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  <    <  コンタクトレス・エコノミー分野で会社設立する場合の事業の取組み方

コンタクトレス・エコノミー分野で会社設立する場合の事業の取組み方

新型コロナの感染拡大を契機に人や物との接触を避けようとする動きが顕著になってきました。混雑する場所に行きたくない、職場の人数を絞りたい、メニュー、ドアや操作ボタンなどのモノに触れたくない、といった非接触・非対面の要望が強まっています。

 

そこでこの記事では、形成されつつあるコンタクトレス社会やそれに関連するビジネスおよび同分野での起業・会社設立の進め方などを解説します。非接触型の経済や社会の内容、その市場やコンタクトレス・テクノロジーの現状、この分野で起業・会社設立し事業を進めるためのポイント、などについて知りたい方は参考にしてみてください。

 

 

1 コンタクトレスな経済や社会とは

コンタクトレスな経済や社会とは

 

最近、注目を浴びているコンタクトレス社会とコンタクトレス・エコノミーの内容について説明しましょう。

 

 

1-1 コンタクトレス社会とその背景

①コンタクトレス社会の概要

新型コロナの感染拡大をきっかけとして、現代の社会は人やモノとの非接触や非対面の行動が重視されるようになってきました。たとえば、以下のような行動や方法などが取り入られるケースが多く見られます。

 

1)リモートワークの導入

 

職場での密集した空間を作らないために事業所での出勤者数を絞る方策が必要となり、その方法としてリモートワークの導入が一気に進みました。

 

リモートワークの導入

 

上表は総務省の「令和3年度版 情報通信白書」の「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」に掲載されている「図表2-3-4-1 企業のテレワーク実施率」です。

 

東京商工リサーチ社の「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査(第2~6、8、10、14回)がもとになっていますが、この資料からは感染拡大が顕著になってきた2020年3月から6月にかけて急激にリモートワークの導入企業が増えたのが分かります。

 

また、同じページに掲載されている「図表2-3-4-2 従業員のテレワーク実施率(4か月推移、正社員ベース)」では、パーソル総合研究所(2020)の「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」をもとにした従業員のテレワーク実施率が確認できます。

 

図表2-3-4-2 従業員のテレワーク実施率(4か月推移、正社員ベース)

 

この資料によると、2020年3月から4月にかけて従業員のテレワーク実施率が13.2%から27.9%へと約2.1倍も増大しました。どちらの資料とも普及が急増した後はその値は伸び悩みの状況となっていますが、以前に比べると高い水準で維持されています。

 

なお、リモートワークの実施場所としては自宅が一般的ですが、自宅が困難な場合には「シェアオフィスやコワーキングスペース等」「ビジネスホテル」「カフェ・飲食店」「カラオケボックスの個室」などの利用も見られるようになりました。

 

これらの場所は、本来、人との接触を伴う用途で利用するケースが普通ですが、感染防止による事業の影響を受けて1人あるいは少人数での利用に対応した形態として利用されています。

 

2)自宅消費

 

外出抑制の要請が多くなり、消費者は外出しての買物やレジャーを控えるようになりました。日常の生活品に関しては日中や夜の人出の少ない時間帯に買物に出て、それ以外はインターネット通販で済ませるケースが増えています。

 

下表は「令和3年度版情報通信白書」の「図表2-1-3-1 ネットショッピング利用世帯の割合」です。スマートフォン等を活用してインターネットショッピングを利用する世帯の割合は、2020年3月以降に急増し、二人以上の世帯の約半数以上が利用する状況です。

 

図表2-1-3-1 ネットショッピング利用世帯の割合

 

こうした消費者の行動変容を受けて、宅配ビジネスが拡大しています。日常品のほか、飲食分野でもインターネットで注文して、飲食店から食事を配達してもらうケースが増え、その宅配サービスが大都市などで普及するようになりました。

 

たとえば、配達代行サービスを提供する「出前館」の配達員数は、2020年11月現在で1万人超となっており、2020年4月から2倍以上と急増しています。

 

3)コンタクトレスな空間

 

職場や公共施設などでも感染防止や衛生の観点から非接触な空間が求められるようになりました。

 

たとえば、トイレなどでは「非接触の手洗い」などが求められ、手を差し出すと自動的に水石けんが出てその後水洗できる仕組みが導入されるようになっています。

 

また、事務所の照明等のスイッチ、エレベーターの操作盤や駅の乗車券販売機などでは、手で触って操作するのが普通ですが、安全性を確保するために非接触の方法が導入され始めました。

 

照明のスイッチではそれに指を近づけることでON/OFFできるタイプが登場しています。エレベーターの操作盤でも指を一定の距離(4㎝や2cm等)に近づけると階の指定、昇降や開閉を指示できる装置が登場しています。

 

また、製造現場の設備・機器等の操作パネルも非接触で対応できるようになってきており、キーボード・マウスなどの代わりになるシステムが投入されています。手袋を外さずに操作できるタイプもあり、感染対策だけでなく生産性の向上にも役立っています

 

4)医療・介護での非接触

 

病気・怪我や介護で入院している人の状態を適切に監視して処置することが医療や介護では必要ですが、看護師や介護士等が常時患者等に付きっきりで対応することは困難です。そのためセンサーなどの各種の機器を患者等に取り付けて状態を把握する必要がありますが、そうした接触を伴う機器は患者等には負担(不快に繋がる)になります。

 

最近ではそうした問題を解決するために、人体に非接触で使用するセンサー等を用いたシステムが投入されるようになってきました。たとえば、ベッドのマットレス下に設置する「体動センサー」「人感センサー」「温湿度センサー」などがあります。

 

これらの機器により睡眠、心拍数、呼吸数などの生体データが収集されAI等で状態が解析され治療や看護の処置に活用されています。

 

5)買物等の決済(キャッシュレス)

 

買物や飲食等の支払いの際にカードやスマホなどを決済端末にかざす行為で支払いを済ませる「非接触型決済」が進んでいます。

 

現金による支払いは人が貨幣を直接触って受け渡しされるため、感染面での不安があるほか、その行為には一定の時間が取られることから効率性の面でも問題視されてきました。

 

最近では非接触ICチップ(近距離無線通信規格)が内蔵されたカードやスマホが普及しており、これらを使った非接触の決済が進むようになってきています。

 

以前からカードを端末に差し込んで決済する方法がありましたが、非接触のタイプはそれら以上に安全・便利・短時間で処理できるという利点があり、普及しつつあります。

 

②コンタクトレスな社会をもたらす要因

以上のようにコンタクトレス社会が進展していますが、それをもたらす主な要因としては以下の3つが挙げられるでしょう。

 

コンタクトレスな社会をもたらす要因

 

1)健康への安心安全の確保

 

新型コロナなどのパンデミックは人々の生命を脅かすわけですが、その感染対策としてコンタクトレスな社会の実現が要請されています。

 

感染対策として、3密(密閉・密集・密接)を回避することが国から要請され、社会生活でのマナーとして遵守することが国民の義務として、それに従う行動が常態化してきました。

 

その感染防止のための行動としては、「人が密に集まる空間を避ける」「人と人との間を一定距離確保する」「マスクをつけ、大声で話さない」「不要不急の外出を控える」「自宅や施設の入出時等に手を消毒する」などが重視されています。

 

しかし、仕事に出る、学校へ行く、日常生活に必要なモノを買いに行く、たまには友人・知人と会う、といった最低限の社会活動は必要であるため、上記の対策を個人の努力だけで対応するのは困難です。

 

移動したり、店等の施設へ行ったりすれば、モノに触れる、人と対面することをすべて回避することはできません。そのためその個人だけで対応しにくい部分を補う手段の1つとして非接触・非対面な仕組み等の導入が必要となっています。

 

2)利便性への欲求

 

もっと便利に、簡単に、短時間で支払いや作業などを済ませたいという欲求は、コンタクトレスな社会を進展させる要素の1つです。

 

たとえば、カードを端末に差し込んで決済する場合でもカードを店員に渡して処理するといった作業が必要で多少なりとも時間がかかります。また、何らかの機械やシステムの操作などではキーボードやマウスを使った処理、、パネル等への入力が必要になるのが一般的です。

 

商品や部品などを保管棚から取り出すピッキング作業では作業員が棚から該当する商品についてその番号などをピッキングリストで確認しながら取り出すため、一定の時間や手間がかかります。

 

こうした時間や手間のかかる作業などをもっと簡単にできる方法はないか、という要望から人の手や目に頼らないでピッキングできるシステムが開発されています。

 

現代社会では「より便利によりスピーディーに」が重視されてきており、特にビジネス全般でその傾向が見られます。そのため人々の利便性への欲求に対応することがビジネスで成功する要因となっており、その対応がコンタクトレス社会の形成にも繋がっています。

 

3)エンターテインメントへの欲求

 

生活が安定すれば娯楽を重視する傾向が強まり、「もっと楽しめるモノはないか」「もっとワクワクするような方法はないか」といった欲求が増大していきます。娯楽に興じる方法は様々ですが、最近では人のジェスチャー、音楽・音声や映像等を組み合わせた方法も多く見られるようになってきました。

 

たとえば、商業施設やオフィスビルなどの床や壁などにディスプレイが表示され、装置の操作盤に触れることなく侵入や移動により映像・音楽が楽しめるプロジェクションマッピングなどが登場しています。

 

また、観光バスなどにも窓をディスプレイ代わりにしたサービスが登場してきました。そのサービスでは有機ELディスプレイと一体化した車窓にVR(仮想現実)/AR(拡張現実)の映像が投影されるため、VR用のゴーグルなしで過去の東京の街並みなどをタイプトリップしたかのように楽しめます。

 

こうしたサービスは、人々がより面白いもの、楽しいものを求める欲求に対応したものでもあり、その欲求がコンタクトレス社会を進める要素の1つになっています。

 

4)技術の進化

 

18世紀半ばからの産業革命以来、人類の科学技術は進化を続け、今まで空想の世界のこと、不可能と見なされていたことも実現されるようになってきました。

 

たとえば、最近のアニメの世界では空中に光学的に表示されたディスプレイが浮かび上がり、空中のそれにタッチして入力するといった描写が時折見られますが、その光景が現実になろうとしています。

 

ドアのロックなどで指紋認証は珍しくないですが、指をセンサーに読み取らせなくても顔認証で開閉が可能になるシステムも登場し始めました。このような科学技術の進化が人々の「もっと楽にしたい」「もっと時間を短縮したい」などの欲求と結びつきコンタクトレス社会の形成を加速させています。

 

特に最近では5G、IoT(モノのインターネット)、クラウドプラットフォーム(クラウド上のアプリやデータ保存等を実行する基盤環境)、AI(人工知能)によるデータ分析などのデジタル技術の進化が目覚ましく、それらと様々な分野の技術を組み合わせたシステムがコンタクトレス社会を進展させようとしています。

 

 

1-2 コンタクトレス・エコノミーとその市場

コンタクトレス社会を形成する経済活動が「コンタクトレス(タッチレス)・エコノミー(非接触経済)」と表現されるようになってきました。

 

非接触経済の明確な定義はないですが、人や物に接触しない・対面しないで仕事や生活などをするための財や役務の交換活動の総称と考えるとよいでしょう。

 

ここから新型コロナの影響により急速に拡大しつつある非接触経済の市場状況を確認していきましょう。

 

1)デロイト・トーマツ社

デトロイト社は自社サイトで「アジア太平洋(APAC)地域での非接触経済の市場は2025年までに少なくともこれまでの2倍超の3兆米ドルに達する見込み」と発表しています。

 

その同社の非接触経済の市場規模についての見解は以下の通りです。

 

・「アジアパシフィック(以下APAC)内で、少なくとも2025年までにこれまでの2倍超の、3兆ドルに達する」

 

・「潜在的な影響も含めると家計消費支出全体のうち6割、実に11兆ドルが非接触経済のディスラプション(革新的なイノベーション)に直面する」

 

・「非接触経済で最大の市場規模を持つ上位3セクターは、消費財、レジャー・レクリエーション、および教育であり、最も成長が大きい上位3セクターは、金融サービス、ヘルスケア、および消費財」

 

・「非接触経済における日本のポジションは、今後のEC市場の伸びから推測するとAPAC各国の劣位に回る懸念」がある

 

・「日本は2024年にEC市場がCAGR8%で成長していくことが予想されていますが、この水準はAPAC6か国の中では最も低水準であり、非接触経済の拡大による成長機会を十分に取り込めない」が懸念ある

 

なお、日本およびアジア地域での非接触経済の市場は拡大するものと見込まれていますが、日本のEC市場における伸びの鈍化から他の国に追い越される可能性が危惧されます。

 

2)クレディ・スイス証券株式会社

同社が日本向けに発行している「Investment Weekly」(2021年07月19日)の「タッチレス・エコノミーの台頭への投資」(P3)の中で非接触経済の市場が下記のように示されています。

 

・非接触経済の興味深い成長分野は、「センサーおよびジェスチャー技術市場」、「非接触サービスを可能にするAIソフトウェア」、「処理能力を提供する半導体」、「デジタル決済システム」、「こうしたテクノロジーをニューノーマル(新常態)にしうる大手IT企業」の5つのエンドマーケット

 

・米マーケッツアンドマーケッツ社の調査によると、ジェスチャー認識市場は2020年~2025年の間は年平均成長率(CAGR)27%で拡大し、市場規模は 2020年の98億米ドルから2025年には323億米ドルに達する

 

・非接触センシング市場は同期間に17.5%拡大し、2020年の68億米ドルから2025年には153米億ドル規模に達する

 

上記の指摘内容は特に投資対象としての視点から考察しているため、市場の細部や長期的視点等をやや欠いている恐れがありますが、有望市場の検討の参考になるはずです。

 

3)矢野経済研究所

同社がまとめた調査では、2020年度の国内の非接触決済サービスの市場規模は約7兆2500億円に達した、と公表しています(非接触決済サービスが対象)。

 

・国内におけるコンタクトレス決済市場規模(コンタクトレス決済取扱高ベース)は、2019年度には約6.9兆円まで拡大し、2020年度には約7.2兆円を超える見込みである

 

・ポストペイ(後払い)型非接触IC型電子マネーやモバイルコンタクトレス決済(QRコード※決済をはじめとするスマートフォン決済)の利用増加により、市場は拡大基調を維持していくとみる

 

・上記の背景から非接触決済サービス市場は今後も拡大基調を維持し、2024年度には9兆円を突破すると予測している

 

上記の点から益々非接触決済が進むと考えられるため、導入する店側だけでなくシステム等を供給するメーカー等にとってはビジネスチャンスの拡大が期待できるでしょう。

 

 

1-3 コンタクトレス・テクノロジー

ここでは非接触経済の基盤となっているコンタクトレス・テクノロジーの中から代表的な技術をいくつか紹介しましょう。

 

1)ジェスチャー認識

ジェスチャー認識とは、人間の動作を数学的に解釈することで、人の手や体の動きをカメラ画像などから認識し、機器の操作等に利用する技術です。

 

たとえば、カメラ画像などから人体の各部位についての3次元位置情報を即時に検出し、それらの位置関係、動き、速度を解析して「ジェスチャー(動き)」を認識するといった機能になります。

 

指、手、足、頭、上半身などの動きや姿勢などのジェスチャーがこの技術によって認識され、システム(機器等)に反映されて処理されます。機械、PCやゲーム器などに指示情報を入力する場合、指などによる物理的な接触がこれまで必要でしたが、ジェスチャー認識技術の利用により非接触での指示が可能となってきました。

 

2)空中結像技術

空中結像技術とは空中ディスプレイを実現する技術(スクリーンのない空中に映像を映し出す技術)のことです。この技術は、画像や物体が発する光線を1枚の特殊構造のガラスプレートを通して、その反対側の等距離の位置に再び光を集めると原版と同じ像が形成される仕組み(光の反射の応用)などが該当します。

 

光を空気中で結像させて映像を映し出すため、通常、映像表示に必要とされるスクリーンは不要です。ディスプレイによる描写でないため実像感が増し、空中映像の周辺に人、モノやフィギュアなどを配置することで多様な演出ができるようになります。

 

また、センサーを一緒に利用することで非接触ディスプレイとすることも可能です。

 

3)操作感実感技術

操作感実感技術とは、動きや質感を触覚で再現する触覚フィードバック(ハプティクス)のことで、実際には実在しないモノを本当に存在しているかのように感じる触覚表現を実現する技術と言えます。

 

スマホでは、ディスプレイ上のアイコンを押した時に実際のボタンを押しているように感じさせるユーザー・インターフェイスとして活用されました。ゲーム機ではコントローラに「HD振動」というハプティクス技術が利用されています。

 

たとえば、電気シェーバーによる髭剃りもこの技術で実際の感覚を再現することができ、経験しにくい女性でも男性の髭剃り体験ができます。このように操作感実感技術の応用により実際のモノに触れなくても、実際の現場にいなくても、リアルな実態感、一体感や臨場感などが楽しめます。

 

4)顔認証技術

顔認証技術とは、映像や画像の中から特定の人などを判断・判別する技術のことです。この技術は、映像等の中から「顔がどこにあるか」を検出して、瞳、鼻、口など、「その人の顔の特徴的な箇所が何であるか」を判断し、その特徴ポイントから「誰であるか」を判定する、などの一連の高度な分析を行う仕組みと言えます。

 

用途としては、主に空港などの交通機関でのセキュリティ対策やオフィスの入退出の管理などが中心です。ほかにはコンサート等の会場へ入場する際の本人確認などにも利用されています。

 

5)視線検知技術

視線検知(認証)技術とは、PCなどを操作しているユーザーがどこを見ているか、判断するための目の動きを検出する技術のことです。

 

この技術を活用すれば、PC等の画面で視線を移動させるだけで画面上の地図をスクロールさせたり、特定の場所を見てツールバーを表示させたり、画像のページをめくったりできるようになります。

 

マウスを握って画面の特定の位置をクリックしなくても視線検知技術を活用すれば見るだけという非接触の操作ができるわけです。

 

6)音声認識技術

音声認識技術とは、コンピューターが音と文字とのパターンをマッチングさせる方式で人間が発した音声データをテキストデータに変換する技術のことを指します。

 

音声データを人間が聞き取って文字にする「文字起こし」という作業がありますが、音声認識技術はその作業を人間に代わってコンピューターが自動的に行う仕組みと言えるでしょう。

 

この技術が本格的に実用化されてきたのは2010年代からで、Appleの「Siri」や「Googleアシスタント」、2014年からはAmazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」の登場でにわかに注目されるようになりました。

 

なお、日本語での実用化は遅れていましたが、ディープラーニング技術の進化などAI(人工知能)技術が飛躍的に向上したため、最近ではコールセンターなどでの利用も見られています。

 

7)物体追跡技術

物体追跡は映像中の移動物体を追跡するタスクのことで、映像中で変化したり移動したりする物体を追跡するための技術が物体追跡技術です。

 

ディープラーニング技術を応用した物体追跡技術では、顔や人物だけでなく動物やボール、車など様々な物体を追跡できます。活用例としては、画像内の被写体の動きベクトルを解析する技術などはジェスチャーコントローラーや、ゴルフ等のスイングフォーム解析などに利用されています。

 

物体追跡技術は顔認証技術などと組み合わせて一連の自動認識システムとして利用されるケースが見られるようになりました。たとえば、購買者が自分で精算するセルフレジへの活用です。

 

そのシステムでは、購買者の清算までの動線を画像認識・追跡し、その者が精算機で支払いを済ませたかまで把握することができます。

 

8)XR(AR、VR、MR)

XR(クロスリアリティ)とは、現実世界と仮想世界を融合して現実に存在しないものや状況を知覚させる技術の総称で、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などの先端技術が含まれます。

 

VRは、映像などの仮想の現実に実際に自分が入り込んだかのような実感をもたせる技術です。ARは実在する風景等に仮想の視覚情報を重ねて表示することで、MRは現実と仮想世界を融合することを意味します。

 

最近では、VRとARなどが複合して利用されるケースが増えて、XRという言葉が使用されるようになってきました。こうした技術を利用することで、新しい演出による楽しさや面白さなどが作り出されています。

 

9)五感センサー技術

五感センサー技術とは、視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚という人間が備えている五感をデジタル技術等の活用により実現する技術です。

 

視覚センサーでは顔認識や笑顔認識のような画像認識技術として利用されており、人間の視覚能力をはるかに凌駕するレベルで実用化されています。触覚、味覚、臭覚に関する技術も最近では人間の脳が感じるレベルの実用化に成功しています。

 

たとえば、味を数値化して評価できる味覚センサーが開発され、人間の舌が味を感じる仕組みを模したバイオ・センサーなどが登場しています。こうした味覚センサーは食品のみならず調理器具などへの応用も期待されています。

 

触覚センサーでは触覚、温覚・冷覚、痛覚、食感、圧覚、振動覚などを検知できるものが開発されています。たとえば、自動ドアやその前の床に特定の人のノックの仕方や歩き方を検知できるセンサーを取り付ければ、入出管理に利用することが可能です。

 

臭覚センサーでは人やガスなどのにおいを検知できるセンサーが開発されており、スマホなどで自身のにおいの程度を測定できるようになります。

 

以上のほかにも様々なコンタクトレス・エコノミーに役立つテクノロジーが開発されています。

 

 

2 非接触ビジネスに取組むメリット・デメリット

非接触ビジネスに取組むメリット・デメリット

 

ここでは非接触関連のビジネスに取組むことでどのようなメリット・デメリットが生じるのかを説明しましょう。

 

 

2-1 非接触ビジネスのプラス面

以下のようなメリットが期待できます。

 

非接触ビジネスのプラス面

 

①安心・安全に対するニーズの取込み

新型コロナの影響により人々の安心・安全への意識は高まり、それに資する製品・サービスを求める傾向が強まっています。つまり、現状では安心・安全に関連する分野ではビジネスチャンスが拡大しています。

 

特に新型コロナを封じ込めない現状においては非接触・非対面に資する商品・サービスを望む声は途絶えることがありません。そのため安心・安全に対するニーズに対応できるビジネスにとっては、少なくともこれからしばらくの間は大きな成長を図る好機になるでしょう。

 

また、今回のパンデミックのように封じ込めに時間がかかり過ぎている場合、人々の行動様式は変容し継続する可能性が高いです。つまり、新型コロナの感染が完全に収束しても、その後一定期間は人々の安心・安全への意識の高まりは持続するものと推察されます。

 

従って、安心・安全に対するニーズは長期に及ぶ可能性もあるため、早めにビジネスとして取込むことで美味しい上澄み(早期の顧客の獲得による利益の確保等)を吸収することも可能です。

 

②業務の改善・効率性の向上

非接触・非対面の仕組みや技術をビジネスに取入れることでその業務の問題を改善したり、効率性を向上させたりすることが期待できます。

 

現在、イベントやスポーツ大会などの入場の際に非接触の検温が行われるケースが多いですが、この作業は本来必要のない余計な業務です。しかし、この作業を非接触関連の技術等を活用して自動で済ませれば人手をかけずに済むほか、お客等が入場で待たされることもありません。

 

また、レストランなどの飲食店における注文時では通常は店員が客席へ行って注文を受ける形式でしたが、感染防止のためパネルやスマートフォン等の端末からの注文形式に変更されるケースが増加しました。

 

こうした変更は安心・安全の確保のみならず、少ない人出でも店舗運営を容易にするなど業務の生産性向上に貢献しています。

 

③新たな感動・体験の提供

コンタクトレス・テクノロジーは、消費者等に新しい利用体験や感動を与えることも可能です。現代の消費者や生活者は利用することによって得られる体験価値(カスタマーエクスペリエンス)を重視する傾向が見られます。

 

体験価値とは製品やサービスを実際に使って得られる「経験」や「体験」に基づく価値観です。つまり、現代の消費者向けビジネスではこの体験価値の高さが競争優位性に直結しその事業の発展に影響します。

 

そして、コンタクトレス・テクノロジーを製品・サービスに導入すれば、非接触ならではの今までにない体験を使用者に与えることも可能になります。

 

キャッシュレス決済を非接触方式にすれば、現金支払いのようにレジでまたされることもありません。娯楽やイベント等の分野ではオンラインのフィットネスや宴会、無観客のイベント等の動画配信など、新たなサービス多く登場しており今まで体験したことのない時間の過ごし方が提案されています。

 

たとえば、オンラインの山登り、遠隔操作による調理サービス、匂いが感じられるVR(仮想空間で匂いが楽しめる)、などのサービスが次々と登場しており、ニューノーマル下での新たな体験が提供されようとしています。

 

④働き方改革の促進

3密を回避する行動が当たり前になると、非接触・非対面に対する配慮や重視も一般的になり、労働者にとっては安心・安全で業務負担が軽減される就労環境が整備される可能性が増します

 

非接触・非対面に効果の高いリモートワークが普及すれば、通勤時間が無くなり移動による負荷が解消されるほか、自由な時間の増大に繋がります。職場に出社する場合でも時間差通勤の導入、混雑時をずらした通勤などが採用され、身体の疲労は大幅に減少するはずです。

 

こうした負荷の軽減は生産性を高める効果が期待できるほか、従業員の定着率の改善にも繋がります。安心・安全で快適な職場、就労環境は人材確保にも有効です。

 

従来の業務方法に非接触・非対面の仕組みや方法を導入することで、労働者の業務負荷が大きく軽減される可能性もあります。そのためこうした施策の採用は従業員の定着率の向上とモチベーションアップに役立ち、優れた人事施策の1つになるのではないでしょうか。

 

 

2-2 非接触ビジネスのマイナス面

以下のようなデメリットが考えられます。

 

非接触ビジネスのマイナス面

 

①非接触に必要な機器等の導入

コンタクトレスな仕組みやサービスを導入するためにはそれを可能とする新たな機械や設備などが必要となるケースが少なくありません。つまり、目的が安心・安全の提供、利便性の提供やコスト削減などのいずれであっても何らかの新たな機器や仕組みの導入に迫られる可能性が高いです。

 

もちろん適当な機器等が存在しない場合、開発から進めなくてはならないため、導入までの時間もコストも多くかかるほか、その準備をしなければなりません。つまり、簡単に事業およびその業務のコンタクトレス化が実現できるとは限りません。

 

②非接触化のための人材も必要

自社事業に適したコンタクトレス化を推進・実現していくための人材の確保が欠かせません。どのような分野で非接触経済にかかわるのか、どのようなコンタクトレス・テクノロジーを活用するのか、そして、それらを踏まえてどのようなビジネスモデルにするのかを構想し、推進できる人材が必要です。

 

特に非接触関連技術等に関する知見や経験などを有する人材の確保が不可欠ですが、注目されている分野のため採用するのは容易ではありません。新規採用をじっくりと進めつつ、従業員の育成や協力者の確保などに取組む必要があります。

 

③コミュニケーション不足

非接触・非対面のオンラインでもコミュニケーションを深める方法が考案されいますが、それでも実際に顔を突き合わせて行うコミュニケーション手段には質的におよびません

 

動画などの画面を通した相手の顔色や声のトーンなどは直に会って行う場合とことなり、微妙な感情表現を見落とす可能性が少なからずあります。こうした点はプライベートでも問題になり得ますが、ビジネスにおいては深刻な問題に発展するケースもあります。

 

実際に会って相手の顔色を窺いながらその微妙な反応を感じ取って交渉を有利に進める営業マンもオンラインでのモニター越しではそれができなくなる恐れがあります。そうした結果、商談に失敗し失注することが懸念されます。

 

また、同じ会社の上司と部下、部下同士の意思疎通も直接会って話すのと、電話や画面越しで話すのでは、コミュニケーションの質が異なってきます。また、部下が出社していれば、上司は彼らの職場での業務への取組み方や態度・言動から考えやモチベーションなどを把握することが可能です。

 

しかし、電話やビデオなどを通じて部下と上司が会話をする場合、限られた時間内に言いたいことを伝えることは容易ではありません。そうした不十分なコミュニケーションの状態でも、面と向かって会話する場合相手の表情や声の強弱などによりどういった心境なのか、考えがあるのかが推察できることもあります。

 

現段階においては非接触・非対面のコミュニケーション手段を取る場合、意思疎通に問題が生じる可能性を考慮しなければなりません。ただし、微妙な顔の表情や声の調子などが正確に読み取れる日も近いでしょう。

 

 

3 非接触ビジネスの事例と事業の重要ポイント

非接触ビジネスの事例と事業の重要ポイント

 

ここでは非接触関連のビジネス事例を紹介し、この分野で事業を始める場合の重要ポイントなどを説明します。

 

 

3-1 自律配達車両

●企業概要

 

・企業名:Nuro,Inc
・所在地:米国 カリフォルニア
・事業内容:配送向けの自動運転車などのロボット制作。

 

●非接触ビジネスの特徴

 

Nuro(ニューロ)社は、荷物専用の自律配達車両の設計を行い、自動運転車の実用化に向けての開発や実証実験を経て、現在量産化に向けての生産体制の整備を進めています。

 

まだ、本格的な生産・販売に至っていないですが、配送の人手不足・コストダウン、感染症対策などに悩む各種の事業者からその実践投入が期待されています。

 

●事業の重要ポイント

 

同社の事業はこれからが本番ですが、「自動運転車の実用化」というイノベーションを現実のものにする段階(商業ベース化)にまで事業を進めています。スタートアップがこの段階まで辿りつけたポイントとして以下のような点が挙げられるでしょう。

 

・創業者の知識・経験の活用

 

創業者のデイブ・ファーガソン氏とジアジュン・ジウ氏はGoogleの自動運転開発プロジェクトに深く関与するなどこの方面での知識と経験が豊富で、それを活かして起業されました。

 

自動運転車両の実現には最先端の高度な技術が必要で、同社の車両には10台を超えるカメラ、オーディオセンサー、LiDARセンサー、レーダー、サーマルカメラ、などが搭載され、自動運転のほか歩行者等に対する安全機能も備えられています。

 

こうした車両開発には創業者のこの分野における深い知識と経験が欠かせないでしょう。

 

・資金調達の成功

 

自動運転車の開発には多額の資金が必要ですが、2016年に中国で資金調達を行い、2017年は米国での資金調達に成功して、その時点で約9,200万ドル(約100億円)が確保されました。
*その後も多額の資金調達に成功

 

・開発の着眼点の的確さ

 

自動運転車の開発は技術、安全性や交通規則など様々な高い障壁がありますが、開発対象を配送用に特化したことが開発の実現に繋がりました。自動配送車両は、それを求めるニーズも豊富で、安全性や交通規則等への対応も一般車両よりも容易であるという特徴に同社は着目し開発を実現させました。

 

・事業者との提携と実証実験

 

自動運転車両は実際の公道を走行して安全に走行できる必要があるほか、同社の場合は配送車としての機能を果たせることも要求されます。そのためそれらが可能であることを実証するための実験が必要であり、その協力者が欠かせません。

 

アリゾナ州とテキサス州で試験的に食料品の配達から実験をスタートし、米国の7-Eleven、CVS薬局、Dominos、FedEx、Kroger食料品店(SM)、Walmart、などのパートナーを獲得し実験を進めてきました。

 

また、米国運輸省道路交通安全局から同社車両(R2)に対するのドライバーレス免責を取得しており、実用化に向けての障害を着実に乗り越えました。

 

 

3-2 店舗の無人化支援サービス

●企業概要

 

・企業名:株式会社fixU
・所在地:兵庫県神戸市中央区
・事業内容:fixUプラットフォームの開発・運用、コワーキング経営に関するコンサルティング

 

●非接触ビジネスの特徴

 

同社は実店舗の運営を支援するサービスの中で「無人化・省人化に特化した実店舗運営を全面的にバックアップするサービスfixU」を提供していす。また、2021年からは「飲食店向け」サービスの提供を開始しました。

 

このサービスは無人居酒屋・無人飲食店・サブスク型や会員制飲食店など幅広いタイプの無人店舗での利用が可能です。このfixUはスマートロックやクラウドカメラと連動させることができ、座席の予約、入退店、アプリからの注文から決済までの全ての対応について非接触で一元管理ができます。

 

対象店舗としては以下の通りです。

 

ワークプレイス:
コワーキングスペース、シェアオフィス、レンタルスペース、貸し会議室 等

 

ヘルスケア:
フィットネスジム、ヨガスタジオ、シミュレーションゴルフ、各種スクール 等

 

サロン:
シェアサロン、セフルエステ、日焼けサロン 等

 

非会員制店舗:
ゲストハウス、飲食店、小売店 等

 

●事業の重要ポイント

 

・3密回避の流れをニーズとして充足

 

新型コロナの感染対策として、店舗運営においては非接触・非対面によるサービス提供がより重要度を増し、その対応に迫れる店舗事業者のニーズにfixU社は応えました。

 

・主要事業の拡大

 

同社は店舗運営の支援サービス中で、無人化・省人化に特化した実店舗運営支援サービスも提供してきましたが、他の業種以上に非接触・非対面の対策が求められる飲食店向けを開発し事業を拡大させました。

 

マーケティング戦略の1つとして、コア事業の周辺を拡大させることは有効であり、事業を成長させる重要な手段になります。

 

・サービス内容が店舗運営者に魅力

 

店舗の無人化と、非接触・非対面のサービスの提供は、店舗運営者にとっては店舗利用者の安全確保とともに、人手不足への対応や人件費の削減などで有効です。つまり、fixUのサービスは店舗運営者のニーズにマッチしており、それを実現させます。

 

 

3-3 AIロボット先生

AIロボット先生

 

●企業概要

 

・企業名:有限会社ソリューションゲート
・所在地:東京都荒川区西日暮里
・事業内容:
学習教材やマルチメディアコンテンツの企画・開発・販売、学校教育・学習塾経営に関するコンサルタント業務 等

 

同社は2003年12月に教育コンテンツの企画・開発会社として設立し、2017年4月に株式会社下町ロボットと共に案内ロボットの開発をスタートさせました。

 

その後、2018年6月に「先生ロボット」の開発をスタートさせ、2019年4月には先生ロボットに注力するために株式会社エデュゲートを設立し、2020年6月から「ユニボ先生」のサービスを開始しました。
*ユニボ先生の製造は「ユニロボット株式会社」が担当

 

●非接触ビジネスの特徴

 

・ユニボ先生の学習塾等への導入

 

同社は、生徒集客や学習指導する講師の代行などを求める学習塾等へユニボ先生を販売・サポートする事業を展開しています。

 

個別学習指導塾などを中心に学習塾全般では講師の数が不足しており、その確保が教室運営上必須です。また、個別学習などのスタイルも普及しておりこうした形態での他校との差別化が難しくなっています。さらに新型コロナにより非接触・非対面の対応も実施していかなければならない厳しい状況です。

 

こうした学習塾等が抱える課題をAIロボットの導入より解決させるのが同社の「ユニボ先生」事業と言えるでしょう。

 

ユニボ先生を学習塾が導入すれば、講師の数を抑えつつ学習効果の高い授業を提供できるほか、AIロボットによる指導・支援が集客効果をもたらし、非接触・非対面のサービスの拡大による生徒の安全確保も期待できます。

 

●事業の重要ポイント

 

・ターゲットに対するニーズの的確な把握と充足

 

ビジネスで成功するには、その事業のターゲットが抱える課題や要望を的確に捉え、それを解決・充足できる代替案を立案し具現化することが重要です。同社はターゲットの1つである学習塾のニーズや問題を把握し、それを解決する手段としてユニボ先生を開発し提供しています。

 

・コロナ禍の非接触・非対面に関するニーズを活用

 

講師が直接的に生徒に指導するスタイルの学習塾では新型コロナへの感染防止対策が不可欠ですが、その対応策としてAIロボットの活用を同社は提案し事業を促進しています。

 

ユニボ先生を活用することにより、生徒には最低限の直接的な接触で学習指導ができるほか、「1人の先生対5人~8人の生徒」という効率的な指導が可能となり、学習塾の収益向上にも有益です。

 

・事業に必要なパートナーの確保

 

ロボットを活用したビジネスを展開するにはロボティックス等の知見を有し企画・製造ができなくてはならないですが、自社のみですべてをカバーすることは容易ではありません。特に創業時や会社設立後間もない企業では困難であるため、必要資源を提供してくれるパートナーの存在が不可欠です。

 

同社はロボティックス、AI、音声、IoTなどを事業とする「ユニロボット株式会社」などの優れたパートナーを確保することができ、ユニボ先生事業を実現させています。

 

・公的な制度の活用

 

同社は東京都の経営革新計画のテーマとしての承認や東京都産業技術研究センターの公募事業としての採択を受けるなどして同事業を推進してきました。こうした制度を活用して優遇措置を受けるとともに、同事業の知名度をアップさせ信頼度の向上に成功しています。

 

 

3-4 ノータッチ・空中操作を可能にするUI

●企業概要

 

・企業名:株式会社ショップパートナー
・所在地:神奈川県横浜市中区桜木町
・事業内容:システム開発

 

●非接触ビジネスの特徴

 

同社は新型コロナの感染防止に役立つノータッチ・空中操作を可能にするユーザー・インターフェイス(UI)製品事業を行っています。具体的にはAIを活用したタッチレス空中操作技術「Aloha」の推進です。

 

このAlohaを活用・導入すれば、「汚れた画面を触りたくない」「汚れた手で触りたくない」などの非接触が求められる施設や機器などに対する利用者の不安を払拭しその安全確保が容易になります。

 

Alohaを実装することで、その機器やパネルに触れることなく操作や作動が可能となるため、導入事業者としては触れたくないというユーザーのニーズに対応できるほか、このシステムの先進的で目新しさによる集客効果で、他社との差別化を図ることも可能です。

 

なお、このシステムの提供方法には、「AI部分のみ」「画面制御アプリケーションを含めたソフトウェア全般」「筐体を含めた最終完成品+現場への設置工事まで」などのパターンが用意されています。

 

●事業の重要ポイント

 

まだ、Alohaは始まって間もない事業ですが、以下の点が期待されます。

 

・非接触のニーズへの対応+競争優位性の提供

 

非接触のニーズはコロナ禍を契機に今後も拡大する可能性があり、ノータッチ・空中操作を可能にするユーザー・インターフェイス製品の普及が進むものと考えられます。

 

さらにノータッチによる空中での操作は先進性があり、利用者の目を引く存在となるため、集客効果と他のパネル・機器等との差別化に役立つはずです。つまり、空中操作が可能なパネル等を導入する店舗等は他店との差別化が図れて競争優位性を獲得できます。

 

・システムの提供方法の工夫

 

先述の通りシステムの提供方法は複数で、利用する側の状況に対応しやすい形態でのラインアップです。利用者側の立場に立った提供方法の用意は重要であるほか、ターゲットの幅を広げ事業の成長を促すでしょう。

 

・機能拡張の可能性

 

また、顔認証技術などとの連携も可能なため、システムとしての機能拡張も容易で高度な利用や用途拡大などが期待できます。単にタッチレス・空中操作ができるというだけでは、やがて魅力が薄れる可能性もあるため、他の高度な機能を付加できると競争力の維持向上に繋がるはずです。

 

 

4 非接触ビジネスにおける事業の進め方のポイント

非接触ビジネスにおける事業の進め方のポイント

 

最後に会社設立するなどして非接触ビジネスの事業を進めていくための重要ポイントを説明しましょう。

 

新規ビジネスの成功には、適切なアイデアの発想からビジネスモデルの構想、その具体化への取組等が大きく影響することからその観点から内容を確認していきます。

 

*ビジネスモデルは事業を行う際に、誰を対象として、どのニーズを何でどのように捉えていくかを端的に示すビジネスシステムの内容です。また、環境への対応、特に市場競争に勝ち抜くための方法も考慮しておく必要があります。

 

非接触ビジネスにおける事業の進め方のポイント

 

 

4-1 非接触ビジネスのアイデアの発想

ビジネスの誕生は、創業者等が「こんなビジネスをやってみたい!」という発想から出発しますが、非接触型のビジネスの場合は当然、非接触・非対面に着目したものでなければなりません。

 

具体的には、今まで人との接触や対面を通じて商品やサービスが提供されていたものを何らかの仕組み等で非接触・非対面で済む方法へと変更することが、そのアイデアのベースになります。

 

たとえば、従業員が顧客に対面して直接的に商品やサービスを提供する方法から、人と対面せずにモノや人に触れることなく商品の受け渡しやサービスの実施を行うなどの方法にしなければなりません。

 

もちろんこれまでにない新たなビジネスでもその商品やサービスの提供は非接触・非対面が前提になります。しかし、単に非接触・非対面にするだけでは十分とは言えず、新たな提供方法に便利さ・快適さ・楽しさなどの価値を加えることが重要です。

 

コロナ禍にあっては安全性の確保が必須ですが、それだけではユーザーに飽きられたり、ライバルに負けたりすることもあるため、付加価値を加えてアイデアを昇華させていくようにしましょう。

 

たとえば、コロナ禍の学習塾やトレーニングジムなどでは特定のスペースでの講義やレッスンが困難になっていますが、オンラインのレッスンやAIロボットなどによる指導により安全性の向上が図れます。しかし、単に感染リスクを軽減できてもレッスンや広義の質が低くては意味がありません。

 

逆にオンラインならではの新サービスの提供やより個別に指導できるサービスなどを加えることで、より楽しい、より便利、より分かりやすい、といったサービスの質を高めるアイデアに昇華させましょう。

 

 

4-2 ターゲットとニーズの特定

アイデアをビジネスモデルに仕上げていくには、アイデア段階でぼんやりと浮かび上がっているターゲットとそのニーズを明確にしなければなりません。

 

たとえば、飲食店に魚やその加工品を納入している食品加工業などはコロナ禍で業績が大きく落ち込みビジネスモデルの変更を余儀なくされたケースも多いです。

 

新たなモデルへのシフトでは、ターゲットは「飲食店」から「消費者」、ニーズは「飲食店の調理材料」から「外食しにくい消費者の自宅で楽しむ食材」へという変更等が見られました。

 

観光バス会社などでは、観光客の減少による事業継続の危機を乗り越えるために、オンラインバスツアー事業を導入する企業が登場しています。その場合、ターゲットとニーズには「実際のバスに乗って観光したい人」から「観光地に足を運べないが観光気分を味わいたい人」へという変更が必要でした。

 

なお、事業者をターゲットとしてそのニーズを考える場合、その事業者がターゲットする顧客などのニーズにも注意を払わなくてはなりません。たとえば、学習塾などをターゲットする場合、その顧客である生徒やその親のニーズも把握した対応が必要です。

 

学習塾が求める非接触・非対面の対応や人手不足といった課題解決のほか、生徒や親が求める安全性、便利さや学習の質を反映した商品・サービスの提供が求められることに留意しておかねばなりません。

 

 

4-3 商品・サービスの内容と提供の仕方

ターゲットとニーズが変われば、提供する商品・サービスの内容(ニーズを充足するもの)や提供方法も自ずと変化し相応しいものへと変更しなければなりません。そして、それが決まれば新しいビジネスモデルの内容が固まるわけです。

 

先の食品加工業の場合、旧モデルでは納入する商品やサービスは飲食店用に用意する食材・加工品で、納入は店舗への直接配送となっています。それが新モデルでは、消費者向けの下地処理品を宅配で納品する形態です。

 

注文は営業や電話等による受け付けからオンライン受注となり、調理のための動画による解説サービスの提供やオンラインでの調理実習会の開催などで調理への不安をなくし、楽しい調理や会食の方法を提案するというサービスが提供されています。

 

オンラインバスツアー事業では、車窓で楽しめる映像サービス、実際の現地からの生中継による案内、地域の特産品の料理やお土産の提供、といったサービスが採用されリアルな観光とは異なった楽しみ方が提案されています。

 

非接触・非対面の部分をどう補うか、ということに加えて新たな価値を加える形でビジネスの仕組みを作ることが重要となっています。

 

 

4-4 非接触ビジネスに必要な経営資源の確保

ターゲットとそのニーズ、そしてニーズをどう捉えて競争を勝ち抜くかの構想が固まれば、次はそのモデルを具現化するための必要資源を確保しなければなりません。

 

特に非接触ビジネスでは当然、非接触・非対面にかかわる商品・サービスを作る・提供していくための資源の確保がより重要になります。

 

まず、資金については、事業内容、事業規模、目標の程度、事業のスケジュールなどの内容により必要額や調達時期が違ってきます。事例の自律配達車両の開発・販売の事業では開発から製品の市場投入までに莫大な資金と膨大な時間が必要です。

 

そうした内容を踏まえて事業計画を立て、その計画時期内で必要な資金を確実に確保できるように取組まねばなりません。金融市場から直接調達するのは容易ではないですが、将来性が高くそのPRに成功すれば多額の資金を確保することは可能です。

 

大企業との提携・共同開発、ベンチャーキャピタル(VC)等のビジネスコンテストへの参加、公的機関等のビジネス展示会への出展、クラウドファンディングの活用、非接触・非対面ビジネスの実証実験への参加、などを通じて知名度と実績を高めて、資金調達しやすい状況にすることが重要になります。

 

技術・制作(生産)についは各種の人材とパートナーを確保していく取組が必要です。創業者などの初期メンバーが必要な技術・ノウハウを持っていて非接触・非対面の商品・サービスの開発・生産ができればよいですが、全てをカバーすることは困難です。

 

そのため足りない技術等を獲得するには、その分野の専門人材を採用する、協力者を確保する、などの取組が必要になります。生産面においても人材の確保は必要ですが、技術面および資金の問題もあるため、パートナーとなる事業者を見つけ出すのがより効果的です。

 

これらの確保については、商工会議所等や公的研究機関などへの相談、大企業・VC等との提携、大学等の教育機関との交流、異業種交流会等への参加、などを活用するとよいでしょう。

 

 

4-5 確認と修正の繰り返し

最初に考案したビジネスモデルが上手く成功するとは限らないため、事業をスタートさせてからターゲットの反応を適時確認しながら改善を加えて儲かるビジネスの仕組みに仕上げていかねばなりません。

 

特に非接触・非対面の商品・サービスは、これまでにない提供方法を駆使することになりやすいため、ユーザーが好意的に反応するか、拒絶するか、などをしっかり確認する必要があります。

 

テストマーケティングである程度の市場評価が得られていても実際の投入現場での反応が異なることも少なくありません。全般的には好意的な反応が見られても十分な収益に反映されないケースは多いです。

 

何故、反応が薄いのか、もっと多くの人から好意的な評価が得られないのか、多くの購買・利用に結び付かないのか、といった点をユーザー視線で分析し改善点を探る取組が求められます。

 

事業者向けのサービスの場合はその事業者の顧客の反応なども確認する必要があるほか、事業者自身の満足度や問題点などを把握し改善していく努力が重要です。

 

非接触・非対面の商品・サービスの提供は、安全性や便利さなどのメリットがあるものの、実際に五感で確かめられないというデメリットがあるため、その点から生ずる不満や問題点など定期的に確認し補える手立てを講じるというアクションが求められます。

 

 

5 まとめ

まとめ

 

新型コロナの感染防止のため3密が重視される現状においては、非接触・非対面の商品・サービスの提供は重要です。また、その提供方法が従来と異なるため、その新鮮さから多くの注目を集め事業の成長にも役立っています。

 

このように非接触関連のビジネスは時代が求める事業と言えますが、従来のビジネスのように直接触れない、見られないといったマイナス面が付きまとうためそのカバーが不可欠です。

 

単に非接触で安全だからといってユーザーが進んで利用するとは限らないため、安全性以外の便利さ、楽しさや快適さなど、これまでのビジネスにない付加価値をつけたビジネスになるように検討してみてください。


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