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会社設立前後での失敗例から学ぶ起業成功のポイントと必要な手続き・届け出

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近い将来に起業し会社を設立しようと考えている方や会社設立の準備に入っている方もおられるでしょう。今回はそんな方のために安易に起業して失敗し倒産しないための会社設立前後での重要ポイントを解説します。会社設立前後で見られる様々な失敗例から、その原因と事業を成功へと導くための方法やポイント、失敗を回避するための方法などを説明しますので、会社を立ち上げ事業を発展させていくための企業経営にぜひお役立てください。

 

 

1 会社設立前後からの様々な失敗例とその影響

会社設立前後の時期などでよく見られる様々な失敗例を取り上げ、それらが経営にどのような影響をもたらすのかを確認していきましょう。

 

 

 

1-1 資金不足による倒産リスクの増大や事業機会の損失

会社設立時から一定期間における必要資金の見積もりが甘く、運転資金や事業拡大の資金などが不足して、事業存続の危機に陥ったり、ビジネスチャンスを逃したりするケースが少なくありません。

 

たとえば、商材を販売する商社などで起業する場合、その際事務所で必要となる事務機器、什器・備品、敷金・礼金等、人件費や商品代など開業時に必要な資金はほぼ正確に見積もれます。また、その見積もりに沿った資金の確保ができて開業できるケースも多いです。

 

つまり、創業者としては開業に必要な資金を用意して会社を設立して事業がスタートできたと思っているケースが少なくありません。しかし、現実には設立後2・3カ月~半年の間で運転資金の不足が見られることも多く、事業の継続に問題が生じるケースも見られます。

 

商材の販売の場合、商材をメーカー等から仕入れて在庫し顧客へ販売する形態が多いです。つまり、事業を継続させるには仕入の代金の支払ができる資金を確保していかなければなりません。

 

しかし、顧客からの代金回収が遅れたり、急に商材価格が高騰したりすると、ぎりぎりの必要資金の見積もりでは支払に支障が生じ運転資金が枯渇することもあるのです。

 

また、商品の販売が順調で販売員を増員させれば事業の拡大が見込める場合でも資金不足により増員できず、ビジネスチャンスを見逃してしまうというようなこともあり得ます。

 

このように会社設立時から一定期間での必要資金を見誤ると経営リスクや機会損失を増大させることになりかねません。

 

 

 

1-2 販売先や仕入先の確保の失敗

開業前後での販売先や仕入先の確保に失敗して事業の存続が困難になってしまうケースも見られます。

 

一般的には起業前から販売先や仕入先の候補となる企業と交渉して取引の約束と取り付けて開業するケースが多いです。しかし、そうした起業前の取引先の確保を十分に行わず開業後からの活動で開拓を進めようとする企業も少なくありません。

 

もちろん開業後からの自社の営業努力で顧客や仕入先を開拓できることが望ましいです。しかし、一般的に企業間取引では信頼が重要視されることから以前に何ら接点のない新設会社との取引は慎重な扱いとなり、交渉して直ぐに取引してくれる企業は多いとは言えません。

 

そのため新設の営業実績のない会社が取引先を拡大せることは容易ではなく開業後の1~2年は赤字となるケースもよく見られ、最悪倒産に至るケースも少なくないのです。

 

また、十分な仕入先が確保できなければ製造や販売に支障をきたすため、開業後に少しずつでも増やしていかないと倒産リスクを高めてしまいます。

 

会社設立前に一定の取引先を確保しておかないと開業後にいきなり事業運営につまずくことになりかねません。

 

 

 

1-3 共同出資者等による会社の乗っ取り

会社設立が複数人での共同出資で行われるケースは少なくないですが、会社の株式の保有数の割合が不適切である場合他の出資者に会社を乗っ取られてしまうこともあります。

 

友人、親戚や会社の同僚などとお金を出し合い会社を立ち上げるケースがよく見られますが、開業後事業運営など経営方針の相違から対立していくことも少なくありません。

 

対立が解消しない場合、事業運営に悪影響が生じるだけで済まず「お家騒動」に発展するケースも多いです。

 

たとえば、事業に不可欠な技術を有するA氏が、資金が豊富な友人B氏を誘って会社を設立したとします(自社株式の保有割合は、A氏が30%、B氏が70%)。

 

会社設立時では起業の提案者で技術を有するA氏が社長となり事業をスタートしました。しかし、数年後両者の間で会社の経営方針で意見が対立し、自社株の過半数を握るB氏がA氏に代わり社長として経営権を奪うという事態が生じたのです。

 

この場合、A氏の立場で見れば技術を注いで育んだ自社をB氏に乗っ取られたように見えるでしょう。

 

起業した会社の中には出資者が経営者となって会社を運営するケースが多いですが、議決権を有する株式の割合を適切に維持しないと共同出資者のみならず第三者に会社が乗っ取られることもあるのです。

 

 

 

1-4 開業資金の調達コストによる経営リスクの増大

会社の設立にあたり借入金の支払利息の負担が重くなり経営が圧迫されていくケースがよく見られます。

 

日本政策金融公庫の総合研究所の「2016年度新規開業実態調査」(2016年12月22日発表)によると、開業時の資金調達額は平均1,433万円、金融機関等からの借入金額は平均931万円、自己資金は320万円です。

 

この調査のように会社設立時の借入額が自己資金の2~3倍になるケースが多いため、借入金利が高いと返済負担が重くのしかかり経営の足かせになりかねません。

 

特に開業からの1~2年間は赤字になる可能性が低くないことからそれを見越した借入金の返済(計画)が不可欠となるのです。金利が低くても高額な借入をすれば返済に行き詰まり倒産リスクを高めてしまいます。

 

また、銀行などから低利での融資を受けられない場合に金利の高いノンバンク等から高額なお金を借入すれば、さらに倒産リスクを高めてしまうでしょう。

 

 

 

1-5 人材確保の失敗による事業運営への影響

新設会社の人材確保は容易ではない上に定着率も良くないため、人材マネジメントを疎かにすると事業推進に必要な人員確保が困難になってしまいます。

 

設立した会社が中小・零細企業の事業規模である場合、社員を募集しても希望する人材を採用するのは簡単ではありません。人手不足の時代においては優秀でやる気のある人材は大企業や著名な会社を優先して応募する傾向があり、中小企業への応募は後回しにされる傾向があります。

 

そのため新設会社では既存の中小企業以上に必要人材を確保することが難しく、時間をかけて丁寧に採用計画を進めないと失敗してしまいます。たとえば、募集をかければ1カ月程度で応募があり、選考⇒採用と進めると考えていては予定が大きく狂うことになるでしょう。

 

募集をかけても全く応募が得られないこともあり、開業当初から人員不足でスタートしなければならない状況に陥ることもあるのです。

 

また、上手く開業までに必要人員が確保しても人材マネジメントを適切に実施しなければ、直ぐに離職されるケースも少なくありません。

 

下表は厚生労働省が公表している「平成27年3月に卒業した新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況」をまとめたデータです。事業規模が小さい事業所ほど離職率が高いことが確認できます。

 

[事業所規模] 【大学】 【高校】
1,000人以上 24.2% 25.3%
500~999人 29.6% 32.9%
100~499人 31.9% 36.5%
30~99人 39.0% 46.3%
5~29人 49.3% 55.9%
5人未満 57.0% 64.3%

 

以上の内容から必要人員を採用できたと安心しても適切なマネジメントを怠れば小規模企業などでは3年で半数以上の新規学卒者が退職しかねません。

 

 

 

1-6 無計画な事業の拡大による経営リスクの増大

会社設立後の事業が予想以上に好調で売上が伸びているため、無理をして資金調達し設備投資など事業の拡大を進めるケースが見られますが、そのことが資金繰りを悪化させ経営リスクを高めることもあります。

 

取り扱いの商材の機能が優れている、提供しているサービスの付加価値が高いなどで顧客からの評判がよく売上が見込んでいた以上に好調となるケースも珍しくありません。

 

そんな場合にこの機を逃さず事業を拡大させるために供給能力を強化したいと考えるのは間違っていないでしょう。しかし、緻密な需要予測や分析を怠り直面している好調さだけに目を奪われて無理に設備投資をしてしまうと財務負担が大きく増してしまいます。

 

たとえば、事業の拡大のために金融機関や自社の関係者などを説得して資金を調達すると大きな借金を抱えてしまうことになるわけです。設備投資などをして事業が順調に拡大すれば問題はないですが、急に需要の変化が生じ売上が伸び悩んでしまえばたちまち資金繰りに窮することになりかねません。

 

そして、借入した金額が多ければ多いほど返済は困難になり倒産リスクを高めることになります。

 

 

 

1-7 悪徳事業者等に付け込まれる悪影響

新設会社に的を絞りその会社に対して費用対効果の低い商材やサービスを提供したり、不適切なコンサルティングを行ったりする悪徳事業者によって経営が乱されるということも時折見られます。

 

新設会社の場合初めて社長として会社組織を経営する方が多いです。そして、世の中には悪意のある商売を仕掛けてくる事業者がそうした経験の浅い社長を狙い撃ちにしてくるケースが少なくありません。

 

たとえば、事業運営に大きな不安をもつ経営者に新規開拓の方法などを伝授するとして高額なコンサルタント料を要求する事業者などが見られます。もちろんの何らかの指導や研修などがありますが、内容が薄く開催頻度が少ないといった名前だけのコンサルティングといったケースなどがあるのです。

 

特定の業界では「ひよこ狩り」という新規開業者を食い物にするようなサービスが行われることがありますが、一般の企業でも新設会社の新人経営者は狙われやすいと言われています。

 

高額の費用を払って、取引先などの開拓方法や経営管理の方法などを習得できれば、今後の企業経営に活かせます。しかし、名ばかりの指導や不必要な指導を受けても役に立たないばかりか、開業前後の貴重な資金を流出させては経営リスクを高めることになりかねません。

 

 

2 会社設立前後の失敗例の原因と対策

ここでは上記で取り上げてきた会社設立前後に生じやすい失敗の原因を確認しその対策を説明していきましょう。

 

 

 

2-1 事業資金が不足する原因と対策

主に1-1に関する事業資金が不足する原因とその対策について確認します。

 

①事業資金が不足してしまう原因

会社設立時から一定期間経過後などに起こりやすい資金不足の原因は設立前の必要資金の見積もりの甘さ、適正な見積計算の欠如、資金計画の策定なし、資金管理不足 などが挙げられます。

 

たとえば、開業時の初期費用と1カ月分の運用資金を合わせた程度の必要資金で事業をスタートする場合、その見積額と実際にかかる費用に大きな差が生じればたちまち資金不足に陥りかねません。

 

設備機械、事務機器、什器・備品などの費用は事前に業者から見積りを取るため大きさ差が生じることはないでしょう。しかし、製造用の材料・部品等、仕入商材などの値上げ、在庫量の増加などにより予想以上の支出が増えることもあります。

 

たとえば、設備機械・事務機器・什器等で500万円、保証金・敷金等で200万円、1カ月分の運転資金で210万円(人件費75万、仕入代70万円、光熱水費5万円、家賃20万円、倉庫代15万円、借入金返済額5万円、通信広告費20万円)である場合に初期の必要資金はその合計の910万円です。

 

毎月210万円の運転資金が必要となりますが、もし見積りが甘く(不正確)予想よりも10%以上の誤差が生じるようになれば資金繰りは苦しくなっていきます。

 

また、商材をメーカー等から仕入れて在庫し顧客へ販売する場合、メーカー等への支払が先行し、顧客へ販売した商品代の回収は後になるの普通です。その際の問題は仕入先への支払速度が顧客からの代金回収速度より大きく上回るケースで、資金の支出が常に先行し資金不足に陥りやすくなります。

 

この支払速度が回収速度を大きく上回る状態を放置すれば資金繰りの悪化から資金ショートを招き倒産の可能性を高めるのです。

 

こうした資金不足は事業の存続に危機をもたらすとともに、事業の拡大に必要な資金の確保を困難にさせるため放置するわけにはいきません。

 

②事業資金の不足への対策

資金不足の対策として、初期の必要資金の正確な見積り、資金計画の策定と資金管理が不可欠です。

 

A 初期の必要資金の正確な計算及び資金計画の策定

まず、資金不足に陥らないようにするためには初期の設備資金や運転資金と調達額を明らかにする資金計画の策定が必要です。

 

たとえば、中小企業基盤整備機構のWEBサイト(j-net21)で提供している下表のような「投資・調達調達計画」のフォーマットなどが利用できます。この表を活用すれば会社設立時の必要資金(左側)と調達資金(右側)の内容を整理・把握することも容易で必要資金の過不足が明らかになるでしょう。

 

なお、できれば1年目から3年目までの予定を計画しておくことが望まれます。

(千円)

投資(必要な資金) 金額 調達 金額




内装工事費
店舗保証金
機械装置
器具備品
  自己資金  
親族等からの借入  
親族等からの借入  



商品の仕入
開業の経費
   
合計   合計  

 

次に開業時の必要資金の見積りの仕方としては以下の計算式が参考になるはずです。

 

・開業時の必要資金=初期設備資金等の費用+毎月運転資金×3カ月程度以上(業種等により異なる)

仮に初期設備資金等の費用が500万円、毎月運転資金が210万円なら開業時の必要資金は1,130万円程度になります。一見余裕があるように見えますが、会社設立から間もない時期には想定外のことが起こりやすいため、資金に余力を持たせておくことが望ましいでしょう。

 

B 毎月の資金管理

どのようなツールや方法を使ってもよいですが、とにかく毎月資金管理しておくことが必要です。一般的には下表のような資金繰表が利用されています。

   
前月繰越          
経常収入 現金回収        
売掛回収        
その他        
       
経常支出 現金支払        
買掛支払        
その他計        
       
投資収支          
財務収支 財務収入        
財務支出        
       
月末資金          

 

経常収入は販売に関連した代金回収の内容、経常支出は商品等の仕入や毎月の支出に関連した内容、投資収支は設備投資等の収支の内容、財務収支は調達した資金、借入・借入金返済の収支などの内容が記載されます。

 

月末資金は、前月繰越+経常収入-経常支出+投資収支+財務収支の結果となり、この金額が翌月への繰越額になります。

 

こうした会社全体の資金の流入と流出の金額を把握しておけば、近い将来の大きな過不足の把握も可能となり、資金的な対策が早く打てるようになるのです。

 

 

 

2-2 取引先確保に関する失敗の原因と対策

主に1-2の販売先や仕入先の確保に失敗する原因とその対策について確認します。

 

①販売先や仕入先の確保に失敗する原因

開業時に十分な取引先を確保できない理由は、開業前の取引先の開拓不足が挙げられます。何故、そのような開拓不足に陥るかについては、開業後からの取引先の開拓に関する見込みの甘さと開業前の開拓への取り組み不足が理由として挙げられるでしょう。

 

取引先の開拓に関する見込みの甘さについては、新設会社の営業力を過信することで生じるケースが見られます。創業したての実績のない会社には企業としての信用力が欠けるため、予想以上に販売先や仕入先を開拓するのは容易ではありません。

 

いくら新設会社の商材やサービスが良くても取引をしてもらうためには一定期の期間を要するケースが少なくないのです。

 

開業前の開拓への取り組み不足とは、独立開業する前に販売や仕入を約束してくれる相手を開拓することを指します。一般的には開業前にこうした取引先を確保して事業をスタートさせますが、その確保の程度が不十分になると事業運営に支障をきたすことになるのです。

 

②販売先や仕入先の確保への対策

上記の原因の内容で見た通り、独立前での取引先の開拓・確保が何より重要となります。友人・知人、親戚、独立前の会社の関係先や取引先、金融機関等からの紹介相手など取引相手の候補を探し、アプローチしておくことが不可欠です。

 

特に独立前の会社員としての立場を有効活用し、関連する取引先でのキーマンとの人間関係を構築しておくことが望まれます。独立後の新設会社では容易に面会・アプローチできない会社の担当者や責任者でも、独立前の会社員の立場ならそうした接触も行いやすいはずです。

 

会社員としての業務を遂行しながら一人のビジネスマンとしての魅力をアピールして親密な人間関係を築くことができれば、独立後にはその相手の会社は取引先の候補として期待できるでしょう。

 

また、独立前後では創業を支援する公的機関や金融機関などに取引先を紹介してもらったり、取引先と巡り合えるマッチングの機会・交流会などに参加したりすることも有効です。

 

このように開業前に取引先を確保することで事業運営の基盤を整え事業の安定化に繋げることができます。

 

 

 

2-3 会社が乗っ取られる原因と対策

ここでは主に1-3での共同出資者や第三者等に会社が乗っ取られる原因と対策について確認します。

 

①会社が乗っ取られる原因

会社が乗っ取られる原因は株主総会での議決権の半数を超える株式を保有できていないことが挙げられます。

 

起業する場合に友人や元同僚などと共同でお金を出し合い会社を設立するケースは少なくありません。また、親戚や元勤務先の会社などに株主となってもらうケースも多いです。

 

資金調達が返済義務のない株式の発行で行えることは大きなメリットとなりますが、共同出資者間での保有株式のバランスが悪かったり、社外に大株主が存在するようになったりすると、経営に悪影響が及ぶことがあるのです。

 

たとえば、議決権の保有割合を共同出資者Aが51%、同じくBが49%である会社の場合、Bが代表取締役社長を務めていてもAが株主総会の普通決議でBを社長から解任できます(ケースにより)。つまり、Bに会社を乗っ取られることになるのです。

 

特別決議(定款の変更、取締役の解任、合併や解散等)での可決に必要な2/3以上の保有株数を与えなければ、会社は乗っ取られることはないと思われる方もいますが、過半数の株式が決め手になることもあります。

 

また、親戚や第三者などに安易に一定の株数を保有させた場合、彼らが経営に口をはさんでくるケースも少なくありません。好意的なアドバイスなどなら歓迎できますが、事業方針へのクレームや無謀な配当要求などがされると経営が圧迫されかねません。

 

②会社が乗っ取られないための対策

株式の保有割合が会社にどう影響するかを考え、乗っ取られないための保有割合にするべきです。

 

A 発行済株式の100%保有の場合

100%保有者が代表取締役社長につけばその会社を完全支配できます。

B 2/3以上の保有

2/3以上の保有の場合株主総会の特別決議での可決が可能です。このケースになればほぼ会社を支配していると言え安心できます。

C 過半数の保有

過半数の保有の場合株主総会の普通決議での可決及び経営権を握ることも可能です。共同出資者で代表取締役社長に就きたい場合は少なくとも過半数の保有が必要となります(特別決議では単独で可決できない)。

D 1/3以上の保有

1/3以上の株数をもつと特別決議について単独で否決できるため、経営への影響が小さくありません。第三者にその割合を保有させると経営への圧力が増します。

E 3%以上の保有

この場合は株主総会の召集や帳簿の閲覧が可能です。

F 1%以上の保有

この場合株主総会での議案提出権を有することになります。たとえば、「定款10条を、次のように変更する」といった議案提出が可能です。

 

なお、共同出資者が2人で議決権の割合を半分ずつの50:50した場合、どちらかの反対により何も決定できない経営になる可能性が生じます。そのためより会社の代表者として相応しい方が過半数を保有し円滑な経営ができるようにすることが望ましいでしょう。

 

 

 

2-4 資金調達コストが高くる原因と対策

ここでは主に1-4での資金調達コストが高くる原因と対策について確認します。

 

①資金調達コストが高くる原因

開業時に必要な資金の調達コストが高くなる原因は、他人資本の割合が大きくなり過ぎることや借入金利の高い調達先を利用することが挙げられます。

 

資金調達は株式の発行による自己資本と、金融機関などからの借入金や社債による他人資本とに大きく分けられます。新設の会社の場合の他人資本は通常借入金です。

 

そして、自己資本と借入金とのバランスにおいて借入金の割合が高くなり過ぎた場合、調達コストの負担が大きくなり経営を圧迫し経営リスクを高めることに繋がります。

 

金融機関等からの借入金利にもよりますが、必要資金の金額が大きくその全体での借入金の占める割合が高いほど返済負担も当然増しやすいです。そして、毎月の収益が一定レベル以上維持できないと資金繰りが悪化していき倒産リスクは上昇していきます。

 

新設会社の借入額の割合は自己資金の2~3倍程度になるケースが多く見られますが、金融機関が多く貸しくれるからといって開業後の損益を正確に予測せず安易に借り過ぎると資金繰りを悪化させることになるのです。

 

また、借入金の割合が少なくても、金額があまり多くなくてもビジネスローンなどのように金利が高めの融資を利用すると現金収支を悪化させやすくなります。

 

日本政策金融公庫などの公的金融機関などでは金利が1%台といった創業融資の利用も可能ですが、ノンバンクなどのビジネスローンでは5%以上、10%以上といった金利も珍しくありません。

 

こうした高めの金利の融資を頻繁に利用すると毎月の返済額は小さな金額からやがて大きな金額へ膨れ資金繰りを圧迫し返済に困窮することになるのです。

 

②資金調達コストが高くならないための対策

借入に伴うコストを小さくし毎月の返済負担を抑えるためには

  • 借入額を過大にしない(開業後の損益・現金収支・返済期間などを踏まえて借入額を検討する)
  • 公的金融機関の低い金利の融資を利用する
  • ビジネスローンは短期のつなぎ融資に限定して利用する

 

といった対策が望まれます。

 

まず、開業後の返済負担や資金繰りなどを考慮して借入額を過大にしないことが重要です。開業後からの一定期間の損益を予測して、予定している借入金額に伴う返済額が重くなり過ぎないかをチェックして借入金額を評価するようにしましょう。

 

もしその評価により借入額を減少させる場合は株式の引き受け相手を探す、親兄弟から借入する、退職金などを活用する といった方法で必要資金の不足分を補う必要があります。

 

次に借入先は第一に公的金融機関を検討するべきです。無条件に借入できるわけではないですが、都市銀行などよりも融資が受けられやすいケースも少なくありません。

 

日本政策金融公庫の融資は金利が低いだけでなく、中には据え置き期間が設定されている融資もあります。据え置き期間とは一定期間は利息の返済だけでよいという元本の返済が免除される期間のことで、事業基盤が整っていない新設会社には有難い制度です。

 

ビジネスローンについては審査が早く融資の実行が迅速であるというメリットがあるものの、金利が公的金融機関のものより大幅に高いため、利用は短期のつなぎ融資などに限定する必要があります。

 

多額の資金を長期に渡って利用する場合は金利の低い融資、少額で短期の資金繰りに必要な場合はビジネスローンを利用するといった方法を検討するとよいでしょう。

 
 
 

2-5 人材の確保・マネジメントに失敗する原因と対策

ここでは主に1-5での人材の確保・マネジメントに失敗する原因と対策について確認します。

 

①人材の確保・マネジメントに失敗する原因

人材の確保に失敗する原因としては、会社設立に合わせた社員の採用計画の甘さや採用した人材に対するマネジメント不足が挙げられます。

 

初めて経営者となる方の中には新設会社における人材確保の難しさを十分に理解されていないケースが少なくありません。特に大企業の社員から独立される方にとっては社員の採用はそれほど困難なものと認識していないケースが時折見られます。

 

人材確保が困難でないと認識していると適切な採用計画を立案しなくなり、結果的に必要人材を開業時までに確保できなくなってしまうのです。つまり、人材の募集をかければ比較的短期間で確保できると考えていると、効果的な人材確保の手段がとられなくなり失敗しやすくなってしまいます。

 

採用が容易でないとわかってから対策を考え実行するまでに月単位の時間が経過することになりかねないため注意しなければなりません。

 

また、採用できた人材のマネジメントを疎かにしてしまうと離職され、貴重な戦力を失うことになります。新設会社の場合、給料が世間並であっても会社の将来性や安定性などに対する不安が社員に抱かれやすいです。

 

そうした不安は仕事や職場の人間関係などでのちょっとした不満やトラブルで大きく膨れ上がり、離職へ繋がるケースも少なくありません。

 

②人材の確保・マネジメントに失敗しないための対策

中小零細企業の規模で会社を立ち上げる場合、その人材確保は想像以上に困難となりやすいため、独立前からあらゆる伝手を頼って必要人材を探すことが不可欠です。

 

また、一般募集により人材を確保する場合は会社設立前から早めに採用活動を進めることが欠かせません。経営者自ら知人・親戚、勤務先の関係者などから人材を探すのと並行して就職・転職情報誌(求人掲載誌)・求人情報サイトなどで募集をかけ採用計画を進めるべきです。

 

ほかにも有料職業紹介事業者を活用した人材確保なども検討するとよいでしょう。会社の設立前後の多忙な時期に人材確保だけに時間を大きく割くことは困難であるため、人材確保のプロに依頼することは悪い選択ではありません。

 

人材マネジメントについては、まず社員とのコミュニケーションを適切にとることが重要です。社員があまり口に出さないような小さな不満や不平などを頻繁の会話を通じて汲み取り、解決可能なものは直ぐに手を打つことが望まれます。

 

もちろん直ぐに改善できないことや無理なこともありますが、できない場合はその理由などを納得できるように説明することが重要です。できないと放置すれば、会社や経営者への信頼感が低下することになります。

 

また、社員の評価・処遇といった人事制度の整備も不可欠ですが、それらの知識が不足している場合、構築する時間がない場合などは、全般的な人材マネジメントも含めて専門の支援会社に頼る(研修を受ける、コンサルを受けるなど)ことも必要です。

 

 

 

2-6 無計画な事業拡大に陥る原因と対策

ここでは主に1-6での無計画に事業拡大をしてしまう原因と対策について確認します。

 

①無計画に事業を拡大してしまう原因

無計画に設備投資などを行い、事業を拡大して失敗してしまう原因としては、企業経営に対する知識・経験の不足や認識の甘さが挙げられます。

 

初めて経営者となる方の多くは企業経営に重要かつ不可欠な知識を十分に備えていないケースは少なくないですが、会計知識などが不足している場合経営リスクを高めることに繋がりかねません。

 

「黒字倒産」などがその代表例ですが、売上が好調で会計上の収益もよく儲かっているように見えても現金の回収が遅れたり、商品を過剰に仕入れたりすると現金支出が入金を上回り資金ショートに陥ることもあります。

 

いくら儲かっていても手元にある現金が不足して支払いが滞るようでは倒産に至るわけです。また、多額の設備投資などを伴う事業の拡大を適切な需要の調査・分析などせずに勢いに任せて行い失敗するというケースも少なくありません。

 

確かに売れ行きの良い商品・サービスを広範囲に展開できれば、収益の増大や事業の成長が望めるため、事業の拡大が正しい経営判断となるケースも多いです。しかし、その判断には収益が増大できるという根拠が伴わねばなりません。

 

つまり、事業の拡大による収益の根拠となる需要動向、需要量が本当にあるのかどうか、期待してよいのかどうかという確認が不可欠です。この確認行為を十分に行わず思い込みや期待だけで事業拡大を進めるという認識・考えでは大きな失敗に繋がる恐れがあるのです。

 

②無計画な事業拡大をしないための対策

無計画に事業拡大を進めないためには、経営者が経営に関する基本的な知識(最低限の会計やマーケティング等の知識)を開業前に習得する、計画的な事業運営に努める、などが求められます。

 

起業して経営者となる方の多くのは、その事業に関する卓越した技術・技能・知識などを有するケースが多いですが、経営に関する知識、会計知識などが不足しているケースが少なくないです。

 

企業経営では組織や事業の運営に様々な知識が求められるため、経営者となる方は少しずつでも備えていかねばなりません。たとえば、創業前に自治体の経営支援部門、商工会・商工会議所などの公的機関での創業塾等に参加し研修を受けることなどは有効です。

 

或は経営コンサルティング会社などに一定の経営支援を受けたり、創業予定者の交流を通じて経営の勉強会を行ったりするのもよいでしょう。どのような方法をとってよいですが、とにかく経営に関する基本的な知識をできるだけ備えて会社設立を果たすことが重要です。

 

また、計画的な経営を行うには当然経営計画や事業計画の策定が必要になります。ただし、あまり細かすぎる事業計画を策定するのはかえって実行できなくなるため不要です。事業上の重要課題などを中心にコンパクトに作成することから始めましょう。

 

一般的には3年や5年といった期間での販売計画(見込み)を立てそれを実現するための仮の設備投資計画作成し、それらを踏まえて仮の損益計画を策定します。そして、その損益計画の内容が妥当かどうかを評価して、投資の範囲を修正するなどして各計画を決定していくのです。

 

下表は日本政策金融公庫の「新事業育成資金」等で利用される計画書を引用したものですが、上記の計画書として参考になるでしょう。

 

販売計画表

(単位:百万円)

年度
販売先名
予想期
1年目
同左
2年目
同左
3年目
備考
         

 

設備投資計画表

(単位:百万円)

年度
内容
予想期
1年目
同左
2年目
同左
3年目
備考(設備投資の実施場所及び設備内容等を補記する)
土地
建物
設備機械
研究開発費
その他
       
合計        

 

収支計画表

(単位:百万円)

年度
内容
予想期
1年目
同左
2年目
同左
3年目
備考
売上高
売上原価
売上総利益
販売管理費
営業利益
支払利息
その他損益
経常利益
当期減価償却費
       
キャッシュ・フロー        

 

 

2-7 悪徳事業者に利用される原因と対策

ここでは主に1-7での悪徳事業者に利用される原因と対策について確認します。

 

①悪徳事業者に利用される原因

悪徳事業者に利用される主な原因は、経営に対する漠然とした不安を持ってしまうこと、不安に付け込まれ悪徳事業者等を安易に信用してしまうこと などが挙げられます。

 

経験の浅い経営者が経営全般に渡る深い知識を得ることは困難であるため、課題の分野や内容によっては各々の専門家や事業者などの力を利用する必要もあります。

 

しかし、彼らに依頼事項をすべて任せ経営者自身が積極的に関与しなかったり、知識を得ないで彼らの言いなりでことを進めたりすると悪徳事業者等に付け込まれる恐れが生じるのです。彼らは経営者が不安に思っていることをことさら大問題として煽り、その解決のために彼らの力が不可欠と付け込んできます。

 

もちろん信頼できる事業者等には全面的な支援を受けて業務改善や業務委託などを依頼しても問題ありません。しかし、悪徳事業者等の場合、相手の会社が特定の課題について無知である点をついて無意味な商材を売り付けたり、サービスを提供したりしてくるのです。

 

②悪徳事業者に利用されないための対策

悪徳事業者に利用されないためには、経営に対する漠然とした不安を持たない、不安に対する対応方法を把握・実行できる、事業者を適切に評価できるようになる ことなどが挙げられます。

 

悪徳事業者等は経営者の不安を狙い撃ちするため、その不安を適切に扱えるようになることが重要です。つまり、その不安となっている事象について正しく把握することが求められ、事象の生じる原因と解決策についての知識を得ることが必要になります。

 

そのため前節でも説明した通り経営に関する一定の知識を蓄えておかねばならず、自己啓発や創業塾などの受講等が不可欠です。

 

そして、世の中には相手の不安に付け込んで悪意のある商売を仕掛けてくる業者等がいることを認識し、取引相手に対する適切な評価を行って取引するべきです。

 

商材やサービスの提供で自社の問題を解決できるとアピールしてくる内容について、業者側の言うことを鵜吞みにするのではなく、具体的な内容、質の程度、量・頻度などをしっかり評価して利用する姿勢が求められます。

 

 

3 会社設立後の事業を成功に導く重要ポイント

最後にまとめとして、上記の失敗の内容等から会社設立後の事業の成功に欠かせない重要点を6つ整理していきましょう。

 

 

 

3-1 経営の基本的な知識を習得する

会社設立や事業の開始にあたり経営者は経営に必要な知識を少しずつでも習得していかねばなりません。

 

創業者の中には会社の設立にあたり経営に必要な戦略・計画の策定、マーケティング、組織開発・運営、財務会計などの知識が大幅に不足している方も見られます。

 

戦略・計画が描けないようでは目標達成に向けて効率的な事業活動ができません。適切なマーケティング手法が活用できなければ事業の拡大も容易ではなくなります。組織を適切に編成し効果的な人材マネジメントを行わないと必要人材が確保できず事業運営に支障をきたすでしょう。

 

そして、財務会計の管理を怠ることになれば資金ショートの可能性を高め経営リスクを高めることになるのです。こうした様々な問題を起こさず経営目標を達成するためには一定の経営知識を蓄え活用できるようにならなくてはなりません。

 

 

 

3-2 適切な事業計画を策定・実行する

経営目標を効率的にかつ一定時期までに達成するためには事業計画の策定・実行が不可欠です。会社設立後からの一定期間は経営資源不足で経営基盤が脆弱になりがちであるため、事業を非効率に推進し停滞させるわけにいきません。

 

効率的な事業活動には明確な予定の設定が必要であり、それが事業計画の作成ということになります。事業計画の作成方法は様々ですが、事業ごとに何を、なぜ、いつ、だれが、どのように、どこで行うかなどを端的にまとめることが重要です。

 

そして一度作成すれば実行しなければなりません。計画策定後はどう実行されどのような結果になったかを確認し、目標が未達の場合は原因を分析して対策を打っていくことが求められます。こうした計画の作成・実行・確認・修正を繰り返すことで経営マネジメントの質も向上するでしょう。

 

 

 

3-3 資金管理を徹底する

現金収支の管理を怠れば資金ショートを招くことになり、適切に資金調達ができなければ事業拡大のチャンスを見逃すことになりかねないため、経営者は適切な資金管理ができなければなりません。

 

売上が順調でも会計上の利益がよくても現金の回収が遅い、遅れがちになれば資金ショートで倒産に至ることも珍しくありません。また、設備投資すれば大きく事業を拡大できる場合に資金調達ができなければ、そのチャンスを失うことに繋がります。

 

企業を動かす大きな源泉の1つは資金であり、その資金管理を適切に行うことが起業を成功させるために欠かせません。

 

 

 

3-4 経営権を適切に確保する

経営者として実権を掌握して運営していくには過半数の議決権を有する株式を確保しておくべきです。

 

友人等と共同出資で会社を設立するケースや第3者に株式を保有してもらうケースも多いですが、多くの株式を他者に割り当てると経営権が脅かされることもあります。また、悪意のある者を大株主にすると経営に口を出され事業に支障をきたす恐れも生じるのです。

 

少なくとも経営の実権を握るためには過半数の株式を確保して代表取締役を解任され会社を乗っ取られないようにしましょう。

 

 

 

3-5 適切な人材マネジメントを行う

人材もお金と並ぶ貴重な経営資源であるため、人材の確保を含めた人材マネジメントに経営者は注力しなければなりません。

 

事業が軌道に乗り成長・拡大へと進むためには必要人材の確保が不可欠であり、その採用と定着を確実にしていく必要があります。しかし、新設会社の場合、人材の確保が容易ではないため人材確保に向けた早めで多様な取り組みが不可欠です。

 

また、確保できた人材が離職しないための処遇の改善、職場でのコミュニケーション、適材適所の配置など社員の意見も取り込んだ人材マネジメントの実施が重要となります。

 

 

 

3-6 取引先の確保を早めに取り組む

新設会社の経営を安定させるためには、早めに事業の基盤となる販売先や仕入先等を開業前後に確保することが重要です。そして、そうしたコアとなる重要な取引先を少しずつでも増やしていく取り組みが求められます。

 

特に販売先を増大させるにはマーケティング手法の活用が重要となるため、その一定の知識を得て実施していくことが必要です。もちろん教科書通りの知識で実際の事業が上手くいかない、合致しないケースも少なくないため、マーケティングの知識を現実に応用させる取り組みが求められます。

 

そうした取り組みの中で自社独自のマーケティング手法が考案でき競争力を高めてくれることもあるでしょう。起業を成功させる経営上の重要ポイントはほかにもありますが、上記の6つは特に事業の発展や経営リスクに直結する点であるため特に注力するようにしてください。

 

 

4 会社設立後に必要手続き一覧

会社設立のための登記手続きは複数の手続きが必要でしたが、会社を設立した後も届出や手続きが続きます。届け出先は税務署、市区町村、年金事務所、公共職業安定所(ハローワーク)、労働基準監督署の5か所と異なります。期限がある手続きは期限までに提出を行わない場合、罰則を受ける可能性もあります。やるべきタスクを一覧にし、効率的に手続きを終了できるようにしましょう。

 

会社を設立した後には、大きくは3種類の届出・手続きを行います。

 

  • 会社設立届出…税務署、都道府県税務署、市区町村役場へ届出を行います。
  • 各種税金関連手続き…法人税や所得税の納税方法や税金額の決定のための手続きを税務署で行います。
  • 社会保険・労働保険加入手続き…従業員を雇用した場合に加入義務がある社会保険の届出を年金事務所で、条件によって加入する労働保険の届出を労働基準監督署で行います。

 

 

 

4-1 監督官庁別届出・手続き一覧

詳細の説明は後述します。ここでは手続き先と手続き項目は以下のとおりです。

 

税務署* 必須 法人設立届出書
必須 青色申告の承認申告書
必須 給与支払事務所等の開設届出書
必須 源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書
条件付 棚卸資産の評価方法の届け出書
条件付 減価償却資産の償却方法の届出書
条件付 消費税の新設法人に該当する旨の届出書
都道府県税務署* 必須 法人設立届出書
市区町村役場* 必須 法人設立届出書
年金事務所 必須 健康保険・厚生年金保険新規適用届
必須 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
条件付 健康保険被扶養者(異動)届
労働基準監督署** 必須 適用事業報告書
必須 労働保険関係成立届
必須 労働保険概算保険料申告書
条件付 就業規則届
条件付 時間外労働・休日労働に関する協定届
公共職業安定所** 条件付 雇用保険適用事業所設置届書
条件付 雇用保険被保険者資格取得届書
金融機関 必須 法人銀行口座開設
各監督機関 条件付 事業を行うために必要な許認可

*会社の所在地を管轄する各監督官庁で手続きが必要です。
**労働基準監督署での労働保険ならびに公共職業安定所(ハローワーク)での雇用保険は、従業員を雇わない場合には手続きが不要です。

 

 

4-2 届出が必要になる要件

『監督官庁別届出・手続き一覧』で手続きが必須になっているものは、会社設立後には全て実施が必須です。(詳細は次項で記載します。)一方条件付きで届出・手続きが必要なものもあります。届出・手続きの必要の有無を判断する必要があるため、正しい理解が必要です。以下は、条件次第で届出が必要なものについて記載します。

 

≪税務署≫

〇棚卸資産の評価方法の届出書

利益を確定するために行われる棚卸資産(原材料や商品や製品などのいわゆる在庫)の評価方法を決めるのに必要な届出です(なお、事業年度ごとに評価方法を決めるのは利益操作になるためできません)。

 

評価方法は大きく2つあります。棚卸資産の取得原価を基に計算する『原価法』と、原価法による評価額と期末時価のいずれか低いほうの価格を評価額とする『低価法』です。原価法の計算方法は「個別法」「先入先出法」「総平均法」「移動平均法」「最終仕入原価法」「売価還元法」の6つから選択できます。提出しない場合は『最終仕入原価法による原価法』になります。中小企業では提出しない企業も少なくありません。

 

〇減価償却資産の償却方法の届出書

ビルなどの建物や自動車や機械など数年使用する資産を固定資産といいます。固定資産は数年の期間を決めて償却していきます。その償却する方法を決定するための届出になります。償却方法は大きく分けて『定額法』と『定率法』の2つがあります。提出しない場合は定率法を選んだことになります。どちらが良いというのは一概にはいえませんが、事業の長期展望を考慮し決定する事が必要です。

 

〇消費税の新設法人に該当する旨の届出書

法人で資本金が1,000万円以上の場合は提出が必要です。ただし法人設立届出書の提出時に消費税の新設法人に該当する事を記載・提出した場合、本届出書の提出は不要です。

 

≪年金事務所≫

〇健康保険被扶養者(異動)届

従業員を雇用し、その従業員に妻(夫)や子供等の被扶養者―収入面で援助が必要な家族―がいる場合に提出が必要です。また従業員の被扶養者変更の際にも必要です。

 

≪労働基準監督署≫

〇就業規則届

常時10人以上の従業員(正社員とパートやアルバイト等非正規の社員等を含む)を雇う場合に提出が必要です。常時とは通常時を指します。常時10人未満であれば、繫忙期に10人以上になる場合には提出は不要になります。

 

〇時間外労働・休日労働に関する協定届

決められた労働時間以外に働く時間外労働や休日労働をさせる場合にあらかじめ提出が必要です。

 

≪公共職業安定所(ハローワーク)≫

〇雇用保険適用事業所設置届書/雇用保険被保険者資格取得届書

雇用保険加入対象になる従業員ができた場合に提出が必要です。雇用保険加入対象の従業員は、31日以上の雇用見込みがあり、1週間の労働時間が20時間を越える従業員になります。2つの書類は同時に提出する必要があります。

 

≪各監督機関≫

事業によっては営業活動を行う上で許可を得ることが必須の事業もあります。例えば飲食店の営業には保健所の許可が必要になります。許認可には「許可」「認可」「登録」「免許」「届出」があり、それぞれの許認可の主な事業と手続きを行う行政機関は以下の通りです。

 

〇許可…事業者が必要な基準を満たした上で、行政機関の承認を得られた場合に営業ができます。中古品・中古自動車販売や質店、パチンコやゲームセンターの開業・キャバクラなどの風俗業は警察署の許可が必要です。飲食業や食品製造業や病院・薬局やホテルなどは保健所の許可が必要です。介護事業や建設業は都道府県、労働派遣業・商業紹介業は労働局、タクシー業や運送業は運輸局の許可が必要になります。

 

〇認可…行政機関に届出し、要件を満たすことで営業ができます。

警備業と自転車運転代行業は警察署、自動車分解整備業は運輸局、保育所と私立学校は都道府県の許可が必要です。

 

〇登録…行政機関に届出し、名簿に登録される事で営業ができます。

旅行業・旅行代理店業やペットショップや貸金業や電気工事業・解体工事業やガソリンスタンドは都道府県で、倉庫業は運輸局の登録が必要です。

 

〇免許…資格保持者が行政機関に届出し、要件を満たしている場合に営業ができます。酒の製造業・販売業・卸業は税務署、不動産業は都道府県の免許が必要です。

 

〇届出…行政側に開始を知らせる事で営業が開始できます。

探偵業や異性紹介業は警察署、理美容業やクリーニング店やマッサージ業は保健所、有料駐車場業は市区町村への届出が必要です。

 

 

5 各種届出・手続きの詳細と方法

実際に届出ならびに手続きを行う準備を行えるよう、各届出・手続きの詳細と方法を説明していきます。なお、管轄機関によりやり方が異なってきます。設立した会社の住所で管轄する各機関を確認し、準備を行う際に事前に問い合わせやウェブサイトの確認が必要です。またウェブ上で提出できるものもあるため、届出・手続きを最短で済ませる事ができるよう事前の情報収集は大切です。

 

≪税務署と都道府県と市区町村/法人設立届出書≫

新たに会社を設立した場合、税務署と都道府県と市区町村への提出が必要です。この届出を行ったのちに税金関係書類が税務署から送付されます。

 

◆提出期限

会社の設立登記した日から2ヶ月以内になります。

 

◆フォーマット 国税庁のwebサイトにフォーマットがあります(法人設立届出書 フォーマットはこちら)。

 

◆記入項目と説明

記入項目は以下の15項目になります。

  1. ①届出先…本店所在地を管轄する税務署名を記入します。
  2. ②法人名
  3. ③本店又は主たる事務所の所在地
  4. ④納税地
  5. ⑤代表者氏名
  6. ⑥代表者住所
  7. ⑦設立年月日
  8. ⑧事業年度
  9. ⑨資本金または出資金の額
  10. ⑩消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日…1,000万円以上の資本金がある場合は、設立年月日を記入します。
  11. ⑪事業の目的
  12. ⑫設立の形態
  13. ⑬事業開始(見込み)年月日
  14. ⑭「給与支払事務所等の開設届出書」提出の有無…給与支払いの有無を選択します。
  15. ⑮関与税理士

◆添付書類

  1. ①定款のコピー
  2. ②設立時貸借対照表
  3. ③登記事項証明書
  4. ④株主名簿

 

≪年金事務所≫

年金事務所で提出する書類は「新規適用届」と「被保険者資格取得届」と「健康保険被扶養者(異動)届」の3つになります。

 

◆提出期限 

  • 〇新規適用届は起業後5日以内になります。
  • 〇被保険者資格取得届と健康保険被扶養者(異動)届は従業員を雇用した日から5日以内になります。

 

◆フォーマット

日本年金機構のウェブサイトから書類をダウンロードができます。
新規適用届フォーマットはこちら
被保険者資格取得届フォーマットはこちら
健康保険被扶養者(異動)届フォーマットはこちら

 

◆添付書類

届出別に添付書類が異なります。健康保険被扶養者(異動)届について添付書類は不要です。

  • 〇新規適用届…法人登記簿謄本(原本)、法人番号指定通知書(コピー)
  • 〇被保険者資格取得届…期限内の提出であれば添付書類は不要です。ただし、届出から資格所得年月日が60日以上経過している場合は賃金台帳と出勤簿の写しが必要です。

 

◆新規適用届の記入項目と説明

記入項目は以下の19項目になります。

  1. ①事業の種類
  2. ②事業所所在地
  3. ③事業所名称
  4. ④事業主氏名
  5. ⑤事業所の電話番号
  6. ⑥事業主(又は代表者)の住所
  7. ⑦現物給与の種類…給与として現金以外の食事や社員寮や衣類などの現物を支給する場合に記入します。
  8. ⑧昇給月・賞与支払予定月…昇給月と賞与月がすでに決定している場合は記入します。
  9. ⑨事業主代理人…事業主の実施する保険手続きを事業主に代わる代理人の有無を記入します。
  10. ⑩健康保険組合・厚生年金基金番号・厚生年金基金名
  11. ⑪社会保険労務士名…届出提出を委託している場合に労務士名称を記入します。
  12. ⑫個人・法人等区分
  13. ⑬番号等の区分・番号
  14. ⑭本・支店区分、内・外国区分…届出事務所が本社か、支店かを選択します。支店を選択した場合に本社が日本国内か外国法人かを選択します。
  15. ⑮事業主代理人
  16. ⑯給与形態・諸手当の種類
  17. ⑰給与締切日、給与支給日
  18. ⑱社会保険の加入状況
  19. ⑲略図…最寄り駅や警察署や消防署などの公共設備を記入します。

 

≪労働基準監督署≫

初めて従業員を雇い労働保険に加入する届出のための「労働保険の保険関係成立届出」や、労働保険の保険料を納付する際に提出する「労働保険概算保険料申告書」などを提出します。

 

◆提出期限

  • 〇労働保険の保険関係成立届出…初めて従業員を雇った日の翌日から10日以内です。
  • 〇労働保険概算保険料申告書…労働員を雇った日の翌日から50日以内です。
  • 〇適用事業報告書…従業員を雇った際に毎回遅滞なく届出します。

 

◆フォーマット

労働保険の保険関係成立届は管轄の労働基準監督署や公共職業安定所で請求できます。労働保険概算保険料申告書は保険関係成立届の提出後に労働基準監督署で受け取れます。

 

◆記入項目と説明

労働保険の保険関係成立届出と労働保険概算保険料申告書は記入見本があります。
労働保険の保険関係成立届出の記入見本はこちら
労働保険概算保険料申告書の記入見本はこちら
適用事業報告書は厚生労働省ウェブサイトからダウンロードができます。

 

◆添付書類

添付書類は不要です。

 

≪各金融機関≫

会社設立後の金融機関の法人口座開設も早急に進めることが必要です。罰則等はありませんが、法人間取引などで口座が無い事は、取引自体を敬遠されるなどのマイナスの影響を与える要因になりかねません。なお、法人口座開設には2週間程度時間がかかる場合もあります。必要書類の準備が整い次第、手続きを行う事を推奨します。

 

どこの金融機関で口座を開くかのポイントは、ネットを含めた入出金のやり易さや店舗との物理的な距離の近さなどがあります。将来メインバンクとして使用していく可能性が高いため、慎重な選択を行います。

 

◆必要書類

  1. ①登記事項証明書(登記簿謄本)
  2. ②定款
  3. ③代表取締役の印鑑証明
  4. ④会社実印
  5. ⑤銀行印

 

必須の届け出は期限があり、届出義務が発生してから5日以内などの期限になっているため、準備期間があまりとれないのが実情です。そのため義務が発生する前からの準備が必要です。必須事項については事前に届出義務が発生する条件を理解の上、事前準備を成功させましょう。

 

 


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