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  <    <  メタバースを活用したビジネス展開とその起業・会社設立における着眼点

メタバースを活用したビジネス展開とその起業・会社設立における着眼点

新型コロナの感染拡大の影響により消費者や事業者の行動様式が変わり、インターネットを通じた商品・サービスの利用も加速しました。その中で仮想空間を舞台にしたメタバース関連のビジネスがにわかに注目を浴びています。

 

そこで今回はメタバースに焦点をあて、メタバースの特徴、メリット、市場状況などのほか、活用できることや取組む企業の事例、メタバースの活用を前提とした起業・会社設立する際の着眼点、経営上の課題などをご紹介します。

 

メタバースを利用した新規ビジネスに興味がある方、メタバースを自社業務の改革に利用したい経営者の方などはぜひ参考にしてください。

 

 

1 メタバースとは

メタバースとは

 

メタバースは、超越という意味の「meta」と宇宙の「universe」を合わせた造語で、その内容は主に「インターネット上に作られた仮想空間やその仮想空間で行われるサービス」と言えます。

 

メタバースの言葉が最初に使用されたのは、ニール・スティーブンスンが書いた30年前のSF小説「スノウ・クラッシュ」の中です。その書の中でメタバースはバーチャル世界として描かれています。

 

そのメタバースに該当するものとしては、以下のようなものが挙げられるでしょう。

 

●マインクラフト

 

マインクラフトはマイクロソフト社の子会社であるMojang Studiosによって開発された3Dゲームで、ブロックで構成された仮想空間の中で、自由に冒険や建築をしたりして楽しむゲームです。

 

そのメタバース空間ではブロックが積み重ねられて作られた草原、山岳、海底などの様々な地形が広がっており、プレイヤーが自由に活動できます。プレイヤーはその世界を自由に歩き回る、建物を作る、敵と対戦する、村人と取引をする、などが可能となっており、同ゲームは世界的なヒットとなりました。

 

また、同ゲームではブロックチェーン技術の活用が積極的に進められており、マインクラフト上でのデジタル資産の導入・開発が進められています。

 

●Roblox(ロブロックス)

 

Robloxはゲーミングプラットフォームで、Roblox内の多種多様なゲームをレゴブロック風のアバターを操作してオンライン上でプレイすることが可能です。

 

また、ユーザーがオリジナルゲームを開発し、それをRoblox内で配信することもでき世界中のユーザーにプレイしてもらえます。ほかにもアイテム等の購入という課金設定も可能です。

 

そのためゲーム内通貨の「Robux」を利用した収益化が実現できます。こうした仕組みにより、同ゲームは1つの経済圏を創出できるためユーザーの人気を集めることに成功しました。

 

●VRChat

 

VRChatは、仮想空間内にアバターでログインし、多人数でコミュニケーションすることが可能なソーシャルVRプラットフォーム(ソーシャVRアプリ)です。

 

自身の周りにいるプレイヤーとボイスチャットができるほか、自分の体の動きをアバターで表現させることでボディーランゲージのようなコミュニケーションが取れます。

 

VRChatはユーザーがコンテンツに直接手を加えることが可能で、自作あるいは購入したキャラクターを取込んで自分のアバターとして使用することが可能です。また、「ワールド」と呼ばれる交流用のVR空間の作成や、簡単なゲームの作成もできます。

 

つまり、自身が作成したワールドに友人を誘って、ゲームや会話などを楽しむことが可能なのです。なお、VRChatはVRヘッドセット(VRモード)とPC(デスクトップモード)が利用できます。

 

●あつまれ どうぶつの森

 

「あつまれ どうぶつの森」は、無人島の住民として日常とは違う生活を満喫するという、スローライフを楽しめる任天堂のNintendo Switch用ソフト(ゲーム)です。無人島がゲームの舞台となっていて、その中でプレイヤーはスローライフをシミュレーションとして体験できます。

 

このゲームの世界では実世界と同じ時間が流れており、季節ごとの風景やイベントなどが楽しめ、その中で生き物を捕まえたり、島の行事に参加したりすることが可能です。ほかにも家具を作るなどの作業が可能なほか、地面を削る、土を盛る、坂を作るなど島の地形に手を加えることができます。

 

なお、このゲームでは、ゲーム機本体と1本のソフトで、最大8人のプレイヤーが1つの島を共有して遊ぶ、といった楽しみ方が可能です。

 

以上の通りこれまでのメタバースの利用はゲーム分野が中心でしたが、現在では様々な分野での利用が見られるようになりました。なお、メタバースのサービスでは、VR用ゴーグルを使って仮想空間の中に自分が存在しているかのような視覚体験ができ、コントローラーで身振りや手ぶりなどの操作も可能です。

 

そして、メタバース世界では、参加者は自分の化身(アバター)を作って、3Dの仮想空間に入り込み、人と話をする、遊ぶ、買物する、取引する、製作・建築する、会議する、といったことができます。

 

なお、現在のメタバースプラットフォームではVRゴールの利用のみならず、スマートフォンやパソコンなど専用デバイスでなくても利用できるものも登場してきました(平面スクリーン上の仮想空間として)。

 

 

1-1 メタバースの定義

メタバースは様々に定義されていますが、ベンチャー投資家のマシュー・ボール氏が示した以下の7つの特徴が定義として挙げられることが多いです。

 

メタバースの定義

 

・永続性がある
⇒この意味は、メタバースの世界は現実世界のように常に時が流れ続けて終わりがなく、終了、一時停止やリセットなどがない、ことを指します。

 

・同時的でライブ性がある
⇒これは、実社会と同じようなライブ状態のことです。メタバースでは実社会と同様に参加する者たちが同じ空間をリアルタイムで過ごせることを意味します。

 

・同時使用ユーザー数に上限を設けない、各ユーザーは個別の存在感を有する
⇒メタバースでは、各ユーザーは仮想空間において利用者の分身であるアバターで個別に存在し、同時に特定のイベント、場所、アクティビティに参加できます。

 

・経済が機能している
⇒これは、メタバースの中では現実世界と同様に個人や企業がモノやサービスを通じた経済活動が可能である、ことを指します。

 

・デジタル世界と実世界の両方をカバーする
⇒実社会とサイバー空間の各々にまたがった体験ができること(垣根がない)を意味します。例えば、仮想空間に公共施設が設置されると、現実世界と同様の公共サービスが仮想空間で利用できるわけです。

 

・相互運用性がある
⇒これは、これまで以上にプラットフォームでの垣根がないことを意味しています。現在のゲームやSNS等ではそこで使用されるアバター、お金や経験値等はそのプラットフォーム上のみで使用するもので、他のプラットフォームで利用できないですが、メタバースならそれが可能です。

 

・多数の利用者による貢献で創造・運用される
⇒これは、個人や企業などの関係者がコンテンツなどを作成・運用することでメタバースが創造され・運用されていくことを意味します。その理由はメタバースでは個人や企業などが自由にコンテンツを作成し発信できるからです。

 

上記の定義ではメタバースについての特徴を細かく捉えていますが、仮想空間を前提として「他者との交流が目的」「多人数での参加が可能」「参加者による世界の創造が自由」「アバターの利用」、といった特徴があるものはメタバースとして認識されることが少なくありません。

 

 

1-2 メタバースで可能なこと

メタバースでは仮想空間で現実社会と同様に様々なことを実施できます。メタバースはゲームから発展してきましたが、そのゲームではユーザーはアバターで仮想空間に参加しチャット機能を利用しつつ楽しみます。

 

この仮想空間でのゲームにブロックチェーンが導入されることによりメタバースが一気に進化しました。現在のメタバースよりも前のサービスでは、そこで作成されたアイテムやお金等はそのサービス内でしか存在しない、利用できないものでしたが、ブロックチェーンによりそのサービス以外での利用が可能となったのです。

 

例えば、MMO(大人数のプレイヤーが同時に参加できるオンラインゲーム)で、キャラクターを育て、お金(そのゲーム内のお金)を稼いだとしても、そのサービス以外では利用することができません。

 

しかし、ブロックチェーンを活用してメタバースが構築されていれば、仮想通貨を用いてそのゲーム内で仮想の土地などの資産を取引することができます。また、ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)が利用されたサービスならそうしたデータを外部に持ち出せます。

 

つまり、上記のメタバースならそのサービスが終了しても稼いだ仮想通貨は外部で利用できるわけです。メタバースにはこうした特徴があることからビジネス分野でも様々なことが実施できると考えられ、その発展が期待されています。

 

ゲームを除けばビジネスでは以下のようなことが可能です。

 

メタバースで可能なこと

 

1)バーチャル会議(リモート会議)

最近ではskypeやZOOMを使ったリモート会議が一般的になってきましたが、メタバースでのバーチャル会議が注目されるようになってきました。

 

これまでのリモート会議はオンラインでのビテオを通じた画面越しの会議でしたが、参加者は実際に会議の場に出席していないような感覚があり緊張感にやや欠けるというデメリットが見られます。

 

しかし、メタバースのバーチャル会議ではVR機器を使うものの、仮想空間に没入して、実際に会議室で上司や同僚に囲まれて意見・報告等をするため、実際の会議に近い感覚が得られやすいです。そのためこれまでのリモート会議より活発な討議ができ会議の生産性が向上したケースも多く見られています。

 

2)ワークスペース

メタバースは、通常業務や特定の目的のためのワークスペースとして利用することも可能です。例えば、実際の事務所の一角で複数人がグループとなって特定の業務を遂行しているケースは多いですが、それをメタバースの空間で行うといった形態になります。
(リアルのデスク環境を仮想空間として表現することも可能)

 

その空間には実際の職場のようなデスクが配置されスタッフはアバターで業務を遂行するわけです。各スタッフは割り当てられた仕事を行い結果などはそのスペース内で共有され、必要に応じて質問や相談なども行う、といった内容になります。

 

コロナ禍でリモートワークの導入が進みましたが、生産性やモチベーションなどの面で問題になるケースも少なくありません。しかし、メタバースのワークスペースなら職場の同僚と一緒に仕事をすることも可能となるため、そうした問題を改善できます。

 

3)商品・サービスの売買

メタバース上で様々な商品・サービスの売買ができるようになります。仮想空間上のデジタルとしての商品、土地・建物やコンテンツ等を売買することができるほか、リアルな現物商品等の販売・購入に利用することも可能です。

 

例えば、メタバースでは仮想空間上の不動産(土地・建物)を投資目的で購入するといった利用が既に見られています。また、そのサービス内で使用できるアイテム等も売買の対象となっているケースがあり、実際アバター用のアイテムなどが売買されるケースも増えてきました。

 

リアルの商売に関連する方法としては、メタバース上の店舗において3Dで描写した商品を陳列して、そこに訪れたお客にPRしたり、相談に乗ったりして販売するといった方法が取れます。

 

アバターのお客は店舗でその3D商品を手に取って見て確認し(試着等)、気に入ればそこからECサイトに移行して購入するという流れが見られるようになりました。

 

このようにメタバース空間で商品を展示・PRして、ECに繋げる形態が普通に利用される日も近いでしょう。

 

4)イベント等の開催や出展

メタバースでは個人等がイベントなどを開催することが容易です。例えば、先に紹介したVRChatでは様々なイベントが開催されています。例えば、「バーチャルマーケット」はVR空間で利用可能な3Dのアバターやモデルを取り扱う展示・即売会です。

 

様々なワールドが作られ、バーチャルのキャンプ、クラシックなどの音楽会・演奏会、などが開催されており、同じ趣味を持つ者が集まり交流を深めたり、新たな出会いを見つけたり、と楽しんでいます。

 

ほかにも以下のようなタイプが多いです。

 

商品展示会
画家やイラストレーター等の個展
美術館
ライブ
○○ツアー(観光、散策、探検、企業訪問 等)
ダンス大会
お茶会、親睦会や飲み会 等

 

5)個別商談やカウンセリング

例えば、バーチャル上の商品展示会や説明会にログインしてくれた顧客に対して同じくログインした自社社員がバーチャル上で声をかけて商品説明やアドバイスなどを行う、という方法が可能です。そして、その顧客が興味を持った場合に個別の面談スペースに移動して商談を進めるといった方法も取られています。

 

もちろん最初から個別の相談を行う目的のスペースをバーチャル上に用意して対応することも可能です。購買業務、設計業務や製造業務などではサプライヤーとの商談が日常的に行われますが、そうした場をメタバース上に設けるという方法もとれます。

 

また、商品の売買だけでなく診療目的をはじめとした様々な分野のカウンセリングにも利用できるでしょう。

 

 

1-3 メタバース市場

米国の総合情報サービス会社であるブルームバーグLPは、メタバースが次世代技術のプラットフォームとして、その市場規模が8000億ドルに達する可能性があると発表しました(2021年12月1日)。その主な内容は以下の通りです。

 

・メタバース市場は2020年の4787億ドルに対し、2024年には7833億ドルに達する可能性があり、年平均成長率は13.1%となる見込み

 

⇒ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は、メタバースが次世代の大規模テクノロジー・プラットフォームであるとし、その市場規模は約8000億ドルと試算しています。また、その市場機会のシェアをオンラインゲームメーカー、ソーシャルネットワーク、及びその他のテクノロジー・リーダー企業が狙っていると、分析しました。

 

⇒この発表でのメタバース市場は、「ゲーム、AR&VRハードウェア」、「ゲームソフトウェア、サービス、ゲーム内広告」、「ライブエンターテイメント」、「ソーシャルメディア広告」で分類されています。

 

・オンラインゲームメーカーとゲームハードウエアの主要市場は、2024年には4000億ドルを上回る可能性があり、残りはライブエンターテインメントとソーシャルメディアが占めるだろう

 

⇒ゲームソフトとハードウェアで全体の半分以上を占める状況ですが、ソーシャルメディア広告とライブエンターテイメントの伸び率の高い点が注目されます。この両者は2020~2024年の間に約2倍の規模に達するとの見込みです。

 

・ゲームメーカーは、引き続き既存タイトルをよりソーシャルネットワークに近い3Dオンラインの世界へ対応させていくことで市場機会が拡大し、コンサートやスポーツイベントなどのライブエンターテインメント事業を取り入れたり、ソーシャルメディアでの広告収入のシェア争いをしたりする可能性がある

 

⇒ゲームメーカーが既存商品をソーシャルネットワーク化させ需要を拡大させほか、ライブエンターテインメント事業の取り込みやソーシャルメディアでの広告収入の増大に注力する可能性が指摘されています。

 

ブルームバーグのメタバース市場に対する分析では、ゲームソフト、ゲーム機器、AR/VR機器、広告やエンターテイメントの分野が主な市場となっています。今後のメタバース利用ではECショッピングやオフィス業務などでの利用の拡大が期待されるため、メタバース市場はさらなる拡大が見込まれるでしょう。

 

 

2 メタバースの事業上のメリット

メタバースの事業上のメリット

 

メタバースをビジネスに取込む場合のメリットについて、ユーザーと事業者の視点から説明します。

 

 

2-1 ユーザーにとってのプラス面

以下のような点がユーザーにとってプラスになるでしょう。

 

ユーザーにとってのプラス面

 

1)非接触のコミュニケーションや行動

メタバース上での接触なら新型コロナの感染リスクを心配せずにコミュニケーションが取れるほか、買物などの活動も気軽に行えます。

 

コロナ禍にあっては、外出が抑制されたり外食を控えたりといった感染リスクを考慮した行動が求められますが、メタバース上ならリアルの接触はないため感染の不安なく知人や同僚等と会話できます。

 

また、コロナ禍の中で日常生活を送るのに必要な最寄品はリアルのスーパーなどでもあまり不安なく買物できますが、それ以外の衣服、趣味にしているグッズなどは専門店等で買うケースも多く人が多数集まる商業施設・繫華街などへ出かけることが多いです。

 

そうした場所への外出は感染リスクが心配になりますが、メタバース上のバーチャル店舗等なら移動の手間なく接触の不安もなく購入できるため安心かつ便利です。

 

2)リアルに近い体験

個人には様々なことに取組んでみたい、試してみたいことが少なからずありますが、費用や時間などの制約から諦めるケースも多くあります。

 

しかし、メタバース上のサービスなら費用や時間をあまりかけずにリアルに近い体験を数多くすることができます。つまり、非現実的な世界として諦めていることが容易に疑似体験できるのです。

 

例えば、海外に語学留学したいと思っていても多額の費用がかかったり、留学での効果に不安があったりして断念している方もいるはずです。しかし、メタバース上の語学留学サービスを利用すれば、仮想空間で留学体験ができます(メタバース留学)。

 

また、アルバイトや就職に不安のある方にとって、特定の仕事をメタバースで疑似体験できれば、納得した上でその仕事への就職を目指せるはずです。メタバースなら、ビデオを画面越しで見るよりも臨場感があってその業務内容を肌で感じやすいため、ミスマッチの解消に繋がります。

 

3)イベント等への参加が気軽

世の中では様々なイベントやエンターテインメントが開催されていますが、コロナや時間・お金などのために好きなイベント等へ参加できないことも多いです。しかし、メタバース上の催し物なら気軽に参加し楽しめます。

 

コロナ禍では好きなグループのライブにも容易に参加できませんが、メタバース上のライブなら感染の不安もなく参加者全員で楽しめるはずです。また、趣味関係のイベントが遠方で開催された場合、時間や移動の点で参加を断念することも多いでしょうが、メタバース上ならその点は問題になりません。

 

メタバースのサービスならリアルよりも安く時間の制約も小さくなり、多くのイベント等に参加できるようになるはずです。

 

4)作品等の発表・配信による収益化

メタバース上ではそのユーザー自身が作ったデジタル作品をそこで公表したり、配信したりすることが可能であり、それを収益化して収入も得られるようになります。

 

自分が趣味で得意としていること、仕事等を通じて培ってきた知識・ノウハウなどをもとにデジタルデータによる作品・商品等を作りインターネット上で公表して販売・収益化しているケースは多いです。

 

しかし、WEBサイトに上げたデジタルデータは容易にコピーできるため、自分のデジタル作品が自分の手を離れて勝手に売買されたり、利用されたりする可能性があります。このように無許可で利用されれば自分の収入にすることができません。

 

他方、ブロックチェーンを利用したメタバース上なら自分が作成したデジタル作品のコピーを防ぐことができ自分の収入を容易・安全に確保することができます。

 

 

2-2 企業にとってのプラス面

企業にも以下のようなメリットが期待できるでしょう。

 

企業にとってのプラス面

 

1)ビジネスチャンスの拡大

ユーザー視点のメリットについて企業がビジネスとして対応できればそれはビジネスチャンスとなります。

 

新型コロナの感染が収束しない状況にあるため、非接触・非対面の行動が今後も人々に求められます。そのためオンライン上の買物、就業、学習、ライブ・イベントへの参加、などがさらに拡大していくものと考えられます。

 

しかし、画面越しのやり取りでは各種の行動やサービスの質に問題が出るケースも少なくないはずです。そうした欠点を補いリアルに近いサービスが受けられるメタバースの利用はさらに進むものと期待されます。今までのオンラインよりも質の高いサービスを提供することでライバルとの差別化を図ることも可能です。

 

2)新たなビジネスの取り込み

ブロックチェーンやNFTを活用すればメタバース上で使えるコンテンツ、仮想空間上の土地の売買など、今までにない商売が行えます。抽象的な表現をすると、それらはメタバース内でデジタルデータなど何らかの価値を生み出し、それを売買の対象とする新ビジネスと言えるでしょう。

 

バーチャルマーケットでは現物商品の売買に加え、3Dアイテムやデジタルアートなどが販売されるようになっているのがその1つの例です。また、ダンスやフィットネスなどのレッスンなどはオンラインによる動画で提供されていますが、メタバースでリアルに近いレッスンを提供するといったサービスも増えていくでしょう。

 

ICTの進化とともにインターネットを通じた様々な新ビジネスが誕生しました。EC、各種のプラットフォーム、WEB・SNS等の広告、サブスクリプション、電子決済、仮想通貨、などが巨大なビジネスが創出されてきましたが、メタバースでもそうしたビジネスの創出が期待されています。

 

3)経済圏の利用

1つの経済圏となるメタバース世界をビジネスの場として利用することで企業は新たな成長を取込むことが可能です。人の集まるところは商売ができる空間、すなわち経済圏になることからメタバースの世界も1つの経済圏になり、企業としては活用しない手はないでしょう。

 

メタバースは不特定多数の人が共存する空間ですが、同じような趣味や考え方を持つ人々が集まる場所を作ることも可能です。そのためメタバースのマーケット等への出店は知名度の上昇や受注増に貢献します。

 

BtoCが注目されてきましたが、サイトの構築・運用から顧客の集客、購買、フォローといった仕組みを作ってもアクセスが伸び受注が増えるとは限りません。特に海外からのアクセスを伸ばすのは容易でないです。

 

しかし、メタバースのマーケット等なら同じ興味を持つ人がより多く訪れるようにして、来店を促したり購買を進めたりすることができます。また、外国の人達との交流をもったり、ファンになってもらったりする可能性はメタバースの方が高く海外の需要を取込みやすいです。

 

4)リアルのビジネスのコスト削減

実際の店舗による販売よりもECの方が店舗の設置・運営等にかかる費用が大幅に少なくなるのと同様にメタバースでもリアルのビジネスでのコスト削減に役立つと期待されています。

 

メタバース環境の整備にも費用がかかりますが、実際の店舗を設置したり借りたりする際のコストや運営にかかるコストは高額になりやすいです。しかし、ECやメタバース上の店舗ならリアルよりも大幅にコストを削減できます。

 

また、現実に工場を建てて製造業を営む場合、メタバースで想定する工場の設備や電力網等のシミュレーションをすることで最適な設備を実現しコストを削減することが可能です。さらにシミュレーションで生産上の問題を発見して業生産効率の向上に繋がることもできます。

 

メタバースを利用することで、想定するビジネスのコストを低くしたり、問題を改善したりできれば、競争力の強化が図れるはずです。

 

5)マーケティングへの活用

以上の内容からも分かるようにメタバースはリアルのビジネスなどを含めマーケティングに活用できます。

 

ECなどオンラインによる商品・サービスの提供が普及してきましたが、リアルと比べるとその質に物足りなさ(実際に見れない、触れない、十分な説明が受けにくい、等)が感じられることもあり、オンラインとリアルの両方を組み合わせたサービスも注目されるようになりました。

 

しかし、コロナ禍に合ってリアルのサービス提供も容易ではありません。メタバースはその点を補う機能として注目されつつあり、企業のマーケティング活動への利用が求められるようになってきたのです。特に非対面のマーケティング活動を補う存在として期待されています。

 

BtoCの分野では、既に各種のイベントが開催され様々な商材を販売する機会として、新商品等をプロモーションする場として、メタバースが利用されるようになってきました。

 

また、対面による営業・接客が重要となる自動車、不動産、家具やリフォーム工事などの業種ではオンラインのほか、メタバースによる説明会や相談会の開催が見られ始めています。オンラインには抵抗があるが、メタバースなら気軽に話を聞きたい、という見込客の集客にもメタバースは有効です。

 

BtoBの分野でも同様の活用が考えられますが、展示会などへの活用が進む可能性があります。事業者相手の大型の機械、設備、建物などは実際の現物で展示するには多額の費用がかかるため場所や展示回数の制約を受けやすいです。

 

しかし、メタバースならコストは小さく抑えられるため、そうした点を気にする必要がありません。また、展示会等で集客できた見込客をVR体験させて興味を高めて個別の商談に持ち込むといった流れをメタバースでも作ることが可能です。

 

もちろん展示会等だけでなく、個別の商談空間や情報提供が受けられる空間を設置して、そこにターゲット顧客を招待して商談を進めるといったこともできます。

 

ほかにも商品・サービスの開発や改善にメタバースを利用することも有効です。自社のメタバース空間に訪れてくれる方は、当然自社の商品等に興味を持ったいる可能性が高いため、そうした人達の意見やクレームは貴重であり商品の開発・改善に役立ちます。

 

このように、インターネットがビジネスのあり方を大きく変えたようにメタバースもビジネスに新たな変革をもたらそうとしているのです。

 

 

3 メタバースの企業事例

メタバースの企業事例

 

メタバースの特徴を実際の企業の事業から確認しましょう。

 

 

3-1 メタバースプラットフォーム

メタバースは、アバターを介してバーチャル空間での遊び、コミュニケーションや仕事などをするためのプラットフォームと言えます。そのプラットフォーム自体を提供する企業を1社紹介しましょう。

 

●企業概要
・会社名:クラスター株式会社
・設立:2015年7月
・所在:東京都品川区
・事業内容:メタバースプラットフォーム「cluster」の開発・運営

 

●メタバース事業の特徴
同社は年間延べ300万人を超える人々にメタバースでの体験を提供する国内最大級のメタバースプラットフォームを開発する会社です。

 

同社が提供するプラットフォームの「cluster」では車、飛行機、ジェットコースターなどの乗り物が作成できる「乗り物機能」、cluster内でオリジナルのアバターを作れる「AvatarMaker機能」などバーチャル空間を楽しめる機能が特徴です。

 

イベントやミーティングなどの各種の「集まるシチュエーション」やバーチャルYouTuberと「会える場所」なども用意されており、新しいエンタメ体験を様々な角度から考案しユーザーに提供しています。

 

clusterは、スマホ・PC、VR機器など様々な環境からバーチャル空間のイベントに参加したり、友人とコンテンツを楽しんだりできるプラットフォームですが、事業者向けとしても有効です。

 

「オリジナルの会場・アバター・演出等の制作、高精度のモーション収録、企画制作・配信スタジオの運営」などのサービスがワンストップで提供されています。

 

メタバースでは、バーチャルのイベント、音楽ライブやスポーツなどをVRで体験させる、という新ビジネスを創出するバーチャル経済圏が作れるため、同社のメタバースプラットフォームはそのインフラとしての役割を担っているのです。

 

 

3-2 事業変革支援

企業はメタバースを活用して事業や業務を変革することが可能ですが、その支援サービスを提供する会社を1社紹介しましょう。

 

●企業概要
・会社名:株式会社ビーライズ
・設立:2012年11月
・所在:本社 広島県広島市中区舟入町
・事業内容:VR/AR/MRシステムの企画・開発、WEB/スマホアプリの企画・開発、インタラクティブコンテンツの企画・開発、CG/VR映像コンテンツ制作

 

●メタバース事業の特徴
同社はXR技術(VRやARなどの技術の総称)やデジタル技術を活用して、企業の変革(デジタルトランスフォーメーション)を支援する企業です。特にXRを主体とした導入支援に注力しています。

 

具体的なサポート内容は以下の通りです。

 

・アバターで参加できるバーチャルのイベントや展示会
⇒同社は、WEBブラウザからアクセスできるバーチャルイベントの開催支援を行っており、事業者は全国各地からターゲットを集めて商品・サービスをPRできます。もちろんアバターやチャット機能を利用すれば顧客等との交流も可能です。

 

また、解析ツールとの連携によりイベント内の各種データはマーケティング活動へ活用できます。

 

・バーチャル空間やデジタルデバイスを通じた効果的なトレーニング
⇒これは、VR技術を活用してバーチャル空間で様々な業務やシチュエーションを再現・体験させるというサービスです。これまで再現が困難だった「特殊な状況で発生する作業」や「危険な現場での安全教育」「指導者に依存しない質の高い研修」などを再現したコンテンツが提供されています。

 

・XR技術でビジネス課題を解決
⇒これは、XR技術を活用したスマホやWEBサイト等のシステムの開発を通じてその社内業務や顧客体験の改善・構築を行い、企業のデジタルトランスフォーメーションを促進するサービスです。

 

バーチャル空間を利用することで業務効率の改善を図る、XR技術で顧客に新たな体験やワクワクする体験を提供する、といったDXの実現が支援されています。

 

 

3-3 メタバースコマース

メタバースコマースとは、メタバース空間で商品を販売する業態のことで、リアル店舗の販売やECに次ぐ第3の販売形態として普及し始めました。

 

なお、メタバースコマースには、バーチャル店舗でのアバター向けのデジタル商品やリアル商品の販売のほか、バーチャル店舗とリアル店舗との連係によるリアル商品の販売などの形態があります。

 

●企業概要
・会社名:株式会社ビームス
・設立:1953年12月
・所在:東京都渋谷区神宮前
・事業内容:紳士服、婦人服、バッグ、靴、雑貨等の販売

 

●メタバース事業の特徴
同社は2020年12月19日から開催された「バーチャルマーケット5(株式会社HIKKY主催のVR空間上のイベント)」にバーチャル店舗を出店して以来22年までに3回出店しました。

 

出店の度に経験したことやその後のユーザー等の意見・要望を反映したバーチャル店舗づくりや接客方法などを次のマーケット開催までに取入れバーチャル店舗を進化させてきています。例えば、その1つが「大勢の来場者の中から自店へと誘導するための試み」です。

 

具体的には、人気アイドルグループのメンバーの専用アバターを作り、その魅力でユーザーにバーチャル店舗へ入ってもらうという方法が取られました。また、バーチャル店舗の2階にバーチャル銭湯を設置するという試みも実施されています。

 

ほかにも居酒屋スペースを作って来訪者(来訪者同士等)の雑談を可能にしたり、劇場スペースを作ってタップダンスを踊ったりできるようにしました。また、リアルのファッションショーをそのまま再現したようなイベントも行っています。

 

このようにバーチャル店舗へ呼び込み、そこで楽しい体験を提供しながら買物へと繋げる取組が実施されてきました。

 

ほかには商品販売に関する試みとして、アニメ『PUI PUI モルカー』とのコラボ商品やアバター、コレクターズアイテムのフィギュアが販売されています。

 

このように同社では試行錯誤しながらバーチャル店舗での集客や販売などの運営方法を進化させてきたのです。

 

 

3-4 ゲーム機器・VR機器等

2022年1月にパナソニックがメタバース事業への参入を発表しており、ソニーではサッカーファンがメタバース上で交流できるスタジアムを再現するという構想を示しており、日本企業の参入が本格化しそうです。

 

●企業概要
・会社名:株式会社Shiftall(シフトール)
・設立:
・所在:東京都中央区日本橋馬喰町
・事業内容:IoT製品を含む多様な家電製品・ガジェット類の企画・開発から販売・サポート、共同開発・共同販売

 

●メタバース事業の特徴
メタバース事業への参入として、以下の3製品をパナソニックと協業開発し、Shiftall製品として発売(2022年春以降~)することが予定されています。

 

1)MeganeX

この製品はSteamVR(VRを起動した際に標準で起動する仮想空間ソフト)に対応した超高解像度・超軽量のVRヘッドセットです。この「軽さ」を追求された製品は、年間2,000時間以上もメタバース内で活動するヘビーユーザーにも快適なプレイ環境を提供する製品として期待されています。

 

また、同製品はメガネ型のスピーカー内蔵の折りたたみフレームとなっており、持ち運びも容易で便利です。ほかにもマイクロOLEDディスプレイが搭載されており、世界最高水準の映像体験が楽しめます。

 

2)Pebble Feel

同製品はメタバースと連動するウェアラブル冷温デバイスです。この製品は高性能ペルチェ素子(半導体素子)が搭載された手のひらサイズのデバイスで、人体を温めたり、冷やしたりすることが可能なパーソナル・エアコンとしての機能を発揮します。

 

専用シャツとの組み合わせにより人体との接触部分(首元)への迅速な冷却・加熱が可能です。また、専用のSteamVR用アドオンを利用すれば、VRChatのようなメタバース空間で、寒さ・暑さが体験できます。

 

加えて既存のシェーダー(陰影・質感等の描画方法を記述するプログラム)を利用すれば、体感温度を指定したワールドが作れる仕組みも併せて提供されています。

 

3)mutalk

Mutalkは自分の声を周りに聞こえにくくする、音漏れ防止機能付きのBluetoothマイクです。

 

メタバースやオンラインゲームではボイスチャットが利用されますが、熱が入ると大声になり騒音として問題になる可能性があるため、その対策として音漏れ防止機能を持つ同製品は役立つでしょう。

 

このようにメタバース世界の進展とともにそれをより楽しく、快適に過ごすための機器が益々求められるようになるため、この分野のメーカーやサプライヤーは新たな成長を取込むチャンスになるはずです。

 

 

4 メタバースの利用で会社設立等を進める際の考慮点

メタバースの利用で会社設立等を進める際の考慮点

 

メタバースは新規ビジネスの創造や既存業務の変革などに有効ですが、その利点を活かして起業・会社設立を進める際のポイント点を説明しましょう。

 

メタバースの利用で会社設立等を進める際の考慮点

 

 

4-1 メタバースの特徴の理解と対象市場の検討

メタバースはそれ自体が現在進行形で進化している仕組み・サービスであるため、それをビジネスに取込むにはメタバースの特徴を適切に理解した上で活用分野や具体的な活用方法を定めていく必要があります。

 

その対象市場の候補の検討には、前に示したブルームバーグの分類などが利用できるでしょう。

 

「ゲーム、AR&VRハードウェア」
「ゲームソフトウェア、サービス、ゲーム内広告」
「ライブエンターテイメント」
「ソーシャルメディア広告」

 

以上の内容は市場を、「ハードウェア」「ソフトウェア」「サービス」の視点から分類したものです。また、メタバースは1つのプラットフォームであるため、その主な対象として市場を考えると、「デスクトップ」「モバイル」「ヘッドセット」などの分類になります。

 

また、技術別で見ると、「ブロックチェーン」「VR・AR」「MR」「その他」などの分類が可能です。提供サービス別では、「仮想プラットフォーム」「アセットマーケットプレイス(アセットを購入できるオンラインストア)」「アバター」「金融サービス」などになります。

 

用途別で捉えると、「ゲーム」「オンラインショッピング」「コンテンツ作成・ソーシャルメディア」「イベント&カンファレンス」「デジタルマーケティング(広告)」「テスト・検査」などの分野が挙げられるでしょう。

 

エンドユーザー別では、「BFSI(銀行、金融サービス、保険)」「小売」「メディア&エンターテインメント」「教育」「交通・移動」(自動車、飛行機等)「街づくり」などの分野を切り口にすることが可能です。

 

このようにメタバースの特徴を適切に理解しておくと、どの分野の市場でビジネスが可能かの判断が進み、自社の強みや資源などとの適切なマッチングが図りやすくなるでしょう。

 

また、既存の企業の事業や経営にメタバースを活用する場合、以下のようなビジネス上の活用点を挙げておけば、自社に最も有効な項目を候補として検討できます。

 

・ライブやイベントの開催、商品等の出展
・商品やサービス提供の場
⇒これらについては、販売や集客の拡大等のためにメタバースを既存事業の補完・強化手段として利用することが可能です。

 

・NFTアイテムの制作及び販売、仮想通貨による投資・資産運用
・VR空間上の不動産の取引(販売や賃貸等)
⇒これらは、新ビジネスとして活用できます。

 

・マーケティング活動(Google広告やSNS広告などと同様の宣伝広告等)
・マッチングサービス
⇒これらは従来のマーケティング活動の補完、価値の向上や競争力の強化等に有効です。

 

・業務のバーチャル化(VR空間での共同作業、会議、雑談等)
・研修や人材募集・面接の説明会など
⇒これらは、既存業務の効率化・生産性の向上、社員間や対顧客等とのコミュニケーションの改善・強化、人材確保の向上などに活用できます。

 

 

4-2 従来と異なるニーズの理解と対応

メタバースには物理的制限がなくなるという特徴があることからユーザーは現実世界で諦めていた様々な要望を求める可能性があります。つまり、メタバースの世界では従来ビジネスとは異なるニーズも存在するため、その点を踏まえた対応が重要です。

 

新ビジネスを開始するにはターゲットのニーズを明らかにしてそれをビジネスモデルとして描き実行するための仕組みを整備しなくてはなりません。従って、開業前にニーズを正確に捉えておく必要があります。

 

これまでのビジネスにおいても対象顧客のニーズを正確に把握するのは簡単と言えませんが、メタバース事業においてはターゲットのニーズが従来のものと異なる面もありより注意が必要です。

 

例えば、現実のユーザーや顧客は制約される現状を踏まえて、何が必要か、何を選ぶべきか、何が適当か、といった思考で商品・サービスを検討し求めます。しかし、メタバースの世界ではそうした制約から解き放たれて自分が本当に好きなモノ・コトを選ぶことが可能です(現実で不可能なこともメタバース空間なら可能)。

 

メタバースの中ではユーザーはアバターによる自由な姿で、リアルの世界では身につけないような衣服を着て、通常は行かないライブやイベントなどへも気軽に参加できます。そのためユーザーがメタバース空間で真に何を求めるかを見定めなくてはなりません。

 

メタバース空間で商品・サービスを販売する場合(バーチャル店舗でPRしてECショップで販売も含む)、メタバース上でのニーズに対応する取組が求められます。

 

例えば、本当は興味がある衣服などもリアルのショップで試着するのに抵抗があるため購入されないケースは少なくないですが、アバターで試着して似合うことが確認できたら購入への抵抗は緩和されるはずです。

 

このようにリアルでは発現しにくいニーズでもメタバースなら表に出る可能性が高いため、そうした真のニーズを捉えていくことがメタバース空間での販売活動を成功へと導くでしょう。

 

 

4-3 メタバースに適したマーケティング戦略の策定

ビジネスモデルを具現化するには、そのモデルに適したマーケティング戦略を組むことが不可欠ですが、メタバース事業でも同様で特にメタバースに適したマーケティング戦略の策定が重要です。

 

ビジネスの成功は、ビジネスモデルに対応した適切なマーケティング活動の確立が基盤となりますが、メタバースのビジネスでは従来のマーケティングの考え方が通用しにくい面もあること踏まえて戦略を立てなければなりません。

 

例えば、一般的なマーケティングとデジタルマーケティングとでは以下のような違いが見られます。

 

●一般的なマーケティング

このマーケティングは、ターゲットのニーズに合わせて、製品、価格、販売促進、チャネルの政策を組立て商品・サービスを展開する手法です。例えば、販売促進の施策としては、テレビ・雑誌等の広告、チラシ等の配布、サンプル等の提供、集客イベントの開催、など等が挙げられます。

 

デジタルマーケティングとの違いとして以下のような点が挙げられるでしょう。

 

・ターゲットに商品の特徴(性能・品質等)をフェイストゥフェイスで直接伝達できる
・個別や不特定のターゲットにアプローチできるが時間やコストの制約が大きい

 

●デジタルマーケティング

これはSNSやWebサイト等を通じて(インターネット経由)集客や販売促進を行うマーケティングで、一般的なマーケティングとの主な違いとして以下の点が挙げられます。

 

・時間や場所に関係なくコストを抑えてターゲットにアプローチできる
・文章、画像、動画など様々なコンテンツを利用しやすい
・視聴率や購買率等の効果測定が容易にできる

 

以上のように両者には違いがありますが、メタバース世界ならその違い埋めるマーケティングが可能です。何故ならメタバースなら仮想空間で現実世界を再現できるからにほかなりません。

 

例えば、ターゲットへのアプローチについては、メタバース空間上で容易にターゲットが集まる居場所を提供したり、イベントを開催したりすることができ、かつそこで直接的にアプローチ(面談や会話等)することが可能です。

 

ターゲットの意見や希望のほかクレームなどもアバターとなったユーザーから直接聞き取れるほか、自社の商品・サービスのPRも直接的に行えます。また、現実の世界での試着やサービスの体験などは、時間や移動等の制約が伴いますが、メタバース空間ならその点は問題になりにくいです。

 

物理的にどんなに遠くてもメタバース空間なら一瞬でメタバース店舗等へ訪れ、リアルに近い体験ができるため、事業者側はそうした機会を提供することで商品・サービスの購買に繋げることができます。

 

現実の店舗なら商品の品揃え・在庫に限界があり、ターゲットのニーズに十分対応しきれないことも多いです。一方、ECショップでは文字等の説明が中心となり、担当者が直接的にPRしたいことを伝えきれないケースが少なくありません。

 

しかし、メタバース店舗なら品揃えを豊富にすることができ、幅広いニーズへの対応できます。また、その店舗の販売員が顧客にアピールしたい点をじっくり説明することも可能です。

 

このようにメタバースでのマーケティングは従来のものと異なる面があり、現実とデジタルの良い面を組み合わせた対応を実現させ、販売の質を高めることができます。

 

 

4-4 メタバースの自社ビジネスへの適切な導入

メタバースを利用するビジネスモデルの実現には、当然そのビジネスシステムの構成要素としてメタバースを導入しなければなりません。しかし、メタバース自体が進化の真っ最中であり、ビジネスへの利用も発展途上にあるため、その導入は簡単とは言えないです。

 

そのため経営者や担当者がメタバースの知識を得て実際に体験し、それをどう活用するかを認識することが第一に求められます。自社の事業や業務を変革するような仕組み、技術やシステム等を導入する場合、まず経営者がそれらをしっかり理解しておくことが不可欠なのです。

 

その上で次は、メタバースの知識や経験を有する人材を採用する、既存社員を育成する、などの人材確保と、その者を担当者として導入業務を推進する体制の整備が必要になります。

 

もちろん社内の人材だけでメタバースを自社事業に最適な形で導入するのは容易でないため導入を支援する事業者を活用することが現実的な対応になるはずです。従って、社内の推進グループと支援事業者とが協力して自社に最適なメタバースを導入していく体制が求められます。

 

もちろん支援事業者の選定も重要です。導入側の企業の事業内容、メタバースの活用目的や活用内容などにより事業者の選定基準は異なってきますが、特に以下のような点に事業者が対応できるかを見定めましょう。

 

・経営戦略や新規事業の検討を含め、依頼企業の中核事業における課題を解決する手段としてメタバースを活用できるか、そしてそのソリューションを提案できるか

 

・物理的制約の概念を払拭したボーダーレスな事業展開が構想できるか

 

・依頼企業のバリューチェーンを理解し、メタバースの活用で得られる付加価値や新たな体験価値の創出が支援できるか(メタバース空間での事業の構想、業務や商品・サービスの開発、マーケティング調査、顧客体験の創造等の支援ができるか)

 

・メタバース市場や技術の動向に合わせて依頼企業を支援できるか(メタバース市場でのニーズの変化、技術の進展、法規制の動向、知的財産に関する問題、等への対応が可能か)

 

以上のほかに得意分野(内覧・試乗、アパレル、イベント・展示会、アミューズメント、ライブ、販売店舗 等)やその実績などを考慮することも重要です。

 

 

5 メタバースを事業に活用する場合の注意点

メタバースを事業に活用する場合の注意点

 

メタバースをビジネスに活用していく場合の注意点は以下の通りです。

 

 

5-1 進化中の不確実性

メタバースは新規ビジネスの創造や既存ビジネスの業務改善等に活用できることから、その将来性が高く評価される一方、実際にどれだけの需要を創出できるかなどの不確実性が懸念されます。

 

例えば、メタバースの利用者は急増していますが、利用するにあたってはVR機器等の購入や仮想通貨の利用等が条件になり得るため、今後の利用者の増加に影響しないとも限りません。つまり、メタバースはECショッピングなどよりも利用上のハードルがやや高めです。

 

今後のメタバースの技術や仕組みが利用者にとって優しいものへと進化していくことが期待されますが、現段階では確信がもてません。そのため自社においても利用者を増やせるような何らかの取組みも必要になるでしょう。

 

また、メタバース空間のユーザーを自社のターゲットとして捉える事は簡単ではないです。ある人気のメタバース世界にバーチャル店舗を構えても実際には店の前の通りを行き交う人が少なく、来店者数がなかなか増えないという状態に陥る可能性も十分にあり得ます。

 

そもそもメタバースの世界では同時アクセスが可能なユーザー数が限られて少ないケースも多いため、来店のチャンスは多いとは言えません。どのような世界を作るのか、既存のどの世界を活用するかで、ターゲットとなり得るユーザー数が変わってくることなども理解してビジネスを組立てる必要があります。

 

 

5-2 メタバース空間で発生する問題への対処

メタバース空間では現実世界と同様のことを再現できるため、現実で起こっている問題が仮想空間で生じる可能性があり、その対処方法を考えおかねばなりません。

 

例えば、バーチャル店舗にあるアバターが来店し大声で騒いだり、乱暴なことをしたりして業務妨害をする可能性があります。現実なら警察や警備員を呼んで事態を収拾しますが、メタバース空間に彼らはいません。

 

また、SNSなどで誹謗中傷や炎上が問題になりますが、メタバース上でも起こり問題になる可能性もあります。また、ストーカー行為なども起こり得ないとも限りません。

 

これからこうした問題が起こって、その対処法などが徐々に確立されていく可能性はありますが、参入する前にはこうした点への対応を考えておくことも必要です。

 

 

5-3 法的な問題への備え

現在の法令もまたメタバース空間の出来事に適切な対応が取れるか疑問視されています。先に紹介した業務妨害、誹謗中傷・炎上やストーカーなどの問題が法律でどう処理されるのかを現時点で正確に判断するのは困難です。

 

また、仮想空間上のデジタルアイテムの財産権、アバターやそのパフォーマンスなどに対する著作権、現実世界のモノ・人を仮想空間に模写した場合の保護、などがどのように扱われるのかの判断も容易ではありません。

 

実際に問題が起こり訴訟となって判例が増えていくことでそれらの法的な取扱が明確になったり、新たな法令が定まったりするまで、この分野の知見を持つ弁護士などと連携して対応を考えておくことも必要になります。

 

 

5-4 社員への教育と配慮

メタバースを自社ビジネスに取込むためには、その業務を担う社員を育成したり、社員の健康に配慮したりするマネジメントも必要です。

 

メタバースを上手く活用するにはその技術や仕組みを適切に理解し業務に落とし込む必要があるため、メタバースの関連業務につく社員には適切な教育機会を提供しなければなりません。

 

また、メタバース空間で業務を行う場合、VR機器を長時間装着することになるため心身への負担が問題になり得ます。VR機器の長時間の装着に馴染まない方にとってはその行為は大きな負担となり病気に繋がる可能性もあるため注意が必要です。

 

逆にメタバース空間での滞在に適性が高い場合、その心地よさや快適さなどから依存症になる可能性もあるため健康上の管理が求められます。

 

 

6 まとめ

まとめ

 

メタバースをビジネスとして取込み活用するにはその特徴を把握しどのような事ができるかを理解しておくことが重要です。特に従来のビジネスで見られるニーズと異なる面もあり、マーケティングもメタバースに適した内容で実施する必要があります。

 

また、将来性が有望なメタバースに関する技術や仕組みは進化の真っ最中にあり不確実性も大きいため、今後の変化を注視して対応しないと失敗する可能性を高めかねません。また、法的な問題や社員への教育・配慮などにも注意してメタバースビジネスを発展できるように取り組むことが大切です。


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