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月次決算でマネジメント力を強化!早期化の実現で業績アップ〜〜決算書が読めるようになる本7冊の紹介も

経営者や管理職の方の中には自分の会社を上手く運営できていないと悩んでいる方もおられるのではないでしょうか。また、従業員のほうでも会社のマネジメントのあり方に疑問を抱いている方も少なからずおられるはずです。そのような会社に月次決算を導入したり、その早期化を図ったりすることで会社のマネジメント力が高められることがあります。

 

月次決算を導入して効果的に運営していくためには一定のマネジメント力が必要です。そのため月次決算に導入し活用に成功すればそのことによる業績向上という効果が得られるだけでなく、マネジメント力の向上によるさまざまなメリットも得られます。

 

今回はこの月次決算とマネジメントの関係に着目しながら、月次決算の導入・早期化によるマネジメント力の向上、経営品質の向上の仕方、そして決算書を理解するのに役立つ本をご紹介しましょう。

 

 

1 月次決算を導入・活用する場合としない場合との違い

月次決算を導入して活用している会社とそうでない会社とではマネジメントでどのような差があるのか、またそれにより業績等でどのような違いが生じるのかを確認していきましょう。

 

 

1-1 月次決算を行わない会社の問題

月次決算を導入していない会社の決算業務や毎月、毎日の事業活動で起こる問題をいくつか紹介します。

 

①金融機関等との関係で不利になり得る

銀行などの金融機関は融資を行うにあたり、その企業の経営状態等を一般的に調査しますが、その際月次決算を行っていない会社の評価が下がることもあるのです。

 

つまり、評価が下がれば融資が得られないことにもなり得るので、月次決算の導入は融資を受けるためには重要な業務になるといえるでしょう。

 

融資を判断する基準は金融機関ごとで異なりますが、一般的に融資先の返済能力があるかどうかが最も重要な要素となります。そのためその会社が保有する資産、特に担保となるような資産や事業での健全な収益力などを有するかどうかが調査されるわけです。

 

その調査にあたっては各種決算資料の提出が求められますが、月次の損益計算書や試算表など要求されるケースが少なくありません。

 

年次決算書類では1年間という期間での業績や資産に関する情報なので、次年度に急激な経営環境の変化が生じた場合にはその影響を把握できないため、直近の月次の試算表などが要求されるのです。

 

月次の損益計算書や試算表などの資料を提出するには月次決算の導入が必要であり、導入していなければ金融機関から要求されても直ぐには提出できないでしょう。

 

つまり、月次決算資料を提出できないあるいは長時間かけて提出できた場合では、金融機関の要求に応えることができず、融資が断られることもあるわけです。

 

②問題が発生してからの対応が遅くなる

年度末を迎え決算業務が進む中や終了してから期中では気付かなかった問題が表面化し対策に追われることもありますが、ケースによっては業績の悪化だけでなく経営危機に結び付くこともあります。

 

たとえば、資金繰りの悪化に気付かず、納税資金や仕入債務の支払いの現金が不足し資金ショートの危機に陥るというケースです。売上が伸びるとともに利益率も悪くなければ会計上の利益は大きくプラスとなり経営者としては満足できるところですが、資金の過不足と利益の大きさは必ずしも一致しません。

 

売上は掛取引や手形決済で、商品仕入は現金払いという取引では通常の事業活動による現金の流出は流入を上回り、現金は不足しやすくなります。また、資金管理が不十分な状態で設備等の投資や従業員の拡充などを行えば、直ぐに資金不足に陥ることも珍しくないのです。

 

こうした資金の流れを毎月ごとに把握して管理しないと、資金ショートのリスクは大きくなりやすいですが、月次決算を導入し資金繰表を作成して管理すればリスクを大幅に軽減できます。

 

ほかにも年次決算では気づけない販売面での問題もあります。毎月の販売量が少し下がっても気づきにくいですが、2~3カ月連続で減少する場合は大きな問題が潜んでいても不思議ではありません。しかし、それを決算時期まで対策が取られず放置されることになると挽回できないほどに悪化することも少なくないのです。

 

③年度末の決算業務での負担が大きく社員が疲弊する

月次決算を導入している会社としていない会社を比べると、後者での年次決算業務にかかる時間は長時間におよび経理担当者などの負担が重くなる傾向が見られます。

 

年次決算業務の早期化に取り組んでいる会社ならそれほど大きな業務負担にはなっていないでしょうが、そうでない会社の決算業務は非効率になっているケースが少なくないです。

 

決算業務自体が経理担当の役員並びに経理部門などに委ねられ、会社としての明確なルールなしに業務が遂行されるケースが少なくありません。前任者から受け継がられる業務方法などであるため、非効率であってもそのやり方が踏襲されるケースは多いです。

 

たとえば、「仮受金」などの暫定的に計上する科目を決算月まで放置して、まとめて適切な科目に修正するという方法が多く取られています。しかし、ずいぶん前に計上した項目の内容を担当者から聞き出すのは容易ではなく確認のやりとりや待ち時間が多くなり、決算業務に影響することもあるのです。

 

月次決算を導入して修正すべき内容を毎月行っていれば、このような確認の時間も短く済み無駄な待ち時間なども発生しなくなるでしょう。そして、結果的に年次決算業務での業務量が大幅に減少し経理担当者への負担も削減できるのです。

 

④決算業務の質が悪くなる

前項③のように年次決算業務での負担が重く経理担当者などの作業時間が長時間におよぶ場合、本来決算業務までにやっておきたい節税対策や予算達成に向けた取り組みなどができなくなることも少なくありません。

 

決算業務の重要な仕事の一つは納税申告のための納税額を決定することも含まれますが、期末を迎えて苦労の末会計上の利益が確定するようでは節税対策が難しくなります。

 

納税額は会計上の利益をベースに算定されることになりますが、会計処理の方法によっては不必要な利益計上を抑え節税に結び付けることも可能です。たとえば、不要な資産の処分、社員への決算賞与の支給、社員旅行の実施や決算セールの開催などにより利益を抑え納税額を少なくすることは不可能ではありません。

 

しかし、こうした対策の手続を取るには一定の時間が必要であり、決算日が間近に迫ってきてからでは間に合わないことになるのです。

 

⑤予算達成へのアクションが間に合わなくなる

また、期中の販売等があまり芳しくない場合でも、決算業務が進む中で予算の達成が困難になりそうなことがやっと判明するケースがあります。しかし、決算日の直前で未達になりそうな状況が判明しても決算セールなどもできず、結局未達で終わることもあるでしょう。

 

決算セールは余分な在庫を減らして売上原価を多くし、利益を小さくする効果があるため節税にも有効ですが、売上高予算の未達部分を確保する方法としても有効です。

 

決算セールを定期的に実施しない場合は、その必要性を早めに把握して商品の仕入等の準備をする必要がありますが、決算業務の遅れで決算セール開催の意思決定が遅れることもあるでしょう。

 

このように年次決算業務に余裕がなければ、適切な決算内容とするための節税対策や決算セールなどの重要な業務が実施できないことになりかねません。

 

 

1-2 月次決算を行っている会社が得られるメリット

月次決算を導入している会社は以下のような業務が普通に実施されており、さまざまなメリットが得られています。

 

①月次決算書類が翌月10日頃までに準備できる

月次決算を実施している会社の場合、翌月10日頃には前月の月次決算書類が完成されているケースが少なくありません。早い会社では毎月5日程度で準備できている会社もあるのです。

 

用意できる決算書類にもよりますが、月次の損益計算書、貸借対照表とキャッシュフロー計算書が用意できれば、後は必要とする各種の分析資料は比較的簡単に抽出できます。

 

月次ベースの売上高や販売量の比較、売上高総利益率や売上高営業利益率などの比較を行えるようにしておけば、売上の落ち込みの問題を直ぐに捉えることは可能です。

 

また、費用についても同様に月次ベース比較しておけば、利益率の低下の原因がどの費用に関係するのか、といった原因分析に利用できます。

 

加えて月次のキャッシュフロー(CF)計算書を分析すれば、月次ベースの資金の流れが把握でき、資金繰りの悪化に対する対策が早く打てるようになるのです。年次ベースで分析することも有効ですが、年単位では問題の発見が遅く対応が遅れて解決しにくい状況になりかねないので、月次ベースのCF計算書分析は有効です。

 

また、月次決算と合わせて資金繰表を作成して資金管理すれば、資金ショートの発生も防ぎやすくなるでしょう。

 

②問題の早期発見と対策の実施で業績向上が図れる

前項の①のとおり、月次決算が可能となれば必要な管理書類は容易に作成できるため、経営上のさまざまな問題を早期に発見しそれを解決するための手立てが講じやすくなります。

 

経営環境の変化が激しい現代のビジネス社会において月単位の変化を見逃せば業績を大きく落とすことになりかねませんが、月次決算を実施していれば業績の変化に早めに気付くことができるのです。

 

たとえば、月次決算で店舗別や商品別の損益計算書を抽出するようにすれば、月単位でどの店或はどの商品で売上が伸びていないか、利益が少ないかなどの分析もできます。それらのデータを月次で比較すれば、どの店、どの商品が悪いかが直ぐに把握でき、原因の追求も容易になるのです。

 

特定の地域の店舗や商品だけが悪いなどの場合には、自社のそれらに関する費用構造をチェックして原因を探るという方法もとれるでしょう。もちろん自社、顧客とライバルの3つの視点から原因を探るという方法が必要となる可能性もありますが、それらの分析でも月次データが必要となるケースも少なくないのです。

 

月次データは会社が維持存続しさらに発展していくために欠かせない情報になります。

 

③月次決算の早期化や業務改善の利用でマネジメント力が強化される

月次決算書類を翌月の7日~8日までに完成させるという早期化を実現するには、月次決算の業務フローを適切に実施させるためのマネジメント力が欠かせません。また、提出された各種資料を業務に活用させる場合においても経営層のマネジメント力が必要なのです。

 

年次決算業務は法律に基づいて行う必要があり、正確性が求められますが、月次決算は会社が任意で行うもので完全な正確性までは求められません。たとえば、減価償却費の計上は年度末に実施しますが、月次決算では月割りの減価償却費を計上するわけです。

 

月ベースの適正な期間損益を計上するために本来の企業会計原則からやや離れたさまざまな処置を行うケースがあります。また、仕入や売上を月次で把握できるために従来と異なる方法(経理処理)に変更せざるを得ないケースも少なくありません。

 

経費の即日計上や納品書・請求書の発行の工夫などが必要となり、自社だけでなく関係会社へ協力を依頼することもあるでしょう。こうした取り組みを行い、翌月の7日~8日までに月次決算書類を完成させるという業務フローを確立し実施していくには経営層の強力な関与と管理が必要です。

 

そして、その体制を順調に維持していくには社員や関係会社等の協力を得て実施していく管理者のマネジメント力が求められます。

 

つまり、会社に月次決算業務を導入して早期化や業務改善活動の実施に繋げていけば、その会社全体のマネジメント力は格段に向上できるのです。そして、その結果として、さまざまな問題を早期に発見・解決し、業務改善が容易に実施できる体制の確立が期待できるでしょう。

 

④経営品質の向上に伴う相乗効果が期待できる

月次決算を導入してマネジメント力が強化されると業績の向上のほか、金融機関の信頼度の向上、株価上昇、知名度アップ、入社希望者の増加および離職率の低下というような効果も期待されます。

 

今までに確認してきたとおり月次決算により問題の早期発見と解決が図れれば業績の向上が期待できるでしょう。そして、業績が向上できれば、上場企業などでは株価も上昇しやすくなり、知名度も大きくアップすることが期待されます。

 

特に株価の上昇などは新興企業にとっては世間の注目を浴びる機会となり、新たな株主の発掘のみならず販売先や仕入先などの取引先を増やせる機会にもなり得るのです。そして、会社名が広く世間に知れ渡れば、取引だけでなく入社を希望する優秀な人材も集まりやすくなるでしょう。

 

また、マネジメント力が会社全体として向上していけば、無理な作業、無駄な業務、負荷の高い仕事などが見直され効率的で社員への負荷の少ない業務へと改善が促されていくこともあります。

 

そうなれば社員のやる気は上がり、不要な離職を回避できることもあるのです。もちろんこれらの効果は月次決算を導入すれば実現できるというものではなく、それをきっかけとしてマネジメント力、マネジメント体制を改善・向上することにより得られます。

 

月次決算を導入・活用することで業績を伸ばしつつマネジメント力を高め、さらなる発展のための経営品質の向上を目指してはどうでしょうか。

 

 

2 月次決算とマネジメントとの関係

ここでは月次決算の内容を説明しつつ、その導入や早期化を図るためにどのようなマネジメントやマネジメント体制が必要かを確認していきましょう。

 

 

2-1 月次決算とは

まず、月次決算とはどういったことをするのか、どういう内容が含まれるのかを説明します。

 

月次決算とは会社法や税法などにより要求される年次決算とは異なり、会社が任意に実施する月単位の決算です。したがってどのような決算業務を行い、どのような決算書類を作成するかはその会社の判断で自由にできます。

 

年次決算はその会社の1年間の企業活動の成果を外部に報告することが目的されますが、月次決算は会社内部に対する報告を目的するものといってよいでしょう。つまり、会社内の経営管理(マネジメント)のために実施されるものなのです。そのため年次決算とは異なり、マネジメントの面から必要とされ取り組む内容も多くなります。

 

では具体的にどのようなことをするのか簡単に紹介しましょう。

 

 

2-2 月次決算の業務フロー

月次決算の主な業務フローは、月次決算仕訳・試算表の作成→月次決算書類の作成→経営分析→月次会議の開催→対策の実施 などになります。

 

年次決算では決算書類を作成し、それを株主総会や税務署などへ提出することで年次決算の主要な目的は達成されます。しかし、月次決算では月次決算書類を作成・分析してそれを経営に活かすことまでが目的とされるのです。

 

そのため月次決算では書類作成までの前工程のマネジメントに加え、経営分析を実施の上対策立案から実施までの後工程へのマネジメントが必要になります。

 

①月次決算のスケジュール

月次決算の取り組み方は各会社によって異なりますが、一連の業務フローが長くなり過ぎると対策を立案しても有効とならない確率を高めるため翌月10日程度を目標とされるケースが多いです。

 

翌月10日を月次決算の完了日とする場合、月次決算書類は翌月5日~7日までに完成、各種分析・対策の検討を7日~8日までに完了、8日~9日に月次決算会議で現状把握と対策を決定、10日から対策実行という予定になるでしょう。

 

月次決算書類を翌月5日~7日までに完成するまでの道のりは楽なものとは限りませんが、さらにその後の経営分析と対策立案・実行を実施することが重要です。

 

言い換えると後工程を適切に実施しないなら前工程をやる意味がなくなるといえます。月次決算を導入するから経営の質が高くなるのではなく、後工程にしっかり取り組むことで問題を未然に防いだり、早期に解決したりすることで業績が良くなるのです。

 

②前工程のポイント

月次決算書類を翌月5日~7日までに完成するためには、月次決算の早期化に向けての取り組みが欠かせません。会計処理を月単位の適正な損益を把握できるようにするためのさまざまな取り組みや工夫が必要になるでしょう。

 

月次決算の導入にあたっては、その主な取組内容について各会社の経理部門を中心に全社的な話し合いが必要になります。つまり、「どうすれば月次の期間損益が出せるか」という出すための方法を抽出する討議が必要となるのです。

 

こうした会議になると「○○だから無理です!」「△△が遅いため間に合いません」というような「できない理由を述べる」考えが台頭しがちですが、経営層がそれを否定しなければなりません。

 

できないことを前提に考えるのではなく、どうしたらできるかを前提として取り組むことが新たなマネジメントには必要となることを忘れてはならないでしょう。

 

 

2-3 月次決算の早期化に向けた取組内容

月次決算の早期化に向けた取組内容としては以下の点が挙げられます。

 

①原則発生主義の導入

適正な月次損益を認識できるようにするためには原則的に発生主義会計による会計処理が求められます。

 

商品等の売上、材料・部品等の仕入、サービスを受けた費用の計上などを現金の入金や出金のタイミング、現物の発送・到着など収益・費用の事実が発生したタイミングでの計上が必要となるのです。

 

たとえば、現金主義会計の場合では商品を販売・納入してその代金が入金された時点で売上が計上されることがありますが、発生主義会計では商品を発送した時点等で計上します。商品等を購入する場合ではその商品代金を支払う時点で仕入計上するのではなく、商品が到着した事実等で計上するのです。

 

会社によっては仕入先からの請求書が郵送等で届けられてから仕入計上することも少なくないですが、これでは実際にモノが届いてそれを販売しているにもかかわらず仕入計上できていない状況などを作り出してしまいます。

 

販売管理だけでなく在庫管理上もこうした現象が起こるとモノの数と帳簿上の数が一致しなくなり、トラブルの原因になりかねないため発生主義による会計処理に変更する必要があるのです。

 

なお、売値や仕入値がなかなか決定しないケースの場合でも決定するまで未計上とするのではなく、できるだけ近い予定価格を決め仮値で計上しなければなりません。あとで修正するという手間が発生しますが、未計上のままでさまざまなトラブルを起こすよりも手間は少なく済むでしょう。

 

②重要な月次決算仕訳

月次決算仕訳として特に注意しておきたい科目と内容を簡単に説明しておきます。

 

A 減価償却費等の計上

減価償却費、退職給付費用、夏季・冬季賞与、固定資産税、各種保険料、労働保険料は期末や特定の時期に1回または複数回などで計上されますが、月次の期間損益を適正に認識するためには月次での計上が必須です。

 

つまり、減価償却費なの各費用を月次ベースで見積り計上します。たとえば、期末に減価償却費を240万円計上することが予想できる場合、それを12月で割った20万円を毎月計上します。なお、こうした毎月の見積計上した費用は期末に確定するため、それに合わせた修正が必要となることもあるので注意しましょう。

 

B 賞与の仕訳

夏季や冬季に出される賞与も月次決算のためには毎月の計上が必要です。なお、会計上の手続としては賞与が実際に支給される月に、その支給対象期間中に毎月計上した賞与引当金の取り崩しという処理が求められます。 たとえば、毎月の仕訳では以下の仕訳が必要となるのです(年間の予定賞与を2,400万円として、その12分の1の計上)。

 

賞与引当金繰入 200万円 / 賞与引当金 200万円 

 

なお、参考として冬季賞与が12月に1,200万円を支給される場合、次のように仕訳されます。

 

賞与引当金 1,200万円 / 賞与引当金繰入 1,200万円
賞与 1,200万円 / 現金 1,200万円

 

C 仮払金/仮受金の計上

仮払金や仮受金の計上はできるだけ避けることを原則とて、やむを得ず計上した場合には発生月に適切な科目に修正するルールを作り徹底することが重要です。仮受金等の科目を長期に渡り放置しておくとその修正に多くの時間を取られるとともに正確性も落ちる恐れがあるため、最低でも当月修正を守るようにしましょう。

 

D 経過勘定の計上

前払家賃などの経過勘定科目についても、発生主義で計上するべきです。ただし、計上件数が多くかつ金額が小さいなど月次損益への影響が過少である場合、毎月は現金主義、決算月は発生主義で修正という処理でもよいでしょう。

 

正確性を求めることは重要ですが、経過勘定の計上が多いと翌月の修正作業での負担が重くなるため、経営判断を誤るような金額の費用にならなければ、月次は現金主義という選択は悪いとは言えないのです。

 

なお、発生主義による計上では以下のような処理になります。たとえば、借入金に対して毎月支払うべき利息の支払いが翌月15日払いという条件の場合の仕訳は次の通りです。

 

4月30日 支払利息 5万円 / 未払利息 5万円 
⇒4月末には当月分の利息分5万円を計上する必要があり、相手科目として未払利息で計上する。

 

5月1日 未払利息 5万円 / 支払利息 5万円
⇒5月初めに再振替仕訳

 

5月15日 支払利息 5万円 /  現金 5万円
⇒実際に支払った事実に基づき費用計上

 

E 売上原価の計上

毎月の損益を確定させるためには売上原価を確定しなければなりません。そして、売上原価の確定には月次の棚卸が必要です。

 

毎月に実地棚卸を全商品に対して実施するのが現実的でない場合、帳簿上の記録で棚卸を行う、帳簿棚卸と金額の大きな一部の商品に限定した実地棚卸とで行うなどにより対応するとよいでしょう。

 

売上原価や売上高の計上においては、入庫・出庫という事実に基づき計上することが重要なので、社内外での協力を得ることが何より大切となります。営業担当が商品を発注して納品書が届いているのに、経理部に提出せず計上されないというケースは少なくありません。

 

また、仕入先の納品書が届くのが遅い、保管倉庫からの入庫情報が遅いといった状況では仕入計上も遅くなり月次損益に影響することもあるのです。そのため各関係先に協力してもらい出庫・入庫に関する情報を電子データで送ってもらうなどの仕組みを作ることも必要となるでしょう。

 

F 消費税の計上

消費税を計上する方法には、税込経理方式と税抜経理方式の2つがありますが、税込経理方式は損益に消費税が含まれることになるので月次においては修正仕訳が必要となります。

 

前者は課税対象の売上に関する消費税等の金額は売上金額で、仕入に関する消費税等の金額は仕入金額などに含めて計上され、消費税等の納付税額は租税公課として必要経費等に算入されるのです。

 

他方、後者の場合は、課税売上に関する消費税等の金額は仮受消費税等で、課税仕入に関する消費税等の金額は仮払消費税等で計上されます。

 

たとえば、平成30年4月1日~平成31年9月30日までの期間内に、X商店が商品を8,000円(税抜き)で掛仕入し、12,000円(税抜き)で現金により販売した場合の両者の仕訳は以下の通りです。

 

税込経理方式

 

1) 仕入時
仕入 8,640円 / 買掛金 8,640円

 

2) 売上時
現金 12,960円 / 売上 12,960円

 

消費税は仕入で640円、売上で960円が生じており、差額の320円を租税公課として経費処理されるのです。

 

租税公課 320円 / 未払消費税等 320円 (期末決算整理仕訳)

 

未払消費税等 320円 / 現金 320円 (納税日)

 

以上のように期末の決算整理まで消費税分を修正しないと、月次の損益が正しく認識できないため、毎月の修正が必要になります。

 

税抜経理方式

 

1) 仕入時
仕入 8,000円     / 買掛金 8,640円
仮払消費税等 640円 /

 

2) 売上時
現金 12,960円 / 売上 12,000円
          仮受消費税等 960円

 

仮受消費税等 960 / 仮払消費税等 640円 (期末決算整理仕訳)
          /  未払消費税 320円

 

未払消費税等 320円 / 現金 320円 (納税日)

 

以上のように税抜経理方式では消費税が発生する度に仮払消費税もしくは仮受消費税等が計上されるため月次の損益に反映できます。そのため、月次の適正な期間損益を認識するという点においては税抜経理方式が適しているといえるでしょう。

 

 

2-4 月次決算資料と分析

月次決算の会計上の手続についてのルールを作れば、次は月次決算のどの情報をどのように役立てるかという内容、つまり目的に必要な資料を作成して分析するという行為が重要になります。

 

月次決算を通じて何を行うかは各会社の状況や経営方針などによって異なりますが、導入初期ではあまり欲張らず企業全体の業績管理や資金管理などから取り組むのがよいでしょう。

 

月次の売上高、利益、費用の実績を把握して営業情報とともに販売の実態を把握し、問題の早期発見と対策の実施を着実に行えば予算の達成も困難にはならないはずです。

 

月次のデータで問題点を探し営業情報で問題の全容や原因を探る、また逆に営業情報で気になる点があればそれが数字となってあらわれていないか確認するといった作業が重要です。データだけで分析しても企業活動の具体的な内容、消費者の行動や取引先の動きは細かく見えないので、営業部門などの担当部門のからの情報と合わせて分析することが欠かせません。

 

なお、分析や管理に利用する資料としては以下のようなものが挙げられます。

 

損益計算書および貸借対照表
損益推移表
資金繰表
部門、支店単位の損益計算書、損益の推移表
得意先別、商品別の売上高推移表
売掛金残高表および買掛金残高表
経営分析指標:収益性、安全性、効率性、生産性の各指標
(売上総利益率、営業利益率、経常利益率、流動比率、固定比率、自己資本比率、売上債権回転率、棚卸資産回転率、損益分岐点比率、商品別貢献利益率、キャッシュフロー計算書分析 など)

 

 

2-5 月次決算会議

月次決算の主要な目的や課題を設定し、月次決算の結果および分析から目的等の達成の程度を確認したり、未達の場合には対策について討議して決定したりするのが月次決算会議です。

 

一般的にはその月の月次決算会議で決まった内容について、次月の会議で確認し、目的が未達の場合は対策を考案するなどの進め方になるでしょう。大まかには、前月までの業績等の確認、問題点の認識、原因の特定、対策の立案、対策の実行結果の確認および改善について討議されるのです。

 

ただし、単に月次決算の内容を確認して未達の場合の対策を考える場ではなく、恒常的に業務改善に向けた取組を考える場であることが求められます。常に問題意識をもって月次データを分析すれば、無駄な経費の増加という問題に気付くだけでなくその背景にある業務の非効率さを捉えることもあるのです。

 

業務の非効率さは残業時間の増加に繋がったり、従業員のモチベーションの低下に結び付いたりすることもあり、離職者の増加の要因となることもあります。

 

問題の解決については、月次決算会議のメンバーと関係部門とで検討することが重要ですが、関係部門に丸投げすることだけは避けるべきでしょう。月次決算会議の関係役員やメンバーと担当部門が協力して問題解決の立案・実行が進められるべきです。

 

なお、月次決算会議は業務改善のために存在するものと位置付けるなら社長などの経営トップが月次決算会議に出席し、問題解決に協力していくことが欠かせないでしょう。

 

 

3 月次決算に必要なマネジメント体制と活用方法

ここでは月次決算に必要なマネジメント力やマネジメント体制の内容をあらためて確認します。

 

 

3-1 月次決算に必要なマネジメント体制とは

既に月次決算を遂行する上でのマネジメントの内容を概観してきましたが、ここではその内容をまとめておきましょう。

 

①月次決算の導入まで

業務的にさまざまなルールの変更を伴う月次決算を導入していくため、全社一丸となった取り組みが必要であり、経営層のリーダーシップが重要になります。

 

経理部門等の担当役員を中心に社長のほか他の役員においても月次決算の導入と遂行を円滑にするための積極的な関与が必要です。月次決算という言葉から「経理部門に任せておけば何とかなるだろう」などの考えから他の部門が積極的に協力しないと導入までの期間が長引いくことになりかねません。

 

月次決算をスムーズに導入するためには改善すべき会計処理のルールや月次決算のデータによる活方法などを事前に検討し洗い出しておく必要があります。そして、それらを実現するために組織をどう編成しどう動かすかまで決めておく必要があるのです。

 

たとえば、経理、営業、調達、製造などの各部門からメンバーを出してもらい「月次決算プロジェクトチーム」を編成し導入を進めるという方法が考えられます。月次決算を有効に活用することを前提、目的として各メンバーがどういう方法をとれば最も効率的に月次決算を導入し有効利用ができるのかについてアイデアを出し合い、問題を解決していくことが重要です。

 

そして、経営トップがプロジェクトチームおよびそのリーダーを直接的に支援し、一社員では解決が困難の問題に関与していくことが求められます。また、各部門間の利害の対立によるコンフリクト(葛藤)が発生する場合には経営トップが仲裁に入り解決の道筋をつけてやることも時には必要になるでしょう。

 

②月次決算の導入後から業務の定着まで

月次決算の導入後にはさまざまトラブルが起こり、各部門からクレームが来るケースもあるためその対応を迅速に行い、業務を軌道に乗せることが求められます。

 

会計処理等のルールの変更を伴うことになる月次決算業務では商品の仕入・販売等の計上ルールが大幅に変わることもあり、慣れない担当者には負担が重くそれがクレームとなることも少なくないでしょう。

 

そうした対応を経理部門だけで行うのではなく「月次決算プロジェクトチーム」が対応するという方法もあります。一般的にはこうしたプロジェクトチームは導入後に解散するケースも多いですが、月次決算業務が定着するまで存続してフォローしていくのも有効です。

 

ただし、単にクレーム対応というだけでなく、導入時までに決めたさまざまな手続・処理の方法を改善し、より迅速な月次決算を目指すことが主要な役割になります。

 

月次決算書類を翌月の5日~7日に完成させるのは簡単ではなく、導入初期では1カ月以上かかることもあるでしょう。その状態から5日~7日へと早期化を進めるにはさまざまな問題点を地道に一つ一つ解決していくしかないのです。

 

月次決算書類を翌月の5日~7日に完成させるには何が障害となるかを洗い出し、それを解決していく組織力が求められます。

 

③月次決算データの有効活用

次は月次決算データを有効活用していくことが重要となりますが、それに取り組む継続的な実施体制が必要です。「月次決算プロジェクトチーム」がその任に当たるのもよいですが、月次決算会議自体が担当してもよいでしょう。

 

月次決算会議では業績の未達や経費増という数値に着目した指摘や叱責が目立ちますが、その原因の究明と対策こそが本会議の主要な目的であり使命であるべきです。未達を責めて根本的な問題が解決できるなら、管理職というものは誰でもできる簡単な仕事と見えるでしょう。

 

業績や経費が増加する原因は多数あり複合して起こっているケースも少なくありません。また、自社内だけでなく関連会社、顧客、消費者などのさまざまな関係者の関わり合いの中から生じることも多く、その原因解明は容易ではないのです。

 

そのため関連する多様な事象に目を向け原因となりそうな要因を拾い出し、実態を把握・分析して問題の原因を突きとめるといった全社的な取り組みが求められます。そして、それを実現していくには経営トップなどの強力なリーダーシップのもとでこうした問題解決を図る業務改善チームが必要となるのです。

 

業績の未達を担当者に伝え、「何とか達成するように!」といった指示を出すのは経営管理とは言えません。

 

 

3-2 月次決算を活用したマネジメント力アップの方法

月次決算を活用したマネジメント力を向上させる方法を2つ紹介しておきましょう。

 

①月次決算の結果を経営計画に反映する

月次決算の活用の一つは予算の達成を確実にすることですが、言い換える経営計画を実現することです。そのため月次決算の結果は経営計画の実現に活用されるべきで、そのための取り組みが求められます。

 

経営計画の内容は各会社によって多少異なりますが、経営目的に向けた目標および目標値が定められ、それを実現するための具体的な行動が設定されます。経営計画の当該年度の目標値は予算として設定され、月次決算が導入されれば毎月の差異が確認できるでしょう。

 

業績等の数値上の結果が良くても悪くてもデータ並びに行動結果の内容を確認して、適切に評価することが重要です。つまり、何故良かったのか、悪かったのかを実際の行動内容を踏まえて確認・評価します。

 

そうした確認により自社、顧客、ライバル等の関係者の現状が見え、現在の問題だけでなく将来の問題のほか、新たなビジネスチャンスが浮かんでくることもあるでしょう。

 

マネジメントは、P(計画)D(実行)C(チェック)A(対応)を回すこととよく言われますが、経営計画はそのPにあたります。そして、Pを実現するための行動計画が実行されるわけですが、その結果は月次決算データという新鮮な情報で確認できるわけです。さらにCのチェックだけに終わらせないためには対策を講じてそれを遂行させる月次決算会議などの業務改善を遂行する機能が欠かせません。

 

②重視すべき月次決算データおよび分析結果

管理すべき項目は多数存在しますが、マネジメントレベルを含む会社の状況により適正な管理項目を設定し数値および現状把握による分析が毎月実施されなければ業務改善は実現できません。

 

導入初期では予算と実績の予実管理が主体となるため、売上高や利益額の推移を確認し、未達の有無のほか売上高の減少や利益の上昇などの傾向をいち早く掴むことが重要です。その上で「何故そのようになったか」という原因を現場の責任者や担当者から情報を集め究明して、月次決算会議や業務改善チームが担当部署と協力して解決策を策定するとよいでしょう。

 

たとえば、ライバル会社に顧客を奪われている場合は、その理由もきっちり解明する必要があります。ライバル会社の商品に価格や性能面などで競争力があるのか、あるいは配送などの特別なサービスが付与されているのか、などの理由があるかもしれません。

 

あるいは自社の販売方法が良くない、顧客ニーズが変わってしまったというようなケースもあるはずです。こうした原因を早く見抜けないと対策も打てずに顧客の支持を短い期間で失う恐れもあります。

 

このような分析をマネジメント側がだけで行うことには無理があるため、現場の担当者や関連会社の担当者の協力を得て進めることが重要です。問題を解決するためには関係する者を揃えての分析・対策立案が解決のカギとなるため、その体制を整備することも重要なマネジメントと言えるでしょう。

 

また、業績と関わりのある商品在庫の管理も重要で、月次決算では主要な商品については在庫数を把握できるようにするべきです。在庫量の変動の大きなものは特に注意し在庫切れと長期在庫にならない管理が求められます。

 

在庫切れは販売ロスとなり予算の未達に繋がることもありますが、長期在庫は放置すればデッドストックになりかねません。長期在庫の原因が顧客ニーズの変化にある場合などはデッドストックになりやすいだけでなく、長期的な業績の低迷に繋がる恐れもあり注意が必要です。

 

ほかには安全面での管理が重要になるでしょう。売上債権の回収には注意する必要があり、売掛金残高の推移、売上債権回転率・売上債権回転期間のデータで回収が悪化していないかの確認が欠かせません。

 

また、会社全体の資金の流れを把握するためには、月次のキャッシュフロー(CF)計算書を作成し分析することも大切です。特に営業活動CFがマイナスとなる月が連続する場合には必ず原因を究明し、問題を放置しないというマネジメントを行わねばなりません。

 

 

4 月次決算に関するマネジメント上の注意点

さまざまな利点のある月次決算ですが、導入や活用する際に考慮しておくべきマネジメント上の注意点を2つ説明しましょう。

 

 

4-1 月次決算の導入にあたっての経営トップのリーダーシップ

マネジメントの基本は目的を明確にして、担当者のモチベーションをアップさせ計画的に実行させることですが月次決算においても同様です。そのため月次決算の目的を担当する社員はもちろん全社員にそれを行う意義をしっかり説明する必要があります。

 

今までの曖昧でゆったりとした会計処理等のルールを大幅に変更するため、既存のやり方に慣れ親しんだ社員からの不満や抵抗が多少なりともみられることでしょう。こうした不満を放置しておくと従来と大きく異なる業務の導入は難しくなり活用に至るまでの時間がかかり過ぎることも珍しくありません。

 

そのため月次決算を導入するにあたっては全社員にその行うべき理由、特に導入・活用することよって得られる業績向上や企業としての発展等について説明することが重要です。

 

ただし、単に説明するだけで終わるのではなく、社員にはしっかり納得して積極的な協力が得られるほどに説き伏せるといった経営層の熱意が必要になるでしょう。つまり、経営トップが本気であることを示し、実際に月次決算の導入・活用に関与していくことが求められます。

 

 

4-2 月次決算を業務改善等に利用するマネジメントの確立

月次決算を導入しその活用の範囲を徐々に広げる取組を進める上で経営トップもその運用に関与しつつ、業務問題の発見・解決といった業務改善活動が自然と機能するように導いていかねばなりません。

 

決められたことを着実に実行できることは重要ですが、決められていないことも経営理念や事業方針などに沿って積極的に取り組める学習組織こそが変化の激しい時代で生き残れる会社となり得ます。

 

月次決算の意義や目的を踏まえ、現在決められている分析対象だけでなく新たな対象の検討、分析・評価の方法の刷新などを社員自らが提案し、運用を進めるようになれば、業務改善が停滞することはないでしょう。

 

こうした組織を作り上げるには、自ら積極的取り組む、チャレンジする組織風土の醸成が必要です。経営トップが理念として自ら話し実行することはもちろんですが、人事制度で作っていくことも欠かせません。

 

月次決算業務への取り組み方などを人事考課の対象として加えるほか、新たな業務に積極的に挑戦することを高く評価し処遇する人事制度があるとその行動特性が会社に根付きやすくなるでしょう。

 

 

5 はじめてでも決算書が読めるようになる本7冊

自社が前期と比較して成長したのか、自社は他社と比較してどういったところが優れていて、どういったところが劣っているのか、といったことをなるべく具体的に理解するためには数字、すなわち決算書の比較が必要です。また投資対象を決定するためにも決算書の比較は重要です。
その決算書をはじめてでも読めるようになる本7冊を現役の公認会計士が厳選しました。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

5-1 佐伯良隆・会計超入門!知識ゼロでも2時間で決算書が読めるようになる!

海外MBAを修了し、投資会社のファンドマネジャーとして、さまざまな会社の分析をしてきた方が著者です。決算書を人の体に例えて説明するという独特なスタイルを取っています。
このような独特なスタイルになったのは、「わかりやすい!」を徹底的に追求したからだそうで、経理にたずさわる人向けというより、あくまで決算書の数字を読み解き、ふだんのビジネスに役立てる人向けになっています。難解な事を読者がよく知っていることに例えて解説するというのは説明の王道ではありますが、その難解な事を著者がよく理解していないと読者に誤解を与えてしまいます。

 

この点について、公認会計士である私が読んだところ、全く問題なく、読者によい理解を与えるという印象を持ちました。
なお、この本では決算書とは、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書のことを指しています。

 

この本では以下のことを学ぶことができます。

 

【基礎編】

  • 決算書とは何で、誰がなんのために読むものなのか
  • 貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書は企業の健康診断書- どんなことがわかるのか
  • 会計を理解するにはたった4つのルールでOK!

【分析編】

  • 決算書の分析で何がわかるのか
  • 収益性とは何で、分析するには何に注目したらいいのか
  • 安全性とは何で、分析するには何に注目したらいいのか
  • 成長性とは何で、分析するには何に注目したらいいのか
  • 数社の上場企業の分析事例

 

 

 

5-2 かんべみのり・マンガ とにかくわかりやすい MBA流決算書の読み方

著者はグロービス経営大学院でMBAを取得した方です。
「複雑でわかりにくいことは、図に書きなさい。」と1度は誰かに言われたという方も多いのではないでしょうか?簿記になじみのない方にとって、決算書は複雑でわかりにくいもののはずです。

 

この本では、その図に加えて、漫画も利用しており、視覚的に理解することができます。決算書を読めるようになりたいという目的の裏には会社が行っているビジネスを理解したいということがあるはずですが、この本ではそのようなつながりを図と漫画で説明しており、非常にわかりやすいです。初心者向けの決算書の本を読んだことはあるが、挫折してしまったという方に特にお勧めです。

 

なお、この本では決算書のことを財務三表と言っています。財務三表とは損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書のことを言っています。
この本では以下のことを学ぶことができます。

 

【財務三表について】

  • 貸借対照表とは何か
  • 損益計算書とは何か
  • キャッシュフロー計算書とは何か
  • お金の動きと財務三表の動きの関係

 

【分析】

  • 儲かっているかどうかはどのように分析するのか
  • 倒産しないかどうかはどのように分析するのか
  • ムダがないかどうかはどのように分析するのか
  • 伸びているかどうかはどのように分析するのか
  • 固定費、変動費とは何か

 

 

 

5-3 前川修満・決算書はここだけ読め!

著者は、事業会社、監査法人を経て、公認会計士事務所を開業・税理士法人を設立された方が著者です。この本に限らず、多数の決算書の読み方に関する本を書いています。
決算書を作るためには複式簿記や会計基準に関する知識が必要ですが、決算書を読むためにはそのような知識は必要ないとしたうえで、決算書を読むための知識をこの本では紹介しています。上場企業の決算書には会計基準を理解していないと何のことなのか全くわからない項目もでてきますが、貸借対照表や損益計算書の全体的な特徴を捉えるという意味では著者の整理の仕方はすばらしいと感じます。

 

また、読んでいて専門用語を使うのをなるべく避けており、図表もふんだんに使われていると感じました。決算書の専門家である公認会計士が書いたわかりやすい決算書の解説本としてお勧めです。

 

この本では以下のことを学ぶことができます。

 

  • 決算書の理解に必要な5つの基本要素
  • 決算書の前に知っておくべき資料である試算表について
  • 試算表からどのように貸借対照表・損益計算書が生まれるか
  • 貸借対照表の見方
  • 損益計算書の見方
  • 比較した決算書の見方
  • 経営に失敗した会社の決算書の見方

 

 

 

5-4 國定克則・決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法

海外MBAを取得して、独立して経営コンサルタントをされている方が著者です。この本も含め、財務3表~という本を多数書かれています。

 

この本では決算書のことを財務3表と言っています。また財務3表とは「損益計算書」、「貸借対照表」、「キャッシュフロー計算書」のことを指しています。そして、この財務3表により、会社が「どのようにお金を集め」、「何に投資し」、「利益をどれくらい上げたか」、という基本活動が理解できる道具であると言っています。「会社は何のために存在しているの?」という問いの答えと財務3表が結びついているということを言っており、財務3表を理解するモチベーションをあげていると感じました。

 

また、財務3表の仕組みが分かれば、経営分析ができるようになる、事業計画書のレベルが格段に上がる、取引先の与信管理のレベルが上がるということも言っています。このあたりについては、収益性分析や安定性分析について書かれたところを読めば実感できるものと思います。

 

そして、次に損益計算書と貸借対照表はセットで理解するように言っており、そのつながりを詳しくわかりやすく説明しています。

 

損益計算書と貸借対照表がつながっていることは複式簿記を理解すれば自然に理解できることではあるのですが、この本では「簿記がわからなくてもOK」という前提で説明しており、読者の負担を軽減しています。経営企画室に所属されている方や会社役員の方にお勧めです。

 

この本では以下のことを学ぶことができます。

 

  • 財務3表のつながり
  • 損益計算書の見方
  • 貸借対照表はなぜバランスするのか、貸借対照表はどのように見るのか
  • キャッシュフロー計算書の見方、資金繰り表と比較しながら
  • パソコン一式を現金50万円で購入などの一つの取引が財務三表にどのように記録されるのか
  • 収益性を見る財務分析指標の利用法
  • 安定性を見る分析指標の使い方

 

 

 

5-5 酒井啓二・辻敢、決算書入門の入門

日本で最大規模の税理士法人である辻・本郷税理士法人の会長・理事である2人が著者です。
この本の出版社である税務研究会出版局は、専門家である公認会計士・税理士が日常的に読む雑誌や本を出版しており、出している情報への信頼があります。

 

この本では決算書とは貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書のことを指します。まずは架空の会社㈱ベータワンの貸借対照表・損益計算書を題材にそれぞれの仕組みを解説します。そして、その後に当期と前期の貸借対照表を比較します。比較すると、現金預金が前期よりも○○百万円少ない、受取手形が○○百万円多いなど、各資産負債の増減がわかります

 

そこで、例えば、現金預金が前期よりも○○百万円少なくなっているということは、前期よりも資金繰りがタイトになってきていることを示すなど、それぞれの増減の意味を解説しています。損益計算書についても、同様に当期と前期を比較して、架空の会社㈱ベータワンが増収減益になっている理由を解説しています。

 

そして、その後に株主資本変動計算書の解説をするという流れになっています。
実は当期と前期を比較して決算書を理解するということは公認会計士ならば当たり前にやっていることだったりします。この王道のやり方をやさしく解説しているのがこの本で、この本を読めば、決算書の理解が深まるでしょう。

 

この本では以下のことを学ぶことができます。

 

  • 貸借対照表、損益計算書の仕組み
  • 貸借対照表 - 資産の部の主要構成要素とその意味する内容
  • 貸借対照表 - 負債の部の主要構成要素とその意味する内容
  • 貸借対照表 - 純資産の部の主要構成要素とその意味する内容
  • 損益計算書 - 主要構成要素とその意味する内容
  • 株主資本等変動計算書の仕組み

 

 

 

5-6 安田順・社長のための「中小企業の決算書」読み方・活かし方

住宅金融債権管理機構、経営コンサルタント会社、大手銀行系リース会社を経て、経営全般のサポートをする中小企業診断士として独立されている方が著者です。この本以外に企業の資金繰りに関する本を書いています。
新聞やテレビで毎日報道されている大企業と一般的な中小企業では決算書に違いがみられます。

 

それは一般的な中小企業は現金預金が大企業と比較して非常に少なく、資金繰りが非常に苦しいということです。大企業では法人税が払えなくて困っているという話は皆無ですが、資本金の少ない中小企業ではよくある話だったりします。この本の著者はこの事実に着目し、「損益計算書ばかり見ていないで、貸借対照表から“お金の動き”を読むようにしてください」

ということを言っています。現金預金が無くなってしまえば、毎月いくら利益が出ていたとしても会社は倒産してしまいますので、資金繰りに留意するという意味で、著者の見方は大切だと感じました。

 

この本は公表されている上場企業の決算書を理解し、株式投資をしたいと考えている人には不向きです。会社を存続させ、成長させていきたいと考えている中小企業の役員、財務担当者にはお勧めです。顧問税理士が教えてくれない決算書の見方をこの本は教えてくれるはずです。

 

この本では以下のことを学ぶことができます。

 

  • 社長として、「数字で失敗しない人」を目指せ
  • 「入口」を間違わなければ決算書は読めるようになる
  • 会社の「お金の動き」を効率的にチェックするポイント
  • 銀行は決算書をどう読んでいるか(PL編)
  • 銀行は決算書をどう読んでいるか(BS編)
  • 資金繰りに強い社長が実践する「試算表の読み方」
  • リスケにならない借入返済の基礎組織
  • お金のことで悩まない社長になるための応用組織

 

 

 

5-7 秦美佐子・「本当にいい会社」が一目でわかる有価証券報告書の読み方 - 決算書だけではわからない「儲かる仕組み」はココを見る!

大学在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人勤務を経て独立し、会計コンサル等をされている方が著者です。この本に類似の本として、東京ディズニーリゾートを決算書等の情報から分析した本があります。

 

投資の神様と言われるウォーレン・パフェット氏はアニュアルレポートを読むということを引用し、日本ではそれに相当するものが有価証券報告書であるということを言っています。有価証券報告書には、会社に係る年度決算の内容、ビジネスモデル、ビジネスリスク、事業報告等に関する報告が記載されており、会社のことを知るために非常に有用であるということを

言っています。ただ、有価証券報告書は100ページ以上におよぶ場合が多く、専門用語も多く用いられているため、一般投資家には縁遠い資料になっています。それを一般投資家に接しやすい資料にしようと試みているのがこの本になります。

 

実際の有価証券報告書を引用して読むべきポイントを紹介しているため、わかりやすいです。決算書を理解して、株式投資を行いたいと考えている方にお勧めの本になります。
この本では以下のことを学ぶことができます。

 

  • 売上を伸ばすための企業リサーチ術
  • 営業マンのための有報活用法
  • ダマされないための有報速読術
  • 不動産投資で儲けるためには
  • 株式投資で儲けるためには
  • フランチャイズで儲けるためには
  • ITビジネスで儲けるためには
  • なぜ会社を上場させたら億万長者になれるのか

 

 


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