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  <    <  起業や会社設立後にDXは必要?デジタル技術を活用した事業変革とは

起業や会社設立後にDXは必要?デジタル技術を活用した事業変革とは

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最近、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉をよく見聞きするようになったのではないでしょうか。そのDXとはデジタル技術でイノベーションを起こし事業を変革していくことを意味します。

 

IT化やデジタル化の進展で社会が大きく変わり、その激しい変化を伴うビジネス環境で企業が生き残り成長していくにはDXの導入が必要になってきているのです。今回は既存の企業や今から会社設立を行う企業などにおいてDXがいかに重要になるかについて説明します。

 

DXの特徴、注目される理由や事例などを紹介するとともに、アフタコロナ下でDXが成功や発展のカギになる点、DXの導入・推進の方法や注意点などを説明していきます。DXについて興味のある方、DXを起業や会社設立後などのビジネスに活用していきたい方は、参考にしてください。

 

 

1 デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

 

まず、DXの定義や主な特徴を確認していきましょう。

 

 

1-1 DXの主な内容

IT専門調査会社のIDC Japan株式会社は、DXを次のように定義しています。

 

「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」

 

DXは様々に定義されていますが、簡単にまとめるとDXは「新しいデジタル技術を活用して既存のビジネスから脱却するようなイノベーションを起こし事業を変革すること」と言えるでしょう。

 

「プロセスイノベーション」と「プロダクトイノベーション」

 

イノベーションは「プロセスイノベーション」と「プロダクトイノベーション」の2つに分けることが可能です。前者は製品やサービスの生産や作業の工程などのプロセスの変革を指し、業務の効率化による時間短縮やコストダウン、品質向上などをもたらし競争優位を獲得するタイプと言えます。

 

後者はこれまでなかった独創性や先進性のある新製品や新サービスを創出して競争力を獲得するタイプです。

 

従って、DXも質的にはプロセスイノベーションとプロダクトイノベーションのタイプに分かれます。前者のタイプとしては、既存のビジネスに対してデジタル技術を活用し高度化や省力化して競争力を向上させるようなタイプになります。

 

具体的には製造業や建設業の現場などでIoT(Internet of Things:モノに通信機能をつけインターネットに接続・連携させる技術)やAI(人工知能)を活用して納期短縮やコスト削減を図り競争力を高めようとするタイプです。

 

後者のタイプでは、まったく新しい製品・サービスをデジタル技術によって創出し新ビジネスを展開するようなタイプになります。

 

DXのビジネスへの利用という点では、上記の各2つの領域でビジネスを展開するタイプや、それらのビジネスが遂行できるプラットフォームの提供といったタイプなどのDXが発展しつつあります。

 

 

1-2 DXの事例

DXの事例

 

具体的なDXの事例で確認してみましょう。

 

①Amazon

DXの成功例の代表はAmazonのビジネスです。ECサイトであるamazon.comは、インターネット上で商品を売買できるプラットフォームを構築し、利用者が好きな時に好きな場所で好みの商品が注文できるという購買形態を消費者に提供しました。

 

このビジネスモデルは消費行動を大きく変容させたほか、店舗販売が中心だった小売業界のビジネスモデルも変容させていったのです。

 

このプラットフォームでは単にネット上で買物ができるだけでなく、利用者の購買行動を分析するAI、利用者目線に徹したユーザーインターフェイス(UI)、購買を促すレコメンデーション機能やカスタマーレビューなどを導入して同社の収益を世界的に拡大させました。

 

②Uber

米国のUberの自動車配車サービスもDXの先進事例として有名です。Uberの自動車配車サービスは「自動車で移動したい人」と「車の所有者で空き時間がある人」をマッチングする配車サービスであり、カーシェアリングサービスにあたるでしょう。

 

Uber自身は自動車を所有せず、GPSを利用して車で移動したい利用者に車の位置や到着時刻を知らせるなどタクシーとしての利用をスマホアプリで完結できるサービスを提供しているのです。

 

ドライバーには利用者の行き先が連絡済みで乗車後は聞き取りなしで目的地に向え、利用料はアプリ決済のためドライバーへの直接支払いがなく料金トラブルも生じません。なお、利用者がドライバーを評価する仕組みがありサービス品質の維持向上も図られています。

 

また、Uberでは上記サービスを応用して外食産業とその商品を運搬できる人をマッチングさせる「Uber Eats」も展開しており売上を伸ばしているのです。

 

③Airbnb

Airbnbは自分の空き家や施設を貸したい人とそれらに宿泊や利用したい人とのマッチングサービスを、プラットフォームを通じて提供しています。

 

このサービスは利用者の貸し借りがすべてネット上で完結できるシステムで、貸主を獲得するための広告や価格設定などをAIが実施するシステムになっているのです。最近では施設の提供者がホストとなって様々な体験を提供するといった販売も可能になっています。

 

Airbnbが利用できる国は190以上もあり同社の企業価値は300億ドルを超えているのです。

 

④ミスミ

工具や消耗品から金型部品やFA用メカニカル部品までを短納期で販売する株式会社ミスミは、製造業の変革を支える新たなものづくりプラットフォーム「meviy」を提供しています。

 

meviyは、顧客が提供(アップロード)する3次元CAD設計データに従って3D形状を認識して加工品(金型部品等)の見積りや発注が可能なオンラインサービスです。

 

meviyにより、発注担当者・製造現場間の情報伝達・共有がスムーズに進み、顧客は効率的かつ正確な製造指示ができて精密加工品を受け取ることができます。

 

また、顧客には発注での様々な手間や時間が省けるようになるため大きなコストダウンが期待できるのです。

 

⑤RIZAP

RIZAPグループはトレーニングジムの運営、体型補正用下着・美容関連用品・化粧品・健康食品の販売等などを行っています。

 

RIZAPでは、体重、体脂肪率、血圧、血糖値等の体のデータや、食事、ECの購入履歴、ダイエット、トレーニング等の関連データを活用した事業を行っており、ゴルフ事業ではIoT技術を取り入れたサービス「RIZAP GOLF LESSON System」を提供しているのです。

 

ゴルフクラブに装着されるスマートゴルフセンサーから顧客のクラブの軌道、フェース角、アタック角、ヘッドスピード、スイングテンポなどのデータが収集され、それに基づいた指導が提供されます。

 

 

1-3 DXのビジネス上のメリット

経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討」の資料では、「デジタルトランスフォーメーションを推進している企業は、利益や生産性の向上、新製品・サービスの恩恵を受けている」とDXのメリットを指摘しています。

 

この資料のもとになった調査は、米国Microsoftと調査会社のIDC Asia/Pacificが行った結果でDXに取り組む意義が示されているのです。

 

*調査内容はアジア15カ国の企業幹部1560人(うち日本人150人)を対象として、DXによる改善度をアンケート調査したもの。回答者の業種には政府機関、教育機関、金融、ヘル スケア、製造、小売りが含まれている

 

その調査結果の要点は以下の通りです。

 

  • ・2021年までに日本のGDP(国内総生産)の約50%をデジタル製品やデジタルサービスが占めると予測
  • ・2021年までにDXはGDPのCAGR(年平均成長率)を0.4%増加すると予測
  • ・DXは利益率向上、コスト削減、生産性向上、生産・運用時間の短縮、顧客獲得時間の短縮を実現し、3年間で約80%向上する見通し
  • ・DXの「リーディングカンパニー」は、「フォロワー」と比較して2倍の恩恵を享受
  • ・DXは最終的によりスマートで安全な都市とヘルスケアの向上を実現し、国民に利益をもたらす

 

①企業にとってのメリット

日本からの150人の回答では、デジタルトランスフォーメーションによる効用として次の点が挙げられており、企業にとってのメリットが確認できます。

 

企業にとってのメリット

 

  1. 1)利益率向上
  2. 2)コスト削減
  3. 3)生産性向上
  4. 4)生産・運用時間の短縮
  5. 5)顧客獲得時間の短縮

 

本調査によると、2020年までにこれらの効用に関して効果があると回答した企業では80%以上の向上があり、利益率の向上とコスト削減に関しては110%の効果が得られるとみられているのです。

 

②社会にとってのメリット

企業がDXにより社会に新たな価値を提供することを通じて社会も大きなメリットが得られます。上記の調査では、DXが社会にもたらす大きな利点として以下の3点を指摘しているのです。

 

社会にとってのメリット

 

  1. 1)よりスマート、安全で効率的な都市
  2. 2)健康状態の予測と管理の向上によるヘルスケアの強化
  3. 3)高付加価値の職業の創出

 

加えて回答者の75%が、今後3年間にDXが職業の変革をもたらし現在の雇用の半分程度が高付加価値の職種に再配置されたり、デジタル時代のニーズに適合できる形態へ再教育されたりすると考察されています。

 

 

2 起業や新設会社にとってのDXの価値とは

起業や新設会社にとってのDXの価値とは

 

ここでは起業や新設会社にとってもDXの導入がビジネス上極めて重要になる点を説明しましょう。

 

 

2-1 起業・新設会社にとってDXが不可欠な理由

起業等でDXが必要となる理由について確認していきます。

 

①DXで既存企業が有利になるなら新設会社も同様

「1-3のDXのメリット」では、DXに取り組む企業には利益率、コスト、生産性、生産・運用時間、顧客獲得時間などの点についての効用が期待できるとありました。

 

従って、DXに取り組む企業と取り組まない企業では上記の点において差が生じることとなり、取り組まない企業は競争上不利になるわけです。逆に会社設立したての企業もDXを導入すれば競争優位性を高め成長を加速させやすくなります。

 

他方、DXに取り組んでいる企業が市場をリードしている場合、DXを導入しない新設会社は不利な戦いを強いられ生き残りも難しくなってしまうのです。

 

マイクロソフト社とIDCの調査で、「デジタルトランスフォーメーションのリーディングカンパニーは、フォロワーと比較して2倍の恩恵を享受」するという結果が得られました。これはDXに力を注ぎ大きな収益をあげてるリーダー企業はフォロワーよりも2倍のメリットを得る可能性があることを示しています。

 

業界のフォロワーとなって参入する新設会社がもしDXを活用しない場合、圧倒的に不利な立場になる恐れがあるのです。

 

②新設会社だからこそ低コスト運営や高い競争力が必要

人・もの・金などの経営資源が既存企業に比べ脆弱な新設会社ではより低コストの事業運営を行うとともに高い優位性をもち既存企業との競争に勝っていかねばなりません。

 

起業して間もない企業の場合、開業後の運転資金を多く確保していくことは容易でないためできるだけ費用を抑えた低コスト運営が求められます。そのためには効率的な業務遂行が不可欠ですが、人数に余裕がないケースも多く1人で複数の業務を担当することも多いでしょう。

 

そうした場合、慣れない業務で効率が悪くなり納期の遅延や無駄な費用の増加に繋がり結果的に予想外の費用・支出が増えることになってしまいます。こうしたケースで、業務の効率化が図れるプラットフォーム(DX)などを利用すれば少人数でも無駄の少ない業務遂行が可能になるのです。

 

また、ニッチな市場でも収益を十分確保できるような商品・サービスをDXの活用で開発すれば起業後の厳しい時期を耐え大きな成長へと進みやすくなります。

 

③アフタコロナのニューノーマル環境への適応にも不可欠

新型コロナ禍によってビジネスのあり方、労働者の働き方や個人のライフスタイルなどが影響を受け大きな変化が見られるようになりました。そして、ウイズコロナやニューノーマルの環境下では以前と違った対応が企業に求められており新設会社も同様です。

 

ウイズコロナにおいては3密を避けた業務遂行が必須であり、顧客への接触だけでなく従業員同士の濃厚接触を極力避けなければなりません。そのため従来の営業方法、商品・サービスの提供のほか、働き方など業務への従事の仕方を変更せざるを得ないのです。

 

こうした問題の解決には高度な機械・設備等の導入といった方法などもありますが、IT化による問題解決が有力な手段となります。内勤作業者等には在宅勤務化が進展し打ち合わせはインターネット上での会議システムで対応するケースが急激に増加してきました。

 

今まで顧客と直に面談していた営業スタイルは電話とネット上での相談やPRなどへ移行しつつあります。こうした社内業務、働き方や営業方法などに対してDXを活用したプラットフォームを開発したり、利用したりする動きが見られるようになってきたのです。

 

こうした動きは新型コロナ禍の影響が収束した後のニューノーマル下においても継続するものとみられており、DXを活用したビジネス展開は新設会社にとっても極めて重要になるでしょう。

 

 

3 起業や会社設立した企業にとっての参考となるDX事例と技術

起業や会社設立した企業にとっての参考となるDX事例と技術

 

ここでは起業や会社設立した企業がDXを活用していくために参考となる事例と、導入上把握しておきたDX技術について紹介します。

 

 

3-1 創業者や新設会社が知っておきたいDX事例

既にUberやAirbnbなどのスタートアップ企業のDX事例を取り上げましたが、日本の中小企業等のDX事例を説明しましょう。

 

①杉崎リース工業株式会社

2019年度版中小企業白書 の事例3-1-5から杉崎リース工業の事例です。

 

●事業者概要
「IoTシステムの導入でマネジメントを強化し、多拠点展開をする企業」

 

所在地:新潟県新潟市
従業員:76名
資本金:5,000万円
支店・営業所・工場:全国に展開

 

●事業内容
同社は工事用の敷鉄板等の建設用仮設資材のリースを行っている企業で、敷鉄板保有数では国内トップクラスにあり、国内の敷鉄板リース業でのシェアでトップを狙っています。

 

●DX導入の背景
同社は、営業拠点や工場を全国に展開し事業を発展させてきましたが、拠点の増加に伴う全社的なコミュニケーション不足が問題になっていました。

 

各拠点の詳細な状況把握が難しくなり、拠点間等での「つながり」が喪失していき社員のモチベーションダウンやトラブル発生時のリスクの増大、業務効率の低下などの懸念が問題視されるようになっていたのです。

 

●DXの内容
杉崎由樹社長は、まず全国の従業員が不安なく効率的に業務を遂行できる仕組みづくりを目指し、リアルタイムでの情報管理システムを導入しました。

 

営業拠点の顧客対応をサポートするため、工場の在庫状況の把握を容易にする目的で工場にカメラを設置し、その映像をスマホ等からいつでも確認できるシステムを構築したのです。

 

また、全社のコミュニケーションを改善するために、スマホでも利用可能なテレビ会議システムを導入しています。

 

●DXの効果
・営業拠点や工場間の連携が大幅に改善され急ぎの顧客からの要望に対する対応力が増大した

 

・リアルタイムの在庫把握が可能となり工場間の在庫の融通が容易になって、受注機会を逃すケースが減少した

 

・カメラ映像による管理はトラブル発生時の対処にも貢献した(工場内での自社商品と顧客車両との接触事故で事故の検証が可能となった)

 

・テレビ会議システムの導入によりリモートミーティングができるようになり社員の一体感が改善された

 

●考察
本事例は中小企業が事業規模や組織規模を拡大させる過程生じる業務の非効率、コミュニケーション不足に伴うモチベーションダウンといった問題に対してIoTを中心としたDXで解決した事例と言えるでしょう。

 

同社の問題のタイプは会社設立後の成長段階にある企業でよく見られますが、それらの企業がDXを活用して業務変革を行えば問題を解決し競争力を高められるはずです。

 

②有限会社ゑびや

2019年度版中小企業白書 の事例3-1-6からゑびやの事例を紹介します。

 

●事業者概要
「AIによるデータ分析で、業務改善や従業員の士気向上、売上拡大を実現した企業」

 

所在地:三重県伊勢市
従業員:45名
資本金:500万円

 

●事業内容
同社は1912年創業の100年以上の歴史を有する伊勢神宮の内宮前で経営している飲食店です。

 

●DX導入の背景
現社長の小田島春樹氏が入社した2012年には、同社はレジのない食券式の大衆食堂で「経験と勘」に頼った店舗運営を行っていました。この運営形態では正確な需要予測が困難で仕入や調理品の食品ロスが少なからず発生するほか、非効率な業務で現場従業員の労働負担は大きく問題になっていたのです。

 

●DXの内容
上記の問題を改善するため、ICTを活用した「来客予測」の導入が検討され、AIを活用した来客数の予測のための膨大なデータ処理・分析が進められるようになりました。

 

AI利用による来客数の予測等の実現に向けて150種類ものデータと来客数の関係性についてデータ分析を行って(天候や近隣の宿泊者数との関係等、来客数と関連性の深い項目を中心に分析)システムが構築されたのです。

 

●DXの効果
・「どの時間帯に、何人のお客様が来店するか」「お客様が注文するメニューは何か」といった項目について、90%以上の精度での事前予測が可能となった

 

・需要予測の精度向上により事前の仕入れや仕込みの効率化が実現でき、食品ロスが大幅に改善された

 

・無駄な調理の減少により従業員の業務負担が軽減された

 

・業務負担の軽減や業務時間中の「空き時間」の発生を有効活用できるようになった

 

・この効率化で従業員を増やさずに店舗の一角で商店や屋台の販売など多様な業務の実施が可能となった

 

・時間の余裕により従業員の接客の質が向上するほか、従業員から業務改善の提案が出るなど活気ある職場にかわった

 

・需要予測以外に、店舗の内外で得たカメラ画像をAIで来客数、性別・年齢構成などで顧客分析を行い、データに基づいた業務改善ができるようになった

 

・上記の一連の取組により、従業員数の増加なしに同社は従来と比べ売上高を4倍にして、週休二日制や長期休暇の実施、従業員の給与アップも果たした

 

・2018年6月に(株)EBILABを設立し、自社で構築したデータ活用の仕組みを外販(新規事業の展開)することにした

 

●考察
「経験と勘」に頼った事業運営では業務の非効率性を解消するのは困難ですが、業務の実態を数値や画像などのデータで把握することでその非効率性の問題が明らかになります。

 

そして、DXを活用してそのデータと販売・生産等に影響する要因との関係性を分析することで無駄な点を明確にしたり、需要予測を実現したりすることも可能となるのです。現在ではそうした分析にAIを利用して解析させ解決手段を求めるケースが増加しています。

 

起業後間もない時期では小人数で事業運営を回していくケースが多いですが、DXを活用すること業務の無駄を省き少人数の従業員でも大きな収益を実現できるようになるのです。

 

また、AIを活用した需要予測や業務改革の仕組みを外販するという新規事業化は小規模企業が成長していく際に採用した方法と言えるでしょう。

 

③株式会社シェアリングファクトリー

2019年度版中小企業白書 の事例3-1-7からシェアリングファクトリー社の事例です。

 

●事業者概要
「設備のシェアを通じて、中小製造業の設備に関する課題を解決している企業」

 

所在地:愛知県名古屋市
従業員:3名
資本金:500万円

 

●事業内容
同社は、使用していない設備を有する企業と設備を使用したいが購入が困難な企業 をマッチングし、多額の設備投資をしないで製造業を可能とする「プラットフォームを提供しています。
*中小企業等を対象とする設備のシェアリングエコノミーサービスの提供

 

●DX導入の背景
日本特殊陶業株式会社の従業員であった長谷川祐貴氏が、「企業間でもシェアリングエコノミーを活用すれば、中小企業の設備投資に関する課題を解決できる」と思い、2016年に社内プロジェクトを立ち上げ、2018年にスピンオフでシェアリングファクトリーが設立されました。

 

●DXの内容
同社は、貸与もしくは売却できる設備を持つ企業と、それを使用したいあるいは安く購入したい企業などの存在を調査し、それらをマッチングさせるBtoBのプラットフォームを構築し新ビジネスとして始めました。

 

サービスの内容は、設備所有者が設備の種類、貸与価格や貸与時間帯、売却価格などの条件情報をWeb上に掲載し、それを見た借りたい人や買いたい人が相談・申込みするというマッチングシステムになっています。

 

●DXの効果
同サービスに登録済みの機械装置や計測機器などの設備は400件以上となり、サービスの開始以来、マッチング件数は毎月伸びている状況です。製造業で起業する人などの利用もあります。

 

●考察
個人間で車などをシェアするというシェアリングエコノミーサービスが普及していますが、本事例は企業間におけるシェアリングエコノミーサービスで起業した事例です。

 

会社員としての自分の業務の中にも新たな事業に繋がるヒントがあり、それにDXを活用すればより具体的なアイデアへ発展することもあります。新ビジネスモデル、DXと自分の仕事(ヒント)などを関連付けて考えれば起業に結びつくアイデアを生み出し具体化しやすくなるでしょう。

 

④合同会社atsumari

2019年度版中小企業白書 の事例3-1-8からatsumariの事例を紹介します。

 

●事業者概要
「『所有』から『共有』へという消費者の新たなニーズに応え、楽器のシェアリング・プラットフォームを構築・運営する企業」

 

所在地:東京都千代田区

 

●事業内容
同社は、個人間での楽器のシェアリングエコノミーサービスの提供(シェアリングプラットフォームの運営)および弦楽器の卸売事業を営んでいます。

 

●DX導入の背景
音大生や音楽教室の生徒、サークルや部活動などで楽器を利用したい人、コンクールなど一定期間だけ楽器を利用したい人、趣味で音楽を始めたい人、子供の成長に合わせて楽器をサイズアップさせたい親 など楽器に対する様々なニーズがありますが、高額であるなどの点で楽器の購入は簡単ではありません。

 

また、楽器を欲する人がインターネットで購入する場合、「試奏できない」「楽器についての情報が少ない」などが理由で購入に至らないケースも少なくないです。

 

ほかにも「楽器を持ってはいるが、使わずに保管している」という所有者は多いですが、楽器を販売しようとしても希望の買取価格で売れることが少なく売却が簡単でない などの問題もあります。

 

こうした楽器の売買や利用などの問題解決のためにDXが活用されました。

 

●DXの内容
同社のDXを活用した事業は、楽器の利用者・出品者・職人をつなぐ新たなプラットフォームを運用するものです。

 

同社のサービスでは、出品される楽器に対しては卸売事業で得た知識等に基づく厳密な審査(出品の楽器に対する画像、動画、説明文を目視で確認し、価格や説明文の訂正を出品者に促すなどを実施)が行われます。

 

また、利用者は出品者に対してコミュニティ機能による質問が可能で、安心して楽器を使用しやすくなっているのです。また、出品者枠に「楽器職人」が含められており、職人と奏者を繋ぐという今までにないサービスも提供されています。

 

職人は自身の職人技で製作したハイクオリティーな楽器を体験してもらう機会を得られ販路の拡大に繋がったのです。

 

●DXの効果
同社のサービスを利用すれば楽器を利用したい人は、希望の楽器を手頃な価格で気軽に使用でき、楽器の所有者は、未使用の楽器を貸与(あるいは売却)して副収入が得られ、楽器の職人は多くの人に自分の職人技を体験してもらえる(あるいは売る)機会の拡大に結びつく、という三方良しのメリットが得られます。

 

利用者は使用した楽器について気に入ればそれまでの利用料を差し引いた価格で購入することも可能で楽器の販路拡大にも役立っているのです。

 

今後は「音楽教室の講師や経験者による演奏指導のスキルシェアリングサービス」や「演奏場所の共同利用など場所のシェアリングサービス」などを同プラットフォーム上で全て完結できるサービスの開発など、DXをさらに活用した事業拡大が検討されています。

 

●考察
本事例もDXを活用したシェアリングエコノミーサービスという新しいビジネスモデルをアレンジしたタイプと言えるでしょう。しかし、単に新たなモデルを真似るだけではビジネスとして成功させるのは容易ではありません。

 

シェアリングエコノミーサービスでも特定のニーズを起業者など自分がそれまでに得た経験やノウハウで捉えられるビジネスであることが不可欠です。特にこれまでに見過ごされていたニーズをDXでビジネスとして成立できる仕組みを作ることが重要になります。

 

なお、自社で活用すべきDXの構築が困難な場合には経営支援機関(中小企業試験機関や商工会議所等)などに相談して、DXの導入を支援してくれる情報システム会社等を紹介してもらうのが重要です。

 

⑤株式会社ウチダ製作所

独立行政法人 情報処理推進機構 「中小規模製造業の製造分野における デジタルトランスフォーメーション(DX)のための事例調査 報告書」からウチダ製作所の事例を紹介します。

 

●事業者概要

 

所在地:愛知県知多市
従業員:21名
資本金:500万円
*同社HPより

 

●事業内容
同社は1980年5月創業のプレス加工メーカーで、主に大手自動車メーカーを対象としてプレス加工部品を製造販売しています。

 

同社は金型設計製造から順送プレス加工、自動タップ加工までの一貫受注生産が可能でそれが強みです。なお、自動車がモデルチェンジする繁忙期等では、人材不足ため金型製造を外注しています。

 

●DX導入の背景
300tクラスの高難易度プレス金型は、供給不足の状況で単価が上昇する状況となっていました。また、高難易度プレス金型については、設計専門の企業や設計データに基づいて製造する中小企業はあるものの設計から製造、仕上げまで一貫して対応できる企業は大手・中堅金型メーカーに限られています。

 

このような状況に対応するため、同社は地域の金型メーカーと連携して企業連合を組織し、大手・中堅金型メーカーの市場であった高難易度プレス金型の製作事業に進出したのです。この企業連合の事業および上記課題の解決としてDXが活用されました。

 

●DXの内容
この企業連合の事業目標は、IoTやAIなどのデジタル技術を活用した「つながる工場」です。

 

同社は、上記企業連合構想に賛同するプレス加工金型メーカーやIoTデバイスメーカーと連携し、政府補助金を活用するなどして付加価値の高い金型製作やその生産性向上を目標とした「金型共同受注サービス」を開発しました。

 

提携金型メーカーの製造設備にIoTデバイス付け、設備の稼働状況をクラウド上で把握して各金型メーカーの仕事量が予測できるようになったのです。その情報をもとにユーザーからの受注に対して金型メーカーの設備能力と仕事量に応じた最適な金型メーカーが選択できるようになっています。

 

●DXの効果
DXの活用により企業連合での設計から仕上げまでの全体最適化が可能となり、設備の稼働率向上が実現しました。また、地場の金型メーカーだけでなく、九州や埼玉県など地理的に離れた地域の金型メーカーとの提携協力も可能となっています。

 

提携する金型メーカーは、保有する設備の稼働状況の情報を提供することで、受注の機会および売上が増加するようになりました。金型ユーザーは、つながる工場のシステムを活用することワンストップで多種の金型を注文できるほか納期の短縮も期待できるようになったのです。

 

●考察
本事例は金型製作も行うプレス加工部品の中小製造業が金型製作分野でDXを活用して「Connected Industries」を実現した事例と言えます。

 

製造業の既存の事業モデルにおいて需要量の変化や低価格化などに対応できず衰退するケースも多いです。しかし、既存市場の中にも埋もれているニーズや取りこぼしているニーズが存在していることも少なくありません。

 

そうしたニーズを発見してDXで捉えるように取り組めば衰退市場の中で新たな成長を図ることも可能です。

 

 

3-2 DXのキーとなる技術

DXを導入し運用していくためにはDXの内容を把握しておく必要もあるため、ここではDXのキー技術を確認しましょう。

 

IDCではDXを支える技術として、「第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)」を利用することが重要だと示しています。

 

第3のプラットフォーム

 

①クラウド

クラウド(クラウドコンピューティング)とは、コンピューターに関連するサービスや各種アプリケーションの機能をネットワーク経由で使用するシステムを指します。

 

端的に言うと、ユーザーがサーバー、ストレージ、ネットワークやソフトなどの資源を保有しなくても、インターネット経由で必要なサービスを必要な時に利用できる仕組み と言えるでしょう。

 

つまり、利用者はインターネットに繋げれば、高額な情報システムやソフトなどを用意しなくても特定のサービスが一定料金で場所を問わず利用したい時に受けられるのです。

 

DXの実現にはビジネスに関連したデータのデジタル化が前提であり、様々な情報を繋ぎ処理・活用するための高度な情報システムが不可欠となりますが、1つの企業ですべて賄うのは現実的でありません。そのため他者のリソースを有効に活用できるクラウドが欠かせないのです。

 

クラウドの代表的なものとして、「IaaS」「PaaS」「SaaS」などが挙げられます。

 

・IaaS
Infrastructure as a Serviceの略語でインフラとしてのサーバーを提供するクラウドサービス
例:「Google Compute Engine」や「Amazon Elastic Compute Cloud」など

 

・PaaS
Platform as a Serviceの略語で開発環境を提供するクラウドサービス
例:「Google App Engine」や「Microsoft Azure」など

 

・SaaS
Software as a Serviceの略語でソフトウェアを提供するクラウドサービス
例:「Google Apps」や「Dropbox」など

 

②モビリティ(モバイル)

モビリティは機動性のことで、企業の機動性を実現するのが「エンタープライズモビリティ」です。エンタープライズモビリティは、リモートワーク等がより便利になるように、個人のPCやモバイルデバイスを業務で利用できる環境を整えクラウド利用のデータアクセスを可能にすることなどを指します。

 

現在では個人が企業の仕事に自分の情報端末を利用する場合と、企業側が端末を用意して個人がそれを利用する場合がありエンタープライズモビリティが実現されています。

 

PCのほかスマホやタブレットなどからインターネット経由でクラウドに繋がりいつでも好きな時に好きな分だけ情報システムのリソースが利用できれば、従来のビジネスになかった新たな価値が提供できるモデルへの移行が迅速に進められるでしょう。

 

エンタープライズモビリティの有効活用により企業はビジネスでの柔軟性と効率性が向上し、納期の短縮やコストの削減のほか新たな価値の提供が可能となるのです。

 

③ビッグデータ/アナリティクス

ビッグデータとは自社の情報システムで記録したり解析したりすることができない社外に存在する膨大なデータ群のことで、毎日大量に発生する各種の非構造的あるいは非定型的なデータを意味します。

 

ビッグデータはデータ量、データの種類、データの発生および更新の頻度の3点で構成され、この3点からなる情報がリアルタイムで高速処理されて、新たなビジネスを発見するための分析や仕組みの開発に役立っているのです。

 

アナリティクスは市場調査、経営戦略の策定、各種マネジメントや業務の効率化を進める上で必要なデータ分析のことで「データアナリティクス」のことを指します。データアナリティクスを実施する場合に最近ではビッグデータやAIが活用されるケースが多いです。

 

そして、ビッグデータ、自社データやその他のデータを収集・分析しデータからビジネスでの新たな価値に繋がる知恵を創出するのがAIの役目となっています。AIにデータを与えその情報を学習させ知恵を引き出しビジネスの創出や業務改善などに活用されるのです。

 

AIは、人の指示がなくても作業を遂行する自律性と、AI自身の経験を通じて学習して実行性を向上させる適応性の機能などを有しています。大まかなAIのタイプは「認識(識別)系」「予測系」「実行系」の3つです。

 

ビジネスモデルの内容に従って利用されるAIのタイプが分かれたり、併用されたりしてDXの仕組みの重要な機能の一部として利用されています。

 

④ソーシャル技術

ソーシャル技術とは、FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に利用される、利用者同士をインターネット上で繋ぐサービス技術のことです。

 

SNSがインターネットを利用する人の生活の中心的な存在になってきており、企業と利用者の関係を繋ぐためのツールとしても使用されています。そのため、デジタルマーケティングを実施するためのプラットフォームとしての役割も果たしているのです。

 

メルカリなどのCtoC市場だけでなく、BtoB分野でもソーシャル技術を利用した顧客やパートナーとの関係構築や維持、採用活動などにも活用され始めています。

 

なお、上記の技術にも含まれる場合もありますが、「5G」「IoT」「サイバーセキュリティ」「RPA(Robotic Process Automation)」などもDXを支える技術(要素)として重要です。

 

特にIoTは多方面での利用や応用が期待されています。また、5Gは高速大容量、高信頼超低遅延、超大量接続といった性能が期待されることから今後のネットワークの高性能化には欠かせない要素でありDXを進化させるでしょう。

 

 

4 DXの導入・推進の仕方

DXの導入・推進の仕方

 

企業がDXを導入・推進していくための方法を紹介します。

 

 

4-1 DXの導入ステップの例

電通アイソバーブログの「5つのステップで考えるデジタルトランスフォーメーション」の記事などを参考にDX導入のステップを簡単に説明しましょう。

 

本記事での「導入に必要な5つのステップ」とは、「デジタル化」→「効率化」→「共通化」→「組織化」→「最適化」の5ステップです。新たなビジネスに関係する様々な情報をデータ化することから始まり、次第に組織的なデータ活用へと進めることでDXを完成させていきます。

 

導入に必要な5つのステップ

 

Step1:デジタル化

Step1はデジタル技術を自社ビジネスに取り込む上での初期の段階です。具体的には、サイトの開設、各種ツールのデジタル化など限定的に業務のデジタル化を進めデータがどんどん蓄積される段階と言えるでしょう。

 

IoTやAIの技術を利用することで様々な人やモノが繋がり組織全体でのデータの蓄積が可能となっており、そうした技術を利用することが重要です。

 

Uberで考えると、これまで配車係がタクシーの空車を把握するという業務内容が、アプリやクラウドなどの活用によってそうした業務情報がデータ化されるといった状態(取組)にあたります。なお、運用上のマネジメントは今までのルールに従った形態で革新的な変更はありません。

 

この段階で活用されるデジタル知見は、HTMLやCSS(HTML文書の構造にデザインを決めたり見栄えを整えたりできる機能)などで、デザインディレクション(デザイン工程の統括)やUI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)ディレクション、市場/競合調査などのスキルが求められます。

 

Step2:効率化

Step2は運用範囲が多少細分化され蓄積したデータを部門単位で活用する段階です。そのため部門単位で運用ルールが設定され、各業務の遂行にデータが活用されていきます。「できること」からデジタル化による業務の効率化が目指されるのです。

 

Uberで考えると、データ化した空車情報を利用してシステム的にユーザーとのマッチングを実施するサービスがこの段階に該当します。

 

デジタル技術の活用は、簡単なCMSやSNSの活用、アドテクノロジー(インターネット広告に関連するシステム)の導入などです。この段階では各課題で「顧客」と向き合いますが、顧客単位での最適化には至っていません。

 

この段階でのデジタル知見は、ブログツールやGoogleツール(一部)、JavaScript(プログラミング言語)やTagManager(各種のタグを一元管理)などで、「ツール選定・活用の提案や運用設計、定型レポート定義」などの技術が求められます。

 

Step3:共通化

共通化は、部門同士の連携が考慮され部門を横断してデータを使えるようにする段階です。全社共通のKPI(重要評価指標)が設定され、「仮説→施策実施→データによる検証」というPDCAが回されます。

 

Uberで考えると、配車システムを外食宅配に活用した「Uber Eats」などの取り組みがこの段階に該当するのです。

 

各種業務に関連する情報をデジタル資産として管理するデジタルアセットマネジメント(DAM)の概念が用いられるようになり、全社的なデータの運用基盤が整備されます。

 

この段階で、ビジネスの対象者としての「顧客」が定義され明らかにされます。この段階でのデジタル知見は、エンタープライズCMS(企業・組織向けのCMS)やデータベース、API(ソフトウェア同士を繋げるシステム)、ITインフラ、プロジェクトマネジメントなどです。

 

スキルとしては、コスト管理やKPI設定、RFP(システムの提案依頼書)策定、データ設計、システム開発での対象業務の分析や設計(上流工程)やアセスメントが求められます。

 

Step4:組織化

Step3で作り上げた基盤を使用して効率的な運用を行なうために、デジタル専任組織を設置し共通プラットフォームを効率的に運用できる体制を整備する段階です。そのため運用体制の確立と業務フローの明確化が目指されます。

 

この段階ではこれまでに得た知見により「顧客」を「個客」として区別して扱う顧客単位での施策が展開できるようになるのです。なお、この段階で活用される知見やスキルはStep3と同じものになります。

 

Step5:最適化

Step5はデジタルテクノロジーが事業運営の基本活動に組み込まれ自社の基盤となってその活用で事業イノベーションを起こせる段階です。データの入力でデジタル資産化が進みそれをベースに施策が実施されデータを活用した経営戦略の遂行およびビジネスモデルの(再)構築が可能になります。

 

この段階は「個客」との関係構築が実現され、「個客」から得られる利益が見通せる状態です。ここでのデジタル知見はプロジェクトマネジメントを横断的にサポートするPMO(Project Management Office)が必要で、事業計画や損益計画および管理、サービスデザイン、市場分析やデューデリジェンス(組織や財務活動の調査)の技能が求められます。

 

 

4-2 DX推進ガイドライン

経済産業省は、デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインを策定しています(DX推進ガイドライン)。ここではその内容を簡単に紹介しましょう。

 

本ガイドラインは、「(1)DX推進のための経営のあり方、仕組み」と、「(2)DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の2つ点からDXの推進について説明されています。

 

DX推進のための経営のあり方、仕組み

*出典:経済産業省HP「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)を取りまとめました」より

 

①DX推進のための経営のあり方、仕組み

1)経営戦略・ビジョンの提示

データとデジタル技術の活用により、どの事業分野でどのような新たな価値(新ビジネス創出、即時性、コスト削減等)の創造を目標にするか、そのためにどのようなビジネスモデルをとるかについての経営戦略やビジョンを示す必要があります。

 

2)経営トップのコミットメント

DXを推進する場合、ビジネスや業務方法、組織の仕組み、企業文化などの変革が必要となるため、経営トップがこれらの変革に強いコミットメントを持ち取り組まねばなりません。

 

3)DX推進のための体制整備

経営戦略やビジョンの実現に向けて、経営層が各事業部門に対して、データやデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを構築するという挑戦を促し継続できる環境整備が求められます。

 

その環境整備とは「マインドセット」「推進・サポート体制」「人材・スキル」の3つです。

 

4)投資等の意思決定のあり方

DX推進のための投資等の意思決定に関して、コストだけでなくビジネスに与えるプラスの影響の考慮、挑戦意欲の確保、(DX投資しない場合の)デジタル化されるマーケットからの排除というリスクの考慮 などが求められています。

 

5)DXにより実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力

DXを活用したビジネスモデルの変革が、経営方針転換やグローバル展開等に対して迅速に対応できるものでなければなりません。

 

②DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築

●体制・仕組み

 

6)全社的なITシステムの構築のための体制

DXの実施に当たり、各事業部門でのデータやデジタル技術が戦略的に活用できる基盤と、その相互連携できる全社的なITシステムを構築するための社内体制の整備(組織の設置・人材の確保)が必要です。

 

7)8)全社的なITシステムの構築に向けたガバナンス

・全社的なITシステム構築に際し、各部門が導入するITシステムと既存のITシステムとの円滑な連携の確保と、各ITシステムが個別最適でなく全社最適となるためのガバナンスの確立が求められます。

 

・全社的なITシステムの構築に際して、ベンダー企業だけに頼らずユーザー企業自身がシステム連携基盤の企画・要件定義を行うべきす。

 

9)事業部門のオーナーシップと要件定義能力

各事業部門がオーナーシップを持ちDXで実現する事業企画等を明確にしなければなりません。加えてベンダー企業に自社のDXに関する提案を求め、それらを踏まえて自社で要件定義を行うべきです。

 

●実行プロセス

 

10)IT資産の分析・評価

IT資産の現状について分析・評価できなければなりません。

 

11)IT資産の仕分けとプランニング

IT資産の仕分けや、どのITシステムに移行するのかという計画の策定が必要です。

 

12)刷新後のITシステム:変化への追従力

新たなデジタル技術が採用された刷新後のITシステムは、ビジネスモデルの変化に迅速に対応できるようになっていなければなりません。また、ITシステムについては、ビジネスがうまくいったかの点で評価できる仕組みとなっていることが求められます。

 

 

5 DXの導入や成功に必要な視点と注意点

DXの導入や成功に必要な視点と注意点

 

ここではDXを導入して場合の着眼点、成功へ導くための視点とともに重要な注意点を説明しましょう。

 

 

5-1 DX導入の着眼点

ここではDXを推進していくにあたっての着眼点を簡単に紹介します。DXはデジタル技術を活用して新たな価値を起こすという事業変革であるため、事業変革の内容、新たなビジネスモデルのタイプとDX技術の3つの点から構想することが重要です。

 

事業変革の内容とは、新規事業などでの新たなビジネスモデルの考案・実施、既存事業でのビジネスモデルの変革、効率性の極大化 などになります。前2つは企業の売上高や利益額の大幅な増加に繋がる変革で、後者は企業のコスト削減や生産性向上による競争力強化というような変革にあたるでしょう。

 

新たなビジネスモデルのタイプ(方法等)とは以下のような新しいビジネス手法のことです。

 

  • ・モノ消費からコト消費モデルへの移行
  • ・サブスクリプション(定期・定額購買)
  • ・シェアリングエコノミーサービス
  • ・プラットフォームの提供
  • ・マスカスタマイゼーション(大量生産と個別設計の同時実現)
  • ・プロフィットシェア(儲けた分を分かち合うモデル)

 

上記以外のモデルや自社が独自に開発したビジネスモデルでも問題ありません。

 

DX技術には以下のようなものが含まれます。

 

  • ・AI:認識系、予測系、実行系のAIなど
  • ・チャットボット(テキストや音声を介して会話を自動的に行うプログラム)
  • ・RPA(コンピューター上で実施される業務や作業を自動化する技術)
  • ・CXモバイル(カスタマーエクスペリエンスネットの最適化のためのプラットフォームやネットワークの一元管理)
  • ・各種クラウド
  • ・ビッグデータ
  • ・IoT
  • ・ソーシャルリスニング(ソーシャルメディアから消費者の声を収集・分析しマーケティングに利用する方法)

 

自社が抱える問題、新たに発見した顧客ニーズ、社員からの独創的な事業アイデアなどで既存事業の改革、新たなビジネスモデルの創出や大幅な効率化の実現が期待される場合に、どのようなDX技術があれば実現できそうか、といった組み合わせなどを着眼点にすることでDXが推進しやすくなるでしょう。

 

 

5-2 DXの成功に不可欠な視点

DXを推進していく場合、特に以下のような点をしっかり押さえて進めて行く必要があります。

 

①組織全体での改革意識の醸成

DXは単にビジネスや業務のデジタル化でなく事業の変革であるため、変革の意識が組織全体にあるかどうかが重要になります。ビジネスを抜本的に変えたり、今まで全く関係してこなかった事業を起こしたりするには、社内全体での改革意欲が高くないと困難です。

 

新しい発想を絶えず誰かが考えだしそれを後押していく体制が社内になければDXの推進は捗らず成功も難しくなってしまいます。経営者も社員にDXの導入を任せるのではなく積極的に関与していかねばなりません。

 

社内に事業変革への意識を高める仕組みをつくりそれを維持向上させていくことが求められるほか、DX推進チームのリーダーとして引っ張る、あるいはサポーターとして支えるといった役割を担う必要がリーダーにはあります。

 

②DX推進のための人材の確保と配置および外部の活用

DXの推進には高度なデジタル技術の導入が必要となるケースも多いため、そのための専門人材を確保し配置していかねばなりません。もちろん小規模な事業であまり高度なデジタル技術を活用しない場合などでは創業者や経営者だけで対応できるケースもあります。

 

しかし、事業の内容や規模によっては高度なシステムでの対応が必要となり、専門のIT人材の存在が不可欠になるのです。もちろん自社の人員では対応できない場合は外部の企業を利用することも可能ですが、その場合自社が取り組む事業変革に対応できるITベンダーの選定が重要になります。

 

DX推進のそれ自体やITベンダーの選定などでわからない場合には公的な経営支援機関などに相談して進めていくことも必要です。

 

 

5-3 DX推進で特に注意したい点

DXを推進していく上で特に注意したい点をいくつか紹介しましょう。

 

①データ分析などの活用から事業変革のアイデアを見つける

社員にDXや事業変革のアイデアを求めてもそう簡単に出てくるものではないため、データ分析等の活用からそのアイデアを導くという取組も必要になります。

 

現在では業務上の過去データから業務の効率化を進めるというITの活用が一般的ですが、これは業務改善の延長線上のものであり事業変革と呼べるものではありません。

 

しかし、過去の大量のデータをAIなどで分析することで未来を予測することが可能になるのです。保有するカスタマーエクスペリエンスのデータをAIで分析すれば、どの顧客、どの顧客層が今後どのような購買をしそうなのかといった未来予測が可能になります。

 

そして、その予測に基づきその購買を促す仕組みをデジタル技術で構築することで今までと異なるビジネスモデルへ変革できるようになるのです。

 

②ITインフラ構築上の注意点

ITインフラ構築上の注意点

 

1)販売部門等と情報システム部門との協力

DXによる事業変革では顧客視点や業務担当者視点の業務改革や新ビジネスの創出が求められます。そのため、販売部門や生産部門等の業務担当者の考え・情報を踏まえて事業変革の内容を決定し、それを受けて情報システム部門がデジタル技術を活用したDXのシステムを構築することが重要です。

 

つまり、販売部門等と情報システム部門との協力によるDXの推進が必要であり、どちらか片方に推進を任せるような形態をとってはなりません。情報システム部門にDX推進を丸投げして顧客ニーズから離れたモデルにならないように注意すべきです。

 

2)迅速な導入

いかに画期的な事業変革であってもDXの導入に時間がかかってしまえば、導入後の競争優位性の維持が困難になりかねません。市場の動きや消費者ニーズは激しく変化するため、導入が遅れるほど事業機会を失う可能性が高くなってしまうため、一刻も早い導入に努めるべきです。

 

3)低コストで小さく開始

上記の迅速な導入の点やリスク負担の点からDXの導入をいきなり大がかりものから始めず低コストで簡易な形態から実施していくことも重要になります。特に会社設立して間のない企業などの場合、スピードと資金負担の面から低コストでの推進は欠かせないでしょう。

 

4)クラウドの活用

ITインフラをすべて自社で賄うのは困難であるためDXの推進ではクラウドを積極的に利用するのも重要です。顧客の購買行動や市場の変化に合わせてインフラの仕様を適切に合わせていくためには、自社だけでは困難でありクラウドの適切な活用が欠かせません。

 

 

6 まとめ

DXの推進は業務の効率性や競争優位性を高めることになるため、既存企業はもとよりこれから会社設立をしていく企業にとっても重要です。新設会社などは経営資源が限られることから大がかりなDXの導入は困難ですが、低コストで利用できるデジタル技術を組み合わせることでもDXは推進できます。
仕事で発見したニーズをDXの導入でビジネス化したい、既存のビジネスモデルを抜本的に変えたいなどと思っている方は、ぜひDXの推進を検討してみてください。


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