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不動産会社を設立するのに必要な手続きとは〜不動産業界の現状と将来性も分析〜

自分で起業し不動産会社を設立しようとする場合は、どのような手順で行うのか知っておく必要があります。しかし、不動産業界を取り巻く環境は大きく変わっています。少子高齢化や人口減少、首都圏への人口流入やシェアリングエコノミーによるニーズの変化など、対応すべき要素が多いのが現状です。

 

そこで今回の記事では、不動産業界の現状と将来性、不動産会社を設立するためにはどのような手続きが必要なのかを詳しく説明します。不動産業界で起業・会社設立を検討している方は、ぜひご参考ください。

 

 

1 不動産業界とは

不動産業界とは

 

不動産業界とは土地や建物などにかかわる業界を指し、その業態は次の5種類に分けられます。

 

  • ・不動産の開発と分譲
  • ・不動産の流通
  • ・不動産の管理
  • ・不動産の賃貸
  • ・不動産投資と運用

 

開発と分譲は住宅やオフィス、商業施設のほかに都市開発も含みます。2002年の都市再生特別措置法の施行により、政令で指定された地域の市街地が整備されています。

 

不動産流通業は不動産の売買や賃貸借の媒介・代理などを行います。地域に密着した中小規模事業者が多いのが特徴です。

 

不動産管理業は不動産の所有者に代わって建物・設備の点検や補修と、テナント募集や賃料回収などを行います。不動産の資産価値を維持し向上させる役割を担っています。

 

不動産賃貸業は住宅やオフィスの賃貸事業を行うもので、法人と個人の家主がいます。民営の賃貸住宅は居住される住宅のうち約3割を占めます。

 

不動産投資と運用の事業は、不動産証券化の制度が整備されたことを背景に市場規模を拡大させてきました。J-REITなど不動産投資信託の資産総額は2018年3月時点で約21.8兆円にものぼります。

 

 

2 不動産業界の現状

不動産業界の現状についての概要と、業態別の状況についてご紹介します。

 

 

2-1 不動産業界全体の現状

不動産業界の現状に関しては、国土交通省が2019年4月付で発表した「不動産業ビジョン 2030」では、次のようになっています。いずれも2017年度におけるデータです。カッコ内は全産業に対する割合となります。

 

  • ・産業規模:43.4兆円(2.8%)
  • ・法人数:約333万社(11.5%)
  • ・従業者数:約134万人(2.7%)
  • ・国内総生産:61.8兆円(11.3%)
  • ・不動産のストック総額:約2,906兆円(国民資産の23.9%)

 

(国土交通省「不動産ビジョン2030」より)

 

 

2-2 不動産の開発・分譲の現状

まず不動産の開発・分譲の業態における現状です。マンションの供給数は2008年のリーマンショック直後の減少から上昇に転じたものの、2000年代前半のような大量供給時代と比較すると明らかに減少しています。

 

全国のマンション発売戸数は2010年の84,701戸から2013年の105,202戸へと増えたものの再び減少し、2019年は70,660戸となっています。(不動産経済研究所調べより)

 

オフィスは東京23区に関しては、延床面積5,000坪以上の大規模ビルの供給が続いています(2017年度時点)。空室率も低い水準で推移しています。

 

都市開発は大都市地域において、工場跡地などの土地利用転換による再開発が継続して行われています。また東京オリンピックの開催に足並みを揃える形で東京の再開発は急ピッチで進んでいます。

 

 

2-3 不動産流通業と管理業の現状

住宅の流通をみてみると、首都圏の中古マンション成約件数が新築マンションの販売戸数を2018年までの3年間連続で上回りました。それにともなって、リフォームの提案や建物状況検査(インスペクション)といったサービスの充実が求められています。

 

また消費者が不動産ポータルサイトなどを利用して情報収集をする傾向が続いています。

 

不動産管理業では近年、賃貸住宅管理業者が貸主に一定の賃料収入を保証する「サブリース契約」に関するトラブルが問題視されています。あるいは建物の老朽化と居住者の高齢化にともない、修繕積立金の不足や管理組合の役員不足も課題になっています。

 

一方で物件オーナーの経費削減要望に応える形で、管理費用の低価格化が進んでいます。築年数の古い物件数が増えるなかで、入居者管理と設備管理をいかに効率的に行うかが、業界内での生き残りのために必要となっています。

 

そこで低価格で総合的なサービス提供ができる企業が生き残るため、今後は大手企業によるM&Aでの中小企業の淘汰が進むとみられています。

 

 

2-4 賃貸業と不動産投資・運用の現状

賃貸業においては、シェアリングエコノミーの台頭により借り手のニーズが多様化しています。この傾向は今後さらに進むとみられています。さらに賃貸オフィスに関しては、働き方改革の推進による業務形態の多様化を受けて、シェアオフィスやコワーキングスペースの増加が予想されます。

 

不動産オーナーの高齢化により、賃貸業の相続や事業承継が課題となっています。賃借人がつかずに空き家となった不動産を相続した場合、事業承継はせずに売却するケースも増えると考えられるからです。

 

不動産投資とその運用は、不動産証券化による流動性の向上により市場は拡大を続けています。ただし新型コロナウィルスによる金融市場への影響は不動産投資信託にも大きなダメージを与えました。東証REIT指数は2月に8.5%下落し、3月は13日時点で20.9%もの下落となっています。

 

 

3 不動産業界における課題

不動産業界における課題

 

不動産業界が現在抱えている課題について見ていきます。

 

不動産業界が現在抱えている課題

 

 

3-1 少子高齢化による市場縮小と空き家増加の懸念

まず不動産業界で大きな課題となっているのが、少子高齢化と人口減少です。これは不動産需要の減少につながることが予測されるため、不動産業界全体の市場規模が縮小する可能性があります。

 

また中古住宅の増加にともない空き家が増えていることも問題視されています。2015年には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。これにより、空き家を放置することには固定資産税の増加などリスクを伴うようになっています。全国の自治体も空き家対策として解体やリフォームに助成金を出すといった対応をしていますが、依然として空き家は増え続けています。

 

 

3-2 不動産業界における地球温暖化対策の課題

ほかに地球温暖化対策における不動産業界の取り組みも課題として挙げられます。住宅・非住宅をあわせた建築物部門のエネルギー消費量の増加率は減少傾向にあるとはいえ、2017年3月時点では1990年度比で19.9%の増加となっています。

 

省エネ基準を満たす住宅はストック全体のわずか8%ほど(2016年3月時点)であり、住宅と建築物の省エネ性能のさらなる向上が求められている状況です。

 

 

3-3 消費者ニーズの変化への対応

シェアリングエコノミーの普及は不動産業界にも影響を及ぼしています。不動産の所有が有効な資産であると考える国民の割合が年々低下しているのです。

 

たとえば空き家を相続した場合に、これを資産と捉えるよりも負担と捉える人が増えていることが、空き家増加の一因でもあると考えられています。実際に遠隔地の空き家を相続しても、これを適切に管理するのは難しいものです。

 

 

4 不動産業界の将来性

刻々と変化する不動産業界の将来性については、以下のとおり考察します。

 

 

4-1 ニーズの変化に対応した供給

少子高齢化や晩婚化、共働き夫婦の増加といったニーズの変化に、いかに対応するかが今後の課題です。

 

たとえば女性就労者の増加と共働き夫婦が増えることで、住宅に求める条件にも変化が生じています。たとえば職場に近いこと、子育て環境が整っていること、教育環境が充実していることなどが求められています。

 

つまり職場に近いという条件を満たす都市部で、子育てをしやすい住宅の供給が必要と考えられます。

 

あるいは増加する高齢者が住める賃貸住宅も今後さらに必要です。現状では孤独死のリスクを回避するため、高齢者が住める賃貸住宅が少ないという問題があります。単身高齢者が安心して住める住宅需要は今後さらに増加すると考えられています。

 

住宅と同様にオフィスにおいても、変わり続けるニーズへの対応が必要です。

 

人口減少による生産年齢人口の減少により、働き方改革で生産性の向上が今後も必要となります。そこでオフィス環境においては、快適性・利便性を向上させる形で生産性向上に寄与することになるでしょう。

 

その意味においては、今後の縮小が予測されるオフィス市場で生き残る企業の条件として、いかに従業員の生産性を高められる物件を供給できるかがポイントになると考えられます。加えてイノベーションを促すオフィスづくりも、今後は大企業を含めIT企業の需要を獲得するための条件になると言えるでしょう。

 

具体的にはフリーアドレスやオープンミーティングスペース、コワーキングスペースといった多様な働き方ができる環境を提供することで、自由な発想を生み出しイノベーションにつながると考えられます。

 

 

4-2 変容する投資家ニーズへの対応

REIT市場においては、1つの大きな動きがあります。世界的にESG投資が重要視される中で、不動産投資もESG(環境・社会・企業統治)を考慮する必要性が生じているということです。

 

企業評価は今や世界的に、このESGを主軸に置かれるようになっています。つまり環境に配慮して社会に貢献し、そして企業統治をきちんと行う会社でなければ、投資対象として評価されなくなるということです。

 

不動産業界においても、国土交通省が「ESG不動産投資のあり方検討会」を設置してESGへの取り組みを推進することになります。
これが意味することは、不動産業界全体として今後、ESGへの取り組みを強化する必要があるということです。資金調達のための投資マネーを呼び込むためには必須の課題となります。

 

またREITの運用会社も今後は、ESGへの取り組みを表明する会社が増えると考えられます。投資会社がREITを組み込むためには、その運用会社の評価軸としてESGへの取り組みを重視するからです。

 

 

4-3 地方創生への取り組み

都市圏への人口流入にともない、地方都市の過疎化が問題になっています。そこで不動産業界は今後いかに地方創生に取り組むかが重視されると考えられます。

 

都市部での競争激化と企業淘汰の傾向が続けば、この流れは必然とも言えるでしょう。

 

都市部から地方への移住には、不動産業界の取り組みが不可欠です。企業やそこで働く人を集積できる都市機能を地方に創設することが、不動産業界の将来性に関わると考えられます。

 

 

4-4 不動産業界は日本の持続的成長を支える産業

国土交通省が発表した「不動産ビジョン2030」では、不動産業界は日本の持続的成長を支えるための産業と位置付けています。

 

不動産業界の将来性においてはまず、世界中の人材が魅力を感じる都市環境の整備と、地方都市圏の持続的な発展を確保するための都市機能の配置がポイントになります。さらに空き家を活用しての都市から地方への移住・住み替えの促進も取り組むべき課題です。

 

住宅は量より質の時代となり、快適な居住環境の提供やライフスタイルに応じた円滑な住み替えの実現も不動産業界に求められる課題となります。オフィスにおいてはいかに生産性を向上させるかを基軸とした環境提供が、不動産業界の将来性に大きく寄与することになるでしょう。

 

不動産業界には多くの課題がありますが、逆に言えばこれらへの取り組みによって、将来性は大きく広がると捉えることもできます。

 

 

5 不動産会社を設立するのに必要な手続き

不動産会社を設立するのに必要な手続き

 

不動産会社を設立し営業するためには、宅地建物取引士が必要です。これは国家資格であり、「宅建試験」という国家試験を受けて合格しなければ取得できない免許です。

 

令和元年度の宅地建物取引士の合格率は17.0%とかなり低く、難しいことがわかります。人を雇うのであればよいのですが、もし当面は自分が1人で不動産会社を立ち上げて営業するというのであれば、まずはこの宅地建物取引士の免許を取得しなければなりません。

 

独学で勉強して宅建試験に合格するためには、およそ300時間から500時間は必要とされています。1日に2時間勉強できるとしても最短で150日、およそ5カ月はかかる計算です。

 

宅建建物取引士の免許取得からスタートするのであれば、その勉強時間も考慮して不動産会社の設立スケジュールを立てる必要があります。令和2年の試験スケジュールは6月5日に公告され、7月1日から7月31日まで案内が配布されます。その間に申し込みを行い、試験は10月18日の予定となっています。

 

 

6 事務所を用意する

事務所を用意する

 

不動産会社を設立するための手続きはかなり多いものですが、まずは事務所を用意することから始めます。会社の種類によってはレンタルオフィスでも構わないという場合がありますが、不動産会社の事務所に関しては宅建業法で定められた事項を満たす必要があるので注意が必要です。そのため、最初に条件に合う事務所を探しておくことになります。

 

宅建業法で定められた不動産会社の事務所とする条件には、専用の出入口があること、居住スペースと事務スペースが区切られていること、事務所としての形態が整っていることがあります。たとえばほかの会社も出入りするコワーキングスペースといったものは、この条件に当てはまらないので使用できません。そこで、ビルなどのテナントを借りる必要があります。

 

 

7 会社を設立する

会社を設立する

 

不動産会社として営業できる事務所を用意したら、会社の設立手続きに移ります。その手順を説明します。

 

会社の設立手続きの手順

 

 

7-1 不動産会社の基本的な事項を決める

まず不動産会社を設立する前に、決めておかなければならない基本的事項というものがあります。主なものとして、商号・会社の目的・資本金・役員を決めます。

 

商号とは会社名のことです。基本的には自由に決めてよいのですが、使用できない文字などがあるので確認が必要になります。使用できるのは、漢字・ひらがな・カタカナ・一部の符号です。注意点として、同じ住所(たとえば同じビル内)ですでに登記されている商号とまったく同じものは使用できません。

 

会社の目的ですが、これは事業内容になります。不動産会社の場合には必ず、不動産の売買や仲介といった宅建業に関わる内容を明記することが必要です。また将来行う可能性がある事業内容を記載することで、定礎の変更手続きの手間を省けます。ただしその内容が明確であること、営利目的であることなど条件があります。

 

次に資本金ですが、その金額をどの程度にするのかが非常に重要となります。会社の設立は資本金1円から可能ですが、実際には1円の資本金では他社との取引や融資の申し込みの時に会社の評価を低く判断されるという不都合が生じます。

 

一方で資本金が1,000万円未満であれば、設立一期目と二期目は消費税が免除されることも考慮すべき点と言えます。

 

役員は1人でも構いませんし、同族会社とするならば会社経営に携われる者を役員にすることで所得分散になります。ただし名ばかりの役員とすることは好ましくないので注意が必要です。

 

 

7-2 会社の印鑑を作成する

不動産会社の基本事項を決めたら、次は会社の印鑑を作ります。印鑑として必要になるのは主に次の3種類です。

 

・会社実印
法務省の登記所で登録します。重要な契約や社外との取引に使用するもので、印面には社名と代表取締役の名前が入ります。

 

・法人銀行印
金融機関で法人口座を作るために必要となります。複数の金融機関で口座を作る場合には、それぞれに作成が必要です。

 

・角印
領収書や請求書などで使用します。

 

 

7-3 定礎を作成し公証役場で認証してもらう

定礎とは、会社組織の編成に関する規約をまとめた書類のことです。定礎の定義から作成方法にいたるまで、会社法により定められています。

 

定礎に必ず記載しなければならないのは、会社の目的・商号・本店の所在地・出資される財産の価額あるいはその最低額・発起人の氏名または名称および住所です。

 

定礎を作成したら、法的な効力を持たせるために公証人による認証を受ける必要があります。会社の本店を置く区域を管轄する「公証役場」に足を運び、公証人に書類を提出して認証を受けます。公証役場では定礎作成におけるアドバイスを受けることもできます。

 

 

7-4 出資金を払い込む

定礎認証が終われば次は会社登記に進みますが、その前に出資金を払い込む必要があります。定礎に出資金の価額が記されているので、その額を用意しなければなりません。出資金は資本金や資本準備金として使われるお金です。出資金のうち、2分の1までは資本準備金とすることができます。

 

出資金を払い込むといっても、その払い込み先は会社の発起人が定めた銀行などの「個人の」金融機関口座になります。というのも、まだ会社は設立されていないので、会社の口座も作れないからです。

 

ここで注意が必要なのは、自分の口座だからといって「預け入れ」ではなく「振り込み」をするということです。通帳に発起人の名前で振り込みがなされていることを確認できるようにします。発起人が複数いる場合には、それぞれが払い込むべき金額を振り込みます。

 

出資金の払い込みが終わったら、通帳のコピーをとって払込証明書を作成して法務局に提出します。この出資金は、会社の登記が終わり会社名義の銀行口座を開設したら、その口座に移しておきます。また会社の設立登記が終われば、この出資金は事業のために使っても構いません。

 

 

7-5 株式について

不動産会社を株式会社にする場合、株式を発行します。とはいっても、株券を発行することはありません。出資者に応じて株式の管理は株主名簿で行います。

 

1株の価額ですが、これは特に定めはありません。たとえば出資金が500万円で1株1万円にすれば、500株を発行することになります。これが「発行済株式数」となりますが、定礎には「発行可能株式総数」というものを記載します。将来増資によって株数を増やす場合の上限となる数字です。

 

上限とする数の定めは特にありませんが、一般的には発行済みの株式総数の4倍から10倍程度となっています。

 

将来の増資を視野に入れて、1株の価額を決めることが大切です。あまりに低く設定してしまうと、増資の時にそれ以上価額を下げることができなくなる恐れがあります。逆に高過ぎると、増資時に価額を低くすることで既存の株主の1株あたりの価値が低下してしまいます。

 

そのようなバランスを考慮して、1株の価額と発行済株式総数を決めることが大切です。

 

 

7-6 登記を申請する

出資金の払い込みが終われば、いよいよ会社設立の登記です。法務局に設立登記書類を提出すれば、手続きは完了します。会社の設立日は法務局が登記申請書類を受理した日となります。

 

登記申請は会社法第911条により、定められた日から2週間以内に行うことと決まっています。「定められた日」とはいろんなケースがありますが、たとえば出資の履行が完了していることなどいくつかの条件があるなかで最も遅い日としています。

 

登記申請は法務局の窓口へ書類を提出する以外に、その書類を郵送するか、あるいはオンライン申請でも行えます。

 

必要な書類は登記申請書のほかに、登録免許税の収入印紙を貼付したA4紙・定礎・発起人決定書・取締役就任承諾書・出資金の払込を証明するコピー・印鑑届書などがあります。収入印紙の税額は資本金の1000分の7です。

 

登記が完了しても特に知らせが届くわけではないので、法務局に電話で確認する必要があります。登記が完了すれば、「履歴事項証明書」というものを取得できます。これは会社名義の銀行口座開設や宅建業免許を申請する時に必要になります。

 

 

7-7 登記後の届出

登記が完了すれば会社設立です。しかしこれで終わりではありません。そのあとも、手続きは多く残っています。カッコ内は会社を設立してからの期限です。

 

まず税務署へ提出する書類として、法人設立届出書(2カ月以内)、給与支払事務所等の開設届出書(1カ月以内)、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(従業員10人未満の場合で、適用を受ける月の前月末まで)、青色申告の承認申請書(3カ月以内)、棚卸資産の評価方法の届出書、減価償却資産の償却方法の届出書があります。

 

そして都道府県税事務所に事業開始等申告書(事業開始日から15日以内)を提出します。ほかに保険関連の書類を労働基準監督署、社会保険事務所、ハローワークに提出することも必要です。

 

 

7-8 法人銀行口座を開設する

登記が完了したら、銀行の法人口座も開設しなければなりません。口座開設の申請から使えるようになるまで1週間以上はかかるので、早めに申請しておいたほうがよいでしょう。

 

法人の銀行口座開設に必要な書類は次のものがあります。

 

  • ・口座開設依頼書
  • ・会社の定礎
  • ・会社代表印
  • ・会社代表印の印鑑証明
  • ・履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
  • ・申込者の身分証明書
  • ・銀行印

 

法人口座は申請すれば必ず開設できるわけではありません。資本金の額や定礎に記載した会社の目的などがチェックされます。その点を考慮して、資本金の金額設定や定礎の作成を行うことが大事です。

 

 

8 宅地建物取引士の設置

不動産会社を設立し運営するためには、宅地建物取引業の免許が必要になります。そして宅地建物取引業法は営業を行う拠点ごとに、一定数以上の宅地建物取引士を専任で設置しなければなりません。一定数の目安としては、従業員5名につき1名の宅地建物取引士が必要と考えてよいでしょう。

 

当面は自分が1人で営業するのであれば、自分だけが宅建の免許を持っていれば大丈夫です。しかし社員を増やして、拠点も複数に増やすとなれば、それだけ宅地建物取引士が必要になります。

 

次の手続きとなる宅地建物取引業免許の交付には時間がかかるので、早めに宅地建物取引士を雇用しておく必要があります。

 

 

9 宅地建物取引業免許の申請

宅地建物取引業免許の申請

 

宅地建物取引士の設置ができたならば、次は宅地建物取引業免許の申請をします。1番最初に事務所を用意していますが、不動産経営に相応しく独立した事務スペースを確保しているかなどをチェックしておきます。

 

事務所の設置と宅地建物取引士の設置が終わったら、営業保証金を用意します。これは供託所というところに供託するお金ですが、本来は1,000万円が必要です。しかし不動産保証協会に加入すれば、60万円の納付だけで済みます。

 

ここまで準備ができたならば、申請書類を用意して本店所在地の都道府県庁の宅地建物取引業担当課へ提出します。この際には事務所の外観や内部の写真も必要です。ほかに商業登記簿謄本や身分証明書も別途用意します。申請手数料として3.3万円も支払うので忘れてはいけません。

 

審査にはだいたい4~6週間ほどかかります。無事に審査が通れば、免許の通知があるので先に用意した営業保証金の供託を行います。宅地建物取引業保証協会に加入する手続きに2カ月ほどかかります。そのため、供託の受け入れが記された供託書の写しを免許を交付した国土交通大臣または都道府県知事に提出し、免許証の交付を受けるまではかなりの日数がかかることになります。

 

免許証が交付されれば、不動産業を開始することができます。

 

このように不動産会社を設立する手続きはかなり多いことがわかります。日数もかかるので、次の手順を踏まえて準備を進めることが必要です。もし宅地建物取引士の免許取得から始めるのであれば、早いうちに勉強を始めておくとよいでしょう。

 

 

10 まとめ

不動産業界を取り巻く環境は大きく変化しています。人口減少による市場規模の縮小に対して、いかに取り組むかが課題とも言えます。そのような中でも、変わる環境に応じて適切な対応をすることで企業が生き残る選択肢は逆に多いとも言えます。多様化するニーズにいかに応えるかが、不動産業界の将来性につながると言えるでしょう。


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