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  <    <  福利厚生制度を利用した会社と従業員トータルの各種節税策をご紹介

福利厚生制度を利用した会社と従業員トータルの各種節税策をご紹介

会社経営で悩ましいのが税金対策です。利益が出ても税金で3割程度持っていかれます。「役員や従業員が頑張って利益を計上してくれたんだから、彼らに還元したい」という経営者の方も多いのではないでしょうか。ただ、賃上げをすると従業員側の税金や社会保険料も増えてしまいます。
そこで今回は、従業員側の追加の税負担なく、実質的な給料増加に繋がり、会社側でも福利厚生費として費用計上できるような、各種福利厚生制度を用いた節税策についてご紹介します。

 

 

1 福利厚生制度を使った節税策の基本的な考え方

従業員に支払う給料を増額した場合、会社側が計上する経費の金額は大きくなりますので、会社の法人税等を計算する上での課税所得、つまり税金計算上の儲けは減少し、納める法人税等の金額は減少します。

 

他方、給料を受け取る従業員側を考えてみると、給与所得が増えますので、所得税・住民税が増加します。更にそれに加えて、厚生年金保険料・健康保険料などの社会保険料も増額し、手取額で言うと大きくは増加しません。また、保育料は住民税計算上の所得に連動して決定されますので、子育て世帯では保育料も値上がりする可能性があります。
せっかく従業員の給料を100増やしたのに、従業員側では手取金額は100にならないわけです。

 

そんな時に使えるのが各種福利厚生制度です。これから紹介する福利厚生制度を利用すると、会社側で計上する経費は増やすことはできますが、従業員側では給料とはみなさあれませんので、会社の支出が100%従業員に還元されると思っていただければ良いです。

 

これらの各種福利厚生制度は、役員や従業員にとっては、現物給与、もしくは実質的な現金支給の給与と言え、生活を豊かにしてくれるものであり、大きなメリットとなります。

 

他方、会社にとっては、これから紹介する各種福利厚生制度を整えることで、従業員の会社への満足度や勤労意欲、会社への定着率の向上を図ることができると同時に、役員や従業員の実質的な手取金額を変えることなく、支払う給料の金額を減らすことができます。この効果がとても大きいのです。この効果について少し詳しく説明させていただきます。
たとえば、毎月10万円のサービスを受けている従業員Aさんがいたとします。その10万円は、現在は自分のお財布から出しています。その10万円を得るためにはいくらの給料をもらわないといけないのでしょうか?答えは10万円ではありません。その方の年収にもよりますが、手取金額で10万円にするためには、おおよそ13万円ほどもらわないと手取金額10万円にはならないのです。

 

給料には所得税や住民税といった税金がかかりますし、それとは別に健康保険料や厚生年金保険料も掛かります。そのため、手取金額は額面金額から2~3割程度は減ってしまいます。

 

もしAさんが受けているサービスを、会社が福利厚生制度として用意し、現物支給した場合どうなるでしょうか。会社が、そのサービスを提供している事業者に10万円を支払い、従業員であるAさんにそのサービスを受けさせ、会社からAさんに支払う給料を13万円減らしたとします。Aさんにとってはこれまで自腹で支払っていた10万円のサービスを無料で受けられており、10万円を確保するために必要であった13万円ほどの価値があると言えます。他方、会社側は当該事業者に10万円支払うことで、Aさんには給料13万円分の価値のサービスを提供することができるので、3万円ほど節約できるということになります。厳密に言うと、社会保険料には会社負担分もありますので、会社が従業員に額面13万円の給料を支払う場合、会社の負担額はそれよりも多く、14~15万円ほどになります。これを10万円で済ませることができるのですから、大きな節約になります。

 

このケースでは、例として一個人を挙げましたが、これを全従業員を対象に行なうことで、従業員の生活水準や会社への満足度を下げないまま給料支払額を減らすことができるのです。

 

ここで給料を減らすと将来もらえる厚生年金額が減ってしまうではないかという反論が出てくるかもしれません。確かにその通りです。厚生年金は給料に比例してもらえる額が決まるので、将来もらえる年金額は減ってしまいます。ただ、現在の若者世代では何歳からもらえるのか不透明ですし、そもそも制度として続くのかすら怪しいと言われています。ですので、今回はその年金額については考慮外とします。

 

これからご紹介する各節税策には要件が定められており、それを遵守しないと基本的には役員報酬や従業員の給与と認定されてしまいます。そうなると、従業員側で追加の納税義務が発生してしまい、従業員に迷惑をかけてしまいますので注意が必要です。

 

 

2 具体的な福利厚生節税策12選

それではここから具体的な福利厚生制度を用いた節税策についてご紹介していきます。
これらの施策を開始する際には、福利厚生費として認められる要件をしっかりと確認し、それに合うような社内規程を整備する必要があります。実際に導入を検討される際は顧問税理士や顧問社労士などに確認するようにしてください。

 

 

2-1 役員社宅・従業員社宅

最初にご紹介する節税策がこちらの役員社宅・従業員社宅です。今回紹介する節税策の中でも最も効果が大きい節税策の一つです。
役員や従業員が住む家を会社名義にし、役員や従業員からは税法上定められている「賃貸料相当額」と呼ばれる一定の金額を受け取るようにします。
住む家を会社名義にする方法ですが、自己所有の家の所有権を会社に移す方法と、賃貸の住居の借主を会社にする方法があります。
自社所有とした場合、会社は社宅の減価償却費を経費に計上でき、役員および従業員は賃貸料相当額を会社に支払うこととなります。よって会社側では(建物の減価償却費-従業員から収受する賃貸料相当額)の分だけ課税所得を減らすことができます。

 

自社が賃借人となって、それを社宅として従業員に貸し付けた場合、会社は家主に支払う賃料を経費として計上し、従業員は賃貸料相当額を会社に支払うこととなります。つまり会社側では(家主に支払う家賃-従業員から収受する賃貸料相当額)の分だけ課税所得を減らすことができます。
この賃貸料相当額は、地域によって異なりますが、相場家賃の2~3割程度になると言われています。
では賃貸料相当額とはどのようにして算出するのでしょうか。役員社宅と従業員社宅で場合分けして説明します

 

2-1-1 役員社宅の賃貸料相当額

役員社宅についての賃貸料相当額は、役員に貸与する社宅の床面積により、小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け、それぞれ異なった計算式で算出されます。
ここで言う「小規模な住宅」とは、法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下である住宅を言います。一般的な広さの住宅であれば、そのほとんどがこちらの「小規模な住宅」に該当するのではないかと考えられますので、まずはこちらを押さえていただければと思います。

 

<小規模な住宅>

役員社宅の賃貸料相当額は以下の(1)~(3)の合計額となっています。

 

  1. (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  2. 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
  3. (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

 

<小規模な住宅以外の住宅>

自社所有の社宅か、他から借り受けた住宅等を役員へ貸与しているのかで、賃貸料相当額の算出方法が異なります。

① 自社所有の社宅の場合

次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。
イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%
ただし、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には12%ではなく、10%を乗じます。
ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%

 

② 他から借り受けた住宅等を貸与する場合

会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記(1)で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。

 

上記の算式で計算された賃貸料相当額を従業員が会社に支払っていれば、税務上問題はありません。ただし、その社宅が常識の範囲を超える豪華な社宅、いわゆる豪華社宅である場合は、上述の算式の適用はなく、通常支払うべき使用料に相当する額(相場家賃)が賃貸料相当額になりますので、節税メリットも福利厚生費としてのメリットも生じないのでご注意ください。

 

上記の算式の中で「固定資産税の課税標準額」に掛けられている数字を見ていただければ分かると思いますが、小規模な住宅の方が、それ以外の社宅よりも賃貸料相当額は小さくなる傾向にあります。ですので、この制度の効果をより大きく利用したい場合は、小規模な住宅を役員に貸し付ける必要があります。

 

では、賃貸料相当額を従業員から受け取らない場合、どうなるのでしょうか?
役員に無償で貸与する場合には、賃貸料相当額が役員給与として課税され、役員から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、賃貸料相当額と役員から受け取っている家賃との差額が役員給与として課税されます。
また、気をつけていただきたいのが、現金で支給される住宅手当や入居者が直接契約している場合の家賃を会社が負担した場合は、社宅の貸与とは認められず、全額が役員給与として、役員に所得税が課されます。契約形態をしっかり整えないとこの制度は使えないということです。

 

前述の通り、地域によって異なりますが、この賃貸料相当額は相場家賃の2~3割程度と言われていますので、残りの7割程度は現物給与となります。従業員としては安い賃料で住居を確保でき、会社としても従業員が安く住居を確保できる分、現金支給の給料を減額することを検討できます。

 

2-1-2 従業員社宅の賃貸料相当額

従業員社宅の場合の賃貸料相当額は、役員社宅の<小規模な住宅>のケースと同様です。つまり、以下の(1)~(3)の合計額となっています。

 

  1. (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  2. 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
  3. (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

 

ここまでは役員社宅の場合の小規模な住宅のケースと同じですが、給与として課税される場合が異なります。

 

従業員に無償で貸与する場合には、この賃貸料相当額が給与として課税されます。従業員から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額が、給与として課税されます。

 

しかし、従業員から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されません。
ですので、実質的には、従業員社宅の場合は、役員社宅の場合の<小規模な住宅>のケースの賃貸料相当額の1/2が、税務上問題が起らない、従業員から収受すべき最低家賃となると考えていただければ良いということです。

 

また、従業員社宅の場合も役員社宅の場合と同様に、現金で支給される住宅手当や入居者が直接契約している場合の家賃を会社が負担した場合は、社宅の貸与とは認められず、全額が給与として、従業員に所得税が課されますのでご注意ください。

 

2-1-3 賃貸の場合の固定資産税の課税標準額の入手方法

賃貸料相当額の計算に「その年度の建物の固定資産税の課税標準額」とか「その年度の敷地の固定資産税の課税標準額」という言葉が出てきます。自社所有であれば固定資産税の課税明細書などにこれらの課税標準額が記載されていますので、問題なく入手できるかと思います。
では賃貸マンションの場合、固定資産税評価額を入手できるのでしょうか?実は賃借人でも入手できます。
各市町村では、所有する土地や家屋の所在地、所有者、評価額などが記載された固定資産課税台帳を閲覧することができるようになっていますが、昔はその建物の所有者しか固定資産課税台帳を閲覧できませんでした。しかし、平成15年から賃貸借契約書などがあれば、賃借人も固定資産課税台帳を閲覧できるようになりました。

 

固定資産税評価額は3年に一度見直されますので、それに合わせて賃貸料相当額も見直す必要があります。古いままの賃貸料相当額で放置してしまうと、思わぬ形で給与認定されてしまいますのでご注意ください。

 

 

2-2 食事の支給(昼食の支給・残業食事の支給)

従業員の食事の支給を会社が行なうことによって、経費を増やし、かつ従業員に食事という課税されない現物給与を支給することができます。原則として、食事現物を会社が用意して、それを従業員へ支給し、会社が補助しても良い上限額を超える部分を従業員から徴収するという形になります。
食事の支給には、昼食の支給と残業食事の支給、深夜勤務者への食事代支給の3パターンがあります。

 

2-2-1 昼食の支給

役員や使用人に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。

 

  1. 役員や従業員が食事の価額の半分以上を負担していること。
  2. 次の金額が1か月当たり3,500円(税抜き)以下であること。

(食事の価額) – (役員や従業員が負担している金額)

 

この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や従業員の負担している金額を差し引いた金額が給与として課税されます。

 

2-2-2 残業食事の支給

残業や休日出勤、宿日直を行なうときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。この場合、現金ではなく、食事現物を支給する必要があります。また、最近早朝勤務をする従業員に対して食事を提供する会社が増えていますが、この朝食も残業食事の提供となることから、福利厚生費として処理して問題ないと考えられます。

 

2-2-3 深夜勤務者への食事代支給

上述の2つの場合は食事現物の支給が福利厚生費となる要件でしたが、こちらは例外的に現金での支給が認められています。
深夜勤務者に1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給することができます。深夜であるため、食事現物の準備が出来ないという配慮から、現金支給も特別に認められていると考えられます。

 

2-2-4 社内規程作成上の注意点

食事補助を行なうためには、社内規程を整備する必要があります。その際に注意していただきたいのが、特定の役員・従業員のみを対象とした制度になってはいけないということです。食事補助が役員・従業員全体への福利厚生施策の一環であることを明確にする必要があります。
特定の役員や従業員を対象とした制度になると、当該役員や従業員への給与となってしまいますのでご注意ください。

 

 

2-3 出張旅費規程の作成による旅費等の定額支給・出張日当の支払い

役員や従業員が出張した際、当然、交通費や宿泊費が掛かります。それに加えて日当を支給することも可能です。日当は交通費や宿泊費とは別に支給されるもので、出張することによって食事が外食にならざるを得なくなるなど、出張した役員や従業員の出費が増えてしまうことへの補填といった意味合いで支給されます。これらを利用することで節税が可能になります。

 

2-3-1 交通費・宿泊費の定額支給

交通費や宿泊費は実費精算している会社が多いかと思いますが、出張旅費規程で定めることにより、定額支給とすることも可能です。たとえば、大阪から東京に出張するとした場合、新大阪から東京駅までの新幹線指定席料金を定額で支給し、宿泊費は1日当たり1万円を定額で支給するといった形にすることが可能です。出張の多い会社で出張旅費を実費精算にすると、旅費精算の事務作業が膨大になることへの配慮から定額支給も認められていると考えられます。

 

この場合、出張者が仮に新幹線自由席に乗車したとしても指定席料金との差額を会社に返納する必要はありませんし、1泊8千円のホテルに泊まったとしても、1万円との差額2千円を会社に返納する必要はありません。
また、役職が上位の役員などは、グリーン車の使用や、一般従業員よりも高額な宿泊費を支給しても問題ないと考えられます。ただし、役職に応じてバランスよく設定する必要があります。一般従業員の宿泊費が1泊1万円なのに、社長は10万円というのでは合理的説明ができません。

 

2-3-2 日当の支給

前述の通り、日当は、出張で余分にかかった経費の補填という意味合いを持つため、従業員の給料とはなりません。そのため、出張した役員や従業員に対して日当を支給することで、会社は福利厚生費を計上して課税所得を減少させることができ、従業員は非課税の手当を受け取ることができます。出張の多い会社は、この制度を利用することで、かなりの節税が可能です。

 

これに関連して注意点があります。出張日当は経費の補填としての性質を持っているため、消費税の課税対象取引になるという点です。従業員が支出する食事代などの各種経費は課税対象であることが多く会社が補填しているため、課税対象取引となるわけです。これは消費税法上の課税事業者である会社にとってはメリットになります。消費税相当額を仕入税額控除できるわけですから、消費税の納税額も減らすことができます。

 

2-3-3 旅費規程を作成する上での注意点

旅費規程を作成する際、以下の点に注意する必要があります。

1. 適用範囲を全役員・全社員とする

特定の役員や従業員だけを優遇するような規程ですと、当該役員や従業員への給与として認定されますので、全役員・全従業員を規程の適用範囲にする必要があります。

 

2. 出張の定義を定める

なんでもかんでも出張として扱い、日当を多額に支給することには問題があります。社会通念上妥当な範囲を出張として扱う必要があります。一般的には、出張者の勤務する事業所から片道100キロを超える移動を伴うものを出張と定義している会社が多いです。

 

3. 出張報告の手続きを定める

実費精算とせず定額支給とする場合、出張としての実態があったことを書類を用いて説明する必要があります。出張者には出張報告書などを作成させ、上長の承認を得るなどの手続きとしておく必要があります。

 

 

2-4 人間ドック費用の会社負担

人間ドックとは、予防医学の観点から、自覚症状の有無に関係なく、定期的に病院に赴き、体の精密検査を受けて、普段気がつきにくい病気や臓器の異常などをチェックする健康診断の一種です。毎年定期的に受ける健康診断よりもかなり細かい検査になります。
従業員が受ける人間ドックに掛かった費用を会社が負担することで、会社は福利厚生費を計上して課税所得を減少させることができ、従業員は課税されずに人間ドック受診という現物給与を得ることができます。

 

2-4-1 規程作成上の注意点

従業員に人間ドックを受診させる際、特定の役員や従業員のみに受診させていた場合には福利厚生費として認められません。
では、役員及び従業員全員に受けさせなければいけないかというと、そういうわけではありません。たとえば、「40歳以上の役員および従業員」というように、年齢制限を設けることは認められています。
40歳以上に設定すれば、一般的に病気を発症しやすくなる年齢ということで、一般的な感覚とも合致し、役員・従業員も納得しやすいのではないでしょうか。

 

なお、通常の健康診断については、そもそも雇用主はその負担のもとで、従業員に定期健康診断を受信させる義務がありますので、ここでの記載は省略しています。

 

 

2-5 社員旅行・研修旅行

2-5-1 社員旅行

最近では減ってきましたが、1年に1回ほど、日ごろ頑張って仕事をしてくれている従業員の慰安のために、全従業員を連れて社員旅行を実施する会社があります。この社員旅行の費用を会社で負担することで、会社は福利厚生費を計上して課税所得を減少させることができ、従業員は課税されずに旅行という現物給与を得ることができます。
ただし、福利厚生費として認められる要件が定められていますので、どのような旅行でも良いわけではありません。具体的な要件は以下の通りです。

  1. 旅行の日程は4 泊5 日以内
  2. 参加する人数は社員の50%以上
  3. 旅行に参加しなかった社員に対して、その穴埋めとして現金を支給してはいけない

 

これらの要件を満たしていない場合、各従業員への給与と認定されてしまうのでご注意ください。また、1人当たりの金額も社会通念上妥当な金額の範囲である必要があります。あまりに豪華な社員旅行だと税務署から福利厚生のための旅行であることを否認され、給与として認定されるリスクがありますのでご注意ください。これらを考えると、実質的な選択肢としては国内旅行に限られるかもしれません。
なお、次のような旅行に係る費用は給与、交際費などとして適切に処理する必要があります。

  1. 役員だけで行なう旅行
  2. 取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行
  3. 実質的に私的旅行と認められる旅行
  4. 金銭との選択が可能な旅行

 

2-5-2 研修旅行

研修旅行が会社の業務を行なうために直接必要な場合には、その費用は給与として課税されません。しかし、直接必要でない場合には、研修旅行の費用が給与として課税されます。研修旅行の費用の中に、会社の業務を行なうために直接必要な部分と、直接必要でない部分がある場合には、直接必要でない部分の費用は、参加する従業員の給与として課税されます。
次のような研修旅行は、原則として、会社の業務を行なうために直接必要なものとしては認められませんのでご注意ください。

  1. 同業者団体の主催する、主に観光旅行を目的とした団体旅行
  2. 旅行のあっせん業者などが主催する団体旅行
  3. 観光渡航の許可をもらい海外で行なう研修旅行

 

 

2-6 資格取得費用・研修費用

研修を受けたり、資格を取得したりすることは、役員や従業員自身のスキルアップにつながりますので、それを会社が負担した場合、原則として給与となります。ですが、その研修で学べるスキルや、その資格が業務に必要な場合は、会社が負担したとしても給与にはならず、会社の経費として損金算入が可能となります。

 

この制度を利用する際に以下の点に注意する必要があります。

1. 研修や資格取得が業務に必要であることを説明できること

上述の通り、研修や資格取得が業務に必要であることを説明できなければなりません。ですので、たとえば、人事部に所属する従業員に簿記の研修費や簿記検定の受験料を会社が負担することは、その従業員の業務に必要とは言えないので、研修費としては認められず、給与となります。

 

2. 一部補助は給与扱いになる

研修費用や資格取得費用の2分の1とか20%を会社が負担するという補助制度の場合は、福利厚生費として認められず、当該従業員への給与となりますので注意が必要です。

 

 

2-7 忘年会や新年会などを会社経費で開催

職場での飲み会の回数はどんどん減ってきていると思いますが、1年に何度かは忘年会や新年会として飲み会を開いているのではないでしょうか。

 

それらの忘年会や新年会に掛かる費用は、従業員の慰安に行なわれるもので、通常要する程度の費用、つまり1人当たりの金額が常識の範囲内であれば福利厚生費として全額損金処理することが可能です。さらに、その忘年会や新年会でビンゴゲーム等を行ない、景品を出すような場合も常識的な範囲の景品であれば損金算入できます。ただ、この費用を福利厚生費として損金算入するためには条件があります。

 

条件というのは、当該忘年会・新年会の参加者として従業員全員を対象とすることです。役員のみの忘年会、部長クラスだけの忘年会などは福利厚生費として処理することはできず、交際費または給与となります。

 

なお、二次会については、福利厚生費としての損金算入は難しいと考えられます。二次会は、基本的には一次会参加者のうちの一部の方が参加するものであり、時間的にも遅い時間から開始されるため、家に帰らないといけない方も多く、全員を対象にしているという説明が難しいためです。

 

 

2-8 スポーツジムなどの法人会員になる

従業員の中には健康増進のためにスポーツジム等に個人で入会し、運動や筋力トレーニングに励まれている方もいると思います。それを会社が従業員に代わってスポーツジム等に入会し、従業員にそのジム等を利用させることができます。この制度を法人会員と言います。

 

スポーツジムに法人会員として入会すれば、その利用料を福利厚生費として損金に算入することが出来る場合があります。
損金に算入する条件としては、そのジム等を全ての役員および従業員が利用可能である状態にする必要があります。特定の役員や従業員のみが利用できるようであれば、役員給与または給与となります。

 

また、入会金については福利厚生費とはならず、資産計上する必要があります。ただし、会員としての有効期間が定められており、かつ、その脱退に際して入会金相当額の返還を受けることができないものとされているレジャークラブ等に対して支出する入会金については、繰延資産として償却することで、費用計上することができます。
また、スポーツジム利用に関する社内規程を作成し、その中で全ての役員および従業員が利用することができることを明示しておくことが望ましいと言えます。

 

 

2-9 創業記念品や永年勤続表彰記念品を現物支給

会社設立を設立してから10年目といった節目に従業員に創業記念品を支給したり、勤続10年目の従業員に対して表彰を行なって記念品を支給したりする場合は、一定の条件を満たしていればその従業員への給与として課税されず、福利厚生費として損金算入可能です。
ただし、記念品の支給や旅行や観劇への招待費用の負担に代えて現金や商品券など(換金性の高いもの)を支給する場合には、その全額が給与として課税されます。
また、本人が自由に記念品を選択できる場合も、その記念品の価額が給与として課税されます。

 

2-9-1 創業記念品を福利厚生費とするための条件

創業記念品を支給する場合に福利厚生費として損金に算入するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 支給する記念品が社会一般的にみて記念品としてふさわしいものであること。
  2. 記念品の処分見込価額による評価額が1万円(税抜き)以下であること。
  3. 創業記念のように一定期間ごとに行う行事で支給をするものは、おおむね5年以上の間隔で支給するものであること。

 

2-9-2 永年勤続表彰記念品を福利厚生費とするための条件

永年勤続表彰記念品を支給する場合に福利厚生費として損金に算入するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること。
  2. 勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること。
  3. 同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること。

 

2-10 慶弔見舞金を支給する

慶弔見舞金には、たとえば以下のようなものが含まれます。
社員への福利厚生の一環として、慶弔見舞金を支給し、それを福利厚生費として経費に計上することが可能な場合があります。

  1. 結婚祝い金(本人、本人の子供)
  2. 出産祝い金(本人、配偶者)
  3. 御香典及び御仏前(本人、本人の家族)葬儀用の花輪(本人、本人の家族)など。
  4. 災害見舞金(本人)
  5. 傷病見舞金(本人)

 

これらの慶弔見舞金を支給することで、人生の節目において会社が従業員の支援をすることになるため、従業員は会社に恩義を感じるようになり、勤労意欲の維持や向上、社員の定着が図られますし、節税の効果も得られます。

 

これらの慶弔見舞金を福利厚生費として損金算入するためには、社会通念上相当と認められる額、つまり常識の範囲内の金額の支給である必要があります。
また、予め慶弔見舞金規程を作成しておくことが望ましいと言えます。その規程に則って支給していることを明確にすることで、恣意性のない福利厚生制度であるという主張をしやすくなります。

 

更に、慶弔見舞金を支給する場合は、支給の原因となった事由を確認できる書類(結婚式の招待状、死亡届出書、入院の証明書、罹災証明書等)を従業員から提出してもらいましょう。また、会社側で慶弔見舞金受給申請書を用意し、必要事項を記入してもらってから提出を受けることも大事です。これらの書類を備えておけば、税務調査の際に、不正な支給が無いことを証明でき、調査対応がスムーズになります。

 

 

2-11 役員退職金の支給

退職金は支給した会社側では費用として損金に算入され、受け取った役員側では退職所得して所得税の課税対象となります。これまでご紹介してきた節税策では、役員側で所得税の課税対象にならなかったものなので、その点で異なります。しかし、退職金に関する所得税は他の所得よりも優遇されています。具体的には以下のようなメリットがあります。

  1. 課税所得の計算上、退職所得控除を控除できる。
  2. 退職金から、退職所得控除を差し引いた金額をさらに半分にした金額に課税される。
  3. 分離課税がされるので、他の所得があっても、低い税率が掛けられる可能性が高い

 

また、役員の退職金は一般的に支給倍率方式で算定されます。算式としては以下のようになります。

 

役員退職金=最終月額役員報酬×勤続年数×功績倍率

 

退任する役員の月額報酬額が大きい、もしくは勤続年数が長かれば、多額の退職金の支払いが認められますので、会社の所得を減らすことができ、節税に繋がります。また、支給倍率ですが、概ね3倍程度までであれば税務署に認められやすいと言われています。

 

 

2-12 法人保険への加入

会社が、その役員や従業員を被保険者とした保険契約の契約者となって保険料を負担した場合、支払った保険料を損金として計上することができる場合があります。損金に計上できる金額は、保険の種類や保険金の受取人が誰かによって異なります。

 

節税策としてよく使われる保険ですが、支払時の損金性ばかりが注目され、保険事故が起きた場合や満期を迎えて返戻金を受け取った場合に益金に算入される点についてはあまり着目されていません。仮に解約返礼率が100%だとすると、解約した時に結局、支払った保険料と同額の益金が計上されることとなります。つまり、保険は基本的には「節税商品」ではなく「課税の繰延商品」として認識する必要があります。

 

ただ、保険を上手く使うことによって、節税したり、税金支払いのタイミングを調整したりすることができます。これから便利な保険の利用方法についていくつか紹介していきたいと思います。

 

2-12-1 養老保険

養老保険は貯蓄と保障を兼ね備えた保険です。満期までに被保険者が死亡した(または所定の高度障害になってしまった)場合は死亡保険金が支払われます。仮に満期まで生存した場合には、死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れます。

 

この養老保険で、満期保険金と解約返戻金の受取人を会社に、死亡保険金の受取人を被保険者である役員または従業員の遺族とすることで、支払った保険料の半分を資産として計上し、残りの半分を福利厚生費として費用計上することができます。いわゆる「半損」と呼ばれる処理になります。この契約形態は「ハーフタックスプラン」と呼ばれています。

 

養老保険は貯蓄性の高い保険商品であり、退職金の資金確保の手段として優れています。また、養老保険の返礼率は高くなっていますので、支払時に損金に落としてきた保険料とほぼ同額の益金が満期時に計上されてしまいます。この益金が計上される年度と、退職金の支払いを同じ年度にすることで、保険解約による益金を退職金の損金で相殺することができます。養老保険を利用していなければ、退職金を支払う年度に多額の損金が発生してしまい、欠損金として繰り越してしまわないといけない可能性が高まります。ですが、その損金を少しずつ前倒しで計上することで、各年度の支払税額を平準化させることが出来ます。

 

ただし、支払保険料の半分を福利厚生費として損金に算入するためには、全従業員を加入させる必要があります。特定の役員や従業員だけを加入させた場合、当該役員等の給与となりますのでご注意ください。また、養老保険は資金が長期間固定化されてしまうので、経営が安定し資金にある程度余裕が出てから加入されることをお勧めします。
また、役員または従業員が亡くなって、その遺族が死亡保険金を受け取った場合、遺族の相続の課税対象となりますので、申告漏れが無いようにご注意ください。

 

2-12-2 法人契約の逓増定期保険を個人に名義変更する

逓増定期保険とは、契約後、保険期間満了までに保険金額が契約当初の金額から5倍まで増加する定期保険の生命保険を言います。満期保険金がない掛け捨ての保険ではありますが、解約返戻率が契約後早い段階で、一気に高率になることが逓増定期保険の特徴です。
この特徴を活かし、解約返戻率が低い段階で役員や従業員個人に名義変更し、その後解約返礼率が高くなった段階で解約すれば、当該役員や従業員は会社に支払った金額よりも高額の解約返戻金が受け取れるという仕組みです。

 

なぜこのようなことになるかと言いますと、税法上、保険の評価額は解約返戻金の額とされているためです。そのため、解約返戻率が一気に上がる直前に買い取る際は低い解約返戻金の金額で会社から個人に売却すれば問題ありません。そして解約返戻金が一気に上がった後に解約すれば合法的に会社から個人に資金を移せたことになります。

 

ですがこの方法にはリスクもあります。現在のところ実務上は認められている処理ですが、あまりにこの方法を使いすぎると、租税回避行為として税務上否認されるリスクもあります。また、税務調査において個別の事案を否認するのではなく、制度としてこの手法を禁止する法制度が作られる可能性も十分ありますので、今後の動向にご留意ください。

 

2-12-3 法人契約の医療保険を個人に名義変更する

病気になった際に病院や診療所で治療を受けることがありますが、その際には公的医療保険である健康保険等が医療費の7割を負担してくれます。ですが、ガンや内臓の疾患で入院・手術するとなると医療費が相当高額となり、公的医療保険からの給付だけでは個人負担が相当高額になるケースがあります。それを補うのが民間の医療保険です。所定の病気に罹って入院や手術をした際に給付金が出ます。

 

これを会社が契約し、役員や従業員を被保険者とすることができます。給付金の受取人を会社としておけば、医療保険の保険料は全額損金に算入することができます。
解約返戻金の無い医療保険に法人で加入し、それを個人に名義変更すれば、個人は対価を支払うことなく医療保険を自分名義に変更出来ます。これは、上述の逓増定期保険の欄でも説明しましたが、税法上、保険の評価額は解約返戻金の額とされているためです。

 

また終身医療保険では60歳や65歳の時点での保険料全額を払い込めるタイプのものもあり、会社で保険料全額を払い込んでから個人に名義変更すると、個人は保険料の負担なく医療保険の保障を得られるというメリットがあります。

 

 

3 まとめ

今回は福利厚生制度を用いた節税策を12種類お伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

 

これらの福利厚生制度は節税には繋がりますが、節税そのものが目的となってはいけない点にご注意ください。と言うのも、税金を減らしたいがために、従業員が利用しないような福利厚生制度を整備しても経営に貢献せず、その支出が無駄になるためです。たとえば、忘年会や新年会、最近はプライベートの時間を大事にされる方が増えてきました。「会社の方と飲み会なんて行きたくない」という方もいるでしょう。そのような方が従業員の中に多いにもかかわらず、節税に繋がるということで、忘年会や新年会を強行開催することは、逆に従業員の満足度を下げることに繋がります。

 

従業員にとって価値のある福利厚生制度を設計し、従業員の満足度、会社への定着率を上げつつ税金も減らすというのが理想の姿ですので、そうなるように、この記事を参考にしつつ、制度を設計してみてください。

 

 


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