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アウトドアビジネスでの起業・会社設立の将来性と進め方

「山ガール」や「釣りガール」などアウトドアを楽しむ女性が注目されているように、コロナ禍における外出自粛などを背景として、女性に限らず幅広い層の人達がアウトドアを始めています。

 

その結果、アウトドア関連の衣料、用品等や施設に関する消費者等の需要が増加しており、この業界には今まで以上のビジネスチャンスが到来しています。

 

そこで今回の記事では、最近のアウトドアビジネスの現状や将来性、起業や会社設立する際の進め方や成功のポイントなどを解説します。

 

アウトドアビジネス分野で就職・転職、起業や業態転換したい方、同分野でのビジネスの種類や成功するためのコツを知りたい方は、参考にしてみてください。

 

 

1 アウトドアビジネスの現状

アウトドアビジネスの現状

 

アウトドアビジネスは、アウトドアを楽しむ方法やタイプで異なるため、その楽しみ方を把握することが重要です。アウトドアの種類は広範囲に渡りますが、比較的に知名度の高いものとしては以下のような種類が挙げられます。

 

バンジージャンプ、キャンプ、サイクリング・ロードバイク・マウンテンバイク等、登山、果物・山菜等狩り、昆虫採集、釣り(海釣り、川釣り、釣り堀等)、乗馬、スキー・スノーボード、ナイトハイク、サーフィン、スキューバダイビング等、ラフティング、ドローン、ジェットスキー・ウィンドサーフィン等、潮干狩り、バードウォッチング、ローラースケート、バーベキュー、カヌー、キャニオニング、ロッククライミング、洞窟探検、等

 

以上のようにアウトドアの楽しみ方は様々で、簡単・手軽に始められるものから、一定の専門道具や装備を整え必要な知識や訓練など経て行う専門的なタイプまで幅広くあります。

 

 

1-1 アウトドアビジネスの種類と市場規模

 

同ビジネスの種類は大別すると、アウトドア向けの用品(道具・器具等)、アパレル、施設、レンタルなどに分かれます。

 

株式会社矢野経済研究所ではこれらの分野について、「アウトドアアパレル市場」「アウトドア用具市場」「アウトドア施設市場」「アウトドア用品レンタル市場」と捉え、アウトドア業界の市場を調査(「アウトドア用品・施設・レンタル市場に関する調査を実施(2021年)」)しその結果を公表しています。

 

1)ビジネス分野

ビジネス分野

 

●アウトドアアパレル

該当商品は、アウトドアウエア、シューズ、ザック・バッグ類、などです。

 

●アウトドア用具

用具は、登山・クライミング用品、テント・タープ類、シュラフ、照明器具、調理器具・食器類、コンロ・燃料類、テーブル・チェア類、クーラー・ジャグ類、フィールドギア、その他用品、などになります。

 

●アウトドア施設

施設は、キャンプ場、BBQ場、バンガロー・コテージ、グランピング(気軽さと豪華さが楽しめるキャンプ)、などの宿泊施設です。

*同社の調査では、山小屋、クライミングジム、管理釣り場、などの施設は含まれていません。

 

●用品レンタル

キャンプ用品、BBQ用品、釣り具、ゴルフ道具、その他アウトドアスポーツ用品、などのレンタルになります。

 

2)市場規模

矢野経済研究所の上記調査の主な結果内容は以下の通りです。

 

・「2020年度の国内アウトドア用品・施設・レンタル市場は前年度比4.6%減の2,954億6,700万円、2021年度は同4.0%増と回復へ」

 

この「国内アウトドア用品・施設・レンタル市場」の数値は、アウトドア用品(アパレルと用具)市場とアウトドア施設市場、アウトドア用品レンタル市場の合算値です。

 

アパレル市場と用具市場はメーカーの出荷金額ベースで算出され、施設市場は宿泊費を含む施設利用料ベース(施設でのレンタル料や物販売上高は除外)で、レンタル市場はアウトドアレンタル事業者および施設運営事業者のレンタルサービス利用料ベースで算出されています。

 

3市場の合算値の推移と今後の予測は下表の通りです。

 

年度 2018 2019 2020 2021見込 2022見込 2023見込 2024見込
市場規模(億円) 2799 3096 2954 3074 3151 3174 3111.3
前年度比(%) 110.6 95.4 104.4 102.5 100.7 98.0

 

なお、この調査では主に「レジャーを目的に屋外で行う活動」が対象とされており、スポーツおよびスポーツテイストの活動(競技スポーツ関連のアウトドアのトレイルランニング、スポーツクライミング、クライミングジム等)や、釣り(釣り用具・用品、管理釣り場等)、関連サービス(山岳ガイド・自然ガイド等)、野外フェスティバル等は調査対象から除外されています。

 

従って、スポーツ関連や専門性の高い活動などを含むアウトドア全体の市場規模はさらに大きくなるため、同市場への参入はそれらの分野の動向等も踏まえて検討しなければなりません。

 

3)市場概況

また、上記調査では「2020年度の国内アウトドア用品・施設・レンタル市場」の状況が以下のように報告されています。

 

・市場規模は前年度比95.4%の2,954億6,700万円と推計

 

当該市場の全体を見ると、アパレル市場(ウエア、シューズ、バック等)が65.3%と最多で、用具市場(テントやテーブル、シュラフ等)が26.2%です。

 

次いで施設市場(キャンプ場、BBQ場、バンガロー・コテージ、グランピング等)が7.9%、レンタル市場が0.6%という結果です。

 

・これまでのアウトドア用品・施設・レンタル市場

 

当該市場はこれまでは、キャンプブームの影響でキャンプ関連用具の販売が好調に推移しています。有力ブランドのアウトドアウエアやバックパックなどが日常生活やビジネスシーンで需要が増大するなど、市場の拡大が続き高い成長率も維持されてきました。

 

・新型コロナの影響

 

2020年度は緊急事態宣言の発出による外出自粛や小売店休業などが影響して、全体の約65%を占めるアウトドアアパレル市場が縮小しその影響で業界全体が縮小に転じています。

 

また、感染拡大防止のために営業を休止する山小屋が増加し、登山が実質的に不可能となったことで登山用品(アパレル・用具)の販売やレンタルが大きな影響を受けました。

 

富士山への入山が全面禁止となるなど、多くのエントリー層が登山を断念せざるを得ない状況となり、登山用品販売は大ダメージを受けました。

 

4)注目点

他方、新型コロナの影響により同市場には新たな需要の兆しが見られ始めている、と矢野経済研究所は指摘しています。

 

・「キャンプは”新しい生活様式に沿った安心・安全なレジャー”として好調に推移」

 

キャンプに関しては、1回目の緊急事態宣言期間時においては、販売が大きく減少するという影響が見られたものの、その後はコロナ禍にあっても「新しい生活様式に沿った安心・安全なレジャー」として注目され、キャンプ関連用品(アパレル・用具)は好調に推移しました。

 

シーズンオフ時の積雪期に敢えて「冬キャンプ」を楽しむといったファミリー層やソロキャンパーも多く見られ、コロナ禍でも継続してキャンプを楽しむキャンパーが増え新型コロナの影響を和らげています。

 

5)将来展望

同社では同市場の将来展望を以下のようにまとめています。

 

・今後もアウトドア用品・施設・レンタル市場は成長を続けていくが、その市場スタイルの変化には注意深い観察が必要

 

コロナ禍でもアウトドア業界は盛況であるが、アウトドア市場の中身について「登山」と「キャンプ」については切り分けて捉えることが重要だと指摘されています。

 

また、コロナ禍が終息へ進む中で、アウトドア市場に向いていた消費が、自粛してきた分野へ戻る可能性があり、当該市場にその影響が及ぶと分析されています。

 

その一方で、コロナ禍でアウトドアを始めたユーザーも多いため、同市場は拡大し、今後2~3年は一定規模の水準で推移する、と推察されています。そうした観点から、新型コロナが緩やかに終息する場合、2024年度のアウトドア用品・施設・レンタル市場規模は3,111億3,000万円(2020年度比105.3%)になると予測されました。

 

 

1-2 アウトドア用品業界

 

ここでは最も規模の大きいアウトドア用品市場の状況を、株式会社デジタル&ワークスが運営する「業界動向サーチ」サイトから簡単に紹介しましょう。

 

1)アウトドア用品業界の市場状況

業界動向サーチでは当該市場の状況を以下のようにまとめています。

 

  • 市場規模:0.2兆円(173位)
  • 成長率:+117.7%(7位)
  • 利益率:+4.2%(49位)
  • 平均年収:606万円(104位)

 

*ランクは全190業界における順位です。
*成長率は直近3年間の平均。平均年収は上場企業の平均であるため、実態よりも高めに出る傾向があります。

 

以上の通り、市場規模や平均年収では他の業界に比べ見劣りするものの、成長率はトップ10に入る7位であり、利益率も50位内に入っていることから同市場の成長の高さが窺えます。

 

2)アウトドア用品業界の主要8社の売上

同業界で売上高の多い主要8社の2020年-2021年の売上高合計は2,053億円です。上位8社の売上高を2014年から見ると、2020年までは右肩上がりの上昇を続けているのが確認できます。特に2019年までは上昇率が高く、キャンプブームなどが影響したものと推察されます。

 

特に上位8社中4位となっているスノーピーク社(売上高167億円、シェア8.1%)の拡大は著しいです。同社の2020年の売上高は、前年比17.6%増の167億円で過去最高を実現し、15期連続の増収を達成しています。特に2013年から急激に伸びているのが特徴的です。

 

この背景には、ここ数年において、家族や友人と楽しむ通常のキャンプのほかに、ソロキャンプやグランピング、登山やトレイルランニングなどアウトドアの楽しみ方が多様化したことが影響したと考えられています。

 

こうした状況にはアニメ、YoutubeやSNSでアウトドアが取り上げられたことの影響が大きく、色々な楽しみ方を模索する動きが多くの人に見られ始めたことを物語っています。

 

また、アウトドア需要の増大理由として、デジタル化が進展する一方、「人間本来の欲求に基づく自然回帰の流れ」が起きていると、同サイトでは分析しています。実際、このトレンドは世界的に見られ、10年前と比べ、世界のアウトドアの市場規模は7割、日本は5割の増加です。

 

2020年のアウトドア用品業界は、春先の需要期を新型コロナの感染拡大が直撃したため、一時的に業績は悪化しました。しかし、在宅ニーズに合わせた商品ラインナップの整備等の対応で業績は回復しています。

 

コロナ禍で消費者のキャンプ需要が想定以上に強まり、アウトドア用品市場には追い風に働いた、と分析されているのです。

 

3)アウトドア用品業界の事業展開

同業界では、エントリーモデルや機能性製品が好調であり、その点で成長余地があると期待されています。

 

スノーピーク社はアウトドア用品を幅広く販売していますが、最近では、アウトドア初心者向けの「エントリー製品」の販売が好調です。たとえば、かさばりがちなコンロをたった1.4kgのボトル形状に抑えた「HOME & CAMPバーナー」を2019年7月に発売して大ヒットとなりました。

 

また、同社のアパレル事業も好調を維持しています。「都市と自然を行き来する服」をコンセプトに自然の中で必要な機能性と都市生活でのデザイン性を併せ持ったアパレルの提供に注力しています。

 

作業服等を展開する株式会社ワークマンは、アウトドア需要の拡大に適応すべく、普段着としても利用できる機能性ウェアを展開しています。また、虫よけが可能なウェアやアクティブな動きにも対応するパンツ、防寒ジャンバーやアスレシューズなどを提供しており、昨今のアウトドア需要の高まりを受け、製品の充実を図っているのです。

 

ホームセンターを展開する株式会社カンセキは、アウトドア専門店「WILD-1」を展開しています。アウトドア需要の増大に対応するため、売り場を次々にリニューアルするほか、消費者の声を反映したプライベートブランドも展開するようになりました。

 

こうした状況を踏まえて同サイトでは、IT化やデジタル化の進展に伴い「人間本来が持つ自然回帰の欲求」が今後も高まってゆき、日本のキャンプ人口は約7%であることからも、「アウトドア用品市場の成長余地はまだまだある」と分析しているのです。

 

 

2 アウトドアビジネスへの参入メリット

アウトドアビジネスへの参入メリット

 

ニューノーマルな暮らしへと進む中で、これからアウトドアビジネスへ参入する場合のメリットについて説明しましょう。

 

 

2-1 新生活様式への対応

 

社会のデジタル化、働き方改革や新型コロナなどにより人々の生活が大きく変わり始め、余暇のみならず日常生活の過ごし方が変容してきたことでアウトドアビジネスに関するニーズが増大しつつあります。

 

たとえば、感染対策でリモートワークの普及が一気に進み、自宅のみならずリゾート地などの遠く離れた場所で業務に従事する働き方も見られるようになりました。昼間は施設等で業務を行い就業後は滞在付近を散策するような過ごし方が増えているのです。

 

ほかにも滞在場所を変えながら仕事を行うノマドワーカーが世界的に増大しており、日本でも旅行やキャンプなどを楽しみながら働く方が見られるようになってきました。

 

また、感染防止として3密が要求される中で、余暇の楽しみ方として、アウトドアでのレジャーやスポーツ等が注目されその利用が増大しています。特にハイキングやキャンプなどの軽めのライトアウトドアを始める方が増えてきたのです。

 

今後はこうしたアウトドアとかかわる生活が日常として定着する可能性は高いです。日本のキャンプ人口などはまだ少ないため、アウトドア分野でのビジネスチャンスは小さくありません。

 

 

2-2 アウトドアビジネスの拡大に便乗

 

同分野への参入者は増加して市場全体の裾野が拡大しているため、現在にはその波に乗れるチャンスがあります。

 

キャンプ分野では、初心者などが気軽にキャンプを始められるような商品・サービスの提供が増えました。たとえば、テント、マットやチェアなどのキャンプ用品を貸し出すレンタルショップ、調理器具・食器類、自転車等の中古品を販売するリサイクルショップ、小型の用品を中心に低価格で販売する100均ショップ、などです。

 

もちろん以前からの専門店でも品揃えの拡大に加え、プライベートブランドを展開したり、専門性を強化したりする事業者も少なくないです。また、大手用品店などでは都心に旗艦店を設けて顧客の裾野を広げようと開拓に注力していることも見られます。

 

施設については、グランピング(Glamping)が注目されるようになってきました。グランピングはグラマラス(豪華な)とキャンピングを掛け合わせた造語で、テント設営や食事の準備などが用意されたキャンプ形態であり、キャンプ初心者などが気軽に贅沢なキャンプを楽しめます。

 

ユーザーに付加価値の高いサービスを提供するグランピングは大きな収益が期待できるため、この形態で起業する方が増えているのです。一般社団法人全国グランピング協会が2022年1月のニュースで「2023年までに、新たに200施設以上の開業が見込まれている」と報じており、その参入者の勢いが確認できます。

 

以上のようにアウトドアビジネス市場には、起業して成功するための波に乗るチャンスが拡大しているのです。

 

 

2-3 好きな事や趣味を仕事に

 

起業家の起業理由の中で、「自分の好きな仕事をしたい」とする理由が常に上位にランクされますが、アウトドアビジネスでも同様のことが言えるでしょう。

 

労働者にとっては、自分が好きなことや趣味としているものに関連した仕事に従事できることが理想であり、それを自分の事業として営むことは働く者の一つの夢と言えるでしょう。

 

アウトドア分野では、キャンプ、登山、ハイキングなどのほか、ラフティング、サイクリングやキャニオニングなどの野外スポーツ、などを楽しむ人口が増えており、それに関連するビジネスは今まで確認してきた通り拡大しています。

 

アウトドア分野と直接関係を持っていなかった既存の物販やサービスを営む事業者が趣味である当該分野へ進出したり、個人が独立して参入したりするケースも多く見られるようになってきました。また、アウトドアの経験豊富な方がアウトドアスクールを運営するという起業なども増えています。

 

つまり、この分野で起業したり、他の業界の会社で働いていた者がこの業界に転職したりできるチャンスが広がっているわけです。「将来は、好きなキャンプ関連の仕事をしたい!」と考えている方にとって、今が絶好の機会になり得るのではないでしょうか。

 

 

2-4 スローライフと仕事の両立

 

アウトドア施設の運営のほか、施設内の販売やサービスの担当者、サービスのインストラクター、などとして従事すれば、自然に囲まれながらのスローライフと仕事の両方を実現できます。

 

昨今、地方への移住や二拠点生活を検討している人が増えてきました。たとえば、2018年10月に調査された「東京都在住者の今後の暮らしに関する意向調査」(P19)の結果によると、東京都から移住予定または移住を検討したいと思っている人は、38.4%(n数1440)を占めています。

 

移住したいと考えている人の理由(P22)としては、「出身地であるから」(36.2%)が最も高く、「スローライフを実現したいから」(31.9%)が続きます。

 

ほかには、「食べ物や水、空気が美味しいから」(23.2%)などのほかに、「健康的な生活がしたいから」(17.4%)、「自分に合った生活スタイルを送りたいから」(16.8%)、「趣味を楽しみたいから」(13.8%)などが多くなっています。

 

つまり、スローライフ、健康的、自分に適したライフスタイル、趣味、など健康的で楽しめる生活を送りたいという人が多いことが分かります。移住等を実施する時期としては定年退職前後を考えている人が多いようですが、なかには「仕事と生活のどちらも充実させたいから」(8.0%)と考えている方も一定数存在します。

 

今後は働き方改革の推進や新型コロナの影響等により二拠点生活や地方での勤務などに興味を持つ労働者や企業が増える可能性は低くありません。そして、彼らにとってその地域のアウトドア関連の施設やサービス等の存在は、生活を豊かにする要因となるため重要です。

 

そのアウトドア施設に関連した仕事に従事できれば、自身もスローライフを楽しみながら仕事と生活の両方を充実できるでしょう。

 

 

3 アウトドアビジネスの起業例と成功のポイント

アウトドアビジネスの起業例と成功のポイント

 

アウトドアビジネスでの起業例を紹介し、その成功ポイントを説明しましょう。

 

 

3-1 キャンプ版エアビーの運営

 

Forbes Japanの「『キャンプ版エアビー』で米国のアウトドアを変えた29歳CEO」の記事やHipcampのコーポレートサイトなどから上記事業を説明します。

 

●企業概要

 

  • ・企業名:Hipcamp
  • ・所在地:米国カリフォルニア州サンフランシスコ
  • ・創設:2013年
  • ・事業概要:個人の土地をキャンプ場として利用するための予約サイトの運営(キャンプ場版のAirbnb(エアービーエヌビー)と言われている)

 

●起業のきっかけ

 

Hipcampの創業者でCEOのアリッサ・ラヴァシオ氏は、子供のころからキャンプが好きな人でしたが、起業のきっかけはカリフォルニア州ビッグサーへ行ったキャンプの経験です。

 

彼女はこのキャンプ地の近くにサーフポイントがあることを知っていましたがサーフボードを持って来なかったため、サーフに関する当地の情報をもっと調べるべきだったと後悔しました。また、その際に関連する情報を収集できるWEBサイトがあったら便利だと思いつき、それが同社の出発点になったのです。

 

●アウトドアビジネスの特徴

 

同社のビジネスの特徴は、個人が所有している土地をオンライン予約してキャンプ場として利用できるようにするサービスの提供です。つまり、自宅などの不動産を所有している人が、それらを宿泊施設として他者に貸し出すサービスを提供するAirbnbのような事業と言えます。

 

同社は自分の土地をキャンプ場として使用して欲しいという人を募集し、それらをキャンプ場として利用したい個人等へのマッチングサービスを始めたのです。

 

そのマッチングを効果的にするために、同サイトでは様々な情報を入力することで個人が望むキャンプをより実現しやすくなるような検索システムを提供しています。

 

たとえば、行ってみたい場所・地域、行きたい日・時期(今夜、週末等)、キャンパーバンのレンタル、HOT TUB、グランピング、リバーサイトのキャンプサイト、キャンプファイア可能なサイト、ドッグフレンドリー・キャンプ、ビーチ・キャンプ、湖畔地域、など多様な情報で検索できます。

 

また、利用料金、予約日、キャンプのタイプ(キャンプ、グランピンキャンプ、テントの持ち込み)等を選択すると、候補地とともにトイレ・シャワー、Wi-Fi等の付帯情報が表示され、比較して選べるようになっているのです。

 

新型コロナの影響によるロックダウン等によりキャンセルが増大し利用者が大きく減少しましたが、感染拡大の減少と経済活動の再開に伴い利用者は大幅に回復しています。

 

●成功のポイント

 

以下のような点が挙げられるでしょう。

 

・好きなコト、興味のあることがビジネスチャンスを見い出す

アリッサ・ラヴァシオ氏はキャンプが好きでよく行っていますが、そのキャンプについての疑問や要望が同社ビジネスの種になりました。

 

たとえば、都会の近郊にある人気の国立公園では、週末などは滞在者で込み合うことが多いですが、米国の土地の半分以上は個人の所有地です。そのためそこが利用できればキャンプやレクリエーション等に活用でき、公有地の自然保護等にも役立つはずと同氏は気づきました。

 

どのビジネスでも同じことが言えますが、対象となる事業について広く深い興味を抱き、様々な要望や問題を認識することがビジネスの出発点に繋がります。

 

・起業するための必要な要素(資源等)を把握しビジネス化を進める

アリッサ・ラヴァシオ氏は同社のビジネスモデルを具現化していくために、そのコアとなるマッチングシステムの構築が必要と考え、コーディング・ブートキャンプ(WEB開発のトレーニング・プログラム)に参加し簡単なデータベースを作りました。

 

そして、共同創業者となる人材を確保する、出資を受ける、他のキャンプ場予約サイトを買収する、などに取組み事業を拡大させました。

 

・多様なニーズを充足するための情報提供

事業を拡大させるためには、利用者の増大を図ることが重要になりますが、そのためには利用者の幅広いニーズに応えることも必要です。同社の場合、キャンプ等を楽しみたいユーザーが自分にとって最も欲しい情報や、今まで気付いていなかった情報等を提供することで、ユーザーの満足向上に繋げています。

 

そのため同社はユーザーが欲しいと思うキャンプサイトの情報を様々な角度から分析して集め、検索して比較の上検討できるシステムを構築したのです。

 

 

3-2 脱サラによるオートキャンプ場の運営

 

黒坂オートキャンプ場のWEBサイトやnote.comに掲載された「【キャンプ場インタビュー♯6】黒坂オートキャンプ場」などから上記ビジネスを説明しましょう。

 

●企業概要

 

  • ・企業名:株式会社クロスロープ
  • ・所在地:山梨県笛吹市境川町大黒坂
  • ・事業概要:黒坂オートキャンプ場の運営

 

●起業のきっかけ

 

クロスロープ社の角田竜満社長は大学生の頃に、実家がキャンプ場を経営していたこともあり、アウトドアやキャンプにかかわる仕事をしたい、業界を知りたいと考え、インターンとしてアウトドア事業(アプリ・メディア・広告・web制作等)を営んでいるスペースキー社に勤務しました。

 

同社長のスペースキー社での仕事は、キャンプ場の検索・予約サービス「なっぷ」のページ作成やクチコミ審査などでしたが、それらの仕事を通じてキャンプ場業界の状況を把握できるようになったのです。

 

各キャンプ場のこだわりや想い、ユーザーの要望や不満などを認識するとともに、組織的・合理的な運営で大きな収益を確保しているキャンプ場が存在していることなどを同社長は理解されました。

 

このようなアウトドア業界の現状把握を通じて、同社長はキャンプ場業界に参入するタイミングは「今がベスト!」と考え、キャンプ場経営を決断したのです。

 

●アウトドアビジネスの特徴

 

角田社長が運営している「黒坂オートキャンプ場」には以下のような特徴が見られます。

 

・立地の良さ

同キャンプ場は車で東京都から90分でアクセスできる山梨県笛吹市の標高500mの山間にあります。当地は甲府盆地を一望できる景観が魅力で、特に夜景が絶景です。

 

車で10分~30分で行ける範囲には、「寺尾の湯」などの温泉が多数あり、日帰り温泉を楽しむことができます。また、近くにはスーパーマーケット、肉屋、コインランドリーやキャンプ用品店などもあり、キャンプに必要な食料や道具などを直ぐに入手できて便利です。

 

ほかにも子供が楽しめる「金川の森公園」「リオスフィッシングパーク(室内釣り堀)」「山梨県立科学館、愛宕山こどもの国」などがあり、キャンプ以外でのレジャーも堪能できます。

 

また、同キャンプ場は山間部の森の中にあって豊かな自然が魅力ですが、夏場はクワガタも多く生息し、昆虫に興味のある子供には多くの思い出をつくれる魅力的な場所になるでしょう。

 

・キャンパーの多様なニーズに対応できる多彩なサイト

同キャンプ場には、幅広いユーザーのキャンプライフに対応できるサイトが用意されています。具体的には、林間サイト、プライベートサイト、夜景サイト、自然満喫サイト、プライベート夜景サイト、スーパープライベートサイトなど計8サイトです。

 

また、施設も充実しており、第一キャンプ場ではシャワーの利用が可能で、トイレはすべて洋式です。第二キャンプ場は洋式トイレと和式トイレがあり、シャワーは設置されていないですが、歩ける距離に第一キャンプ場がありそのシャワーが利用できます。なお、炊事場では温水が利用でます。

 

・自然体験を通じて幸せになれるキャンプ場の運営

同キャンプ場は、さつまいも掘りや伐採体験などのイベントを開催し、ユーザーが楽しみながら自然と触れ合える体験を提供しています。クワガタ採集では、クワガタの生体や取り方などをレクチャーするガイドを行っており、クワガタや環境を守りつつ適正な取り方を支援しているのです。

 

ほかにも、自然の材料を使った工作教室、ピザづくり、田舎自然体験のほか、マジックショーや紙飛行機イベントなどが開催されています。

 

●成功のポイント

 

・ユーザーやキャンプ場業界の状況把握

ビジネスを行う上でターゲットのニーズを反映した事業を展開することは基本ですが、それに加えて同業者や業界に関する問題や長所などを把握してそれを事業に反映することが成功に結び付きます。

 

角田社長はスペースキー社でのインターンとしての業務経験を通じてユーザー側とキャンプ側の両方の情報を得ることができました。ユーザー側からは彼らが欲するサービスや施設およびそのあり方など、キャンプ側からは効率的で儲かる運営方法などを社長は学ぶことができたのです。

 

ユーザーが何を求めているかを把握して、それをキャンプ場運営に反映させるだけではなく、どうすればそれを合理的な運営として実現できるかという考えが経営に活かされています。

 

・ユーザーが求めるキャンプ場の運営

角田社長はインターンでの業務で、ユーザーには設備に関する要望が多いことに気づき、それを黒坂オートキャンプ場の運営に反映させています。たとえば、「トイレがきれい」や「炊事場がきれい」などの意見が多いため、同キャンプ場では洋式トイレや温水が利用できる炊事場等を設置されているのです。

 

第一キャンプ場ではシャワー室が利用できるほか、周辺施設として日帰り温泉やコインランドリーなども紹介しています。

 

・差別化できるキャンプ場の運営

ビジネスではユーザーニーズに応えるとともにライバルに勝てるビジネスシステムを作り実施することが重要です。同キャンプ場は、自然に恵まれ夜景を含めて景観が優れているなどの大きな利点がありますが、これだけでは他のキャンプ場との差別化としては十分とは言えません。

 

ユーザーから選ばれ支持されるキャンプ場になるためには、他の場所と比べた違いが必要であり、現代においてはユーザーに感動体験を提供することが大きな強みになります。

 

黒坂オートキャンプ場では、様々なイベントが開催されており、ユーザーが自然に触れながら感動体験できる機会が多く設けられているのです。クワガタ採取、工作教室や田舎自然体験などのほか、地域の周辺施設等の利用を促し、多くの体験を提供できるように運営されています。

 

 

3-3 アウトドア用品のレンタル・メンテナンス事業の運営

株式会社そらのしたのコーポレートサイトおよびCAMPFIREサイトのプロジェクト紹介記事(「世界に誇るキャンプ・登山用品のメンテナンス会社を目指して、修理(リペア)技術開発」より上記事業を紹介しましょう。

 

●企業概要

 

  • ・企業名:株式会社そらのした
  • ・所在地:山梨県富士吉田市上吉田東
  • ・事業概要:アウトドアギアのレンタル業務・クリーニング業務

 

●起業のきっかけ

 

同社社長の室野孝義氏は、29歳の時にキャンプ用品や登山用品のレンタル業を立ち上げました。

 

同社長は会社員時代に有給休暇を利用してソロキャンプなどを楽しんでいましたが、当時ではテントを購入する前のお試しとして利用できるレンタルがなかったとのことです。登山テントなどは何万円もすることもあり、「レンタルがあればよいのに!」と思い、室野社長はアウトドアギアのレンタル事業を始めました。

 

また、現在ではアウトドア用品のメンテナンスサービスまで展開されています。そのきっかけは、レンタル品に対するユーザーからの「きれいな商品を貸出ししたとき、すごく喜んでもらえる」という声(手紙)の多さです。

 

そうした声に応えるために同社はアウトドア専門クリーニングや撥水加工サービスなどを展開するに至っています。

 

●アウトドアビジネスの特徴

 

同社の事業の特徴は以下の通りです。

 

・アウトドアギアのレンタル事業

キャンプ初心者などには、どのようなキャンプ用品をどの程度揃えたらよいのか、目的に合った用品は何か、といった悩みや不安がありますが、そうした問題をレンタル商品として提案し解決するのが同社のレンタル事業の特徴と言えるでしょう。

 

単にアウトドア用品の種類ごとにレンタル商品を用意して提案するだけでなく、キャンプ用、登山用(富士山登山セット)、フェス用、ソロキャンプ用、春秋等の季節用、などの用途・使用場面などに合わせたユーザー目線の商品ラインアップが特徴です。

 

また、レンタル品はクリーニング等に注力して綺麗な状態で提供しており、ユーザーから支持されています。

 

・アウトドアギアのクリーング事業

この事業内容は、テントのクリーニングのほかに、テントの修理・リペア・カスタマイズ、一時保管、などです。

 

クリーニングのコースとしては、サイズ・タイプごとに、「デラックス」、「エコノミー」と「乾燥・拭き清掃」の3つが用意されており、テントの状態やコストなどから要望に合った選択ができます。

 

・クリーニング&撥水加工サービスの「ドロップルーフ」事業

ドロップルーフとは、アウトドアで使用する、レインウェア、テントなど、撥水加工が施されている製品を、最適にクリーニングした上で、減少した撥水性を回復させるための「弾水コーティング」を施すメンテナンスサービスになります。

 

アウトドアで使用されたレインウェアやテントなどにおいては、雨水による泥、人体からの汗や皮脂等による汚れのほか、使用による生地の摩耗などで撥水性が低下しやすいです。この撥水性の低下が、レインウェア等が保有する機能・性質を低下させるため、ユーザーの怪我や事故の原因になりかねません。

 

ドロップルーフによりテントの撥水性は回復し、長期に渡って利用できるようになるため、ユーザーはより快適なアウトドアライフを楽しめるようになります。

 

・アウトドア用品中古販売「キュートレック」事業

「プロがメンテナンスして安心して購入できる場所」として、中古品販売の「キュートレック」が設けられました。

 

中古品販売においてもクリーニングとメンテナンスに注力されており、ドロップルーフした中古品なども用意されています。

 

●成功のポイント

 

・好きなコトの中にある疑問や問題点をビジネスアイデアへ発想

室野社長は趣味のキャンプを行う中で用品のレンタルがないという疑問を抱き、それが同社のレンタル事業のきっかけになりました。

 

ないのが当たり前である場合、商品等を提供する側はその問題やニーズに気づかないケースが少なくありません。実際に自分がユーザーとして取組んでいる、利用している場合に、その疑問を認識できることがあります。そして、その認識が起業の出発点となり、事業の成功に繋がるのです。

 

・ニーズへの対応と他社との差別化

女性や初心者など、ターゲットを明確にして彼らのニーズに応えられる商品ラインアップや価格設定などを含め、他社との差別化が同社の強みになっています。

 

アウトドア初心者や山ガールなどお金のゆとりが少ない方、お財布のひもが固い方でも利用しやすい価格設定や、登山用、キャンプ用、フェス用などわかりやすいセット商品の設定、が行われており、それが購入を促す仕組みとなっているのです。

 

単に商品を揃えてWEBベージに掲載するだけでは、どう選んだらよいかという悩みの解決には至りませんが、同社の場合その選ぶ方法がユーザー目線で分かりやすい設定になっており支持を得ています。

 

・販売方針を具現化するWEBサイトの構築・運用

同社は創業当初からレンタル事業用のWEBサイトを構築・運用していますが、デザインが優れているだけでなく上記の商品ラインアップをわかりやすく魅力的に掲載している点が特徴です。

 

インターネット通販が当たり前になっている現代において、WEBサイトの内容と運用のあり方は業績に直結しますが、単なる品揃えをアピールするだけでなく、上記のような販売方針に沿ってサイトを構築・運用することが求められます。

 

利用したいシーン、時期、用途などに合わせたセット商品などを、わかりやすく購入してもらいやすくする構成や仕組みの導入が重要です。

 

・更なる差別化や発展のための取組

アウトドア用品のレンタル事業にも参入者が増加し競争も厳しくなり他社との差別化が必要となったため、同社はクリーニングとメンテナンスの分野へ注力されました。

 

起業した際の事業もやがて成長が鈍化する、競争が厳しくなる、といった状況に陥るケースは多いですが、そこから脱却するためには、新たな差別化戦略や新規事業戦略を取ることも必要です。

 

思い入れのある事業でも内容に変化や新しい視点を加えないと、やがて競争力が低下することになり得るため、その前に新たな手を加えることが求められます。

 

 

4 アウトドア分野で起業・会社設立する際の事業の進め方

アウトドア分野で起業・会社設立する際の事業の進め方

 

アウトドアビジネスを代表する、キャンプ場運営事業とアウトドア用品販売事業の分野で起業・会社設立する場合の事業の進め方等に関するポイントを説明しましょう。

 

 

4-1 キャンプ場運営事業の重要点

 

キャンプ場施設事業を行う場合、以下のような点が重要になります。

 

  • ・立地特性を反映した運営タイプの決定
  • ・用地の選定と取得要件の整理(取得可能かの判断等含む)
  • ・運営コンセプト(事業コンセプト)の決定
  • ・運営体制や組織体制の確立
  • ・用地や建物等の確保や整備
  • ・人員の確保と運営に関する訓練
  • ・プロモーション戦略の設定と実施

 

こうした点を踏まえ起業・進出する場合に特に注意しておきたい点を説明しましょう。

 

1)運営方針の検討

キャンプ場経営を始めるあたっての重要事項としては以下のような点が挙げられます。

 

●宿泊施設のタイプ

たとえば、以下のようような視点で宿泊施設の方針を検討することが重要です。

 

  • ・キャンパーのみ立ち入ることが可能な野営サイトや、車も入れるオートサイト、などのサイトのタイプや内容
  • ・安くて簡易に利用できる、価格は高めだが付帯サービスが伴う、など価格・サービスの内容
  • ・交通アクセス、景観、海・山・川・湖等の自然、温泉・観光名所等の周辺スポット、感動体験を提供するイベント開催、などの強みの内容
  • ・ゆったり・のんびり、家族団らん、他のキャンパーや地域住民等との交流、自然との触れあい・楽しみ方、などキャンプ場での過ごし方の内容

 

こうした内容について、対象ユーザーや競合する他のキャンプ場の状況を踏まえて検討しなければなりません。

 

2)施設タイプの決定

 

たとえば、テントサイトと駐車スペースが分離された一般的な「野営サイト」と、テントサイト内に車を乗り入れ駐車が可能な「オートサイト」(オートキャンプ場)にするかの決定が必要になります。

 

一般的な野営サイトは1990年代のキャップブームで急増しましたが、現状では減少傾向にある一方、オートサイトの近年における増加は著しいです。

 

上記野営サイトは、車の駐車はできないものの、空いている区画に自由設営できるほか価格もオートキャンプよりも安いため初心者キャンパーでも気軽に始められるというメリットがあります。一方、オートサイトの利用料金は高めですが、近くに駐車できるため、人やモノの移動が楽で家族連れなどに人気です。

 

キャンプ場経営者にとっては、一般的な野営サイトはオートサイトより小さい運営区画の確保で済むため、土地代の費用は少なくなりますが、利用料が低いためより多くの利用者の確保が重要になります。オートサイトは前者より投資や運営コストが大きくなる可能性が高いですが、利用料が高いほか利用者の増加が期待しやすいです。

 

利用者の確保については、そのサイトの立地やサービスなどの内容で異なってきますが、各施設の基本的な特徴を理解しておくことが欠かせません。もちろんどちらか一方の選択ではなく、両方のサイトを併せ持つタイプの選択もあります。

 

また、キャンプサイトにロッジ、コテージ、バンガローなどの山小屋のような建物を設置して宿泊サービスを提供する運営者も増えてきました。先に紹介したグランピングもその一つです。

 

このようにどのようなサイトや施設のタイプを選ぶかによって事業の成否が左右されるため、自分の好みだけでなく現在と今後のニーズ、立地・施設・強み・資金などの点も踏まえた検討が求められます。

 

3)ターゲットとニーズの選定

 

アウトドアビジネスでもターゲットとそのニーズに対応したビジネスの仕組みが必要です。

 

キャンプ場運営事業の場合、対象とするキャンパーやこれからキャンプを始めてみようと思っている方が、どのようなキャンプを望むか、の内容に合わせてビジネスの仕組みを作っていく必要があります。

 

そのためには、キャンプに関する様々の調査結果を確認し、キャンパー等の様々なニーズを把握しなければなりません。たとえば、ソトレシピ総研の『キャンプトレンド調査2021』などが参考になるでしょう。

 

この調査では400人に対して「キャンプ歴」が確認されていますが、その約3割が「1年未満」と回答しており、キャンプの初心者層が多いことが窺えます。

 

キャンプを始めた理由では、「3密を避けたレジャーであるから」が大多数ですが、「車で移動するから」の理由も多いです。つまり、車の移動が便利な立地であったり、車でサイトまでは入れたりする施設が好まれやすいことが予想できます。

 

また、「コロナ禍でのキャンプ場選び」についての質問では、「自宅から近いキャンプ場を選ぶ」と「より自然に近い状態のキャンプ場を選ぶ」がほぼ同率で最多です。移動の近さに加えて自然に恵まれた環境が重視されていることが分かります。

 

また、アウトドアでの楽しみ方では、男女の違いによる楽しみ方、家族が望む楽しみ方、などを考慮することは重要です。キャンプの楽しみ方では、BBQ、ハイキング等、昆虫採集、農作物等の収穫、野外スポーツ、などを合わせて行いたいという方が少なくありません。

 

こうした対象ユーザーのレジャー・遊び等に関するニーズも踏まえて、ビジネスの仕組みを検討していきましょう。

 

4)キャンプ場の候補地の検討

 

ターゲット・ニーズを決定したら、そのニーズを満たすためのキャンプ場の候補地(施設含む)を検討する必要があります。

 

キャンプ場は広大な土地が必要となることもあり、また自社のコンセプトにより求める自然環境や施設等が異なってくるため、都会で物販等の店舗を構えるよりも難しいです。

 

とにかく誰を相手に、どのようなニーズに対して、どのような施設やサービス等で満足させるか、というビジネスコンセプトをベースとして、運営するキャンプ場の候補地を検討する必要があります。

 

手っ取り早い探し方としては、閉鎖されたキャンプ場のほか、運営しているものの閉鎖を検討している既存のキャンプ場などを候補とすることは有効です。実際、事業の不振や後継者問題などで閉鎖を検討している施設もあるため、探してみる価値はあるでしょう。

 

また、そうした施設の情報を提供するマッチングサイト(「アウトドア不動産ナビ」等)や後継者募集等の情報を提供している自治体などを利用することも重要です。

 

5)競争力のあるビジネスシステムの確立

 

事業の成功には、ターゲットのニーズを充足することを前提として、いかに事業に魅力や競争力をもたせライバルに勝っていくためのビジネスの仕組みを作ることが不可欠です。そのためビジネスコンセプトを具体的な業務内容に落とし込む作業が必要になります。

 

たとえば、「自然に恵まれた環境の中でゆったりとした時間を過ごせるキャンプ場」という漠然としたコンセプトであれば、そうした環境の地域に平凡な野営サイトを設けるだけの事業になりかねません。

 

しかし、この内容は、これまで多くのキャンプ場が経営してきたやり方で差別性や魅力に欠け、結果的に競争力は低くユーザーからの支持を得るのが困難になってしまいます。改善するには魅力や競争の概念を反映したコンセプトと、その内容に基づく仕組みを作り上げることです。

 

たとえば、「ゆったりしつつ、様々な体験を通じて自然を感じ楽しめる」というコンセプトにすることでビジネスシステムの内容を広げ、魅力的にすることが可能です。具体的には、キャンプ場やその周辺で以下のような教室やイベントなどを開催し、体験による感動を提供します。

 

  • 「カヌー教室の開催」
  • 「ラフティングやキャニオニング等の体験会」
  • 「ハイキングやオリエンテーリングの開催」
  • 「農作物等の収穫とバーベキューの提供」
  • 「陶芸体験」 など

 

また、遊びや楽しみ方の提供だけでなく、仕事に関するサービスの提供も重要です。たとえば、施設内でのWi-Hi環境や、企業向けの場合には会議室等の施設の完備、長期滞在者向けのシャワー室やランドリールームの設置、といったサービスの提供も魅力になるでしょう。

 

単にキャンプ場という場所を提供するビジネスではなく、そこでどのような楽しみを味わえるのか、過ごせるのか、という部分を膨らませてビジネスのコアにすることが重要です。

 

6)経営資源や資格・免許等の確保

 

キャンプ場経営には、広大な土地の確保や施設等の設置などで多額の資金が必要となるため、その必要額を正確に把握するとともに資金調達の手段も獲得しなければなりません。

 

自己資金だけでは賄いきれない可能性が高いため、魅力的かつ実現可能性の高い事業計画を作成することで金融機関から融資を受けたり、クラウドファンディングから出資を受けたりするなどの手立てを講じる必要があります。

 

また、他の業態などからキャンプ場経営へ事業転換する場合などには、国の「事業再構築補助金」や地方自治体の助成金などが利用できるケースもあるため、公募等がないかチェックしましょう。

 

なお、キャンプ場経営に伴い、林地開発や旅館営業に関する許可、食事を提供する場合の飲食業営業や酒類販売業の許可も必要となる可能性が高いため、自社で必要かどうか確認して必要な場合には速やかに取得できるように取組みましょう。

 

 

4-2 アウトドア用品販売事業の重要点

 

アウトドア用品・その中古品の販売やレンタルなどの事業を進める場合の重要点を説明します。なお、本事業の進め方は他の業界の物販事業の内容と大きな違いはありません。

 

1)差別化できるビジネスコンセプトの設定

 

アウトドア用品販売事業への参入者は増加しており、競争も激しくなりつつあるため、新規参入する場合は、既存の事業者との差別化ができるビジネスのコンセプトやモデルの考案が重要です。

 

ユーザーが欲する商品やサービスの提供であることが前提ですが、業界やユーザー自身も気づいていないニーズや問題などに着目し、それらを充足・解決するためのビジネスの仕組みを考案することが求められます。

 

そのためには「こんな商品やサービスがあったら便利じゃないか」「こんな情報を提供したらユーザーが喜ばないか」などを数多く発想し、多くのユーザーから聞けるかぎりの情報を入手することが不可欠です。

 

業界やユーザーの通常の動向のみに着目するのではなく、少数意見や珍しいユーザーの行動などにも注視し、現状のアウトドア業界の現状・動向を分析するなどして潜在するビジネスの種を見つけ出しましょう。

 

2)ユーザーとライバルを意識した品揃・販売戦略

 

一時期の登山ブームやキャンプブームの勢いは弱まっているものの、それでもピクニック・ハイキング、軽登山、ソロキャンプやオートキャンプなどを始めたいと思っている方も多く、それに伴い幅広い用品需要が存在しています。

 

そして、その需要に応えるため様々な既存の業態や個人などが今、アウトドア用品市場に参入してきています。こうした環境の中で個人などが同業界に進出して成功するためには、ターゲットとそのニーズを特定し、ライバルと差別化できる品揃えと販売の戦略が不可欠です。

 

アウトドア用品は、従来では登山用品専門店などの専門店のほか、総合スポーツ用品店などで主に販売されていましたが、現在ではホームセンターやディスカウント店、中古品はリサイクルショップ、レンタル品はレンタルショップで取扱われています。

 

衣料に関しては、上記専門店以外の総合アパレルショップなどで販売されているケースも少なくないです。こうした状況の中で勝ち残るには、限られた経営資源の中で対応できるターゲット・ニーズの分野を特定し、ライバルに勝てる戦略が必要になります。

 

たとえば、キャンプ初心者、高齢者層や女性などのライトアウトドアを楽しむ層を主なターゲットとした品揃えにする、といった方法です。そうした層の特徴(気軽に使用したい、あまりお金をかけたなくない、等)を掴み、それに合わせた品揃えが求められます。

 

販売方法もターゲットに対応した内容にすることが重要です。アウトドアにあまり知識や経験のない層を対象とする場合、用具の選び方を容易にするセット販売や、利用シーンを示した販売、などが有効になります。

 

なお、販売では実店舗とWEBでの販売が主流ですが、各々の特徴・利点を活かした販売方法が重要です。WEB販売が一般化してきていますが、実店舗の魅力も健在であり、両者を上手く活用する方法の検討が求められます。

 

また、販売では用具やアウトドアの活動などついての質問や相談に応えるアドバイザーとしての役割も必要です。こうした対応は実店舗だけでなくWEB販売でも重要となるため、両方において相談・サポート機能や情報提供機能は整備しなければなりません。

 

3)新たな付加価値の提供や差別化戦略の更新

 

アウトドア業界への参入者が増加する中で既存のビジネスが弱体化する可能性は低くないため、顧客に対して新しい価値を提供し、他社と差別化できる仕組みを取入れる不断の努力が必要です。

 

起業例のように「レンタルサービスに加えてクリーニング・メンテナンスサービスを提供する」といった新たな取組の導入が求められます。ほかには「お試しで利用できるサービス」「オリジナルブランドの立ち上げ」「中古品の買取および販売」「アウトドアライフを提案・体験する店舗」「アウトドア向け食事を提案する飲食店」などを展開する事業者が見られるようになってきました。

 

顧客のニーズの変化やライバルの動向などを常に注視し、既存の差別化戦略が弱まる前に新たな仕組みを導入しましょう。

 

4)顧客との関係構築と維持

 

開業後のビジネスにおいて「顧客との関係構築と維持」が重要となるのは、アウトドアビジネスでも同様です。これについては実店舗でもWEB店舗でもそのための取組は欠かせません。

 

実店舗にあっては、既存顧客の情報を収集・整理して販売員が各顧客の来店時にその情報をもとに接客し相談・助言を行うことが基本になります。情報はデータベース化し顧客の来店時にそのデータをタブレット等で直ぐに確認して商品提案などが繋げることが重要です。

 

WEB店舗ではアクセスした顧客の質問等に応じられるシステムに整備することが求められます。顧客情報のデータベース化を行い、それを活用した相談・提案が直ぐにできるシステムにしましょう。

 

もちろんSNSも使用して、自社の情報提供を行うとともに顧客とのコミュニケーションの向上に努めることが重要です。顧客との良好な関係は売上の確保のみならず、新たなビジネスの種の発見にも役立つため、その構築と維持に対する努力を疎かにしてはなりません。

 

 

5 まとめ

アウトドア分野で起業・会社設立の将来性と進め方

 

働き方改革や新型コロナの影響で人々はアウトドアの活動を重視するようになり、それを背景にアウトドアビジネスが注目されるようになってきました。今までにも登山やキャンプのブームが見られましたが、昨今の環境変化でアウトドアビジネスの可能性は拡大しています。

 

その結果、参入者が増加しており、当該分野で起業・会社設立して成功するのは簡単ではありませんが、拡大している業界に新た視点を加えたビジネスを展開できれば、チャンスも少なくないので、ユーザー目線とライバルとの差別化を意識することが大切です。


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