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独立するには何から始めればいい? 起業・会社設立の方法を解説!

副業や転職を含めた個人のキャリア形成が進む中、企業内において一定のキャリアを築き、自身のマネジメント能力や業務遂行能力に自信を持った時、自らが起業して新たなビジネスを展開したいと考えるビジネスパーソンが増加していくのは必然とも言えます。今回、サラリーマンが独立して起業・会社設立に臨むとき、現実として直面する諸課題への取組姿勢や、会社設立の手順等について解説します。

 

 

1 独立・起業時の自己確認

独立・起業時の自己確認

 

会社を設立して経営を行うと言うのは、サラリーマンとしてのスキルやキャリアとは明らかに質の違う能力が求められるとともに、会社経営に係る全ての法律行為について自身が責任を負うのだと言う「覚悟」が必要です。この覚悟について今一度確認するとともに、独立する目的を明確にすることから始めなければなりません。

 

 

1-1 会社設立前の要確認事項

㈱東京商工リサーチの調査によれば、2018年における業歴10年未満の新興企業の倒産件数は1,745件となり、過去15年間で最高を記録しています。2006年5月の会社法施行を機に、国は起業家の育成を積極化する施策を推進し、地方公共団体に対しても積極的な取り組みを促した結果として、新設法人の数は増えたものの、早期の倒産も増加しているのが実態です。

 

2011年の中小企業白書では、中小企業の生存率という調査結果が示されており、起業後5年で14%が、10年で30%が消滅し、20年後に半減しています。また、同白書によれば、起業家に対する「起業時及び起業後の課題」という質問の回答として、起業時の最大の課題が「資金調達」、起業後の課題として「質の高い人材の確保」が最も多くなっています。

 

起業時の最大の課題

 

独立し、会社を設立するにあたっては、このような実態を踏まえ、自らが取り組もうとする事業の目的とともに、本当に会社を設立して経営を継続していく「覚悟」があるかを確認しなければなりません。このとき、この覚悟を確認するための主な自問事項は次の通りです。

 

(表1)自問自答項目

  1. 1)いまやろうとしているビジネスは本当に自分が取り組みたい事業なのか。
  2. 2)そのビジネスによって、社会または地域に何をもたらすことができるかを明確にできているか。
  3. 3)会社設立によって生まれる新たなステークホルダーと良好な関係を築く自信はあるか。
  4. 4)他者からの意見を受け入れることができるだけの度量はあるか。
  5. 5)事業を成長させ、経営の継続性を維持できる自信と根拠はあるか。
  6. 6)副業や個人事業で独立する場合、単に節税を目的としていないか。
  7. 7)個人と法人を区別し、適正な会計処理ができるか(会計知識はあるか?)
  8. 8)うまくいかないからといって、簡単に経営を投げ出すことはないか。
  9. 9)会社設立と、事業を進めるために必要な当面の自己資金は用意できているのか。

 

 

1-2 資金調達の重要性

会社の設立においては、前出の中小企業白書に見られるように資金調達の重要性が指摘されています。会社設立時から当面の資金手当てについては、資本金が重要な役割を持ちます。株式会社の資本金の額で見ると、会社法施行前は最低額(1,000万円)の規制がありましたが、同法施行後はこの定めがなくなり、理屈の上では1円でも会社設立が可能となりました。

 

最低資本金制度の廃止は、会社設立のハードルを下げることになり、その気になれば、誰もが容易に起業・会社設立できるようになり、起業を促すことにはつながりました。しかし、これが、そのまま新設会社の資金調達の脆弱さにつながっていることは否めません。次の表は、2017年度と2018年度における資本金別の新設法人数の推移を示しており、資本金が少額化している傾向が読み取れます。

 

(表2)資本金別新設法人

資本金 2018年度 2017年度
社数 構成比 前年比 社数 構成比 前年比
1億円以上 506 0.39% ▲13.2% 583 0.44% ▲3.95%
5千万円以上 658 0.51% ▲0.15% 659 0.50% ▲10.34%
1千万円以上 5,746 4.47% 0.41% 5,722 4.33% ▲2.91%
500万円以上 23,592 18.34% ▲7.72% 25,566 19.33% ▲0.30%
100万円以上 57,409 44.64% ▲1.71% 58,409 44.15% 2.97%
100万円未満 29,419 22.87% 1.47% 28,992 21.92% 10.16%
その他 11,280 8.77% ▲8.73% 12,360 9.34% 2.25%
合計 128,610 100% ▲2.78% 132,291 100% 3.34%

(2018年東京リサーチ調査より)

 

1千万円未満の資本金での新設法人は、11万420社(うち500万円未満の少額資本金による新設法人は86,828社、100万円未満で29,419社)に及び、新設法人全体の実に85.8%を占めています。これは、調査のタイミングが異なるとは言え、前出の中小企業白書で示された、「起業時及び起業後の最大の課題は資金調達である」ことの裏付けともなります。そして、この資金調達方法の実態を示したのが次の資料です。

 

(表3)高成長型企業(注1)が成長段階ごとに利用した資金調達方法

第1位 第2位 第3位 第4位 第5位
創業期に利用した資金調達方法 経営者本人の自己資金76.0% 民間金融機関からの借入39.2% 家族・親族・友人・知人等からの借入33.6% 政府系金融機関からの借入28.8% 公的補助金・助成金の活用14.4%
成長初期に利用した資金調達方法 民間金融機関からの借入71.4% 経営者本人の自己資金45.4% 政府系金融機関からの借入43.7% 公的補助金・助成金の活用23.5% 家族・親族・友人・知人等からの借入20.2%
安定・拡大期に利用した資金調達方法 民間金融機関からの借入73.1% 政府系金融機関からの借入45.2% 経営者本人の自己資金36.5% 公的補助金・助成金の活用19.2% 家族・親族・友人・知人等からの借入13.5%

「起業・創業の実態に関する調査(2016年11月、中小企業庁委託:三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱」資料より)

 

(注1)高成長型企業
中小企業庁が、中小規模企業のライフサイクルを調査・分析するために類型化した「起業後の成長タイプ」のうちの一つ。この類型による定義は以下のとおりです。

 

(表4)起業後の成長タイプ(起業後5年以上10年以内)

類型 定義
高成長型 新興市場(東証マザーズ、ジャスダックなど)に上場した企業に着目し、これら上場企業の創業から創業後5~10年までの売上高伸び率を算出し、調査に回答した企業の創業から現在までの売上高伸び率と比較。その上で、企業規模の変化にかかわらず、売上高伸び率が新興市場上場企業以上の企業を高成長型と定義。
安定成長型 小規模事業者から中規模企業と、創業時に比べて事業規模が拡大している企業。
持続成長型 小規模事業者から小規模事業者、中規模企業から中規模企業または小規模事業者といった、創業時と現在の企業規模に変化がない、または縮小している企業。

 

(表3)の内容からは、創業期における資金調達は、経営者本人の自己資金が最も現実的な調達方法であり、実績のない創業期に民間金融機関や政府系金融機関からの融資を受けることがいかに困難であるかを示しています。会社の成長とともに、金融機関からの融資も調達手段として現実味を帯びてきますが、それでも、成長初期においては経営者本人の自己資金の比率が高いことがわかります。

 

会社は、安易な思いで設立し、経営を継続できるものではありません。会社を作ることにより、従業員、取引先、顧客といった新たなステークホルダーが生まれ、経営者は会社とともに様々な責任を負うことになります。そしてこの責任には、「一旦生み出した雇用を継続すること」、「ビジネスを通じて社会に貢献すること」等、いわゆる「企業の社会的責任」が含まれます。

 

独立起業と言う夢を実現するとともに、社会的責任を果たしていくためには、会社の経営を持続的なものとしなければなりません。そして、その裏付けとなるのが資金なのです。会社設立にあたっては、最低でも2年程度の運転資金の調達が必要であることに留意しましょう。

 

 

2 事業計画策定と社会へのコミットメント

事業計画策定と社会へのコミットメント

 

現在、サラリーマンとして働いている人の起業では、現在の仕事または自身のキャリアとスキルを活かせる分野で事業を興そうとするケースと、現在の仕事とは全く関係のない、新たな分野でビジネスを始めるケースに大別できます。いずれにしても、自分が始めるビジネスの内容を明確にし、事業計画を策定しなければなりません。以下、そのための手順を、「取り組む事業が決まっている場合」と「事業が決まっていない場合」に分けて解説します。

 

 

2-1 事業が決まっている場合

すでに取り組む事業が決まっている場合は、事業計画の策定に入りますが、事業計画においては、事業の進め方と将来の会社の姿を明確にする必要があります。そして、将来の会社の姿を具体化させるための重要な鍵は、「その事業をもって社会にどのようにコミットするか」を明確にすることにあります。

 

2-1-1 事業計画策定の要領

事業計画は長期的な視野のもと、確固たる意志と明確な根拠をもって作成することが重要です。長期的な視野とは、10年先を見据え、「10年後の自社のあるべき姿」を想定して、それを実現するための戦略である中期計画と、戦略目標達成のための単年度計画を策定することで、全体として実現可能性の高い計画とすることができます。この計画の体系を踏まえ、それぞれの作成要領を示します。

 

(表5-1)長期計画の記載例

《会社のプロフィール》記載項目

  1. 1.商号
  2. 2.代表取締役(持分会社の場合は代表社員)
  3. 3.本社所在地
  4. 4.設立年月日
  5. 5.資本金(合同会社の場合は出資金)
  6. 6.主な株主(合同会社の場合は出資者)
  7. 7.電話番号、ホームページ等
  8. 8.会社の概要(創業時は、判明している事項のみ記載)
    取り扱う事業の内容、提携・連携先、関係の深い企業等
  9. 9.代表のプロフィール
    経歴、起業に至る背景等

 

《ミッションとビジョン》

ミッションとは、経営における基本的な価値観や精神、信念といった「法人としての行動規範」となるものであり、全社で共有すべき価値観です。ビジョンとは、ミッションを実現するための行動指針です。

 

そして、ミッション及びビジョンは、会社の社会への関わり方、社会の中でどのような役割を果たすのかを明確にするステートメントであるとともに、その企業の経営者としての姿勢が問われることになります。

 

なお、この記載例では、あくまでも文言の参考として示しており、例として記載したミッションとビジョンには関連性がありませんのでご注意下さい。

 

1.ミッション(例)

  1. 1)「事業を通し、インターネットの力で消費者の選択肢を広げ、より豊かな社会生活を実現します」
  2. 2)「事業を推進する中で伝統産業の後継者育成と、その関連事業の開発により、地域経済の活性化に貢献します」
  3. 3)「人の生活に密接に関係し、誰もが知っておくべき重要な情報を、タイムリーにお届けすることで、より安心で豊かな社会生活を実現します」
  4. 4)「事業活動を通して、お客様のみならず、従業員、取引先を含めた全てのステークホルダーの幸せ作りに取り組みます。」等々

 

2.ビジョン(例)

  1. 1)全ての製品にオーガニック素材を使用するとともに、環境に配慮したモノづくりと生産サイクルを実現します。
  2. 2)〇〇事業(または〇〇サービス)を成長させることで、新たな雇用を創出し、地域経済の活性化を目指します。
  3. 3)〇〇事業(または〇〇サービス)の普及により、待機児童問題を解消し、女性の働く機会を拡大させます。
  4. 4)ミッションを実現するために、お客様同様、従業員を大切にします。お客様満足度を向上させるための教育研修制度を充実するとともに、福利厚生制度を充実して従業員が働きやすく能力を最大限発揮できる職場環境をつくります。

 

【ミッション&ビジョン策定にあたって留意すべき事項】

現代の企業経営の在り方として、「事業活動を通して社会の課題に取り組む」、「地域に雇用機会を生み出して利益を還元する」などの姿勢を積極的に打ち出すことが重要です。また、様々なハラスメント問題が提起される今日、取引先や従業員、そして職場環境にも配慮が必要です。

 

3.数値目標記載例(これはミッションの一つとしての数値目標です)

  • ・売上高10億円(設立5年後:2億円、10年後:10億円)を達成します。
  • ・従業員数80人(設立5年後:30人、10年後80人)を達成します。
    創業時従業員数:5名

 

これらの数値目標は、会社が成長することによって、納税や雇用の拡大を通じて社会に利益を還元することができることの根拠となります(ミッションの裏付け)。

 

この長期計画で示したビジョンを実現するためには、その具体的な手順等を中期計画と単年度計画に落とし込む必要があります。中期計画は、損益計画を含め、3か年を対象期間として作成するのが一般的であり、次のような内容で記載します。

 

(表5-2)中期計画の記載事項の例

テーマ 内容
中期計画書本編 1)中期経営方針と数値目標 創業から3か年の経営方針等を示します(長期計画で表明した内容を転記)。数値目標は、「売上」、「売上総利益」、「経常利益」、「当期純利益」について設定します。
2)事業の方向性 「誰に」、「どのような価値を」提供するのかを明確にします。
3)損益計画 (表6-1)
4)資金計画 この表の9)をもとに作成。
付属資料 5)事業環境と背景 政治、経済、社会情勢に関する認識を示すとともに、これらが事業に与える影響を整理し、計画の妥当性を示します。
6)持続可能な競争優位性 SWOT分析(表7-3)を使い、強み、弱み、機会、脅威の4つの要因の分析結果と、その組み合わせにより、自社がその業界で競争優位性を発揮するための条件を導き出します。
7)市場及び事業環境の分析 事業分野の現状と将来性を予測し、競業先の商品や価格、市場シェア、販売戦略等をリサーチし、業界における自社の立ち位置を確認します。
8)事業の成功要因(表7-4) 「2)事業の方向性」と、「6)持続可能な競争優位性」等をもとに事業の成功要因を整理します。これが事業計画達成の根拠となります。
9)売上及び損益計画・資金計画の根拠 取引先別の月別売上高及び粗利益高計画を決めた上で、取引先との交渉により、売掛金回収の決済サイト及び仕入先への支払いサイトを決める必要があります(売掛金は、取引相手が一般消費者か法人かによって決済手段を含めて大きな違いがありますので、ビジネスモデルとセットで決めることが必要です)。これらの条件をもとに月次資金繰り計画を作成します。
10)社内機構 会社の実態に応じ、会社の機関、事業活動を担う組織機構(事業本部・部・課・係などの職制)図を作成します。
11)人員計画 会社設立時から3か年の採用計画を作成します。

 

付属資料については、創業資金等の融資審査を意識したものです。融資を調達手段として想定する場合は、この程度の資料は確実に必要となります。会社設立から当面の資金調達について、全て自己資金で賄う場合、附属資料の作成は任意ですが、事業計画の根拠が明確になり、経営者が経営をチェックするための資料となりますので、作成するのが賢明です。

 

2-1-2 中期計画における損益計画

中期計画における損益計画は次のイメージで作成します。単年度の損益計画は、基本的にはこの中期損益計画をそのまま転記するか、これをベースにさらに細部にわたって作成することも可能です。

 

(表6-1)中期3か年損益計画記載例 (単位:万円)

項  目 第1年度 第2年度 第3年度
売上高 ××× ××× ×××
売上総利益 1) ××× ××× ×××
事業管理費 2)(明細後掲) ××× ××× ×××
事業利益  3)=1)-2) ××× ××× ×××
事業外損益 4) ××× ××× ×××
経常利益  5)=3)-4) ××× ××× ×××
特別損益  6) ××× ××× ×××
税引前当期利益7)=5)-6) ××× ××× ×××
法人税等(注2)   8) ××× ××× ×××
当期純利益  9)=7)-8) ××× ××× ×××
常勤役員・従業員数 10) 〇人 〇人 〇人

 

(表6-2)表6-1の一般管理費の内訳

項   目 第1年度 第2年度 第3年度
人件費 役員報酬従業員給与福利厚生費 ××××××××× ××××××××× ×××××××××
××× ××× ×××
業務費 交際費その他業務費 ×××××× ×××××× ××××××
××× ××× ×××
租税公課 計 ××× ××× ×××
施設費 減価償却費その他施設費 ×××××× ×××××× ××××××
××× ××× ×××
一般管理費 合計 ××× ××× ×××

 

(表6-3)一般管理費計画のポイント

重要項目 計画のポイント
人件費 人件費は、経営上最大のコストですが、優秀な人材を確保するための不可欠なコストでもあります。賃金設計にあたっては、人材の定着化を念頭に、競業先との待遇差が生じないよう細心の注意が必要です。また、法定福利費は、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険等の保険料率の変動と昇給を考慮しなければなりません。
施設費 設備投資が必要な業種では、当面の投資計画に基づく減価償却費や施設維持管理費用を見積もります。中小企業投資促進に係る税務上の優遇措置等も活用しながら、投資のタイミングを見極めることも経営者の力量です。
業務費 宣伝広告費、教育研修費、会議費、交際費、印刷・消耗品費等の固定費です。
租税公課 固定資産税、不動産取得税、印紙税、配当・利子源泉所得税、消費税等が対象となります。

 

 

2-2 事業が決まっていない場合

独立はしたいが、まだやるべき事業が決まっていないという場合は、「自身のスキルと能力の棚卸」から始めます。「やりたいこと」と「できること」、「スキルがある」ことと「経営の才能がある」ことは必ずしも一致しません。まずは、自分の「能力・スキル・経歴・財産」などの棚卸しを行い、自分の持つ資産価値を客観的に評価し、過不足を把握することでビジネスの糸口を探し出すのです。

 

(表7-1)自分自身の棚卸項目

  1. 1)ビジネスに活かすことのできる公的資格を持っているか
  2. 2)資格はなくとも、自分の得意とする分野はあるか(どのような分野か)
  3. 3)最も長く担当した業務(または分野)はなにか
  4. 4)最も長く担当した業務または分野で身につけたスキルはなにか
  5. 5)マネジメントの経験はあるか(何人の部下を統率管理したか)
  6. 6)マネジメント能力はあると思うか(チーム力を最大化できたか)
  7. 7)誰とでも良好な人間関係を築けるか
  8. 8)特定の技術またはセンスはあるか(特許等も含む)
  9. 9)広い人脈を持っているか
  10. 10)起業したときに、実務的な面で支援を期待できる友人・知人はいるか
  11. 11)事業に使える不動産等の資産は持っているか(土地、家屋、自動車等々)
  12. 12)自分がやりたいことに使える資金はいくらもっているか

 

(表7-2)好きなこと、やりたいことチェック

  1. 1)趣味または好きなことはなにか
  2. 2)子供の頃の憧れの職業はなにか
  3. 3)子供の頃に注目を浴びた経験はあるか(それは何か)
  4. 4)学生時代に目指した職業はなにか
  5. 5)学生時代に注目を浴びた経験はあるか(それは何か)
  6. 6)社会人になってから憧れた職業はなにか
  7. 7)仕事で褒められたこと、高い評価を受けたことはあるか(それはどのような仕事か)
  8. 8)今から身につけたいスキル、取得したい資格はあるか
  9. 9)ネットでついつい見てしまうジャンルはなにか
  10. 10)いま、楽しいと思えることはなにか
  11. 11)人からどのように見られたいか
  12. 12)暇なときは、何をして時間をつぶしているか
  13. 13)ボランティアに参加したことはあるか

 

(表7-1・2)の結果をもとに、自分の取り組むべき事業を見つけ出すことになります。やりたいことが見つかり、自分には足りない部分があったとしても、一緒に起業する仲間を募り、互いの不足部分を補うと方法や、専門的な知識を要する分野や、単純作業分野をアウトソーシングすることも考慮すれば、取り組める事業の幅が広がります。

 

また、取り組む事業を絞り込む際には、以下の、(表7-3)及び(表7-4)による分析を行って事業計画策定の根拠とします。事業計画の作成要領は、やるべき事業が決まっている場合と同様です。

 

(表7-3)SWOT分析の要領(・・・SWOTは各要素の頭文字をとったもの)

内部要因(技術、人材、ノウハウ、商品の質等) 強み(Strength) 弱み(Weakness)
競争相手に対して自社が持つ強み(他社にはない模倣困難性の高い技術・特許等) 競争相手に比して劣る部分(弱み)(業界での知名度の低さや、商品の優劣等)
外部要因(政治状況、経済環境、社会情勢、その他) 機会(Opportunity) 脅威(Threat)
自社の目標達成に貢献する要素(ビジネスチャンス)(少子化高齢化、取扱事業の適時性等) 目標達成の障害となる要素(ビジネスリスク)(大手企業の参入、人材の確保が困難等)

 

この分析をもとに、各要因の最も実現可能性の高い組み合わせをもって事業方針や損益計画を作成することになりますが、このとき、業界の友人・知人、専門誌や業界専門のコンサル等の意見を参考にするなど、十分な情報量と精緻な分析が必要となります。

 

(表7-4)事業の成功要因記載例

当社の事業が成功する要因
コンセプト 〇〇市内の企業3社の社員食堂へ、無農薬且つ食品添加物ゼロの食材供給を実現する。
他社にはない強み 創業から2年間は、取扱う食材のうち、農産物のオーガニック率は80%の達成が確実であり、3年目には100%に達する。さらに、毎年、契約農家数を約10戸程度増やし、取り扱い食材を拡大する戦略も策定済みである。
戦略の独自性 無農薬・無添加食材の供給にあたり、スタート時は市内企業の食堂に絞り、5年後を目途に、対象を市内の小・中学校の給食に拡大する。既に、競合先が出現しているが、生産者のトレーサビリティー(栽培履歴)から供給に至るサプライチェーン全体に、模倣困難性の高い当社独自の管理システムが完成している。また、管理システムは、随時ブラッシュアップして、たえずレベルを向上させるための仕組みを構築している。
強みを維持する仕組み 契約生産者全員並びに農産物以外の食材調達会社に、トレーサビリティー及びオーガニック生産の仕組みが周知されており、肥培管理や防除体系及び製造工程などで急な変更があっても即応できる体制が整っている。今後5年間で、当社の基準に適合する調達先は倍増し、5年後の供給能力は創業初年度の10倍に達する予定。

 

事業の成功要因は、実現可能性の高い事業計画を策定するための重要なツールとなります。また、創業資金や事業拡大のための融資を受ける場合は、具体的な根拠資料等も必要となりますので、入念な準備が必要です。

 

 

3 会社設立の手順

会社設立の手順

 

事業計画策定後は、会社の種類を決めなければなりません。会社の種類によって、設立費用や会社を経営するために必要な設置機関などで異なる点があるため、事業の規模や会社設立後の経営のあり方を含めて検討する必要があります。以下、会社法に規定された会社の種類と組織特性について解説します。

 

 

3-1 会社の種類を決めるポイント

2006年5月の会社法施行を機に会社は、「株式会社」、「合同会社」、「合名会社」、「合資会社」の4種類と規定されました。

 

会社は、「株式会社」、「合同会社」、「合名会社」、「合資会社」の4種類

 

従前の有限会社は、会社法施行と同時に有限会社法が廃止されたことで、新たに設立することができなくなり、かわって、「合同会社」が新設されたという経緯があります。

 

合同会社は、「合名会社」及び「合資会社」とともに持分会社と呼ばれ、株式会社とはその性格を異にしますが、出資者責任は株式会社と同じ有限責任であることに加え、設立費用の安さや経営の柔軟性の高さから、株式会社とともに設立数が多い種類です。このため、この記事では、株式会社と合同会社について紹介することとします。なお、これ以降、会社法の条項は「法〇条〇項」と記載します。

 

(表8)株式会社・合同会社の組織特性

項目 株式会社 合同会社(LLC)
根拠となる法律 会社法 会社法
法人としての性格 営利法人 営利法人
事業の目的 定款に記載した事業による営利の追求 定款に記載した事業による営利の追求
設立の方法 公証人役場による定款認証を経て登記して設立 定款作成・登記して設立(定款の認証は不要)
設立のための要件 資本の提供 社員(出資者)1人以上
最低資本金/出資金 1円以上 1円以上
資本金等の公開 任意(上場・非上場) なし(株式ではなく出資金のため)
議決権の態様 出資比率に対応 定款で自由に決めることができる
法人の所有と経営権の関係 所有と経営は分離(所有:株主、経営業務執行は株主総会で選任された取締役) 所有と経営は一致(社員が業務執行権と会社代表権を有する)
最高意思決定機関 株主総会 社員総会
役員等の設置 取締役1人以上必置(機関設計によって、監査役、会計参与等の設置が可能) 法定された機関はなく、社員自らが意思決定を行うが、定款で規定することは可能
代表権の取扱い 取締役(代表取締役) 社員(代表社員)
役員等の任期 株式譲渡制限(注2)のある会社は最長10年(それ以外は2年) 社員の任期制限はない
出資者責任(注3) 間接有限責任 間接有限責任
自己持分の取得 取得可(法155条で取得できる場合を限定列挙) 自己持分を取得不可(法587条1項)
会計監査人監査 大会社及び委員会等設置会社は必置(法328条、327条5項) 設置不要
決算公告 必要 不要
持分譲渡 原則自由(但し、定款で譲渡制限を設けることは可能) 社員全員の同意が必要(法585条)
資本金等の管理 資本金の額を増減させるときは、株主総会の議決が必要で、増額については「普通議決」、減額は特別議決とあわせ債権者保護手続きが必要 資本金、資本剰余金、利益剰余金は社員ごとに計上されます。資本金の額を減少させるときは、債権者保護手続きが必要
剰余金の処分 株主に対し剰余金の配当をすることができる(法453条) 利益の配当を社員から請求でき(法621条第1項)、請求方法・回数等を定款で定めることができる
税制面の扱い 全所得課税 全所得課税
設立費用等 20万円~24万円程度 6万円~10万円程度

 

(注2)株式譲渡制限
株式会社は、「譲渡による株式の取得について会社の承認を得ること」を定款で定めることができます。このような株式を譲渡制限株式と言い、この規定のある会社を「公開会社でない株式会社(非公開会社)」と呼びます。

 

(注3)出資者責任
出資者の責任は、「有限責任」と「無限責任」に区分されますが、有限責任とは、仮に会社が倒産した場合、自らの出資額を限度として責任を負います(これを間接有限責任と言います。)。無限責任は、会社の財産で支払いきれない債務について、債権者は「社員」に対して直接債務の履行が請求することができ、社員はこれに応じなければなりません(これを直接無限責任といい、合資会社の無限責任社員及び合名会社の社員が該当します)。

 

 

3-2 会社の機関を決める

法人として意思決定を行うためには、法令に適合した「機関」を備える必要があります。株式会社について見ると、「株主総会」、「取締役」、「取締役会」、「監査役」、「監査役会」、「会計参与」、「会計監査人」、「監査等委員会・指名委員会等」などがあり、これらを組み合わせて機関設計することになります。以下、株式会社の機関の機能と設計例について解説します。

 

(表9-1)株式会社の機関(法定事項の概要)

機  関 機関の機能と法的根拠
株主総会 会社法に規定された事項及び株式会社の組織、運営、管理その他会社に関する一切の事項について決議することができます(法295条1項)。
取締役 株主総会以外に、一人または二人以上の取締役を置かなければなりません(法326条1項)。取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く)の業務を執行します(法348条1項)。
取締役会 定款に定めることで取締役会を置くことができます(法326条2項)が、次の株式会社は取締役会を必ず置かなければなりません(法327条1項)。(1)公開会社、(2)監査役会設置会社、(3)監査等委員会設置会社、(4)指名委員会等設置会社。
監査役 定款に定めることで、監査役、監査役会を置くことができます(法326条2項)。監査役は、取締役の職務執行を監査する機関となります(法381条1項)。
監査役会 監査役会の設置は、原則として任意ですが、公開会社である大会社(ただし、委員会設置会社を除く)では必置です(法3262項、328条1項)。
会計参与 定款に定めることで、会計参与を置くことができます(法326条2項)。会計参与は、公認会計士もしくは監査法人または税理士もしくは税理士法人でなければならないという資格要件があります(法333条1項)。
会計監査人 定款の定めによって会計監査人を置くことができます(法326条2項)。会計監査人は公認会計士または監査法人でなければなりません(法337条1項)。
監査等委員会 定款の定めによって監査等委員会を置くことができます(法326条2項)。
指名委員会等 定款の定めによって指名委員会等を置くことができます(法326条2項)。

 

(表9-2)小規模会社の機関設計例

会社区分 機関設計
創業メンバー2人以内の小規模会社 創業メンバーが2人以内の場合、選択肢はいくつもありますが、「株主総会+取締役」が最適です。取締役及び代表権の付与は1人でも2人でも可です(代表取締役の設置は任意です)。
〃3人以上の小規模会社 取締役が3人になると、取締役会の設置も視野に入ります。しかし、取締役会設置会社は、監査役もしくは会計参与を置かなければならないため、役員増よるコスト増と、機関の実効性が懸念材料となります。〔機関設計の選択肢〕1)取締役 2)取締役+監査役 3)取締役+会計参与 4)取締役+監査役+会計参与 5)取締役会+監査役

 

(表9-3)中規模・大規模の機関設計例

会社区分 機関設計
公開会社である中規模会社 中規模会社は小規模の会社に比べて従業員数が多いのが一般的です。従業員が数百人規模の企業では、公開会社である点も考慮し、コンプライアンスへの対応を含め一定水準のガバナンスを確保できる機関設計が必要です。機関設計の選択肢としては、小規模会社のほか、次の組み合わせが考えられます。1)取締役会+監査役+会計監査人 2)取締役会+監査役会+会計監査人この規模の企業では、2)の選択肢が一般的です。
公開会社である大規模会社 株主や会社の債権者が多数におよぶため、ガバナンスの強化は必須です。「会計監査人と監査役会」の設置、または、「指名等委員会または監査等委員会設置と会計監査人の設置」が義務付けられますので,以下の形態からの選択になります。1)取締役会+監査役会+会計監査人2)取締役会+指名等委員会+会計監査人3)取締役会+監査等委員会+会計監査人
非公開会社である中規模会社 公開会社と同様に相応の従業員数が見込まれるため、非公開会社にもある程度のコンプライアンス対応を含めたガバナンスを確保する必要があります。公開会社と同様の選択肢で検討すると、1)が適していると考えられます。
非公開会社である大規模会社 株主の交替がほとんどない形態ですが、全株式譲渡制限会社であっても、大会社の場合には,「会計監査人の設置」が義務付けられています(法328条2項)。また、「会計監査人設置会社」は,監査等委員会・指名等委員会設置会社を除いて,監査役をおかなければなりません(法328条1項)。取締役会の設置は強制されていないものの、会社の規模を考えれば、次のうち4)が最適な選択といえます。4)取締役会+監査役+会計監査人5)取締役+監査役+会計監査人

 

 

3-3 定款作成から会社設立登記まで

会社の機関設計が固まると、会社設立手続きに入ります。以下、株式会社と合同会社の設立手順について解説します。

 

(表10)会社設立手順の概要

株式会社 合同会社
1) 定款を作成する前に、「商号(会社名)」を決めます。同一住所に同じ商号の会社がないか確認するなど、法令上の規制(注4)に抵触しないよう注意が必要です。
2) 定款に記載する事項を決め、定款を作成(法26条1項)します(電子定款制度もあります。同条2項)。 定款に記載する事項を決定し、定款を作成する(法575条)します。(持分会社も電子定款制度があります。同条2項)。
3) 代表者の実印や銀行印など、会社設立手続きとそれ以降に必要となる印鑑類を準備しておきます。
4) 公証人による定款の認証を受けます(法30条1項)。 合同会社は、株式会社のような公証人による定款の認証は不要です。
5) 設立時発行株式の決定と出資金払込(法32条及び34条2項)。 出資の履行(定款の作成後、設立登記までに全額を払い込みます)(法578条)
6) 出資履行後速やかに設立時取締役を選任します(法第38条)。 法人が業務を執行する社員である場合、その法人は、「職務を行う者を選任」します(法598条)
7) 設立時の取締役は、設立手続が定款に適合しているか否かを調査する必要があります(法第46条)。 合同会社の場合は、株式会社のような調査義務規定はありません。
8) 会社設立の登記を申請します。
9) 設立登記を完了すれば会社が成立します(法49条)。 設立登記を完了すれば会社が成立します(法579条)。

 

(注4)商号決定上留意すべき法令等
会社法、不正競争防止法、商業登記法、商業登記規則のほか、法務省が発した通知や判例によっても規制されます。各法令等の規制内容は省略します。

 

このような手順で設立登記へ向けた手続きを進めますが、設立にあたっては次のような費用がかかります。なお、この金額は、全ての手続きを自分で行った場合を想定していますので、専門家等に依頼する場合は別途費用が発生します。

 

(表11)会社設立に係る費用の目安

項目 株式会社 合同会社 備考
定款認証印紙代 0円 0円 電子定款を利用すると無料です。
公証人による定款認証費用 50,000円 0円 合同会社は公証人の認証が不要です。
登録免許税 150,000円 60,000円 資本金の0.7%という原則額に満たない場合は、法定の最低額を適用。ここでは最低額で記載。
設立費用 計 200,000円 60,000円 自分で全ての手続きを行う場合の額。

 

 

4 会社オフィスの確保と従業員の採用

会社オフィスの確保と従業員の採用

 

会社を設立すると、オフィスとともに事業の規模によっては従業員の採用も必要となります。ここからは、オフィス選びのための情報と、従業員採用手続きの概要について触れておきます。

 

 

4-1 オフィスには多様な形態がある

近年は、人材不足や働き方改革の推進もあって多様な働き方が広がりつつあり、働く場所としての環境にも注目が集まっています。多種多様なオフィス形態の中から、会社の規模や費用を含め多角的な視点で検討することが肝要です。

 

オフィスには多様な形態

 

4-1-1 自宅をオフィスにする

ITの普及によって、自宅で仕事をするための環境を容易に整えることができるようになりました。業種や事業規模にもよりますが、費用面でのメリットを考えれば検討の余地があります。主なメリットとデメリットは次のとおりです。

 

(表12-1)

メリット デメリット
1)オフィスを借りる費用(家賃・引っ越し費用等)が不要です。
2)光熱費、通信費、賃借物件の場合の賃料は、事務所としての占有割合の分について経費として計上可能です。
1)個人の住所を公表することにつながり、プライバシー確保に懸念があります。
2)会社として登記できない物件もあるため確認が必要です。
3)金融機関の融資審査が通らない場合があります。
4)様々な場面で公私の区別が難しくなる可能性があります。

 

4-1-2 賃貸オフィス

主に不動産会社を通じて探すことになりますが、業態や業容に適した物件を比較的早期に見つけることが可能です。

 

(表12-2)

メリット デメリット
1)業態と業容に応じた自社の占有スペースを確保できます。
2)メンテナンス作業や費用は管理会社が対応するのが一般的です。
3)レイアウトや内装の変更が可能です。
1)立地により、賃料等が高額になるケースがあります。
2)保証金、内装工事費、オフィス機器導入費等初期費用が高額となります(200万円程度~)。
3)契約更新時の家賃交渉が必要になります。

 

4-1-3 レンタルオフィス

レンタルオフィスは、賃貸オフィスと違い、オフィス用家具、インターネット設備やOA機器本体など、ビジネスに必要な環境が整った状態で借りることができます。また、不動産会社は介在せずレンタルオフィス業者との契約となりますので、仲介料や保証金が不要という利点があります。一般的な利用料金は月額20万円~30万円程度です。

 

4-1-4 その他のオフィス形態

このほか、「シェアオフィス」や「コワーキングスペース」というオフィス形態があります。シェアオフィスは、複数の会社がオフィスを共有する形態で、「フリーアドレス(一つのシートを複数の人で利用するスタイル)」と称する「自分専用席のないオフィス形態」となっており、低コストでワークスペースを確保することが可能です。しかし、同じような形態で個人向けの「コワーキングスペース」とともに、セキュリティー面で問題を抱えています。

 

 

4-2 従業員採用手続きの概要

労働力不足による人材争奪戦が激化する中で、新設会社が優秀な従業員を採用することは至難の業と言えます。また、募集・採用活動のみならず、採用後にも法令に則った様々な手続きが必要となるため、相応の時間をかけて入念に準備しましょう。ここでは、採用活動の準備から採用後に必要となる手続きまでの概要をお示しします。

 

(表13)採用関係の概要

区分 内容
要員計画作成 必要員数を把握し、人件費計画をもとに、正規雇用、臨時雇いなどの雇用形態ごとの採用枠を決定する。
採用・募集活動 〔採用・募集活動の流れ〕

  • ・就職情報サイトや職業安定所等に「企業情報及び募集要項」を公開する(大学と高卒に求人票提出。但し、大卒と高卒は時期が異なるので注意)。
  • ・即戦力を希望する場合、人材紹介会社の利用も想定する。
  • ・内定者に対するフォロー(メルマガ、SNSなどの活用)〔注意すべき法令等〕
  • ・労働基準法並びに労働基準法施行規則
  • ・労働契約法
  • ・雇用対策法(年齢制限の禁止等)
  • ・男女雇用機会均等法
  • ・若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)
  • ・職業安定法改正法

採用後の手続き 〔必要となる主な手続き〕

  • ・労働契約書締結
  • ・労働者災害補償(労災)保険並びに雇用保険加入手続き
  • ・健康保険並びに厚生年金保険加入手続き〔適用される法令等〕
  • ・労働基準法並びに労働基準法施行規則
  • ・労働契約法

 

 

5 独立開業を家族に応援してもらうには?

独立開業を家族に応援してもらうには?

 

独立開業を考える時、家族の応援は必須といえます。もし、身近な家族が独立開業を反対しているなら、説得する事をお勧めします。なぜならば、家族の応援のメンタル面でのプラスの影響は相当大きい事がいえます。また、現実的な資金面でも家族の応援は重要になります。例えば、創業時の資金調達方法*の1位は『自己資金(利用率80.2%)』(2019年度版中小企業白書より)であり、2位がほぼ同率で『民間金融機関からの借り入れ(利用率34.9%)』と『家族・親族・友人・知人等からの借り入れ(利用率34.0%)』になります。

 

つまり、独身で自分の貯金等で開業やその後の資金を賄うことができる場合以外は、家族や周囲の人の応援や少なくとも同意は必須という事になります。自分で養うべき家族がいるなら、自己資金といっても家族の同意が必要になります。また、特に中小企業においては資金的に困った時に助けてくれるのも家族や身近な人たちです。

 

また、起業もその後の事業の立ち上げも簡単ではありません。むしろ開業後の廃業率**を考えると、非常に難しいといえるでしょう。起業する人の“ひととなり”を最も知っている家族が「この仕事なら独立しても大丈夫」と納得して家族の応援を獲得できる、“事業の魅力”とそれを伝える“説得力”も起業の成功の重要な要素です。今回は、独立して起業を検討する方にむけた、開業時の家族の応援の獲得方法について解説します。

 

 

5-1 独立開業の説得

独立開業を打ち明けたときに、家族や身近な人はあまり良い反応をしないかもしれません。前述の中小企業の廃業率から考えると、その反応も納得です。開業後1年で30%が廃業し、開業後3年で50%廃業という数値になっています。数値を知らない人も大半ですが、開店した店舗が気づけば閉店しているといった事は誰もが経験しているはずです。そのような経験から独立開業より、会社勤めの方が安定しているという想いを持つのも自然です。その自然ともいえる家族の反対を賛成に変える事は、独立開業を行う上で最初のハードルともいえます。

 

説得には2つの必要原則があります。「信頼」と「メリット」になります。実はここでも家族の説得を必須としている理由が隠されています。家族が独立開業の説得を受け入れないという事は、開業しようと説得する人を信用できないか独立開業にメリットを感じないという事になるからです。

 

◯信頼

経営者にとって信頼は必須事項です。取引には契約書等を締結しますが、信頼できない人とは契約はしないという意味で取引は信頼の上に成り立ちます。
つまり、身近な家族から信頼されていないという事なら、取引を検討してほしい赤の他人から信頼を得るのは難しいと言わざるを得ません。それであるならば、まずは信頼を取り戻すような行動を習慣化する必要があります。

 

◯メリット

メリットは行動の変化を受け入れるデメリット以上に多くある事が必要です。しかも、メリットがデメリットを僅差で上回る程度でなく、誰がみても大きくメリットが上回る事が必要になります。また、その想定でしかないメリットが本当に実現するのかという実現性の高さも必要になります。

 

 

5-2 説得のプロセス

説得は、①『相手が話を聞く』ためのプロセスと②『相手が理解・納得する』ためのプロセスがあります。

 

家族への説得は、話を聞いて当然という思いから①のプロセスを軽視しがちです。もちろん、家族なので話を聞いてもらう事は他人に聞いてもらう事より簡単なのは当然かもしれません。しかし、独立開業の説得など重要な話を説得しようとする際には、意識を話に集中してもらえる状況を作る必要があります。そのためには、突然話を切り出すなどの唐突に行うのではなく、話をする事を事前に伝えて話し合いの場をセッティングする事で相手が話を聞く態勢を無理なく作ることが重要になります。

 

次に、『相手が理解・納得する』ためのプロセスです。このプロセスは更に2つのプロセスに分ける事が出来ます。②-1独立開業をしようとする想いと背景を伝え理解と共感を得るプロセスと、②-2独立開業の具体的プランとその実現可能性の説明による安心と納得を得るプロセスです。

 

②-1のプロセスでのポイントは、家族に独立開業の理由や想いを伝えることです。それにより独立開業の"必要性"や"意義"や"メリット"を伝える事が必要です。更に重要になるのは、想いを伝える際の感情の熱量になります。人は感情で動きます。共感を得るには、感情を伝える事が大切です。

 

②-2のプロセスでは、ビジネスプランを相手が"理解できる"ように"詳細かつ具体的"に説明します。このビジネスプランの完成度が、家族の応援を獲得できるかの最終的な要素になります。どのようにビジネスプランを策定すれば良いかは次章で解説します。

 

 

6 ビジネスプラン

ビジネスプラン

 

ビジネスプランとは、事業計画書とも言われる起業する会社と事業のやり方と計画を示したものをいいます。ビジネスプランを書面に落とし込む事で、独立開業を成功させるために重要な要素を抑える事ができます。先述の通り、起業して会社を継続する事は簡単ではありません。

 

そのため、起業のシミュレーションともいえるビジネスプランをもとにで、起業家の先輩や専門家から具体的なアドバイスを得る事で成功要素を高めて失敗やリスクを回避する事にも役立ちます。また、起業後は計画と現実の乖離を把握して軌道修正する事にもビジネスプランは利用する事ができます。

 

さらに資金調達をする際にもビジネスプランを提出する事になります。しかし、家族への説得のビジネスプランは専門的な単語や詳細な数値よりも、シンプルで分かりやすい内容が必要になります。そして下記⑤の要素になりますが、いかに会社や働き方が家族に関わってくるかという事や家族の生活が変化するかについて説明する事は、家族の応援を得るうえで必須の事項になります(金融機関や出資者等への資金調達の際に行うビジネスプランの説明からは割愛しても良い部分ではあります)。

 

 

6-1 ビジネスプランの要素

起業におけるビジネスプランの要素は、以下の大きく5つになります。これらの要素を一つずつ考えて文章に落とし込んでいきます。

 

ビジネスプランの要素

 

①独立開業する事業/業界について 起業を成功させるためにビジネスのやり方や特徴、業界のチャンスについて抑えます。
②起業に必要な資金について 起業の前後を含んで必要な資金と現在用意できる資金を明確にします。また、事業の立ち上げがうまくいかなかった場合にも十分な準備を行うために資金も計算しておくことで家族の安心を得る事が出来ます。
③事業立ち上げを成功させるための工夫について 起業で最も苦しい時期であるビジネスを軌道に乗せるために出来る事をやっておくためのポイントをおさえます。特にツテやコネなどを活用できるようにしておく事や、知識不足を補ってくれる先輩経営者や専門家などを見つけておく事も大事なポイントです。
④起業自体の価値や目的などについて 起業自体の目的や会社のビジョンなどの、起業や会社設立への想いや理想をまとめておきます。企業経営において最も根幹になるところであり、何かの判断の際に立ち返る場所になります。
⑤家族と起業との関わりについて 家族への説得には特に重要になります。独立開業するとなると、本人はもちろん家族にとっても苦労が多いです。その中で、家族とのコミットメントともいえる部分を決めておくことで応援を得やすくなります。

 

①独立開業する事業/業界について

  • ◯既存のビジネスと比較してビジネスのやり方に特徴はあるか?
  • ◯その特徴で成功している先人はいるか?逆に失敗例はないか?
  • ◯活かせるスキルやコネクションは何か?
  • ◯事業を行うのに必要な許認可はないか?
  • ◯業界内にはどのようなチャンスがあるか?
  • ◯その業界は10年から20年先には成長するか?
  • ◯事業上や業界における注意しなければいけない事は何か?

 

②起業に必要な資金について

  • ◯起業するまでに必要になる資金はいくらか?
  • ◯起業後半年間、1年間で必要になる資金はいくらか?
  • ◯現在すでに用意している資金はいくらか?
  • ◯必要な資金と現在すでに用意している資金の差額はどのように調達するのか?
  • ◯起業後は売上をどのくらいを想定するのか、またその想定以上に売上があがらない場合でも耐えるための資金は用意できているか?
  • ◯事業資金や設備投資のための資金先を確保しているか?

 

③事業立ち上げを成功させるための工夫について

  • ◯顧客はすでに獲得できているか?
  • ◯現在の仕事を利用して準備できる事はないか?
  • ◯原価やコスト削減につながる仕入れ先や取引先を確保できているか?
  • ◯必要なアドバイスを得る事が出来る経営者の先輩や弁護士や税理士やなどの専門家にあてはあるか?
  • ◯独立開業した企業で共に働いてくれる仲間や従業員はいるか?

 

④起業自体の価値や目的などについて

  • ◯起業する目的はなにか?(会社員では何がいけないのか?)
  • ◯社会や顧客にどのようなサービスや影響を提供したいか?
  • ◯起業して10年後や20年後になっていたい会社の姿は?

 

⑤家族と会社との関わりについて

  • ◯子供の教育費などを含めた家族の生活は困る事が起こらないための施策は何か?
  • ◯現在と今後における家計に必要な収入はいくらか?
  • ◯家族との時間を確保するための取り組みや決め事は何か?
  • ◯住宅ローンなど、個人として必要な借入に問題が起きないための施策は何か?
  • ◯独立開業によって家族をどのように幸せにするか?
  • ◯万が一、独立開業がうまくいかなかった場合には、どのような基準で事業を終わらせる判断をするか?
  • ◯会社を閉じた後に、再就職などでアテはあるのか?

 

 

6-2 ビジネスプランの説得力アップ

ビジネスプランの出来がどんなによくでも、失敗のリスクが不安という家族もいるかもしれません。独立開業をしようとする方が夫で、説得される方が専業主婦などビジネスに関わる機会が少ない人などの場合には、なんとなくぴんと来ないという事で“不安”という事もあります。また、起業して残念ながら上手くいかなかった人が身近にいた場合などはその印象を払拭するのはなかなか簡単ではありません。

 

そんな場合に説得力をアップさせる事が出来るのは『副業』や『週末起業』です。会社勤務などの本業は継続しながら、起業をしていく方法になります。特に近年では働き方改革の一つで副業の解禁をする企業も多くなっているため、副業のハードルは確実に低くなっています。また副業などで設備投資や開業資金を出来るだけ抑えたスモールスタートも賛同を得やすくする要素です。つまり、今までの仕事を辞めて本業として成功させなければいけない起業いうハイリスクを、現在の仕事をしながらトライアルとしてテスト起業のスモールリスクにしておく方法です。

 

そして、副業によって起業を説得できるだけの実績を積むことが、ビジネスプランの説得力をアップさせる事になります。また、スモールスタートで事業を開始してみることで必ず想定していなかった課題が出てきます。その課題をビジネスプランに加える事で、ビジネスプランのブラッシュアップにもつながります。

 

一方で、副業などでスモールスタートをする時には家族から副業で続けることを説得される事にならないように、期限と条件を家族と約束をとりつけておく事も忘れないようにすべきです。例えば『副業開始から半年以内に売上が50万円になったら、独立開業の準備を始める』といった内容です。

 

家族が安心して独立開業を応援する事が出来るためには、“ビジネスプランの精度”とそれを裏付ける“実績”を持ったうえで、正しく説得する事が必要になります。この家族の説得自体を行う中に、ビジネスプランの策定やスモールスタートによるテスト起業など起業を効率的に成功させるために必要なプロセスを多く含んでいます。面倒くさがらずに、一つずつ説得のための準備と説得自体を行う事が重要です。

 

 

7 まとめ

この記事では、独立起業のための手順について、資金調達や事業計画策定の重要性、そして、設立する会社の社会への関わり方を中心に解説してきましたが、参考になったでしょうか。事業がスタートし、会社が成長すれば従業員の採用や増員が必要となり、募集・採用環境や、採用後の人事労務問題など新たな課題への対応も必要となります。このような点も念頭におき、独立を目指すビジネスパーソンが、自らの収入の増加は勿論のこと、顧客、従業員、取引先等全てのステークホルダーの成長につながる起業の糸口をつかみましょう。


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