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  <    <  起業や会社設立等における「場所」についての望ましい決め方とは

起業や会社設立等における「場所」についての望ましい決め方とは

創業する際、どの地域で、どの施設で事業を始めるか、という点はビジネスを成功させるための重要なポイントの1つになります。また、会社設立の登記の際でも事業場所に関する決定は重要です。

 

今回の記事では、事業の内容や特徴、それを実行するための各種の経営資源の確保などを踏まえて、起業・会社設立等における「場所」の決め方などについて解説していきます。

 

起業する際にどこで開業したらよいか迷っている方、会社設立時の本店の住所や施設をどこにするかで悩んでいる方、事業や業種にあった創業時や事業拡大時等での場所の設定について知りたい方などは参考にしてみてください。

 

 

1 事業場所をよく考えないで決める場合の問題点

事業場所をよく考えないで決める場合の問題点

 

起業時や会社設立時の活動拠点を何処に設置するか、について十分考慮せずに決定しまうと予想外のトラブルに遭遇することもあります。ここではその問題点を確認していきましょう。

 

 

1-1 創業場所に関する問題点

創業場所を深く考えずに決めてしまうと、以下のような問題に直面することが多いです。

 

1)創業場所の「地域」に関する問題

創業場所の「地域」とは、ビジネスを始め展開していく地理的な位置のことです。例えば、「東京都の23区内」や「福岡県福岡市」といった場所が該当します。この「地域」を適切に設定しないと以下のような問題が生じかねません。

 

(1)事業の特徴やターゲットが場所にマッチしない

 

事業を行う場所と事業の特徴等とには相性があり、それがマッチしていないと事業を成功させるのが困難になってしまいます。どのような業種・業態の事業であるかによって異なってきますが、それらの内容・特徴及びターゲットがその場所とマッチしない場合、そのビジネスは失敗する可能性が高まるのです。

 

例えば、介護サービス事業を始める場合、高齢者が多く住んでいる地域の周辺が開業場所の候補になります。サービス内容にもよりますが、利用者の自宅へ出向く訪問介護などではそうした利用者が多くすんできる地域を選ぶ方が事業を効率的に運営することが可能です。

 

利用者の少ない都心に事務所や施設を設けても効率的な訪問サービスは難しくなりコスト増やサービス品質の低下に繋がる恐れが生じます。こうした傾向は顧客や利用者などに直接的に商品やサービスを提供する業種・業態で生じる可能性が高いです。

 

(2)ライバルが多い場所は事業運営が困難になる

 

新規性の低い事業を行う場合、その市場には既にライバルが存在して、競争が激しくなる可能性が大きくなります。その場合、他社と差別化できなければ、売上が伸びず利益率が低くなるという厳しい経営に追い込まれる可能性が高いです。

 

事業を始める場合はその地域での競合状況を把握して、そこに進出するか、進出した場合にはどのようなビジネスシステム(差別化の方法等)にするか、などの検討が必要になります。

 

いかに事業内容とターゲットの相性がマッチしていてもその地域での競合状況が厳し過ぎるようでは事業の成功は難しくなるでしょう。

 

(3)運営コストが高くなり過ぎる

 

どの場所に事業拠点を設けるかによって事業の運営コストが大きく変わり、その高さから事業の継続が困難になることもあります。

 

業種・事業の内容等によって設ける施設の内容は異なり、また、購入するか、賃貸するかによっても維持費用は変わってきますが、その設置場所によっては毎月高額なコストがかかり利益の出にくい事業構造になってしまうのです。

 

特に規模の大きな施設を構える場合は多額のコストがかかり地価によってそれが増幅されます。例えば、都心の一等地に事務所を設置する場合、賃貸であってもそのコストは郊外のそれと比べかなり高額になる可能性が高いです。

 

都心の一等地等に事務を構えれば、対外的な信用度を高めてビジネスを有利にすることも可能ですが、そうした効果が得にくい事業ならメリットよりも高コストというデメリットを被ることになります。

 

しかし、事業によっては都心より郊外に設置したほうが、その拠点から顧客に対する営業や配送などが便利となり、維持コストが低くなるというケースもあります。

 

どの場所に拠点を設置するかについて、事業の特性などを考慮せずに決めてしまうと高い運営コストが必要な事業構造になりかねないため注意が必要です。

 

(4)経営資源の確保が難しくなる

 

企業の拠点は労働者が働く場所であり、仕入先や協力会社等が商品・サービスを提供する場所でもあるため、選定する場所によっては彼らがアクセスしにくくなるほか、彼らを採用したり協力を得たりする、ことも困難になりかねません。

 

企業が構える事務所や工場などは、その従業員が働く場所になるため、彼らが通勤できる範囲、便利にアクセスできる位置にあることが求められます。つまり、従業員が通勤しにくいような遠い場所にあったり、交通の便が悪かったりすれば、労働者が集まりにくい企業となり、人材確保は難しくなるはずです。

 

また、仕入先や協力会社等にとってもそうした立地にある取引先に対しては、商品等の配送コストが多くかかり、納入時間も多くなるため、買手・売手の双方においてデメリットになりかねません。

 

さらに商品・サービスにかかわる設計や仕様等に関する情報交換を頻繁に行う必要がある場合などでは、不便な位置関係にある状況は円滑な取引の妨げとなり事業に悪影響をもたらす恐れもあります。

 

創業間もない企業は経営資源も不足がちであるため、他社の力を活用することが重要であり、連携できるパートナー等が多いいほど事業の可能性が広がり成功確率を高められます。つまり、そうしたパートナーが多く立地している場所に拠点を構えないと、彼らからの協力を受けるのが難しくなりかねません

 

2)創業場所の「施設」に関する問題

施設の確保の仕方や利用形態などにより以下のような問題が生じることもあります。

 

(1)自宅・自宅以外に関する問題

 

創業時において、事業の中核拠点を自宅するケースは多いです。自己資本が不足している状態で、また、小規模な事業からスタートする場合には自宅を事務所としたり、工場や店舗にしたりすることは珍しくありません。

 

この場合、他の場所に事務所や店舗等を構えないため、その確保のための費用が不要となり利益が確保しやすくなります。また、通勤も不要であることから通勤に伴う疲労や時間がなくなるため、プライベートの生活の質を高めるのに役立つはずです。

 

しかし、その一方でプライベートな生活とビジネスでの生活の境界が曖昧になり、労働時間が逆に長くなって疲労が蓄積しやすくなるケースも多く見られます。また、何か問題があれば顧客や取引関係者等がクレームなどで自宅へ押し寄せることになりかねません。

 

このように自宅を事業の拠点にした場合、プライベートな生活がビジネス面での影響を受け、快適な生活が送りにくくなることもあるのです。

 

(2)購入か賃貸かによる問題

 

事務所や工場等の設置については、購入か賃貸かの決定に伴い、その後の事業運営で問題になることもあります。

 

拠点の設置は様々な要素を考慮して決定する必要がありますが、資金やコストの面での制約が多い場合は賃貸、少ない場合などは購入という選択は多いです。

 

もちろん賃貸でも購入でも設置する場所によって、必要となる費用等が異なってくるため、他の要素も踏まえつつ適切な費用で抑えられる場所の設定が求められます。

 

また、今日では自治体等を中心に創業者や中小企業等に事務所や工場施設を安く貸し出すサービスも増えており、創業者支援が充実してきました。

 

こうしたサービスを事前に把握して利用すれば、創業時の資金を節約でき低コスト運営が可能となります。また、こうしたサービスのほかに、現在ではビジネス向けのシェアリングサービスも普及してきました。

 

事務所のシェアオフィスなどはその代表的なサービスですが、今では工場施設や物流倉庫などのシェアサービスが登場しており、利用すれば経費の大幅な節約だけでなく自社では導入が難しい設備・機器などを利用することも可能です。

 

こうしたサービスの存在を認識せず安易に拠点や施設を選択すれば利用できたはずのメリットを見過ごすことになりかねません。

 

 

1-2 法人登記の本店所在地に関する問題点

株式会社などを設立する場合、定款で本店所在地の住所を決めておく必要があります(他の登記書類への記載にも住所が必要)。その住所を何処にするかで下記のような問題が生じる可能性があるのです。

 

1)自宅を本店所在地にする場合の問題

法人登記の本店所在地を自宅の住所とすることは可能ですが、先に説明した内容と同様の問題が生じかねません。

 

一般的に自宅を本店にしているより、オフィス街や工場街などの建物や施設を本店としている方が対外的な信用度は高くなります。自宅を本店所在地としている場合、事業の実態(運営状態や規模等)に疑念が生じ、信用度が下がるケースもあるのです。

 

また、自宅を本店としている場合、プライベートな生活の維持が難しくなりやすく、防犯面での不安が大きくなりかねません(名刺やホームページで住所を記載するため)。

 

自宅が賃貸で、貸主との賃貸借契約によってはビジネスができないケースもあります。可能なケースでも近隣住民に影響(騒音、匂い、交通量 等)でやすい場合は彼らの理解を得ることも必要です。

 

また、創業時においては他者との協力や連携が重要となりますが、シェアオフィス等の共用施設の場合はその協力等が得やすいというメリットがあります。一方、自宅の場合はそのメリットを享受することができず、別の手段(個別訪問等)を講じる必要があるのです。

 

2)住所変更の問題

本店の住所変更は珍しくないですが、その場合定款の変更が必要なるケースもあります。例えば、定款の本店所在地を市区町村までの記載にしていると、同一市区町村内へ移転する場合は定款の変更は必要ありません。

 

しかし、市区町村等が変わる移転の場合では定款変更の申請が必要です(本店移転登記が必要)。本店移転登記は法務局で行いますが、法務局の管轄が同じ地域か、異なる地域か、によって手続の内容が異なるため、そうした点も踏まえて移転先を検討することも重要になります。

 

また、本店移転登記の手続が完了した後、役所や税務署などへの住所変更の届出も必要です。設立登記の際に安易に本店所在地を決めしまうと、以上のような本店所在地の変更に伴い様々な手間が生じることになり得るため、注意して決定しなければなりません。

 

3)許認可等に関する問題

法人登記での本店所在地の住所については制限がないため、自宅や親戚・知人等の居宅のほか、賃貸のマンションや事務所、倉庫などの住所でも登記自体に問題はないです。

 

従って、バーチャルオフィスなどでもその物件で法人登記が可能である場合は登記上の問題はありません。創業者の中で、登記に関して上記のような制限がないことを知らず、イメージだけでそうした施設の利用が不可だと勝手に思い込んで利用を諦めるなら、損することになります。

 

ただし、バーチャルオフィス等については登記上の問題がなくても一部の業種において許認可や届出で認められないケースもあるため注意が必要です。

 

 

2 コロナ禍で変わった事業場所と労働場所の捉え方

コロナ禍で変わった事業場所と労働場所の捉え方

 

新型コロナの感染拡大の影響によりビジネスのあり方や労働の仕方に変化が生じ、事業や労働の場である「企業の場所」のあり方も変化しました。ここではその変化について説明しましょう。

 

 

2-1 コロナ禍によるビジネスの「場所」の変化

新型コロナにより、ビジネスにおいては国内の旅行・宿泊業や飲食業などの業界において需要が落ち込む一方、食品、家電や日用品などでは巣ごもり需要が増加するといった現象が見られました。

 

個人の生活においては、コロナにより行動制限等が求められた結果、通勤・出社などを含む労働者の働き方、消費者等の購買行動、児童・学生の学校生活、などでインターネットを活用したライフスタイルが進展したのです(デジタル化の進展)。

 

顧客・利用者との直接的な対面や接触は極力控えられ、商品・サービスの提供はECをはじめとしたオンラインによる提供が急激に進みその利用も定着してきました。

 

そのため今まで顧客等のところへ足を運び、あるいは顧客が来店して、従業員が直接商品等をアピールし購入を促していた販売スタイルが、今ではネット経由の販売スタイルが導入・強化されるようになったのです。

 

従って、企業は事業上のターゲットにアクセスしやすい場所に拠点を設ける必要性が大幅に低下してきたとも言えます。もちろんビジネスシステムのプロセスをすべてネット上で完結するのが困難である、または得策でないケースもありますが、その大部分をネット上で対応させることが容易になってきました。

 

ネットを上手く活用すれば、人員を抑えながら商圏を拡大させ事業を大きく成長させることもできます。これまでの人と人との直接的な接触ややり取り等を主体とするマーケティングシステムからネットを中心とした非接触・非対面なコンタクトによるシステムに移行せざるを得なくなりつつあるのです。

 

例えば、アパレルの販売では店頭で従業員が来店してきた顧客等にアプローチして彼らの好みや要望などを確認しながらマッチする商品等をリコメンドする方法が主な営業形態でしたが、ネット販売では別の対応が必要になります。

 

ターゲットによって、彼らへの来店や販売を促すためのプロモーションの方法は変わりますが、今まではアクセス可能範囲のターゲットに対して、チラシ、電話やはがき・Eメールなどで情報を発信し訴求するという方法が取られてきました。

 

しかし、コロナ禍で急増したECショップでの販売では、いかにターゲット層をECショップに来店(アクセス)させ、購買まで誘導するかというWEB上の仕組が必要になります。

 

自社のECショップを認知してもらうためにSNSなど、どのメディアを使って情報発信するか、どのような情報を提供し、どのようにコミュニケーションを取りショップに誘導するか、という仕組を構築していかねばなりません。

 

また、見込客等がECショップにアクセスしても直ぐに離脱せずに自社や商品等に興味を持ってもらい購入まで導く仕組も作る必要があります。もちろんECショップだけでなく実店舗を、実際に商品を見たい人、手に取ってみたい人などのために活用したり、商品等をアピールしたりするためのPRスペースなどとして利用することも重要です。

 

このようにコロナ禍によって人々の行動特性が変容し、それに伴ってビジネスシステムも変化させる必要が出てきました。ECが普及した現代においては、実店舗から仮想空間上の店舗をビジネスの主たる提供場所として、それに合わせたシステムの構築が求められています。

 

 

2-2 コロナ禍による労働の「場所」の変化

新型コロナは労働者の働き方にも影響を与え、リモートワークや副業等に従事する形態が進み、労働場所にも変化が見られるようになりました。

 

1)リモートワーク等の普及と労働場所

コロナ禍以前では事務所などに従業員が決められた日時に一斉に出社して業務に従事する形態が一般的でした。しかし、コロナ対応として3密を回避するための行動が重視され、勤務においては事務所に出社しないで自宅等で業務に携わるリモートワークの導入が急増したのです。

 

以前から働き方改革の一環でリモートワークが推進されていたこともあり、コロナ禍で一気に導入が進みました。

 

働き方や人材育成などの調査を行っている「HR総研」の「今後の働き方に関するアンケート 結果報告」によると、新型コロナの影響により、新たに行った働き方に対する企業の取組として、「テレワークやワーケーション等の実施」が61%で最多となっています。

 

コロナが収束に向かう中、リモートワーク等から従来の出社形態に戻す動きも見られますが、それでもリモートワークをある程度維持する企業は多いです。また、先のHR総研の調査では、新型コロナの影響により1度はテレワークを実施した企業に対して、現在のテレワークの実施状況が確認されており、以下のような結果が得られています。

 

それによると、「一部社員を対象に実施している」が55%と最も多く、次いで「全社員を対象に実施している」が32%で、これらを合計した「実施している」の割合は87%と9割近いです。また、「現在は停止した」は12%で、「導入準備中」は1%未満となっています。

 

以上のように8割以上の企業が現在もテレワークを実施しており、「中堅企業においては、コロナ禍以前のテレワーク実施率45%(「テレワークやワーケーション等への取組み」の実施率)に対して44ポイントも増加している、と急速なリモートワークの普及と定着が指摘されているのです。

 

リモートワークが就業形態の一つとして定着すれば、労働者は通勤の負担が軽減したり、解放されたりすることになります。つまり、労働者は企業を選択する際の「通勤範囲内」という条件に縛られずに選ぶことが可能となり、その選択の幅が広がるわけです。

 

労働者にリモートワークなどでの就業形態を希望する者が増加していけば、企業は人材確保のためにその傾向に対応することが求められます。

 

2)副業の増加

現在、従業員の副業を認める企業が増加しているだけでなく、社外の副業・兼業している者を活用する企業が増加中です。

 

株式会社リクルートの「兼業・副業に関する動向調査 データ集2022」の調査資料によると、「従業員の兼業・副業を認める人事制度がある」と回答した企業の割合は51.8%となっており、年々増加する傾向にあると指摘されています(2020年49.5%、21年50.5%)。

 

また、企業が兼業・副業を認め外部人材を活用することで、以下のような効果が確認されているのです。

 

  • ・人手不足を解消することができた:47.4%
  • ・社内人材にはない知識やスキルを持った人材を確保することができた:46.8%
  • ・イノベーションの創発や新事業開発につながった:37.5% 等

 

また、「個人調査」では、労働者の兼業・副業の実施状況に関する「2021年-2022年調査結果比較」が示されており、「兼業・副業実施中」+「今後の実施意向あり」の22年の合計は56.3%、21年合計は55.9%となっており、僅かですが増加となりました。

 

このように兼業・副業を認め活用する企業が増えており、労働者も兼業・副業を前向きに考える傾向が強まってきていることがわかります。企業としては、従来のような専属の雇用契約の下で規定の場所で労働を提供してもらう形態だけではなく、副業など業務委託による労働の提供を受けるという対応も必要になってきたのです。

 

業務の内容によっては、自社への頻繁な出社を必要としないリモートワークで採用する、他社に勤務する等の副業者や兼業者を業務委託で採用する、などで人材を確保すれば、より広範囲な地域から有望な人材を確保しやすくなるでしょう。

 

 

3 業種別の従来の事業場所の考え方

業種別の従来の事業場所の考え方

 

ここでは主な業種の従来から想定されている事業場所の条件や有効性などについて説明しましょう。なお、ここではECを含む通信販売に関する事業は除外します。

 

 

3-1 小売業・サービス業の立地

従来の小売業やサービス業など、顧客等が直接店舗等に訪れて商品・サービスを購買する業態では店舗の立地が事業の成功に直結するため、その選定が極めて重要です。

 

立地の良さを評価するポイントはいくつもありますが、特に以下の点は重要になります。

 

  • ・ターゲットにしている見込み客等が多い、多く集まっている、近くを歩く場所
  • ・競合するライバル店が少ない場所
  • ・交通の便がよい、アクセスしやすい場所
  • ・わかりやすい場所(直ぐに見つけ出せる場所 等)

 

こうした内容はその店のコンセプトにより異なりますが、基本的に考慮しておきたいポイントです。これをベースに以下のような点を具体的に検討することが求められます。

 

(1)ターゲットが本当に来店してくれるか

ターゲットと店の立地との関係から、彼らがいつ店に来てくれるかという視点でターゲットを分けると、休日の来店、平日の来店、学校帰り・会社帰りからの来店、といった区分が可能です。

 

そのタイプから各来店の可能性の高い立地を選ぶという検討も必要になります。通勤帰りの会社員などをターゲットにするなら、彼らが通勤によく利用する駅付近、彼らがよく利用する通り、彼らが買物や娯楽を頻繁に楽しむ地域、などが立地の候補になるはずです。

 

ターゲットが近隣に多く存在しているという要素だけでなく、ターゲットがいつ来店するか、どのような理由で近くまで来るかといった要素も考慮する必要があります。

 

ほかにも、休日に近くまで来る可能性、付近の住民が気軽に立ち寄る可能性、下校時やクラブ活動の終わりに立ち寄る可能性、就業後の一時を近場で楽しむ可能性、などを分析して選ぶことが重要です。

 

もちろん基本的なターゲットの存在を評価することは前提です。候補地におけるターゲットの人口、世帯数、年齢層の分布などを調査し事業が成功するだけの需要量の存在を確認しておかねばなりません。

 

また、出店場所におけるターゲットの詳細な情報を収集しておくことも必要です。各曜日の時間帯ごとの付近を通過する人数、周辺の商業施設等に引き寄せられる人数、季節やイベント等で影響する人数、などを分析しておくことが望ましいです。

 

(2)競合先の状況

ライバルの多さ、ライバルの競争力の程度、新たなライバルの出現の可能性、ライバルの変動による当該地域の需要の変化、などを分析して立地は決定しなければなりません。

 

同業種のライバルが多い方が一般的には競争が厳しくなり事業の成功も難しくなります。しかし、単に同業者が多いというだけでは大きな影響を受けないこともあります。例えば、他の同業者と比較して、商品・サービスの内容・質や提供の仕方に違いあれば、彼らと異なるポジションでの商売が可能です。

 

同じスーパーマーケットの業種でも、住民全般を対象として豊富な品揃え・手頃な価格で販売する業態、低価格を重視する住民を対象に海外品やプライベートブランドなどの品揃えで激安販売する業態、高齢者世帯や共働き世帯などを対象にした品揃え・小分けや配送などのサービスで対応する業態などがあります。

 

こうした事業者は、ターゲットや売り方などが異なるため、直接的な競合を避けることも可能です。従って、立地を選ぶ際には誰がライバルになるか、そしてその多さや競争力の強さ等を評価して選定することが求められます。

 

(3)交通の利便性の状況

ターゲットが自社へ訪れるための交通の利便性、アクセスの善し悪しを考慮して場所を選ぶことも重要です。

 

業種・業態やターゲットによって、ビジネスでの商圏の範囲や内容は異なってくるため、自社のそうした内容や特性を踏まえて商圏分析し場所を選ぶ必要があります。例えば、小売業等では、商圏を以下の3つのレベルで捉えることが多いです。

 

●一次商圏

 

ターゲットの居住地から徒歩(あるいは自転車)で約15分圏内が一次商圏にあたり、歩いてもさほど苦にならない距離であるため毎日の来店が期待できます。

 

そのため頻繁に購入する最寄品を販売する小売業などが適しており、一般的には人口が密集している地域で、その近隣の駅前、商店街、繁華街などが立地場所となるケースが多いです。

 

この商圏に適した業種としては、コンビニエンスストア、ファーストフード店、スーパーマーケット、など顧客が毎日利用するような業種のほか、駅や住宅街に近い学習塾や習い事のスクール等のサービス業、繁華街での飲食業なども多いです。

 

●二次商圏

 

二次商圏は、車で15分程度での来店が可能な範囲になります。この商圏は一次商圏よりも広範囲になりますが、道路のアクセスの善し悪し、交通状態などの状況が来店に影響することもあるため注意が必要です。

 

また、駐車スペースが不十分な場合来店の動機を妨げることになるため、適切なスペースが確保できる立地の選定が求められます。

 

この商圏では、週や月に何回かの利用が想定されるため、その頻度で購入する日用品や生活必需品等を扱う小売業、例えば、ドラッグストア、ホームセンター、家具や家電等の量販店などの業種が候補になるでしょう。また、郊外のロードサイドなどでは規模の大きい飲食業なども多いです。

 

●三次商圏

 

三次商圏は、ターゲットが車や電車で40分程度かかる範囲になります。来店頻度は月に何回かで、明確な購買目的をもって来店する顧客が対象になりやすいです。

 

時間をかけて訪問してでも買いたいモノがそこにある、買うだけのメリットがある、買物以外の楽しみがそこで味わえる、といった価値の提供が期待されています。

 

この商圏では、独自性が高く手に入りにくいといった特徴のあるアパレルやアクセサリー、雑貨などの業種のほか、各種専門店、多様な飲食店などを取りそろえた大型ショッピングモールなどが代表的です。より広範囲な地域を対象とするため、大型駐車場の完備や利用者の多い駅などが立地条件となります。

 

3-2 製造業の立地

製造業の立地においては、業種や製造物等の内容によって立地のタイプが異なり、以下のようなタイプが見られます。

 

●電力重視

アルミニウム製造などの場合は大量の電力を消費するため、電力を安価にかつ安定的に利用できる地域の立地が候補になりやすいです。

 

●原料重視

金属・セメント・パルプ製造などの場合、重量が重く嵩張るような原料を大量に利用するため、その産地付近や入手しやすい立地が候補になります。

 

●市場重視

ビール・清涼飲料水・食品や新聞等の印刷・出版の製造などの場合、それらを消費する地域の付近が立地の候補になりやすいです。他の製造業でもマーケットの近くに立地する傾向が強くなっています。

 

●労働力重視

かつての繊維などの製造のほか組立業の場合、多くの労働力が必要であったため、比較的安価な労働力が確保できる地域が立地の対象となります。

 

●臨海重視

鉄鋼・石油関連の製造など、原材料を海外からの輸入に頼るケースでは荷揚げ地である港の近郊が立地の条件となることが多いです。

 

●臨空重視

電子部品等の製造などで海外への輸出が多く、また製品自体が小型軽量なものである場合航空便がよく利用されています。そのため国際便が利用できる空港に近い地域に立地されるケースが多いです。

 

●サプライチェーン重視

自動車製造業などの場合、多数の材料や部品を様々なサプライヤーから調達するため、自社産業に関連するサプライヤーが集積する地域が立地の候補になり得ます。

 

以上のような立地の傾向を含め、製造業の立地の主な選定要因は以下の通りです。

 

  • ・自社の本社工場等や他社の関連工場との近接性
  • ・土地の価格
  • ・市場へのアクセスとその必要性
  • ・出荷や配送の利便性(高速道路・港・飛行場との近接性)
  • ・安価・良質・豊富な労力の確保
  • ・行政の誘致や助成等の支援
  • ・産業インフラの完備(電力・水、関連産業の集積 等)

 

 

3-3 卸売業の立地

卸売業の性質が近年において大きく変化しているため、以前のような市場・顧客に近接する場所、関連の産業集積のある場所などに立地するというパターンでは適さないケースも増えてきました。

 

卸売業の基本機能は、メーカーで生産された製品を小売業に流通させることです。製品を求める小売業に安定供給したり、小売業の意見を収集してメーカーの製品開発に協力したりするといった製造者と販売者の橋渡しをする役目を担っており、その機能を発揮しやすい場所に立地する傾向がありました。

 

しかし、時代の流れとともに従来の卸売業の機能に変化が生じ始め、少量多頻度・小分けなどの高度な配送を提供するといった物流面を強化する業者、小規模な小売業を組織化する業者、小売業や製造業の機能を取り入れる業者、金融・投資などに取り組む業者、などが登場しています。

 

従って、これからの卸売業は自社がどのような機能を中心として事業展開するかによって最適な立地を検討しなくてはなりません。例えば、高度な物流機能をセールスポイントして事業を推進する場合、その機能を求める小売業へ効率的に製品を提供できる立地が求められるでしょう。

 

また、小売機能を強化する場合ではターゲットとなる消費者・市場に近い場所が候補になるはずです。このように現代の卸売業は多様な機能を保有して事業を行っているため、その事業に適した立地を選ぶことが必要となります。

 

 

4 会社設立時等での場所選びの重要点

会社設立時等での場所選びの重要点

 

これまで確認してきた内容を踏まえ、創業場所や会社設立場所の選び方のポイントを説明しましょう。

 

 

4-1 マーケティング面からの検討

創業時・会社設立時の立地が自社事業の成否に直結するため、自社のマーケティング面からその場所の善し悪しを判断することが重要です。具体的には以下のような点に注意しましょう。

 

1)顧客や市場との適応性

ビジネスの成功は、いかにターゲットのニーズを満たせるかにかかっており、企業の立地に関しては、そのニーズを満たすため、すなわち望まれる商品・サービスを提供するために、最適な場所を選ぶことが要求されます。

 

例えば、直接的な接客を伴う小売業・サービス業にあってはその店に来店するターゲットが多く住んでいる、店の前を多くのターゲットが通る、来店しやすい・アクセスしやすい場所にある、自店の周りがターゲットの好む雰囲気である、といった立地条件が必要です。

 

また、現代の製造業や流通業のなどの立地では市場との近接性を重視する傾向が見られます。マーケットのすぐそばに拠点を設けて、顧客のニーズをタイムリーに収集して商品開発を行い迅速にマーケットに投入して、移り変わりの激しいニーズに対応することが重要です。

 

インターネットの利用により物理的な近接性の優位性・利便性が低下していますが、直接的な対面を通じたコミュニケーションが重視されるケースでは近接性を考慮した立地は基本となります。

 

2)経営資源(資金、協力先・仕入先、労働力 等)の考慮

ビジネスで成功するためには、自社のビジネスシステムを構成する経営資源を適切に確保して運用できることが不可欠です。ビジネスシステムとは、自社の商品・サービスを提供するための仕組であり、それを構築するためにはそれに適した経営資源の確保が欠かせません。

 

例えば、資金を提供してくれる金融機関等が近くに存在する、安価で良質な労働力が近くに存在する、必要な部品等を供給してくれる外注・仕入先が近くに存在する、といった要素が重要になります。

 

製造業の場合では、以上のほかに製造や出荷等にかかわるインフラ(土地、電力、原材料、高速道路・港湾・飛行場 等)が近くにあるか、といった点の考慮も必要です。

 

業種・業態の違いのほか、対象とするターゲットやニーズの違いによりビジネスモデルにも様々な違いが現れ、各モデルを実現するための経営資源も変わってくるため、そうした相違を踏まえて立地を検討することが求められます。

 

3)競争面の考慮

ビジネスを持続させていくには、ターゲットのニーズを捉え続けること以外にもライバルに勝ち続けることも必要になります。そのため事業を行う場所・市場では競争が緩やかであることが望ましく、ライバル自体が少ない、競争力の強いライバルがいない、といった状況が事業上好ましいです。

 

通常、同業種の事業者がライバルとなりますが、業態が異なれば、直接的なライバルになりません。一方、違う業種でも業態によっては強力なライバルになることもあるため、市場において誰がライバルになるか、ライバルの強さはどの程度か、を分析して立地場所を検討する必要があります。

 

4)コスト面の考慮

ビジネスを行う事務所、店舗、工場や倉庫などを構える場合、土地や建物の設置にかかわる購入や賃貸等の費用が発生しますが、そのコストが収益に見合わないと事業の継続が困難になっていくでしょう。

 

いくら販売面や製造面などで有利な立地であっても収益を大きく圧迫するコストがかかっては利益が少なくなり、受注量のわずかな減少で赤字なるような厳しい費用構造になりかねないです。

 

従って、単にコストが相場として高いというだけでなく、ビジネスモデルからみた収益性として適切なコストであるかどうか、という評価が必要になります。相場的にはリーゾナブルなコストであっても、自社のビジネスでは費用負担が大きく妥当でないこともあるため注意が必要です。

 

逆に相場よりも少し高くても、良質なターゲットが豊富である、ターゲットへのアクセスが良い、強力なライバルが少ない、他者と差別化できる環境にある、といった立地で、高い収益性が見込まめるなら、その立地の選択は適切と言えるでしょう。

 

 

4-2 コロナ禍やデジタル化社会という環境の検討

現在のビジネス環境として、アフタコロナやデジタル化社会などの要因を踏まえてビジネスを組み立て、事業場所を検討することも必要です。

 

1)デジタル化社会等への対応

インターネットの普及とともに高速データ通信を活用したコミュニケーションが定着し、人々の生活や事業者のビジネスを含め社会のデジタル化が急激に進展してきました。

 

その結果、人々の購買行動や娯楽・遊興などにおいて、ネット経由の消費行動が一般化してきています。つまり、消費者等はリアルな店舗以上に、ネット上の店舗等で買物を行い、サービスを受ける傾向が顕著になってきたのです。

 

従って、事業のタイプによってはリアルな店舗などがなくなり、業務を行う「場所」はインターネット上に存在しています。ECショップの立地としては、自社のサイト(ホームページ)上に設ける、他の事業者が運営しているECショッピングモール上に設ける、などが一般的です。

 

従って、ECショップ等の場合は、インターネット空間での立地の善し悪しを評価して決定しなければなりません。ネット上の店舗は、顧客や見込客などのネットを利用する者が自店(自社サイト等)にアクセスしてきて、始めて商売に結び付きますが、膨大なネット空間で自店を認識してもらうことは容易ではないです。

 

つまり、ECショップ等においても自店を認識し来店しもらうための仕組(WEBマーケティング)が必要であり、それを実現できる「場所」を選ぶあるいは作り上げる、という取組が求められます。

 

コロナ禍で人との接触を控える行動が重視され、ネットの利用が大きく進んだため、今後のビジネスにおいてはネット経由の販売やサービスの提供が当然のように求められます。

 

もちろん従来の実店舗の存在が必要であったり、有効であったりするケースも多いですが、インターネット空間も必要不可欠な事業場所として捉え、それに基づいたマーケティング手段の実行が益々必要となるでしょう。

 

2)多様な働き方への対応

働き方改革の推進の流れの中で、兼業・副業やリモートワーク等の多様な働き方が進み出し、コロナ禍でその勢いが増しました。こうした働き方では企業の拠点は必ずしも労働を提供する主要な場所と言えない状況になってきたのです。

 

製造などを除く拠点の就業においては、そこに所属する従業員が一堂に会して業務に携わるケースが減り、かわりに従業員の自宅や事務所外での労働が主体となるケースが増えてきました。

 

従って、この状況では従来のような広いスペースを確保したり、従業員の通勤の利便性を考慮したりするなどの就業場所としての要件が緩やかになってきたわけです。

 

そのため企業としては立地場所、該当物件などを探す手間が容易になり、物件の購入・賃貸にかかる費用負担も小さくなるというメリットが得られやすくなります。

 

また、人材確保という点では、現在は人手不足の傾向があり、中小企業等では新卒採用・中途採用のどちらも簡単ではありません。しかし、兼業・副業やリモートワーク等の多様な働き方の導入を進めて行くことで、スキルや経験を保有した人材が確保しやすくなります

 

企業における場所にかかる費用は事業運営の大きな負担になりかねないですが、上記のような働き方に対応していくことで、その負担を軽減するとともに多様な人材を取り込んでいくことも可能です。

 

 

4-3 法人登記面からの検討

会社設立する際の本店所在地をどう登録するかで、事業やプライベートの生活に影響が生じるため以下の点は熟考しましょう。

 

1)本店所在地としての自宅の登録

法人化の折に自宅を本店所在地とするケースは多いですが、そのデメリットを評価して決定することが重要です。

 

自宅を本店所在地とすれば、場所にかかる経費を大幅に削減でき資金繰りを少しでも楽にすることができます。また、通勤時間がないことから肉体的な疲労を削減し、プライベートな時間を増やすことも可能です。

 

しかし、その一方で逆に業務時間が長くなり、仕事とプライベートの生活との区分が曖昧なり、休みをあまりとらない就労状況を作り出すことになりかねません。また、自宅を本店とする場合、対外的な信用度が低く評価され、融資、取引や人材確保などで不利になることもあります。

 

さらにホームページ等で自宅住所を掲載することになるため、取引関係者のみならず消費者等にまで住所が知られることとなり、クレーム等で彼らが自宅に押し寄せるといった安全上の問題も生じかねません。

 

本店所在地の変更は可能ですが、手間と費用が多少なりともかかるため、自宅を利用する場合は上記のようなデメリットを評価しておきましょう

 

2)将来の住所変更や許認可等の影響

本店所在地の記載の仕方により将来の住所変更に伴う移転登記に影響することもあります。

 

例えば、定款の本店所在地を最小行政区画(都道府県名+市区町村名の住所まで)で記載する場合、将来に同一市区町村内へ移転するなら定款を変更する必要はないです。しかし、市区町村の「〇番地□号」等まで記載している場合、同一市区町村内への移転でもその部分が変われば本店移転登記しなければなりません。

 

東京都の場合、最小行政区画の単位は「区」ですが、このケースでの本店所在地の定款記載の例を挙げると、以下のようなAとBの2つが考えられます。

 

A:
第2条 当会社は、本店を東京都練馬区に置く。

 

B:
第2条 当会社は、本店を東京都練馬区○○町1丁目2番5号に置く。

 

上記のAの場合、将来、本店住所を同じ練馬区内に移転する場合、定款の変更手続をする必要がないですが、Bの場合は「○○町1丁目2番5号」の部分が変わるなら変更手続を行わねばなりません。

 

また、本店移転登記を行う法務局の管轄が移転により、変更前と異なる場合は、変更前と変更後の各々の法務局で登記申請する必要があります。つまり、同じ管轄内での移転なら、同一の法務局だけの申請、管轄が異なる場合の移転なら、変更前と後の両方の法務局への申請が必要となり手間がる増えるわけです。

 

このように本店を移転する場合、変更に伴う登記申請の手間や費用が発生しますが、それだけでなく各種の行政(税務署、労働基準監督署、公共職業安定所、郵便局、年金事務所、NTT 等)、社内や株主総会などにおいての各種の手続が要求されます。

 

許認可等においては、事業を運営する上で営業実態のある事業所による設立が必要な業種などではバーチャルオフィス等の住所が認められません(使用できない)。具体的には、士業(司法書士、弁護士、税理士、行政書士)、有料職業紹介事業、金融商品取引業者、不動産業、古物商、建設業、などの業種では注意が必要です。

 

将来の本社移転の可能性や事業上の許認可なども考慮して会社設立時の場所を検討しましょう。

 

 

5 会社設立から事業拡大と進めるための「場所」の決め方

会社設立から事業拡大と進めるための「場所」の決め方

 

ビジネスで成功するには、起業時、会社設立時と事業拡大時での「場所」の選び方も重要です。ここでは「起業してその後に法人化し成長を拡大する」という流れにおいて、その重要ポイントを説明しましょう。

 

 

5-1 マーケティング戦略と場所の整合性

マーケティング戦略に沿って、事業場所を検討することが重要になります。

 

1)ビジネスモデルと場所の整合性

ビジネスで成功するためには、その事業に適したマーケティング戦略の立案が不可欠ですが、その根本はビジネスモデルです。

 

ビジネスモデルとは、企業が事業を通じて収益を得るために、「誰を対象として」「どのような商品・サービス(ターゲットのニーズ=求める価値)を」「どのように提供し」「どのように収益を上げるか」をまとめたビジネスの基本方針と言えます。

 

この構想をもとに、より具体的なビジネスの仕組を作り実行するために「マーケティング戦略」が策定され各種の機能(設計・調達・生産・販売等)が整備され運用されて、そのビジネスが形となって実施されるわけです。

 

創業する場所や事業を行う場所は、マーケティング戦略を実行する場所と直結するため、それらが上手くマッチングしていないと、マーケティングの実行に支障が出てビジネスが上手く機能しなくなります。

 

ビジネスモデルやマーケティング戦略の内容は同じ業種・業態でも様々であるため、自社の事業内容に基づいて「場所」の設定を検討することが重要です。例えば、以下のような例が挙げられます。

 

●高級品主体の小売業と低価格品主体の小売業

 

前者の場合で、高所得者層で高級品を志向する層がターゲットになるなら、彼らが多く住んでいる地域(高級住宅街 等)、彼らが良く集まる繁華街、などが立地場所の有力な候補となるはずです。

 

また、その場所に設置する施設(建物 等)も高級なイメージや雰囲気が感じられるものが要求されることになります。

 

一方、後者の小売業の場合は、低価格を志向する人を含め人口が多く、薄利多売が可能な地域が主な対象です。利益率が低くなる可能性が高いことから、土地や建物の利用が安くなる地域や物件が重要になります。

 

また、施設は高級感を持たせずにフレンドリーさや気軽さが感じられ利便性の良さなども必要となるでしょう。このように事業場所は商品・サービスを提供する、すなわち価値を提供する場所となるため、ビジネスモデルの内容との整合性が求められます。

 

2)場所を検討する際の切り口

重要なマーケティング要素に基づき場所を検討しましょう。

 

(1)顧客セグメント

 

ビジネスの構想ではターゲットの明確化が重要です。年齢や性別、商品・サービスの利用目的などから対象者となる像(ペルソナ)を明らかにしますが、事業者(法人等)をターゲットとする場合は、彼らだけでなく、その顧客や利用者などもターゲットして含めることも必要になります。

 

事業場所は、その区分したターゲットに適しているかどうかで選定することが重要です。

 

(2)顧客との対応の仕方や関係性の考慮

 

顧客となるターゲットに対して、どのようなビジネスを行うか、価値を提供するか、という内容からその対応の仕方や持つべき関係性の観点から、事業に必要な場所を検討することも必要になります。

 

何処でどのように商品・サービスを提供するか、彼らと最適なコンタクトをとる場所としてどこが適切か、良好な関係を作り維持するための最適な場所はどこか、といった点で検討しましょう。なお、その際にはコンタクトの手段(面談、電話、メール 等)の内容も考えて場所を検討します。

 

(3)販売チャネル

 

自社が構築する販売チャネルを有効に機能させるための適した場所を検討しなくてはなりません。流通業者を通じて商品を提供する製造業などの場合、最終的な顧客が消費者であっても、直接的な販売先が流通業者となるケースはよくあります。

 

この販売システムでは自社の抱える販売チャネルの能力が自社の業績に影響するケースも多いです。そのため自社はそのチャネルが良好に機能するようにマネジメントとする必要があり、それに適した場所の設定が求められます。

 

設定方法は様々ですが、チャネルを構成する流通業者が多く立地している地域に自社の拠点を置く方が効率的なマネジメントの運営には有効です。チャネルが日本全国の地域となる場合は、日本をいくつかの地域に分けたブロックで自社の拠点を配置していくケースなどが多く見られます。

 

なお、チャネルの設定では、現在だけでなく将来の環境にも対応できるチャネル管理も考慮してそれに適した場所を検討しましょう。

 

(4)提供価値

 

良いビジネスとは、顧客が欲する商品・サービスを彼が望む方法で提供するという行為であり、言い換えると、顧客が望む価値を提供する行為と言えるでしょう。

 

この価値の中には、商品・サービス自体の善し悪しだけでなく、購入前の問い合せ・相談、購入時の価格交渉、納品時の受け渡し、購入後のアフターサービスなどの内容も含まれます。

 

こうした行為の評価が自社の販売や収益に影響することになるため、これらの行為が良好に実施できる場所の検討も重要です。顧客から遠い、対応場所が少ない、アクセスが良くない、というような立地なら、評価が下がり、業績を悪化させることになりかねません。

 

そのため一連の価値提供に適した場所の選定を心掛けましょう。

 

 

5-2 創業時等での経営資源の考慮

実際に施設等を構え事業を行うためには各種の経営資源が必要であるため、それを制約条件として場所を選定することになります。

 

いくら優れたビジネスモデルやマーケティング戦略を策定してもそれを実現するための資源が用意できなくては事業が実施できないため、可能な限り必要資源の確保に努める中で最適な場所も検討しなければなりません。

 

経営資源の中では特にお金と人材が重要な資源となるため、それらを考慮した場所の選定が重要です。創業間もない企業では資金不足が課題として多く挙げられますが、その状況の中で多額の費用が発生する場所へ立地すると後日の事業運営を圧迫し資金ショートの可能性を高めてしまいます。

 

また、購入や賃貸で施設を確保するケースも多いですが、資金不足や運営コストの低減のために自宅を拠点とする選択も必要です。もちろん自宅以外で拠点を設置した方が取引や人材確保などの点で有利ですが、創業から当面の間、低コスト運営を重視するなら自宅の選択も誤りではないでしょう。

 

業種や事業内容等により生産設備・機器や物流倉庫などが必要となることも多いですが、それらを自前で用意して事業活動を行う場合、相当な資金が必要となります。

 

創業間もない企業において、こうした状況は経営を困難にさせるため、初期費用を押さえるのに有効な各種のシェアリングサービスの活用の検討も必要です。

 

生産機能や物流機能などのシェアリングサービスが多く登場しているため、活用できる事業者やその場所を調べ利用しやすい地域に自社を立地する、といった選択も検討したほうがよいでしょう。

 

創業後は様々な経営課題に直面しますが、まず事業を軌道に乗せる、安定させることが重要となるため、経営資源の確保と運営にかかる経費を押さえ資金繰りを悪化させない経営が必要になります。

 

そのために初期費用を少なく済ませ、運営コストも低く押さえられる場所の設定は重要です。自宅、シェアオフィスや各種のシェアリングサービス等の活用などを含め自社の状況に最適な場所を選定しましょう。

 

 

5-3 会社設立に伴う場所の検討

事業が安定しさらに発展する段階になると、法人化したり、合同会社などの場合は株式会社へ変更したりする、といったケースが多く見られます。法人化する場合などは、それによるメリット・デメリットの可能性を十分に考慮して決定する必要がありますが、変更後の「場所」も適切に検討しましょう。

 

法人化する場合、法務局への登記が必要となり、株式会社では定款に本店所在地を記載することになります。どういった場所に、どのような施設を本店とするかで、他者の評価やイメージが変わってくるため、先に確認したマーケティング面や経営資源の確保の面なども踏まえて決めることが重要です。

 

創業時や創業して間もない時期では資金不足、低コスト運営、情報収集、人脈形成、取引の利便性・効率性、などを考慮して、立地場所や施設等を検討します。

 

例えば、低コスト運営したい場合は、自宅・バーチャルオフィス等、情報収集・人脈形成を重視するなら、シェアオフィス・レンタルオフィス等、製造業で設備機器を借りたい場合はインキュベーション施設等が候補になるでしょう。

 

なお、バーチャルオフィスなどでも法人登記は可能ですが、一部では営業実態の観点から認められにくいケースや銀行口座の開設が困難になるケースもあるため事前の確認は重要です。

 

 

5-4 成長期・事業の拡大期の場所の検討

創業して事業が成長軌道に乗ると、収益の拡大を狙って事業を拡大させる動きが強まります。事業規模を拡大したい時には、販売や生産の拡大に適した立地と施設の選定も必要です。具体的には、その時のマーケティング戦略に対応できる販売や生産に適した立地と施設を検討することになります。販売については先に説明した販売戦略に基づく販売チャネルなどの観点から検討することになるでしょう。

 

生産面ではその企業の販売戦略に合わせた生産戦略を策定してその立地等を考える必要があります。例えば、国内の販売を東日本と西日本の2つの地域に分けて販売を拡大させたい場合、その生産拠点は各地域で最も販売量の多い地域に近くかつその他のエリアへのアクセスのよい場所が候補になるケースは多いです。

 

また、特定の流通チャネルや流通業者を中心に販売させたい場合では、その流通チャネル等の近隣や効率的な配送が可能な立地が候補になるでしょう。輸出に注力していく場合、生産品によっては港や空港の近隣などの発送に便利な場所が候補になるはずです。

 

使用する原材料や部材によっては、その原産地の近隣に、多種多様な部品や加工等を必要とする生産ではそれらを入手することが便利な集積地かその近隣が候補になります。

 

このように自社の事業内容・特徴とその成長段階でのマーケティング戦略に基づき、各々の販売や生産などの機能を効果的・効率的に実施できる立地や施設を検討することが必要です。

 

 

6 まとめ

起業や会社設立等における「場所」についての望ましい決め方

 

ビジネスを成功させるための経営には様々な重要ポイント(要素)がありますが、商品・サービスを創造したり提供したりする「場所」も重要です。この場所の選定を誤ると、事業の失敗や成長鈍化に繋がりかねません。

 

特に創業時、会社設立時や事業拡大時での場所の選定は重要であり、事業の継続や発展に直結しかねないため慎重な検討が求められます。これまで確認してきた「ビジネスと場所」の関係を参考に自社の状況にあった最適な場所選びができるように取り組んでみてください。


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