と業績見通しの数値をそれぞれ上記のような投資指標で測定することで、投資対象として魅力的かどうか、株価の水準は適正かどうか判断する材料にすることができます。

 

 

4 まとめ

以上をまとめると次のようになります。

 

ポイント① 決算発表は企業の決算実績情報のみならず、一年を通した事業概況の説明、セグメント別情報などの注記事項、来期の業績予想などさまざまな情報が含まれる。また企業の決算期は各社により異なるが、一般的に3月期決算が多いために決算発表は4月から5月にかけて集中する傾向にある
ポイント② 株価の値動きには複数の要因があるが、特に重要視されるのは翌期の業績見通し。なぜなら株価は過去より将来の収益性が評価されるため
ポイント③ 決算発表でチェックする項目として、イレギュラーな損益で一過性の損益が発生していないか特別損益項目などを確認するとよい。他にも業績見通しの前提条件については基本的に保守的な前提条件となっているため、想定為替レートなども重要なチェックポイントとなる
ポイント④ 配当が増配となれば株価の上昇要素となり、逆に減配や無配となれば株価の下落要素となる。また企業が自己株式を」取得することにより市場に流通する株式数が減少することから一株当たり利益が増加し、結果として株価の上昇要素となる
ポイント⑤ 株価の妥当性を評価する指標にはさまざまなものがあるが、特に株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)、自己資本利益率(ROE)が代表的な指標となる

 

指標は万能ではないため、複数の指標を組み合わせて株価の妥当性を判断するとよいでしょう。

 

 


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